コラム/2020-12-11
どうすれば恐怖/不安を克服できるのか⑥
<前回からの続き>
今回と次回は、
「恐怖/不安を克服する為の4つのポイント」のうちの
④前頭前皮質(前頭前野)の活用
について詳しくお書きしたいと思います。
以前お書きした様に、
恐怖/不安等の強い感情(情動)やその反応は
記憶や情動に関与する主に扁桃体等の過興奮によるものと考えられます。
加えて、それらの強い感情をコントロールするはずの
前頭前野の働きが妨げられているから、コントロールできずに呑み込まれてゆく
訳です。
強い恐怖/不安に巻き込まれてしまった時には
それをコントロールできないという感覚があると思います。
それはつまり(大雑把に言うと)、
大脳新皮質、特に思考・意志を司る前頭前野(頭=顕在意識)が働かずに
感情・情動や記憶を司る大脳辺縁系(心=潜在意識・無意識)が
活発に働いてる状態、と言えると思います。
ですから、
「いかに前頭前野(=頭)を働かせて、大脳辺縁系(=心)に巻き込まれずに
距離を取り、心を客観視できるか?」
が重要になって来ると思われます。
但し、「怖くなくなってから恐怖/不安に立ち向かおう」
という方法は余りお勧めできません。
というのも最近の研究では、
(恐怖/不安の)「消去学習」は「青斑核から前頭前野へ伸びてる
ノルアドレナリン性ニューロンが前頭前野へノルアドレナリンを放出する
事で学習され、消去記憶となる」
という事がわかって来ました。
つまり、ノルアドレナリンが扁桃体に放出されれば「恐怖学習」がなされ
「恐怖記憶」となるが、
同じノルアドレナリンが前頭前夜に放出される事によって、
「消去学習」がなされ「消去記憶」(=怖くない)が生じる、
という事です。
ですから、ノルアドレナリンを抑えて”訓練”するのではなく、
ノルアドレナリンを抑えずに、放出先を前頭前野に持ってくればいい
とも言えるでしょう。
要は
「怖いまま恐怖に向かってゆき、その時には前頭前野を活性化させる」
という事が大切なのでは?と思います。
それでは次回は
④前頭前皮質(前頭前野)の活用
について具体的な方法をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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