コラム/2021-06-02
境界性パーソナリティー障害について
<前回からの続き>
今回からは「境界性パーソナリティー障害」(=BPD、ボーダー)
についてお書きしたいと思います。
私の考えを申しますと「境界性パーソナリティー障害」の人は
「O」「オキシトシンシステム」(=愛着・愛情・自他信頼)
と
「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)
と
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)
と
「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬)
の4つのシステムがうまく機能していない又は脆弱であったり、
或いは偏ったパターンが出来上がってしまっているのでは?と考えます。
ここで、診断基準であるDSM-5に沿ってこの4つのシステムを当てはめて
私なりの見解をお書きしたいと思います。
①不安定な対人関係,自己像,感情(すなわち,感情の調節不全),
および顕著な衝動性の持続的なパターン。
この持続的パターンは以下のうちの5つ以上により示される。
(1)見捨てられることを避けるため必死で努力する
(=見捨てられ不安が強い)
<私見>
「O」(=愛着・愛情)を強く求めながらも「O」システムが脆弱である
加えて「N」システム(=不安・恐怖)と
「D」システム(=快の刺激・喜び等の報酬、) の働きが
「見捨てられ不安」→「愛される事(=報酬)」
というパターンに固定されている
(2)不安定で激しい人間関係をもち,相手の理想化と
低評価(脱価値化=こき下ろし)との間を揺れ動く
<私見>
「O」システム(=愛着・愛情)を強く求めながらも「O」が脆弱である
+「D」システム(=快の刺激・喜び等の報酬、)による「理想化」
→相手が理想に近づくと
「D」から「S」システム(=安心・安定・幸せ・満足)が優勢になり
”刺激”が減少する
→刺激不足を補う為に「N」システム(=不安・恐怖・怒り)を起動し
相手をこきおろす
→相手の操作・支配を報酬とする「D」システム起動
というパターンが繰り返される
(3)不安定な自己像または自己感覚
<私見>
「O」(=愛着・愛情)が脆弱な為、基本的信頼感(自他への)が希薄であり、
自我も未発達
(4)自らに害を及ぼしうる2領域以上での衝動性
(例,安全ではない性行為,過食,向こう見ずな運転)
<私見>
「S」(安定・安心)より「D」(刺激)が優勢
そして「D」の”報酬”のパターンが固定されている
(5)反復的な自殺行動,自殺演技,もしくは自殺の脅しまたは自傷行為
<私見>
「N」による「不安・絶望・怒り」
→「苦しみからの解放」や「相手の操作・支配」を”報酬”とする
「D」が起動されるパターンが固定されている
(6)気分の急激な変化(通常は数時間しか続かず数日以上続くことはまれ)
<私見>
「S」(安心・安定)よりも「N」(不安・怒り)や
「D」(快の刺激・報酬)が優勢
(7)持続的な空虚感
<私見>
「O」(愛着・愛情・自他信頼)の脆弱性
(8)不適切な強い怒りまたは怒りのコントロールに関する問題
<私見>
「S」(安心・安定)よりも「N」(不安・怒り)が優勢
(9)ストレスにより引き起こされる一時的な妄想性思考
または重度の解離症状
<私見>
特に「解離」については、本来は「安心・安定」を求める傾向があるのに
「S」(安心・安定)が脆弱な為に、
強い「N」(不安・怒り)に完全に乗っ取られた状態
※例:ジェットコースターに乗った場合、
元々「S」(安心・安定)よりも「N」(恐怖)を求める傾向が強い人や
「S」も「N」もどちらも強い人は大丈夫だが、
「安心・安定」を求める傾向が強いのに、
それをもたらす「S」が脆弱だと失神(一種の解離)してしまう
のと同じなのかも知れません
これらの私の推測が当たっていたとすれば、
「境界性パーソナリティー障害」の人の特徴として
以下の様にまとめる事ができると思います。
①「O」「オキシトシンシステム」(=愛着・愛情・自他信頼)が脆弱である
②「S」「セロトニンシステム」(=安心・安定・幸せ・満足)が
優位には働かない傾向がある(または脆弱である)
③「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=不安・恐怖・怒り・行動化)
と
「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・喜び等の報酬、)が優位に働き、
しかもそのパターンが固定している
次回は、「境界性パーソナリティー障害」と思しき架空のA子さんの例
をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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