コラム/2021-11-05
苦しみ・悩みと感覚過敏
<前回からの続き>
前々回、
意識(高性能センサー)の向け先(ベクトル)の種類には
①対象:
「自分」、「(特定の)相手」、「それ以外」(世の中・事物・事象等)
②時制:
「過去」、「現在」、「未来」
③否定/肯定:
「ネガティブな面」、「ポジティブな面」
といった18種類がある、
そしてメンタルの苦しみは、
高性能センサーのベクトルが苦しみを生み出す方向に向いている事
と
そのベクトルが固定化されてしまっている事
に起因するのではないか?
そして、ベクトルが固定化されるのは「感覚過敏の特性」が影響してる
のではないか?
といった私見をお書きしました。
だとすれば何故「感覚過敏」がベクトルの固定化をもたらすのでしょうか?
今回はその理由を私なりの推論でお書きしたいと思います。
◎感覚過敏を有しているが為に、その高性能センサーが
細部にまで至る膨大な情報を拾ってしまう
(例:いつもと違う相手や事象等の微妙な変化、微細な刺激)
◎ワーキングメモリーの処理が追い付かず、「パニック」「頭が真っ白」、
或いは「注意散漫」な状態、つまり「不安定な状態」に陥る
※中には元々ワーキングメモリーがうまく働かないといった
個性を持ってる為に混乱に陥る方もいらっしゃると思います
◎安定させる為にはベクトルをどこかに強固に固定する必要がある
例えば
そのベクトルの固定先が「今」の「自分」の興味がある事(ポジティブ)
だとすれば、それ以外の情報は遮断されてしまうでしょう。
例えば「勉強しなさい」と言われても「ゲームに熱中する」等。
また例えば、
安定させる為に「これらの刺激・情報は私が(今の私)”ダメ人間だ”
(ネガティブな面)という事を裏付けている」という意味づけをした場合は、
全てその結論に紐づけしてゆけば混乱(=不安定)せずに
膨大な情報を処理する事ができるのではないでしょうか?
ところが、
「そんな事ないよ、君はダメじゃないよ」等といった新たな(それに反する)
刺激・情報をもたらされると、また不安定な混乱状態に引き戻されるので、
「慰めなんてやめてよ!私はダメ人間なんだもん」と
安定状態に戻ろうとするのかも知れません。
※1「こだわり」「ルーティーン」「常同行動」「中核信念・スキーマ」
等もその様な意味があるのかも知れません
※2ベクトルが18種類の方向性のうちのどこへ固定化されるかは
心の傷になる出来事や、成育環境で繰り返し方向性が示される
(例えば親にずっと自分を否定された等)と、容易に決定されると
思いますが、
そうではなくても何かちょっとしたきっかけでも「これ幸い」と
決定されるのかも知れません。
だって不安定な混乱状態から一刻も早く安定したい
訳ですから・・・。
(例:高性能センサーで「私の事、みんな嫌ってるのでは?」
とベクトルがそこに固定化され、「じゃあ何で嫌うのか?」
の意味づけで混乱した時に、
ふと鏡で顔を見て「あ!きっと私の一重の眼が原因だ!」
と固定化すれば安定する訳です)
※3私見ですが、所謂「発達障害」と言われる
「ASD」(自閉スペクトラム症)とある種の「ADHD」は、
「感覚過敏」→「情報過多」→「混乱=不安定」→「安定を求める」
といった部分は同じで、安定のさせ方、つまりベクトルの固定先が違う
のでは?と感じています。
だとすれば、
根本の特性は同じでも変更可能なベクトルの固定先だけが違う訳ですから、
DSМ等の診断基準に照らして、表面に出ている症状だけで診断
してしまうと「ASD+ADHDのМIX」という事になりがち
なのかも知れません。
(発達障害についてはまた機会を見てお書きしたいと思います)
※4「HSP」と「HSS」の関係も「※3」と同様な理由があるのでは?
と考えています
それでは、どうすればその意識のベクトルの向け先を
悩みや苦しみから解放される方向へ持って行き、
そこへ固定できるのでしょうか?
そのヒントを個々のケース毎に次回からお書きしてゆきたいと思います。
<次回へ続く>
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