コラム/2014-01-10
何故日本にはアダルトチルドレンが多いのか?
うちのルームにも所謂「アダルトチルドレン」と思うわれる方が数多く来談
されます。
アダルトチルドレン(AC)は正式な病名では無く、一般的な定義では
「親のアルコール依存や虐待等といった”機能不全家族”の中で育ち、
成人してからもそのトラウマが消えず、精神的な生き辛さに苦しんでいる人」です。
ただもっと広義な意味で言うと、親の虐待やアルコール依存、ネグレクト等の
”問題”が無くても、傷ついたインナー・チャイルド”を抱え続けて人間関係で
悩んだり、依存・共依存やうつ傾向、摂食障害等で苦しんでおられる方も
「AC」と考えられます。
勿論、虐待等の明らかな機能不全家族で育たれた方は、ACになられる事が
多いでしょう。
ただ、僕の感じでは虐待や機能不全家族で育った訳ではなくても、
インナーチャイルドが傷つき、ACだと思われる方も多いです。
それどころか明らかな虐待や(心的)外傷体験がなくても解離性同一性障害や
PTSDと思われる症状に苦しんでおられる方も見受けられます。
日本のお医者さんは主にアメリカ精神医学協会の「DSM」というものを診断基準
にしていますが、そのアメリカでは、例えば解離性同一性障害
=幼児期の性的・肉体的な虐待との因果関係が強く指摘されています。
またPTSDも明らかな「(心的)外傷体験」が原因とされています。
所が日本では虐待がなくても解離性同一性障害になったり、明らかな外傷体験がなくても、PTSD様の症状に悩まされてる方もおられます。
それは何故なのか? 日本人の自我が脆弱で傷つきやすいからなのでしょうか?
ー
ここからは僕の勝手な推論ですが、
僕はその背景には「日本的な家族・母子関係」と
「日本人特有のコミュニケーションのあり方」が関係しているのでは?
と思います。
「日本的な家族・母子関係」というのは、「親を大切にする」という儒教的な精神や
「家柄や家系に縛られる」等の子供が”個人”としては中々自立・独立できない
風土がある様に感じます。
その為に、子供は(親や家の為に)自分の欲求を抑え、
ストレスが溜まってゆきます。
そして「親の気持ちや欲求」と「自分の気持ちや欲求」の境目が
わからなくなってゆき、心理的な母子分離が難しくなってゆきます。
一方「日本人特有のコミュニケーションのあり方」というのは、
所謂「以心伝心」、「言葉にしなくても相手の気持ちを汲み取る」、
要するに「言わなくても私の気持ちを察してよ!」という部分です。
(※これは「甘え」ではなく、僕は「優しさとか気遣い」だと思っています)
今は、この部分のコミュニケーション力が昔と比べて弱くなってるのかも
知れません。
何故なら現代は、相手の気持ちを察しなくてもゲームしたり、携帯やネット等で
「独りで困る」事は少なくなっているのではないでしょうか?
もしそうだとすれば、
子供の気持ちを察する能力が少しだけ弱い親とか、
自分の気持ちを”どう察してもらうか?”が苦手な子供が
増えているのかも知れません。
そうなると「お母さんを支えなきゃ!と甘えずに頑張って来たのに、
お母さんは、何故私の気持ちをわかってくれないの?!」と、
親を大切にしなきゃ→でも腹が立つ→親にそんな事を思う私はなんてダメな娘
なんだろう・・。」と葛藤→自責という流れで生き辛くなってる方も多いと思います。
そして親に対する”満たされない想い”をどんどん抑え続けて
一杯一杯になった時に色々な症状が襲って来るのかも知れません。
ー
では、どうすればいいのか?
方法としては、
「相手の気持ちを察する能力」=共感力を育てる事と、
「自分の気持ちを言葉で伝える事」を意識して行う事、
だと思います。
そして特に(以心伝心は過去のものと割り切って)「相手に伝えたい気持ちを
はっきり言葉で表現する」事は自分の決心次第で今すぐできる事だと思います。
(※勿論、親に察する能力があり、子供も察してもらおうと散々努力して来たのにも
かかわらず親自身もACで、自分の親に満たされなかった想いで一杯一杯になって、
子供の気持ちを察する余裕がなかったり、逆に自分の気持ちを子供に察してもらう事で
精一杯になってる場合にも”悲劇”は起きると思います)
それでも中々できなかったり、或いは思い切って伝えたのに受け止めてくれなかった
という方はお気軽にご相談下さい。
(※当ルームでは、ACから来る様々な症状や解離性同一性障害や
PTSD等のご相談も数多くお受けしております)
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