強迫性障害(OCD)の特徴とメカニズム

強迫性障害(OCD)の特徴とメカニズム

<前回からの続き>

今回は、
「強迫性障害(OCD)」について、
”刺激”という観点も取り入れて、そのメカニズムについて
私見を述べてみたいと思います。






<強迫性障害の特徴とメカニズム>






①易刺激性(感覚過敏)を有している

まず最初に考えられるのが、OCDの人(恐らく生まれつき)
刺激に対する敏感さを持っていると想像します。

ですから、ちょっとした不安や恐怖によっても扁桃体の興奮が高まり、
それが耐え難いものになってゆくのではないでしょうか?






②こだわりの強さを有している

OCDの人回避行動強迫行為・儀式は、その人独自のルールに基づいて、
それを容易に変える事はありません。(より複雑な”ルール”になってゆく事
もありますが)

その自分が決めたルールに則って、同じ事を繰り返してゆく部分には
こだわりの強さが感じられます。(これも恐らく生まれつき)






③「N」→「S」システム優位型で、しかも強い「D」システムを
 有している

OCDの人は不安や恐怖を感じ易く(=「(ノル)アドレナリンシステム」)、
それ故、安心を求める傾向も強くなっていると考えられます。



即ち私の考えでは、
 「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
   (=恐怖・不安・怒り・行動化)」
「S」「セロトニンシステム」
   (=安心・安定・幸せ・満足・繋がり・所属と愛の欲求)

のシステムが優位なタイプと考えられます。

(※家族等を巻き込んでしまう所謂「巻込み型」は
 「S」のうちの繋がりや所属と愛の欲求を満たす為なのかも知れません)



但し、OCDの人の手の込んだ回避行動や強迫行為・儀式や、
容易にそれらを止める事ができない部分から、
それら一連の行動には何らかの報酬が絡んでいるのでは?と想像しています。

思うに、「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激、報酬)によって、
それらが維持されているのでは?と推測します。



例えば(OCDではありませんが)多くの方は試験前には
「受かるだろうか?」「落ちたらどうしよう?」等の不安に襲われる
と思います。

そして「S」の安心を求めて、「N」システムを起動させ、
試験勉強を頑張るでしょう。

そして眠くなってくれば、「まあ、何とかなるか?」
参考書を畳んで寝てしまう・・・。(「N」→「S」システムの完結)



ところが、
「①」「②」が強い人は、眠たくなってもそれを許さずに
「徹夜してでも、この参考書を全部覚えよう!」と自分の決めた”ルール”
を貫いて、「こっくり、こっくり」となる度にペンを掌に突き立ててでも
勉強に(過)集中し続け、朝を迎える・・・。という人もいると思います。



そしてこの後者のタイプの人は、最早安心(「S」)を得る事だけが
目的ではなくなって、「自分で決めた事をやり遂げる」という達成感
をも目的としてると言えるのではないでしょうか?

(例えば、「安心・安全な場所を得たい=「S」ですが、
 その”聖域”を守る為に努力し続ける事でそれを達成する=「D」
 によるものではないでしょうか?)



もしそうだとすれば、この「達成感」に突き進ませているのは
「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激、報酬)と言えると思います。

そして、
この「D」が絡んでいるからこそ、(恐らく全ての依存症と同様に)
「わかっちゃいるけどやめられない」という状態に陥ってしまってる
のではないか?と考えます。






それでは次回からは
「強迫性障害(OCD)克服のヒント」をお書きしたいと思います。

 

#強迫性障害(OCD)のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

 

 

強迫性障害(OCD)克服のヒント①

 

前回お書きした様に私の考えでは、OCDの人特徴として



①易刺激性(感覚過敏)を有している

②こだわりの強さを有している

③「N」→「S」システム優位型でしかも強い「D」システムを有している



3つが揚げられると思います。

この3つは恐らく生まれつきの資質だと思われますので、
薬物療法にせよ、認知行動療法にせよ、この3つの資質を活かした
(少なくとも抵抗が生じない様な)工夫が必要であると思います。






A薬物療法

OCDの治療の第一選択薬としては、「SSRI」が挙げられます。

これはセロトニンの脳内流量を増やして、
不安・恐怖をもたらすノルアドレナリンを制御しようといった狙いです。

セロトニンが増える事で安心感をもたらす事ができますので、
不安・恐怖を和らげる事が目的の回避行動や強迫行為・儀式が不要
となってゆくという原理です。



確かに理に適っていますし、実際にOCDの人の症状に
ある一定の効果が認められています。



ただ、私が懸念するのは強い「D」システムを有している人にとっては
それだけでは不十分な場合もあるのではないか?という点です。



というのも、
強い「D」システムを有しているOCDの人にとっては、

「自分で決めたルールをやり遂げる達成感
(必ずしも不安・恐怖だけではなく)「空虚感」等の低刺激状態を脱する為
「至福の時間をより味わう為」等といった”報酬”(=快の刺激)
に症状が結びついている場合もあると考えます。

もしそうだとすれば、
これらの”報酬”は「S」の”安心”だけでは手に入らないと言う事になる
でしょうから、(治療)抵抗が生じる可能性があると思います。







B認知行動療法

偏った自分の考え方や捉え方(認知)を記録したり質問する事で
客観視してゆき、今までの強迫観念や強迫行為への「不合理感」を強め、
その囚われから脱する事を目指す。

また、
曝露反応妨害法(回避行動や強迫行為を我慢して、徐々に減らしてゆく)
によって、行動そのものを変化させてゆく。



これもその効果が証明されている方法ですが、繰り返し述べています様に、
強い「D」システムを有しているOCDの人にとっては
”報酬”が無いと、治療を続けるモチベーションが下がって来る
と思われます。

ですから、

達成が比較的容易な課題から始めて、医師・心理士(師)等の治療者側は、
クライアントさんがそれを達成できる度にコンプリメントする
褒める=報酬)事が必要になってくると思います。
(=「D」「S」をもたらす)

加えて、「その症状が無くなったら、何をしたいか?どうなりたいか?」
等といった”報酬”の方向性を変えてゆく必要もあると思います。






それでは次回はOCDで苦しんでおられる方が、
それを克服する為のご自分でできる工夫をお書きしたいと思います。

 

#強迫性障害(OCD)のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

 

 

強迫性障害(OCD)克服のヒント
②~自分でできる工夫

 

今回はOCDで苦しんでおられる方がそれを克服する為の
自分でできる工夫をお書きしたいと思います。






①「不安・恐怖」や「報酬」の方向性を変える

OCDの人は、不安・恐怖(強迫観念)
→それを避ける為の行動(強迫行為)
→得られる報酬快の刺激)といったパターンが固定化され、

それを繰り返す為にそのパターンが強化され、
どんどん悪循環に陥ってしまうと言えると思います。



だとすれば、

その悪循環から脱するには、その行動を採らせる「不安・恐怖」や「報酬」
の方向性を変えてゆく事が必要だと思います。

そしてその為には以下の2つの方向からのアプローチが有効だと考えます。

(1)強い不安・恐怖を利用する



「今の症状が一生続くとすれば、最悪どんな人生になってしまうだろうか?」

「このままの人生で終わったとすれば、どんな後悔が残るだろうか?」

等と自問し、自分なりにその”答え”を書く



例:「このままだと、症状の為にどんどん友人と会いにくくなって、
   結婚はおろか、彼氏も友人もいなくなって、独りぼっちで
   死んでゆく・・・」等々。



※できれば、今の「強迫観念」を上回る様な不安・恐怖が望ましい
 と思います。

(2)報酬を強く意識する



「今の症状が無くなれば、どんな事をしたい?どんな人生を歩みたい?」

「どんなものでも手に入れる事ができる能力を身に着けたとすれば
 何をしたい?何を得たい?どうなりたい?」

等と自問し、自分なりにその”答え”を書く



例;「沢山友人を作って人生を楽しみたい。それから結婚して子供を産んで
   幸せな家庭を作りたい!」等々。

②不安・恐怖を避けて報酬を得る為のこだわりのルールを作る



(1)上記「①(1)」の不安・恐怖を日々繰り返し意識し、
   上記「①(2)」の報酬を手に入れた場面も日々繰り返し意識
   する。



例:「独りぼっちになる事、孤独死・・・そうなったらどうしよう・・・
   怖いよ!絶対に嫌だよ・・・」

  「沢山友人が居て、色んな話をしたり一緒に出掛けたり・・・
   幸せな家庭・・・絶対に持ちたい!」等々。

(2)次に、上記「①(1)」の不安・恐怖を避け、
   上記「①(2)」の報酬を手に入れる為に、
   今できる事を片っ端から書き出してみる



例:「まず、症状の事を親友のA子と彼氏に思い切って打ち明ける」

  「新たな出会いを求めて、趣味のサークルへ入る」

  「結婚資金を貯める為に(症状のせいで辞めちゃった)仕事に復帰する」
   等々。


     

(3)書き出したものから、日々実行する「こだわりのルール」
を作り、実行してゆく



「今日はまずA子に思い切って症状の事を打ち明けよう!・・・
  でも怖いよう、嫌われたらどうしよう」



※ここで大切な事は、「不安・恐怖」を強く感じたら、上記「①(1)」の
 ”もっと強い不安・恐怖”と「①(2)」の”報酬”をより意識する事で、
 日々決めた「ルール」から逃げずに「怖いまま実行してゆく」という事です。

③それを実行し、日々評価してゆく



自分で決めた(人生最大の不安・恐怖を避ける為の回避行動である)
「こだわりのルール」を日々実行し、できたら自分で評価=報酬
してあげましょう。



例:「”変な人”と思われるのが怖かったけど、出会いを求めて
   趣味のサークルに思い切って参加した!・・・
   よく頑張ったと思えるから、カレンダーに”サークル参加”
   と書いて花丸で囲もう」等。



※新たな方向に向けて行動する事には不安・恐怖が強く働くと思います。
 この時に肝心なのはもっと強い恐怖(例:生涯独りぼっちで孤独死する等)
 を強く意識し続け、それを避ける為の回避行動として
 強迫的に実行してゆくという事だと思います。






次回は、

この強迫的な傾向を自分の人生の幸せの方向へ活用してゆくヒント
(あくまで私視点での想像にしか過ぎませんが)
野球のイチロー選手とフィギュアスケートの羽生選手を例にして
お書きしてみたいと思います。

(両選手がOCDであるという意味ではありませんのでご了承ください)

 

#強迫性障害(OCD)のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

 

 

強迫性障害(OCD)の活用
~一流アスリートを例に

 

前回、OCDの人
 不安・恐怖(強迫観念)→それを避ける為の行動(強迫行為)
得られる報酬(快の刺激)といったパターンが固定化され、
 それを繰り返す為にそのパターンが強化され、
 どんどん悪循環に陥ってしまうと言えると思う。

 そしてその悪循環から脱するには、その行動を採らせる「不安・恐怖」
 や「報酬」の方向性を変えてゆく事が必要だと思う、とお書きしました。

今回は、そういったOCD的な傾向を活用していると思われる
(あくまで私の勝手な想像です)野球のイチロー選手
フィギュアスケートの羽生選手の例を取り上げてみたいと思います。






現役時代のイチロー選手羽生選手も、

「このままヒットが打てなくなったらどうしようか?」
とか
「自分の納得がゆく完璧な演技ができなかったらどうしようか?」
等といった強い不安と、

その不安を回避する為の「努力・練習・ルーティーン」
といった強いこだわりに基づいた回避行動と、

「自分が決めたゴールを達成したい」という強い「D」システム
を有していると感じます。

即ち、私なりの想像に基づいて定義した

①易刺激性(感覚過敏)を有している

②こだわりの強さを有している

③「N」→「S」システム優位型で、しかも強い「D」システムを有している

といったOCDの人特徴的な傾向を持っていると考えられます。

だとすれば何故彼らは成功し(幸せで)
一方OCDの人は苦しんでいるのでしょうか?



私が思うにそれは「報酬の方向性」が違うからではないでしょうか?



というのは、OCDの人の”報酬”は

「汚染されたくない、人を汚染したくない」

「失敗したくない、間違えたくない」

「誰かを傷つけたくない、大切な人を殺めたくない」
等といった消極的な意味合いが多く、

それを達成しても喜びや達成感、幸せを直接的には感じにくい事柄である
と思われます。

ところが、イチロー選手羽生選手にとっての”報酬”は
「全打席でヒットを打つ」とか「100点満点の完璧な演技をする」
等といった、

それを達成すれば大きな喜びや達成感、ひいては自身の幸せ(=D)
に直接結びついている点が異なると思います。

ですから私は、
前回お書きした様に、ご自分にとって大きな喜びや達成感・幸せ(=D)
といった(今とは違う)”報酬”を強く意識する事が大切だと思います。

そしてその”新しい報酬”を妨げる事に対して、こだわりを持った回避行動
を続ける事によって、その達成に近づいてゆくのだと思います。



※強迫性障害(OCD)の克服は、独力では難しい部分もありますので、
 お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

 

#強迫性障害(OCD)のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

プロフィール

のぶさわ 正明
のぶさわ 正明心理カウンセラー・自己実現コーチ
・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
  心理療法カウンセラー
  不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員

2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。