コラム/2015-02-11
症状や悩みを通してあなたが経験し身に付けてきた事
「私は育った環境のせいでアダルトチルドレンになり
大人になった今も人との人間関係で苦しんでいます」
「過食嘔吐がいつまでも止められず、毎日苦しいです」
「職場に行こうとすると不安で体が動かなくなり
今日も休んでしまい、自分を責める毎日です」
精神的な悩みや心因だとされる症状に襲われている人は自分を責めたり
(その”原因”を作った)相手を責めたりしながら無力感に襲われている人
も多いと思います。
「自分はなんて弱い人間なんだろう?」
「あんな親でさえなければ私は今頃違う人生を遅れていただろうに」・・・。
確かに、あなたの今の辛さは元々は親のせいだったかも知れないし、
”あいつら”のせいだったかも知れない。
或いは自分の性格や捉え方のせいだったのかも知れない。
勿論自責や他責が強すぎたり、症状の軽減が急を要する場合は、
その解消のお手伝いをするのが我々の仕事でもあります。
ただどんなに辛い体験であれ、惨めな体験であれ、それはあなた固有の体験であり
その中で達成して来た事や学んで来た事が必ずあると思います。
そして、その「他の誰もが経験した事のない経験」が特殊であればある程
「あなたしかできなかった経験」を通して「あなたしかできなかった達成や学び」
が大きなものとして与えられてると思います。
ー 例えば或る人は幼い頃両親から愛情をもらえなかったとします。
しかもそんな中、学校で苛められて誰も味方のいない孤独な子供時代を過ごした。
どうにか就職したが過食が止まらず、自分に自信がなく「死にたい」
という気持ちをずっと抱えながら無理して仕事を続けた。
職場でも上司からパワハラを受け、おまけに相談できる人もいず、
毎日針のむしろの様だ。
とうとう、電車に乗れなくなり会社を休んでしまった。
自分を責め「死にたい」気持ちが増々強まって来てる・・・。
これはあくまで例え話ですが、この人はとても辛い人生だったと思います。
こんな状況を経験して生きて来た人はごく少数だと思います。
僕自身も残念ながらそういう経験はしていませんし、
他のセラピストや医師の中でも稀ではないでしょうか?
何が言いたいかというと、
「そんな酷い経験は他の多くの人は経験していない。
だからその人固有の貴重な経験をしてきた」という事です。
だからこそ、僕達専門家がどう転んでも経験できない様な苦悩と達成と学びを
行って来たはずです。
そういう人達は言わば「アダルトチルドレン」や「過食」、「不安」、「希死念慮」の
スペシャリストな訳です。
例えて言うとサッカーのプロ選手にサッカーをやった事もなく
机上だけで勉強したコーチが「あのシュートはもっと落ち着いて蹴るべきだったよ」
等といったら怒られるでしょう(笑)
逆に教えてもらいたい事が山ほどあります。
「どんな練習したんですか?」
「どうやってその厳しい練習に耐えられたのですか?」
「どうしたらあんなハードなスポーツを90分続けられるのですか?」
「あんな激しい当たりの中で怪我をしない工夫は?」
「調子が悪いとバッシングされるのにどうやって耐えてるのですか?」・・・。
同じ様に、症状や悩みのスペシャリストの人に敬意をもって聞きたい事があります。
「そんな酷い家庭環境の中でどうやって生きて来たのですか?」
「過食を1回でも止めた事があるとすれば、どんな凄い意志の力を使ったのですか?」
「”死にたい”に襲われながらもどうやって学校や職場に通って来たのですか?」
「あなたの今迄の人生が、他の人が鍛える事ができない筋肉や体力を鍛える為の
トレーニングだったとしたらどんな筋肉や体力を身に付けて来ましたか?」
更に
「そのあなたが今迄苦しいトレーニングで身に付けて来た、
あなた固有の力を今のあなたの問題にどう使えるのでしょう?」
「そして、その力を使い続けたら、どんな未来が開けるのでしょう?」
・・・そんな事を想像してみるのもいいかも知れません。
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