コラム/2019-11-03
自分が嫌いな人へ~セルフトーク(自動思考)への対処
「あ~、今日も仕事でミスしてしまった・・・俺って何やってもダメだな。
こんな俺なんて誰も認めてくれないんだろうなあ。」
「また夫や子供に怒りをぶつけてしまった・・・
どうしても良い妻や良い母になれない。
こんな私なんてこの家には居なくていいんだろうなあ。」
ほぼ毎日の様に、自分を責める思考が勝手に出て来て
増々自分が嫌いになって日々鬱々とされている方もいらっしゃると思います。
そういった思考の事を認知(行動)療法等では「自動思考」と呼びます。
そんな思考を何とか止めようとして、「考えないでおこう」
とか
スマホやパソコン、TVや音楽等で紛らわそうとしても
まるでそれをあざ笑うかの様に、次から次へと湧いて出て来てしまう・・・。
なんせ「”自動”思考」ですから(笑)。
では、どうすれば良いのでしょうか?
勿論、出来事や思考→感情を書き出し、「認知の歪み」を見出して、
適合的な思考へ変えてゆく、等の認知(行動)療法等は有効だと思いますが、
時間も手間もかかりますし、独りで行うのは難しいかも知れません。
そこで、
自分独りで比較的簡単にできる方法をお書きしたいと思います。
<セルフトーク(否定的自動思考)への対処①>
①自動思考を待ち構える
→いつもは自動思考に勝手に支配される筈ですが
来そうなタイミング(帰りの電車の中、家に帰って
一人になった時、夜寝る前、朝起きた時、等)で
「来るかな、来るかな?」と待ち構えてみませんか?
②自動思考と対話し質問を投げかけてゆく
→人間の脳は質問に対して答える性質があります。
そして、その答えも自動的に返って来ます。
つまり、自動思考に対して自動思考で対抗する訳です。
但し、
否定的な自動思考は結構強い事が多いので、
適切なタイミングで適切な質問を”意識的に”
行う事が必要だと思います。
その対話や質問の方法を
(1)~(4)にまとめてみました。
(1)自動思考を一旦、肯定してゆく
→以下、自動思考とそれを肯定する例を対話形式で書いてみます。
(自動思考)
「今日も仕事でミスした。俺って本当にダメだ。」
(肯定)
「仕事でミスして、俺ってダメだって思ったんだよね」
(2)その思考によって生じた感情を質問し、共感してゆく
→以下、自動思考によって生じた感情を質問によって引き出し、
共感してゆく例を対話形式で書いてみます。
(生じた感情を質問する)
「そう考えて、どんな気持ちになった?」
(質問によって返ってきた自動思考)
「辛い、苦しい!」
(感情に共感する)
「辛かったね、苦しかったね。」
(3)本当はどうしたかったか?を質問し、その答えにも共感する
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「本当はどうしたかったの?」
(答え=自動思考)
「本当はミスなく仕事したかった」
(共感)
「ミスなくし事したかったのに、ミスしてしまったから辛かった、
苦しかったんだよね」
(4)同様に、他者に対する思考にも共感してゆく
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「こんな俺なんて誰も認めてくれないと思って、どんな気持ちになった?」
(答え=自動思考)
「淋しかった!」
(共感)
「淋しかったよね」
(5)本当はどうして欲しかったか?を質問し、その答えにも共感してゆく
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「本当はどうして欲しかったの?」
(答え=自動思考)
「本当は認めてもらいたかった」
''
(共感)
「認めてもらいたかったのに認めてもらえない、と思って淋しかったんだよね」
(6)本当はどうなりたかったか? を質問する
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「ミスを無くして、皆に認められて、本当はどうなりたかったの?」
(答え=自動思考)
「皆に”できる人”と思われる存在になりたかった」
(7)そうなれたらどんな気持ちになるか?を質問し、共感する
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「ミスを無くして、皆に認められて、”できる人”と思われる存在になれたら
どんな気持ちになれる?」
(答え=自動思考)
「・・・すごく、いい気持ち。安心・」
(共感)
「本当は、いい気持ちになりたかったんだね。安心したかったんだね。」
(8)その気持ちを得る為に今すぐできそうな小さな事を質問し、実行してみる
(※もし余裕があれば、明日から職場や家庭で無理なくできる小さな事も
併せて質問してみて実行されるのも良いと思います)
→以下、その例も対話形式で書いてみます。
(質問)
「いい気持ち、安心を得る為に今すぐに無理なくできる小さな事は何かな?」
(明日職場で無理なくできる小さな事は何かな?)
(答え=自動思考)
「時間かけてコーヒーを淹れて飲んで、お風呂にゆっくり浸かりたい・・・」
(明日、職場でメールの返信の誤字脱字にだけは注意してみよう)
''
(実行)''
「じゃあ、それをしてみようか?」
以上、自動思考との対話の例を書きましたが、
自動思考に対する質問や対話の形式をしっかりと
身に付けてゆく事が肝心だと思います。
それでも
慣れないうちは自動思考に翻弄されてしまうかも知れません。
そういった場合は、ノートの見開きの左側に
否定的な自動思考を書き、右側にそれに対する
共感や質問を書き出して行く、というのが有効になると思います。
それでも難しい場合は
カウンセリングを受けられる事もご検討下さい。
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