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コラム/2021-02-10

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HSPと発達障害(ASD)の違い

HSP発達障害(特にASD=自閉スペクトラム症)とは
表面的な兆候や傾向が似ている様に見える部分もあり、
その鑑別は専門家でさえ誤ってしまう事があると思います。


エレイン・アーロン博士は、この両者ははっきりと違うもの
と位置付けています。

例えば博士は「ASD(自閉症スペクトラム)の知覚過敏は、
社会的な手掛かり(例えばコミュニケーションの)になる様な刺激
には反応しないという点がHSPのそれとは異なっている」と述べています。


今回は私なりの解釈で、その両者の違いを見てゆきたいと思います。

まず初めに、ASDの人の特徴についてですが、

1979年にイギリスの児童精神科医ローナ・ウィングは、
「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害等)」
を含む自閉症の人が持つ特徴として以下の「ウィングの3つ組」
を提唱しました。


①社会性の障害(質の違い):他者の存在への無関心、周囲の人とかかわる時に
 適切にふるまうことができず、相手と対等な関係を築いたり
 築いた関係を維持していくことが難しい。


HSPの人は、他者の存在を意識し過ぎる事はあっても無関心にはなれない。
 適切に振舞おうとする余りへりくだり過ぎたり、傷つく事を怖れての
 回避傾向や不安から関係を維持できない場合もあるが、
 それはHSP気質やASDとは別のアタッチメント(愛着)に問題があったり、
 「心の傷」がある場合に限っての事だと考えられます。

 

②コミュニケーションの障害(質の違い):相手が言っていることや
 感じていることを理解したり、気づくのが難しい。

 また自分が言いたいことや感じていることを相手にわかりやすく伝えたり、
 表現するのが難しい。

 表出(話すことや表情・仕草・声や抑揚などで表現する)と
 理解(聞くことや相手の表情や仕草・声や抑揚などをみる)が苦手で、
 相手の言葉を字義通りに受け取り、言葉の裏を読むのも苦手。


HSPの人は相手の言葉の意味や表情、仕草や声等のニュアンスを
 敏感に感じ取る。そしてその感じ取った刺激を深く処理して意味づけ
 してゆくので、表出まで時間がかかる事が多いと思われます。

 しかも相手が複数だったり、「心の傷」等による不安や恐怖を感じた場合は、
 刺激過多になって思考停止(頭が真っ白)になり、
 言語表出ができなくなる事もあると思います。

 その場面だけ見てとると「コミュニケーションの障害」があるのでは?
 と感じてしまう人もいると思われまが、
 ASDの人のそれとはメカニズムが違うと考えられます。


 
③想像力の障害(質の違い):自分が見たり予想していた以外の出来事や
 成り行きを想像したり納得することが難しい。

 自分の興味のあることや心地よいパターンの行動に強いこだわりがあり、
 想定外の行動を取ることに抵抗を示す。


HSPの人も予想外の事にパニックになる事もあったり、
 想定外の事態に抵抗が生じる事もあると思います。

 だとしても、それは単に「新奇」な事に対する扁桃体の過剰興奮
 (=情報過多・刺激過多による)によって一時的に混乱しているだけで、
 成り行きを想像したり納得できない訳ではないと思います。

 また自分の興味やこだわりについては「深い処理」の結果
 意味づけしたマイルールを持っている人が多いと思いますが、

 良心的で他者への気遣いを優先しがちなHSPの人は
 自分のこだわりを曲げても、過剰適応的に他者を優先する事の方が多い
 と思います。

精神科医の岡田尊司先生は、
「ASDは感覚統合の障害が根本的な障害ではないか?」(感覚過敏、感覚鈍麻)
という「感覚統合仮説」に基づいて述べておられます。


それによると、脳内の神経線維の繋がり具合から感覚処理の障害が起き、
「心の理論」に纏わるミラーニューロンがうまく働かない事、
注意の共有が起きにくい事、感覚の過敏や常同行動が生じる事も
説明できるそうです。

 
実際MRIを使った研究では
ASDの人の場合は「相手の心を理解しようとする部分(内側前頭前野)」
と「自身の考えや行動を評価する機能を司る部分(後部帯状回)」の
活動がほとんど連携してなかった事が判明したそうです。


もし、そうだとすればHSPは「感覚統合の問題」はなさそうですので、
同じ感覚過敏だとしてもASDのそれとは明らかに違うものだと考えられます。


※岡田先生は
 「但し、虐待やネグレクトによって起きる愛着障害にも
 ”感覚処理障害”が伴いやすい」とも書かれていますが、
 この場合は(HSPであるか否かに関わらず)ASDとの鑑別が難しく
 なりそうですが・・・。

私が思うに、同じ”感覚過敏”でもHSPの人はASDの人に比べて
ミラーニューロン等による共感力がとても強いので、
相手の表情や仕草、声のトーン等の違いにも敏感で、
相手の気持ちの変化にも非常に敏感である点、
(例:お母さんは悲しんでるんだ・・・私まで悲しくなっちゃう。)

そして相手の立場に立って考えるといった所謂「心の理論」を
司る脳領域がとても発達していると考えられる点、

更にその意味を深く考えてゆくといった脳内処理を行う点、
(例:「お祖母ちゃんが亡くなってもうすぐ1年経つけど、
    今でもお母さんは時々悲しそうな顔してる・・・
    よっぽどお祖母ちゃんの事が大好きだったんだな。
    そのお祖母ちゃんがいなくなっちゃったから、
    中々立ち直れないのも無理ないよなあ。
    私がお母さんを元気づけてあげなくちゃ!」)

等の相違点があると感じます。

(勿論個人差があると思いますので、
 あくまで私の感覚で比較している点をご了承下さい) 

以上、ASD(自閉スペクトラム症)とHSPは全く別の気質だと考えられます。


※お医者さんの多くが参考にする(発達障害等の)診断基準である
 「DSMー5」というものがありますが、
 それを取り上げると冗長になりますので、今回は割愛します。

次回は「HSS型HSP」と「発達障害(ADHD)」の違いについて
お書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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