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2021/2/26 (金)

HSPの人が陥り易い障害③依存症・過食症

<前回からの続き>

「エンパス」(HSPとほぼ同義と思われる共感力が非常に高い人達)
という概念を提唱しているアメリカの精神科医ジュディス・オルロフ先生は、

「エンパスは刺激が強すぎると、依存の対象にのめりこむことによって
 感覚を麻痺させ、何とか知覚のオーバーロード(負荷のかかり過ぎ)
 をやり過ごそうとする」

「食べ過ぎて余分な肉をつけて体重を増やすのは、
 他者のストレスやネガティブなエネルギーから自分を守るため」

と仰っています。


私も(きちんと統計調査を行った訳ではありませんが)
HSPの人は非HSPの人に比べても、所謂”依存症”に陥る確率が高いのでは?
と想像しています。


思うに、そういった場合の”依存”のメカニズムとしては
以下のパターンがあるのでは?と想像しています。

<HSPの人の依存のメカニズム(仮説)>


HSPの気質「S」(=些細な刺激に対する敏感さ)によって、
 相手や物事のいつもと異なる小さな違いに気づく


HSPの気質「D」(=物事を深く捉えて時間を掛けて
 慎重にその意味や答えを見出して行こうとする)によって深い処理を行う

→ここでもし、「愛着の問題」や「心の傷」があった場合は、
 その時に参照するフォルダーやファイルとその中の記憶は
 ネガティブなものに偏ると考えられる


その結果「E」(=強い感情反応と共感)によって生じる強い感情は
 例えば「不安」「恐怖」「自責」「怒り」等のネガティブなものになる


そしてそれらのネガティブな感情に伴って、
 扁桃体でのノルアドレナリン(不安・恐怖等に関係する神経伝達物質)や
 アドレナリン(怒り等に関する神経伝達物質 ※自責=自分に向けた怒り)
 の分泌が高まって「O」刺激過多で神経が高ぶる状態になる


その様な事が繰り返されると、視床下部のストレス中枢が興奮し、
 副腎皮質からストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌され、
 脳幹にあるセロトニン神経が抑制されて、脳内のセロトニン分泌が低下する


本来ノルアドレナリンやアドレナリン等を制御し、「心の安定」を司る
 セロトニンが減少する事でその制御が効かなくなり、
 結果としてノルアドレナリンやアドレナリン等の分泌過多になり
 心が安定せず、不安や恐怖・怒り等を感じる事が増え
 しかもHSPの気質からそれらの感情を抑圧する事で解消できなくなる


アドレナリンはノルアドレナリンから合成され、ノルアドレナリンは
 ドーパミンから合成されるので、それらの材料であるドーパミンも減少する


こうしてセロトニン不足、ドーパミン不足に陥り、
 ホメオスタシス(恒常性)によって、セロトニンやドーパミンを
 増やす事が(無意識下での)最優先課題となる

(※特に「HSS型のHSP」の人は刺激=ドーパミンを求める傾向は元々強い)


そしてまずドーパミン(快の刺激)を求めた行動としてギャンブルや買い物、
 恋愛・SEXゲーム・ネット食べ物・酒薬物等に走る。

 そしてそれらを得る”過程”でドーパミンが分泌され、
 それらを得た”結果”として満足感=セロトニンが分泌される


➉ところが(特にHSPの人は)買い物やギャンブル、過食等をしてしまった
 自分を責めたりする事でノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、
 ストレスホルモンのコルチゾールが増え
 結果としてドーパミンやセロトニンは再び減少してしまう

例:「あれも欲しい、これも欲しい!と沢山買い物する」(ドーパミンが分泌)

 →「手に入れて満足感を感じる」(セロトニンが分泌)

 →「あ~またやっちゃった・・・と罪悪感や不安を感じる」

 →ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、セロトニンやドーパミン
  が不足してしまう

 ※HSPの人は激しい恋に落ち易いと言われていますが、
  恋愛依存の場合は、彼とうまく行ってるとしてもすぐに不安
  が襲ってくる(特に「愛着の問題」や「心の傷」がある場合)と、
  同様にドーパミンやセロトニン不足になってしまう

   
その結果、更にドーパミンやセロトニンを求める行動が増えてしまい、
 依存の悪循環に陥る

 

以上、私なりの仮説で(HSPの人が)依存に陥るメカニズム
をお書きしましたが、

次回はこの仮説を基に「HSPの人が依存症・過食を克服する為のヒント」
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/24 (水)

HSPの人が不安障害に対処するヒント

<前回からの続き>

前回お書きした様な不安症状が、HSPの人の気質と関係している
と思われる場合は、それに対処してゆく必要があります。


以下にそのヒントをお書きしたいと思います。

※以前のコラムでご紹介した方法については
 詳細は省略させて頂きますので、ご了承下さい。

<HSPの人の不安障害に対処するヒント>


①悪循環パターンを断ち切る


不安障害は、

A「刺激」

B「過去の記憶が詰まったファイルを参照してゆく」

C「それについて深く意味づけをしてゆき結論に達する」

D「その結論が刺激となって扁桃体が興奮する」

E「その興奮に対して参照したファイル特有の感情(このファイルの場合は
 不安や恐怖)をラベリングしてゆく」

F「その刺激過多による興奮を鎮める為に回避行動を行う(前回の例では、
ミスをしない様に何度もチェックしたり緊張しない様にしたり、
会議や電車に乗る事を避けたり、誰かに危害を加えていないか?を何度も
確認したり、検査を受けまくったり、彼に何通もLINEを送りつ続けたり)」

G「回避行動による一瞬の安心を求める傾向が強くなり、
  回避行動がエスカレートしてゆき(=馴化)回避行動への依存が形成
  されてゆく」

H「回避行動が増えれば増える程、不安・恐怖が強くなる」

I「そして安心やワクワクを感じる事ができる時間がどんどん削られてゆき、
  刺激過多や強い感情反応が制御不能となってしまう」

というパターンが存在すると思われます。


もしそうだとすれば、「A」~「I」いずれかのパターンを変える事
が有効だと思います。

以下「A」~「I」パターンの変え方について簡単にお書きしたいと思います。

(詳しくは以前のコラムをお読み頂くか、カウンセリングを受けられる事 も
 ご検討されてみても良いかと思います)


A「刺激」を変える:会議や電車を避けたり、会社を辞めたり彼と別れたり・・・
 或いは予期不安が先行刺激となる場合は、考えない状況を作ってゆく、等。

 但しこれは回避行動にあたり、根本的な解決には繋がりにくいと思います。


B「参照するファイルを変える」:(以前のコラムにお書きしています)


C「意味づけや結論を変える」:(これもお書きしていると思います)


E「感情のラベリングを変える」:例えば「会議でうまく喋れて皆に賞賛
 されたとすればどんな気持ちになるだろう・・・そんな場面って
 今までにはどんな場面があっただろうか?」等と自問し、

 「皆の注目を浴びて賞賛され、喜びで満ちた場面のファイル」
 を作ってゆきます。

 そして会議の事を考えて扁桃体が興奮する度にその新しいファイルを参照し、
「あ~皆に賞賛されたら喜びで天に上るくらい興奮するよなあ。
 この興奮は天に上る喜びを期待してのワクワク感だ!」
 と感情のラベリングを変える事ができるかも知れません。


F「回避行動をやめてゆく」:(これも以前のコラムにお書きしています)


I「刺激を遮断し安心を感じられる時間と
 自分の望む刺激を得られるワクワクする時間を増やしてゆく」
(その為には以前お書きした要領で時間を構造化し、不安を感じる時間と
 安心・ワクワクする時間をスケジュールに組み込んでゆく)


 ※一般的な抗不安薬はセロトニンを増やす作用がありますが、
  不安に効果があるタンドスピロン等は逆にセロトニンを減らす作用
  があります。

  何故心を安定させる筈のセロトニンを減らすと不安が減るのか?

  私見ですが、セロトニンを減らす事でドーパミンが増え、
  それによって不安が減る、即ち不安に対してドーパミンを増やす事
  が必要な場合もある(社交不安等はそう考えられています)と言える
  と思います。
 (そして恐らく、うつに対しても・・・)

  ノルアドレナリンの再取り込みを防いで、神経回路上の流量を増やす薬も
  ドーパミンがノルアドレナリンの材料になってる訳ですから、
  ドーパミンをきっちり増やす必要があるでしょう。

  ですから、やたらめったらセロトニンやノルアドレナリンを増やせばいい
  訳じゃあない(笑)、と思います。要はバランスが大事だと思います。

  そういった意味でも、特にHSPの人はセロトニンとドーパミンを増やす
  時間をきっちりと確保し、しかもそれらのバランスを取る必要がある
  と思います。

②愛着の修復・再形成を行う

愛着が形成されていない為に不安を感じやすいHSPの人は多いと思います。

その場合は、特定の人(恋人や配偶者、親友、師、医師・カウンセラー等との
「1対1」の愛着形成から始めてゆくのが良いと思います。

※詳しくは今後「愛着障害」の項に書いてゆくつもりです。

次回は、HSPの人が陥り易い障害の③として、
依存症・過食症についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/22 (月)

HSPの人が陥り易い障害②不安障害

<前回からの続き>

「この前も仕事でミスをして部長に怒られた・・・
 今度またミスをしたら益々部長は私の事を”使えない奴”と思うだろうな・・・

 そしてもし会社をクビになったら・・・
 そうなったらもう生きてゆけない!」(全般性不安障害)


「明日の朝礼はまた私の番だ。
 この前は顔が真っ赤になって足ががくがく震えて声も出なくなって
 みんな私の事を白い目で見てたよな・・・

 明日もそうなっちゃったらどうしよう・・・もう会社行けない!」
 (社交不安障害)


「電車に乗って前みたいに心臓がバクバクなって
 呼吸が苦しくなって倒れたらどうしよう・・・もう電車乗れない!」
(パニック障害)


「知らない間に誰かに危害を加えちゃったかも知れない・・・
 もし私がそんな事してたとしたら、もう生きてゆけない」
(強迫性障害)


「頭痛がする・・・脳の病気じゃないのかなあ?
 病院で調べても”異常なし”と言われたけど、
 検査でもわからない様な不治の病だったらどうしよう?・・・」
(心気症)

他にも、


「彼にラインしたのに返って来ない・・・
 今頃別の女性と会ってるのかも?・・・
 私の事なんて、もう愛してくれてないんじゃないのかなあ・・・」

等々、

不安を感じやすく、それが日常生活を妨げるレベルにまで達したら
「不安障害」との診断が下されると思います。

HSPの人は刺激に敏感でそれに集中し、深く処理してゆき(考えてゆき)
豊かな想像力を持っているという特性があります。


ですから、
非HSPの人に比べて不安を生じさせる些細なサインに敏感になり、
不安に集中し不安の事を常に考え続け、豊かな想像力を駆使して
「こうなったらどうしよう?・・・」と最悪の想像をし、

強い恐怖を感じ続けた結果、刺激過多になって脳が休まる暇が無くなり、
扁桃体の興奮を鎮めるセロトニンやGABAが不足し、
より不安を感じやすくなる、といった悪循環が生じ易いと思います。


但し、
本来HSPの人は不安等のネガティブな刺激だけでなく、
「楽しみ」「ワクワク」「嬉しい」「感謝」「共感」
等のポジティブな刺激にも同様に敏感な筈です。


ところが、
その敏感さがネガティブな刺激(この場合は不安を喚起させるもの)だけに
集中していると「不安障害」と言われる状態に陥り易いと思います。


そしてそこには多くの場合、親との「愛着の問題」「心の傷」
が隠れている場合が多いと思われます。


特に親との間で「愛着形成」がなされていなかった場合
(例えば親の無関心、本人が欲していた対応を親がしてくれなかった
 と感じた場合、親自身が病気であったり、不安が強かった場合等)
は、

親が安全・安心の基地としての機能を果たせていなかった為に、
敏感さのセンサーは不安に固定されてしまうであろうと考えられます。

※この場合の「不安障害」は「愛着障害」から来る二次障害と
 言えると思います。

それでは次回は、HSPの人が不安障害に対処するヒント
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/19 (金)

HSPの人が抑うつを防ぐヒント

<前回からの続き>

抑うつ症状が、HSPの気質が関係していると思われる場合は、
それを防いでゆく必要があります。


以下にそのヒントをお書きしたいと思います。

※以前のコラムでご紹介した方法については
 詳細は省略させて頂きますので、ご了承下さい。

<HSPの人が抑うつを防ぐヒント>


①時間の構造化を図る(スケジュールをきちんと立てる)


→例:「〇時から△時まで仕事(授業)に集中して、
    休憩時間の10分間トイレに籠って好きな音楽を聴く」

   「〇時には仕事を終えて、△時からは家で好きな映画を観る」

   「休日は仕事から離れて、ショッピング(趣味)を楽しむ」
  等々。

=秘訣は、「刺激を遮断する時間」「ワクワクする刺激を得る時間」
 を確保できる様なスケジュールを組むことです。

②自分のフォルダーやファイルの整理


→特に「愛着の問題」「心の傷」があるHSPの人は
 (以前もお書きした様に)「自分」「相手」「世の中」に対する記憶
 やそこから導き出されたネガティブな結論が保存されたフォルダー
 やファイルを作ってしまっている事が多いと思います。

 (例「相手の感情」フォルダーの中の「相手の怒りファイル」
   「自分が相手を怒らせた記憶」が沢山入ってしまっている、等)

 そしてそのファイルを開き、そこに入っている記憶を参照し続けるから
 導き出される感情(例えば罪悪感や自己否定等)もいつも決まっていて
 ネガティブ感情から抜け出せなくなって
 結果的に落ち込みや抑うつに繋がってゆくと考えられます。


=だとすれば、フォルダーやファイルとそこに入ってる記憶や結論を
 書き出してみて、ポジティブなファイル(少なくともネガティブでないもの)
 や記憶・結論も書き加えてゆき、そちら側も参照できる様にする
 必要があると思います。

 (「××に違いない!」→「××かもしれないけど〇〇かもしれない」と
  いう風に、黒に白も加えてグレーにもってゆければ辛さは半減する筈です)

それでは次回は
HSPの人が陥り易い(陥る可能性のある)不安障害について
お書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/17 (水)

HSPの人が陥り易い障害①抑うつ

<前回からの続き>

今回からは、
HSPの人が陥り易い(陥る可能性のある)障害について
お書きしてゆきたいと思います。

「お母さんが期待してるから、テストでもっと良い点数を取らなきゃ!」
と夜遅くまで頑張ったり、


「入社してきた後輩の良い手本となる様に、完璧に仕事をこなさなきゃ!」
と家に帰ってからも仕事の準備をしたり・・・。


HSPの人は「良心的」「誠実」「真面目」であったり、
「貢献感」を大切にする人が多いと思います。

その為に頑張り過ぎて、自分の時間まで犠牲にしてしまう事もあるでしょう。


或いは、

「友達のAちゃんは、今日なんだかよそよそしかったなあ~。
 私が昨日言った事に気を悪くしたんじゃないかしら・・・

 だとすれば、嫌われちゃったのかな・・・
 明日どう接したらいいんだろう?・・・」

HSPの人は、些細な事やいつもとの微妙な違いにも気が付く「感度の鋭さ」
を持っていますので、相手の微妙な変化も読み取ります。

そしてその意味を深く考えてゆきますので、
家に帰っても、或いは床に就いてもその深い処理が続くと疲弊し、
自立神経が乱れて睡眠不足や頭痛・腰痛・胃腸の不具合等の身体症状
まで出てきたりする事もあるでしょう。

そしてもしその処理の結果で得た結論がネガティブなものであったなら
落ち込んでゆくでしょう。


そしてその様な事が続くと
刺激を遮断し、心を安定させるセロトニンやGABAを補う時間が削られたり、

(特にHSS型の人は)興味がある事への刺激を得る為の時間も削られ、
ワクワク感を感じられるドーパミンを補う時間も無くなり、
結果的に元気のない状態=抑うつ状態に陥る事もあると思います。


※HSPの人に障害が出現し、医師の診断によって薬が処方される場合、
 刺激に敏感な為、少量の薬でも効きすぎてしまう事が考えられます。
 その辺りを注意する事が必要だと思います。

 また、抗うつ薬の投与でセロトニンやノルアドレナリンが補完される
 事によって責任感から益々仕事や学業にのめりこみ、

 本来であれば刺激を遮断し、まったりとする時間や趣味に没頭する時間
 を確保する事によって得られるそれらが人為的に得られてしまうので、
 その時間を確保できずに刺激過多から更に症状が強まる事も考えられます。

 或いは、
 HSS型HSPの人がADHDや双極性障害と間違われて薬を処方された場合も
 それらは中枢神経に作用する薬である事も多いでしょうから、

 セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリン等の神経伝達物質の
 バランスが崩れ、HSPの人にとって一番大切な「適切な刺激量」が
 保たれなくなる恐れもあると思います。

 ですから、猶の事HSPの正しい理解と正しい診断が必要であると思います。 

次回は、

HSPの人か抑うつを防ぐヒントをお書きしたいと思います。



<次回へ続く>



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2021/2/15 (月)

HSPがよく間違えられる障害・疾患

今回は''HSPの人が間違えられやすい''(間違えられる可能性のある)
障害・疾患についてお書きしたいと思います。

まず、
前回と前々回にお書きした様に

HSPの人は「ASD(自閉スペクトラム症)」と、

HSS型HSPの人は「AD(H)D」と間違えられる事もあると思います。


また
HSS型のHSPの人は、「刺激を遮断する」というHSPの部分

「刺激を求める」というHSSの部分といった両極端な気質を併せ持ってるが故に
「双極性障害」と診断される例もある様です。


或いは、
人から見られると動きがぎこちなくなってしまう為に
「発達性協調運動症」と間違えられる場合もあるかも知れません。


また或いは、
「愛着の問題」「心の傷」を負ったHSPの人は
人との関係において回避的になったり、

ストレスによって神経の高ぶりがMAXになり身近な人に怒りを爆発
させてしまったりすると、
「パーソナリティー障害」と間違えられる事もあるでしょう。


更には、
「愛着の問題」「心の傷」を負ったHSPの人がネガティブな事柄に対して
持ち前の想像力を駆使して深い処理を行い続けた結果、
「妄想性障害」と間違えられる事もあるかも知れません。


但し、
HSPとこれらの病態を鑑別する為には、
心理テストに加えて、家族歴・成育歴・病歴等を詳しく聞き取る必要がある
と思います。


ですので、
もし鑑別が必要であれば、その辺りをきっちり聞いてもらえるお医者さん
を探されるのがベストだと思います。


そして(これは障害には当てはまりませんが)、
親御さんや先生・上司・周囲の方が本人のHSPの気質を理解されていない場合に

「暗い」とか「引っ込み思案」とか「あかんたれ」とか「弱虫」
とか「気にしい」「怖がり」等といった否定的なレッテルを貼って、

本人自身もそのレッテルを受け入れてしまったとすれば、
次回からお書きする様々な「二次障害」に繋がりかねませんので
くれぐれも周囲の方やご本人はHSPというご自分の気質に理解・共感
して頂きたいと思います。



それでは、次回からはHSPの人が陥り易い(陥る可能性のある)
障害についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/13 (土)

HSS型HSPと発達障害(ADHD)の違い

<前回からの続き>

今回は「HSS型HSP」と「発達障害(AD(H)D)」の違い
についてお書きしたいと思います。

「HSS型HSP」は、心理テスト等で使われる「感覚プロファイル(SP)」
で言う所の「感覚探求」(=HSS?)と「感覚過敏」(=HSP?)
の傾向が強い人の事を指すと考えられます。

ADHDの場合も「感覚探求」「新奇性探求」とつながりが深いと
考えられる為、混同されるケースもあると思います。

ここで、お医者さんの多くが参考にする(発達障害等の)診断基準である
「DSMー5」「ADHD」の項を見てみましょう。

<DSM-5におけるADHDの診断基準>


以下の9つの不注意症候(「A1」~「A9」)および
9つの多動性・衝動性症候(「H1」~「H9])を含む。

この基準による診断には,少なくとも1グループにおける6つ以上の症候が
以下(「①」~「⑤」)の条件を満たす必要がある:


①しばしば6カ月以上認められる

②患児の発達水準から予測されるよりも著しい

③少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる

④12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる

⑤家庭,学校,または職場での機能を妨げている

不注意症状グループ:


A1.細部に注意を払わない,または学業課題やその他の活動を行う際に
 ケアレスミスをする

A2.学校での課題または遊びの最中に注意を維持することが困難である

A3.直接話しかけられても聴いていないように見える

A4.指示に従わず,課題を最後までやり遂げない

A5.課題や活動を順序立てることが困難である

A6.持続的な精神的努力の維持を要する課題に取り組むことを避ける,
  嫌う,または嫌々行う

A7.しばしば学校の課題または活動に必要な物を失くす

A8.容易に注意をそらされる

A9.日常生活でもの忘れが多い 

多動性・衝動性症状グループ:


H1.手足をそわそわと動かしたり,身をよじったりすることが多い

H2.教室内またはその他の場所で席を離れることが多い

H3.不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりすることがよくある

H4.静かに遊ぶことが困難である

H5.じっとしていることができず
  エンジンで動かされているような行動を示すことが多い

H6.過度のおしゃべりが多い

H7.質問が終わる前に衝動的に答えを口走ることが多い

H8.順番を待てないことが多い

H9.他者の行為を遮ったり,邪魔をしたりすることが多い




それでは、この「AD(H)D」の診断基準を基に
「HSS型HSP」を当てはめてみます。(勿論個人差があると思いますので、
 あくまで私の感覚で行っている点をご了承下さい)

③少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる

⑤家庭,学校,または職場での機能を妨げている


「不注意」にしろ「多動性・衝動性」にしろHSS型HSPの人は、

 学校や職場では周りの目を気にして、相手や周りの迷惑を考えて
 不注意に対して準備したり、多動・衝動性を我慢したりする傾向が強い
 と考えられます。

 ですから家庭ではその傾向が強く出たとしても、公的な場では生じにくい
 と考えられますし、

 まして(迷惑を掛ける事にも敏感であると考えられますので)、
 機能を妨げる程の迷惑を掛けても平気、といった事態は考えにくい
 と思います。

(もしそうなら、この時点でADHDから除外されると言えます)


次に「A」グループの「A5」{A6」「A8」「A9」以外の5項目と

「H」グループ「H1」「H4」「H6」以外の6項目も、

やはり職場や学校等の公的な場では、HSSの「感覚探求」よりも
HSPの部分である「そんな事をしたら相手がどう思うか?」

とか
「相手の迷惑にならないか?」とか「ルールに違反してるのでは?」
といった部分に敏感である為、該当しにくいと思います。


この私の感覚が正しければ、HSS型HSPの人はHSPの気質があるが故に、
AD(H)Dの診断基準は満たさない、と考えられます。

※どうしてもはっきりさせたい方は
 発達障害に詳しい医師の元で、(除外)診断を受けて下さい。



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2021/2/10 (水)

HSPと発達障害(ASD)の違い

HSP発達障害(特にASD=自閉スペクトラム症)とは
表面的な兆候や傾向が似ている様に見える部分もあり、
その鑑別は専門家でさえ誤ってしまう事があると思います。


エレイン・アーロン博士は、この両者ははっきりと違うもの
と位置付けています。

例えば博士は「ASD(自閉症スペクトラム)の知覚過敏は、
社会的な手掛かり(例えばコミュニケーションの)になる様な刺激
には反応しないという点がHSPのそれとは異なっている」と述べています。


今回は私なりの解釈で、その両者の違いを見てゆきたいと思います。

まず初めに、ASDの人の特徴についてですが、

1979年にイギリスの児童精神科医ローナ・ウィングは、
「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害等)」
を含む自閉症の人が持つ特徴として以下の「ウィングの3つ組」
を提唱しました。


①社会性の障害(質の違い):他者の存在への無関心、周囲の人とかかわる時に
 適切にふるまうことができず、相手と対等な関係を築いたり
 築いた関係を維持していくことが難しい。


HSPの人は、他者の存在を意識し過ぎる事はあっても無関心にはなれない。
 適切に振舞おうとする余りへりくだり過ぎたり、傷つく事を怖れての
 回避傾向や不安から関係を維持できない場合もあるが、
 それはHSP気質やASDとは別のアタッチメント(愛着)に問題があったり、
 「心の傷」がある場合に限っての事だと考えられます。

 

②コミュニケーションの障害(質の違い):相手が言っていることや
 感じていることを理解したり、気づくのが難しい。

 また自分が言いたいことや感じていることを相手にわかりやすく伝えたり、
 表現するのが難しい。

 表出(話すことや表情・仕草・声や抑揚などで表現する)と
 理解(聞くことや相手の表情や仕草・声や抑揚などをみる)が苦手で、
 相手の言葉を字義通りに受け取り、言葉の裏を読むのも苦手。


HSPの人は相手の言葉の意味や表情、仕草や声等のニュアンスを
 敏感に感じ取る。そしてその感じ取った刺激を深く処理して意味づけ
 してゆくので、表出まで時間がかかる事が多いと思われます。

 しかも相手が複数だったり、「心の傷」等による不安や恐怖を感じた場合は、
 刺激過多になって思考停止(頭が真っ白)になり、
 言語表出ができなくなる事もあると思います。

 その場面だけ見てとると「コミュニケーションの障害」があるのでは?
 と感じてしまう人もいると思われまが、
 ASDの人のそれとはメカニズムが違うと考えられます。


 
③想像力の障害(質の違い):自分が見たり予想していた以外の出来事や
 成り行きを想像したり納得することが難しい。

 自分の興味のあることや心地よいパターンの行動に強いこだわりがあり、
 想定外の行動を取ることに抵抗を示す。


HSPの人も予想外の事にパニックになる事もあったり、
 想定外の事態に抵抗が生じる事もあると思います。

 だとしても、それは単に「新奇」な事に対する扁桃体の過剰興奮
 (=情報過多・刺激過多による)によって一時的に混乱しているだけで、
 成り行きを想像したり納得できない訳ではないと思います。

 また自分の興味やこだわりについては「深い処理」の結果
 意味づけしたマイルールを持っている人が多いと思いますが、

 良心的で他者への気遣いを優先しがちなHSPの人は
 自分のこだわりを曲げても、過剰適応的に他者を優先する事の方が多い
 と思います。

精神科医の岡田尊司先生は、
「ASDは感覚統合の障害が根本的な障害ではないか?」(感覚過敏、感覚鈍麻)
という「感覚統合仮説」に基づいて述べておられます。


それによると、脳内の神経線維の繋がり具合から感覚処理の障害が起き、
「心の理論」に纏わるミラーニューロンがうまく働かない事、
注意の共有が起きにくい事、感覚の過敏や常同行動が生じる事も
説明できるそうです。

 
実際MRIを使った研究では
ASDの人の場合は「相手の心を理解しようとする部分(内側前頭前野)」
と「自身の考えや行動を評価する機能を司る部分(後部帯状回)」の
活動がほとんど連携してなかった事が判明したそうです。


もし、そうだとすればHSPは「感覚統合の問題」はなさそうですので、
同じ感覚過敏だとしてもASDのそれとは明らかに違うものだと考えられます。


※岡田先生は
 「但し、虐待やネグレクトによって起きる愛着障害にも
 ”感覚処理障害”が伴いやすい」とも書かれていますが、
 この場合は(HSPであるか否かに関わらず)ASDとの鑑別が難しく
 なりそうですが・・・。

私が思うに、同じ”感覚過敏”でもHSPの人はASDの人に比べて
ミラーニューロン等による共感力がとても強いので、
相手の表情や仕草、声のトーン等の違いにも敏感で、
相手の気持ちの変化にも非常に敏感である点、
(例:お母さんは悲しんでるんだ・・・私まで悲しくなっちゃう。)

そして相手の立場に立って考えるといった所謂「心の理論」を
司る脳領域がとても発達していると考えられる点、

更にその意味を深く考えてゆくといった脳内処理を行う点、
(例:「お祖母ちゃんが亡くなってもうすぐ1年経つけど、
    今でもお母さんは時々悲しそうな顔してる・・・
    よっぽどお祖母ちゃんの事が大好きだったんだな。
    そのお祖母ちゃんがいなくなっちゃったから、
    中々立ち直れないのも無理ないよなあ。
    私がお母さんを元気づけてあげなくちゃ!」)

等の相違点があると感じます。

(勿論個人差があると思いますので、
 あくまで私の感覚で比較している点をご了承下さい) 

以上、ASD(自閉スペクトラム症)とHSPは全く別の気質だと考えられます。


※お医者さんの多くが参考にする(発達障害等の)診断基準である
 「DSMー5」というものがありますが、
 それを取り上げると冗長になりますので、今回は割愛します。

次回は「HSS型HSP」と「発達障害(ADHD)」の違いについて
お書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/8 (月)

HSS型HSPの人が辛さから脱するヒント

<前回からの続き>

今回は、
刺激追究型のHSP(「HSS型HSP」)の人が辛さから脱するヒント
をお書きしたいと思います。

前回お書きした様に、「HSS型HSP」の人は

①セロトニンの分泌を増やす事も、
②ドーパミンの分泌を増やす事も、
そして
③それらのバランスを保つ事も必要で、
それらのどれか一つでも欠けるとしんどくなると考えられます。

その推測に基づいてヒントをお書きしてゆきます。

<「HSS型HSP」の人が辛さから脱するヒント>


①刺激を遮断し、セロトニンを増やす時間の確保


→例:学校や家から帰ってきて自室に閉じこもって、まったりする時間
   を確保したり、近くの公園や喫茶店へ行ったり、瞑想やヨガ等をしたり、
   海辺・河原等の自然に触れる。
   (HSPは水や自然と相性が良いとも言われています)

②ドーパミンの分泌を増やす時間の確保


→例:美味しいものを食べたり、お酒や、友人と会って楽しい会話をする、
   休日に旅行や趣味に興じたり、ジム等の体を動かす事をする、
   或いはDIYをしたり絵を描いたり、物を作ったりする。

   ※とにかく、それをする時に自分が「ワクワクできる事」を
    するのが良いと思います。

   ※お勧めは「一人でワクワクできる事」(=一人旅、登山、写真を
    撮りに行く、ツーリング、自転車、美術館やパワースポット巡り、
    釣り、ジョギング等)をして、帰って来てからその体験について
    誰か(例えば家族やパートナー)に話して分かち合う、
    という事ができれば、

    幸福ホルモンと言われるエンドルフィンを分泌する「愛情システム」
    も働いて、より満たされると思います。

③刺激のバランスを保つ


→エレイン・アーロン博士曰く、

「HSS型HSPの人は神経の高ぶりの最適レベルの範囲が狭い」
 つまり、多くの刺激を受ける学校や仕事セロトニンを増やす時間
 ドーパミンを増やす時間バランスを最適に保つ必要がある
 という事です。
 
 その為には、計画を立てる事(HSS型の人の中では計画を立てるのが
 嫌いな人もいるでしょうが、ワクワクする事の為の計画と割り切って下さい)
 が役に立つと思います。

 例えば、ワクワクする様な週末の旅行の計画を立て、
 翌週に友人と会う計画を立てた上で(ワクワク)
 次に、日々のスケジュールを立てる。

 例えば、〇時~〇時まで仕事や勉強(刺激)、休憩時間には旅行に必要な
 服や持ち物をネットで探したり、友人と行く店を探す(ワクワク)

 〇時には家に帰って、ポテチをつまみながら好きなビデオを見て、
 〇時から長めのお風呂に入って(まったり)〇時には床に就こう、等。

 (テレワークを強いられてる人なら、休憩毎に外に出たり、
  昼食を外で食べたり等の適度な刺激も必要だと思います)

注意1:HSS型HSPの人は家族やパートナーからすると
    一見「自分勝手な人」に思われ勝ちになる事が多いと思います。

    ですので、家族や配偶者には、このコラムや本を読んで頂いて、
    ご自分の特性を理解して頂く事が必要だと思います。

    そして「①」~「③」ができて、辛さが和らげば、
    家族やパートナーの為に優しく関わる時間もきっちりと
    スケジュールに入れてみませんか?

    そして博士は「カップルのトラブルの多くは”退屈”が引き起こしてる。
    心地よいだけではダメで”一緒にワクワクできる活動”を行う事が重要
    である」と述べておられます。

    ですから、たまにはパートナーと一緒にそういう時間を持つ事も
    必要だと思います。

注意2:HSPの気質(良心的・他人への細やかな気遣い)の部分で、
   「みんな忙しくて、残業や休日出勤してしてるのに、
    私だけ呑気に自分の楽しみを優先したら申し訳ない」
    等といった罪悪感を抱く人もいらっしゃると思います。

    ただ、それが為に「まったりする時間」や「ワクワクする時間」
    を無くしてしまうと、心身が疲弊し、結果としてより迷惑をかける
    と割り切って、

    可能ならば例えば「週に1日は定時に帰る日」とか
   「月に2日は完全に仕事から離れる日」等を作って、
    仕事以外のスケジュールを入れてしまうのも良いかと思います。

以上、「HSS型HSP」の人が辛さから脱するヒントをお書きしましたが、
「どうしてもそれができない事情がある」とか「パートナーが納得しない」

とか
「それ以前に不安や罪悪感が強い」とか、「物質や人に依存してしまってる」

等の、それ以外の様々なお悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。

そういった方はお気軽にご相談下さい。



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2021/2/5 (金)

HSS型HSPの人が辛くなる原因

<前回からの続き>

今回は「HSS型HSP」(刺激追究型のHSP)の人が辛くなる原因
今迄の知識と臨床経験を元に、私なりに考えてみました。

エレイン・アーロン博士は「HSS型HSP」のタイプの人の事を
「移り気で、HSPの敏感さとHSSの衝動性の両方を持つ為、
 神経の高ぶりの最適レベルの範囲が狭い。つまりすぐに圧倒されるが、
 同時に飽きっぽい。新しい経験を求めるが、動揺したくないし
 大きな危険は冒したくない(いつもアクセルとブレーキの両方を踏んでる)
 また、自分の内なる葛藤を相手のせいにし易い」と分析しています。


更に博士は
「HSPは主な神経伝達物質をセロトニンとする”現状確認システム”
(行動の抑制・回避)が強く、
 HSSは主な神経伝達物質をドーパミンとする”行動活性システム”も強い」
とも述べています。


だとすれば、

「HSPの敏感さ」セロトニンのトランスポーター(輸送体)や
受容体遺伝子の変異と、

「HSSの新奇探求・刺激追究」は、ドーパミンのそれらの変異と関係
しているのと考えられます。

そしてそれにより「HSP」はセロトニン不足に陥り易く、心が安定しにくいので
セロトニンを補う為の時間や空間(刺激を遮断して、一人でまったりする時間)
が必要なのかも知れません。


一方「HSS」はその変異によって、ドーパミン感受性が低く、
少しの刺激ではワクワクしたり興奮したりできないので、
退屈が嫌いで、より刺激(ドーパミンが放出される事)を求めてしまう
のかも知れません。


もしこれらの推論が正しければ、
「HSP」の人はセロトニンが分泌する様な時間・空間を増やす事
(例えば、刺激をシャットアウトして一人でまったりする時間)が、

「HSS」の人はドーパミンが分泌される様な時間・空間を増やす事
(例えば、人と会う、出かける、趣味に興じる時間)が、
それぞれ必要であると考えられます。

そして「HSS型HSP」の人は、そのどちらも必要と考えられます。


但し、セロトニンはドーパミンの過剰分泌を抑える働きがあり、
この2つの特性が拮抗してしまってどっちつかずになり
苦しむ事も出てくると思います。


つまり「HSS型HSP」の人は、
①セロトニンの分泌を増やす事も、
②ドーパミンの分泌を増やす事も、そして
③それらのバランスを保つ事も必要だと考えられます。

それ故、その3つのうちのどれが欠けてもしんどくなると考えられます。

(思うに、この「HSS型HSP」の人が上の3つのどれかがうまく行かず、
 抑うつっぽくなった場合は、セロトニン系を増強する抗うつ薬を使うと
 ドーパミン系が抑制されてしまうので、効果が出にくいのでは?と思います。

 更にはドーパミン系の活動は直感やインスピレーションの源でもあり、
 それを抑えると、クリエイティブな能力も働かなくなる恐れがありますので、
 その辺りは充分に考慮された方が良いと思います)

加えて、以前お書きしたHSPの部分での「ネガティブ処理のパターン」も、
「HSS型HSP」の人にも当てはまるので、それによって辛くなる
事もあるはずですが、

「非HSS型HSP」の人に比べて「注意の切り替え」が速いですので、
参照するファイルを切り替える事も比較的スムーズにいくと思われます。


そして(特に最近の臨床場面では)
「HSS型HSP」と思しきクライアントさんは、
コロナの影響でテレワークが増えたり、友人との会食や旅行、趣味の時間等が
妨げられ、刺激やドーパミン不足に陥り辛くなっておられると思われるケース
も少なからず見受けられます。

それでは次回は、刺激追究型(HSS)のHSPの人が辛さから脱するヒント
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/3 (水)

刺激追究型(HSS)のHSP

今回からは、HSPの気質を持った人の中で約30%の人に当てはまる
(エレイン・アーロン博士の調査・研究による)と言われる
刺激追究型HSSHigh Sensation Seekingの略)の気質について
お書きしたいと思います。


HSPの気質を持つ人が人類の約20%だとすれば、
 HSSの気質を持ったHSPの人(HSS型HSP)は約6%(50人に3人)
 と言えます

この「HSS」は心理学者であるマービン・ズッカーマン博士が提唱した概念で、
エレイン・アーロン博士が研究をしている時に
「HSPの人の中でも新奇な刺激を追究するタイプの人が存在する」
(逆に過半数のHSPの人はそこまで新奇な刺激を追求しない)
という事からカテゴライズしたものです。

まずは、以下に「HSS」のセルフチェックを転載させて頂きました。
(本やネット上にも多数掲載されています)


<「HSS」のセルフチェック>


1.もし安全なら、未知の新しい体験ができる薬をやってみたい


2.会話によってはひどく退屈な時がある


3.行ったことのある好きな場所にもう一度行くよりも、
 好きにならないかもしれないけど知らない場所の方へ行ってみたい


4.スキーやロッククライミング・サーフィンのような
 スリルのあるスポーツをやってみたい


5.長い間家にいるとイライラする


6.何もせずにじっと待っているのは嫌い


7.同じ映画を二度見ることはめったにない


8.あまりやったことのないことをするのが楽しい


9.もしなにかめずらしいことを目にしたら、
 わざわざ寄り道をしてでも確かめに行く


10.毎日同じ人たちと一緒にいると飽きてしまう


11.君のやることは予測がつかないと友人たちに言われる


12.知らない場所を探検するのが好き


13.日課はもたないようにしている


14.強い体験を与えてくれるアートに惹きつけられる


15.気分を高揚させてくれる物質が好き


16.思いもつかないことをする友だちのほうが好きだ


17.新しい知らない場所へ行ってみたい


18.もし旅行に行くお金があったら海外へ行きたい


19.探検家になってみたい


20.誰かが性的なジョークを飛ばしたり、性的なことを口にして、
 みんなが気まずそうに笑うような時でも、自分はそれを楽しいと感じる

いかがでしたか?

大雑把に言いますと、上の20項目中、10項目以上当てはまると
HSSの可能性があるという事です。


私見ですが、これは心理テストで使われる
「感覚プロファイル」(Sensory Profile)で言うところの
「感覚探求」「新奇性探求」(新しい刺激を求める傾向)に該当する
のではないか?と感じます。

そして同じく「感覚プロファイル」の「感覚過敏」(=HSP?)と
併存は可能で、しかもそれぞれ独立した気質で
遺伝的な特性と関係が深いと考えられています。


つまり

「怖がりなのに冒険したい」

「人と会って疲れるのに社交好き」

「ドキドキするけど目立ちたい」(?)

等の相反する傾向を持っていたとしても、それは恐らく遺伝の要素
が強いので、決してその事に悩んだり、その気質を否定したり
変えようとしない事が大切だと思います。


それでは、次回からは「HSS型HSP」の人がしんどくなる原因
そこから回復する為のヒントをお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2021/2/1 (月)

HSPの辛い反応パターンを変える⑤

<前回からの続き>

前回までのやり方で、
強いネガティブな感情反応で終わるいつもの自分の反応パターン
(無意識下での処理のパターン)を変える準備が整ったと思います。

今回は、それの実践編をお書きしたいと思います。

<ネガティブ処理のパターンを変えてゆく方法(下)>


注意:実践に入る前に、最近のネガティブ処理したパターンの場面
   を思い浮かべながら、下記の手順で何度もシミュレーション
   を行った方が良いと思います。

⑰無意識下で行われている処理を自分の頭の中で実況中継してゆく


→例:「お~っと、今まさにお母さんの表情や声を「S」の感度の鋭さで
    意味づけしようとしています!」
   (これは古館伊知郎調ですが・・・(笑))

   「お~っと、”お母さんは怒ってる”と意味付けし、
    深い処理の(D)が始まろうとしています!

    やはりいつも通りに”お母さんの怒りフォルダー”の中から
    ”私がお母さんを怒らせた”ファイルを開こうとしています!」
    等々

⑱ここで、準備の段階でメモした「フォルダーとファイルの一覧」を見ます

⑲そして同じフォルダー内のいつもと違うファイル(とそれにまつわる記憶)
 を敢えて参照してみましょう


→例:「いつもは”私がお母さんを怒らせたファイル”を参照してるけど、
    今日は”お母さんはストレスで疲れ切ってイライラしてるファイル”
    を開いてみよう!・・・あの時も京香の事でイライラしてたよなあ~
    あの時はお祖母ちゃんの介護でイライラして愚痴をこぼしてたよなあ~」
    等々

⑳そのファイルを参照して出てきた気持ちを伝える


→例:「お母さん、イライラしてるけど、京香やお祖母ちゃんの事で
    また何かあった?私にできる事があったら何でも言ってね!」

㉑そのまま実況中継を続けます

㉒再びファイルを参照する時に注意して、「⑲」と同様に
 いつもと違うファイル(とそれにまつわる記憶)を敢えて参照してみましょう


→例:母親:(イライラした表情と口調で)「何ボーっとしてるのよ!
    早く食べなさいよ!こっちが困るんだから!」


「お~っと!扁桃体が過剰に興奮し、神経が高ぶって来ました!
  これは(O)によるものです。

  果たして、自分の感情フォルダーのどの感情ファイルを参照して、
  強い感情反応の(E)へ持ってゆくのでしょうか?!・・・

  いつもは「怒りファイル」を参照してますが、
  今回は「悲しみ」ファイルを参照する模様です!」

→(”悲しみファイルを参照して”「あの時もわかってもらえなくて
  悲しかった・・・そして、あの時も誤解されて悲しかった・・・)


    
㉓そのファイルを参照して出てきた気持ちを伝える


→例:「お母さん・・・私ね、このところ残業続きでミスも増えて
    課長には怒られるし凄いストレス抱えてるの。
    なのに頭ごなしに怒られて悲しかった・・・

    お母さんも大変なのはわかってるつもりだけど、
    私の事もわかって欲しい」等々

以上、「分析し準備をする事」「実況中継する事」「ファイルを整理する事」
   「敢えていつもと違うファイルを参照する事」
ができれば、あなたが感じる感情も変わってくるでしょうし、
前頭前野等の大脳新皮質が働く事によって、無意識下の感情をコントロール
する事ができると思います。

そして、”新しいパターン”に基づいてあなたの言動が変わる事によって
相手(この場合はお母さん)とのコミュニケーションのパターンも良い方向へ
変化してゆくと思います。

※それでも難しい場合は、お気軽にお問合せ下さい。



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