コラム/2016-07-14
究極理想のカウンセリング~不登校の"事例"(?)
「究極」、「理想」のカウンセリング
とは一体どういったものなのか・・・?
それを考えさせられる事例が最近ありました。
ー 子供の不登校で悩まれたお母様が面談のご予約を入れて来られました。
面談まで日数があったので面談日の前までに、2~3回のメールのやり取りを
させて頂きましたが、1回目のメールにはまずお母様が
「カウンセリングなんて絶対に嫌だ!」と言っていた我が子を
説得なさった旨が書かれてありました。
2回目のメールには、お父様が単身赴任で、たまに帰って来ても、
虫の居所が悪いと怒鳴ったり、暴れられ、今回の件も
「私達夫婦の問題も関係しているのでは?」とお母様が仰ると、
「お前が悪いからだ!」と怒鳴られ、お母様は「もう夫とはやって行けない」
と大層苦悩なさっておられるとの事を書いて来られました。
加えて、「面談日までに何か準備するものは?」と問うていらっしゃいました
ので、以下のお願いをメールに書いて返信差し上げました。
ー
カウンセリングの来られるまでに
①お子さんの長所と謝りたい事、感謝してる事、をそれぞれ5つずつ
箇条書きにしてきて、当日持ってきて頂けませんでしょうか?
(但し、お子さんには内緒で)
②ご主人に対して
(1)(ご主人から)して頂いた事
(2)(ご主人に)して返した事
(3)(ご主人に)迷惑掛けた事
それぞれ5つずつ箇条書きにしてきて、
当日持ってきて頂けませんでしょうか?
(但し、ご主人には内緒で)
そして、面談の数日前にキャンセルのメールを頂きました。
お母様はお父様とじっくり話し合われたり、
お子さんも含めて親子でも時間を掛けてお話され
お子さんが学校に行き始めたという事でした。
解決志向ブリーフセラピー(SFA)には
「治療前変化」という概念があります。
これは、クライアントさんが予約を入れられてから面談にお越しになるまでに
「既に改善への変化が起きている」という考え方を前提にしているものです。
解決志向では「変化は常に起こっており、それは必然である」という前提
に立っていますが、
クライアントさんが散々悩んで予約を入れた(=行動を起こした)段階で
既に変化は起きている筈です。
でも、「そんな事ぐらいで悩みが改善してゆくのか?」
と思われるでしょうが、
解決志向では「小さな変化は大きな変化を生み出す」という前提
も有しています。
つまり、クライアントさんが譬え小さくても何らかの行動を起こせば、
大きな変化に繋がってゆく訳です。
ですから、初回面談時の冒頭に
「予約を入れられてから今日お越しになるまでに、
良い変化というのはどんな事がありましたか?ほんの少しでも・・・。」
とお聞きする事も多いです。
先の例では、(あくまでも僕の推測ですが)
まず、お母様が
「思い切って予約を入れた」
次に
「子供を説得した」
更に
「メールのやり取りで何かを気づかれ
お父様とお子さんを交えてじっくりと話された」
という様に、
次々と今迄に無い変化(=行動)を起こされて行かれたのだと思います。
別の方の例ですが、予約を入れられたクライアントさんが後日、キャンセルの電話を入れて来られました。
理由は「(今迄は他人に頼らなかったけど)思い切って友人に悩みを
打ち明けたら、受け止めてくれて楽になったから」との事でした。
つまり、小さな変化(予約を入れるという行動)を起こされて、
それが友人に悩みを打ち明けるといった変化(=行動)を引き起こし、
悩みが解決して行ったと考えられます。
ですから、僕の理想としては「カウンセリングを受けよう!と予約を入れる」
といった小さな変化が大きな変化に繋がり、面談に来ないで済む、
というカウンセリグ?です。
これは究極の理想形だと思いますが、商売にはなりません(笑)。
「理想だけでは飯は喰って行けない」と言われますが
「僕達カウンセラーがなるべく力を貸さないで解決する」
=
「クライアントさんが既に持っている力で解決して行かれる」
という形に近づける事ができればと思います。
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