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コラム/2023-04

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2023/4/28 (金)

就職・入学等の環境の変化による五月病の原因

<前回からの続き>

前回、

「進学・入学や就職、転居等の環境の変化によって、
 特に”感覚過敏”を有している人達は不安が強くなったり、
 抑うつ状態等といった、所謂”五月病”に陥る事もある」

とお書きしました。

今回は、

「何故”五月病”になるのか?」
(特に感覚過敏を有してる人は何故”五月病”になり易いのか?)
の、
私なりに考える原因についてお書きしたいと思います。




<何故”五月病”になるのか?>

人間の脳における「インプット」~「アウトプット」に至る仕組みとしては、
以下の通りだと思われます。

(1)外部からの刺激を五感でインプットする


例;初めての定食屋に入って、メニューから”牛丼”を注文する
 椅子や床の感触を感じ、BGMを聴き、運ばれてきた牛丼を目で見て
  匂いを嗅いで、舌で味わう

(2)記憶と照合する


例:「いつも食べてるチェーン店のものとは見た目は違うし、
   匂いや味も違う・・・。」

(3)意味づけをする


例:「味付けは少し甘味が強いけど、良い肉を使っているらしく
   肉の味が濃い。」

(4)思考/感情


例:「この肉質でこの値段なら、何か得したみたいだ。
   久しぶりの美味しい牛丼を食べたなあ(と満足感・幸せな気分になる)

(5)アウトプット(反応・行動)


例:会計の時に、自然と笑顔で「美味しかったよ!」と言う。
  そしてそれからしばしば、その店に通うようになる、等。

ところが、”感覚過敏”を有してると、
例えば

(1)「なんか気難しそうな店主だなあ。お店の空気感もピリピリしてる
   ・・・

   椅子が硬くて冷たい! 調理場の人達がひそひそと話してる
   のも気になるし、BGMも耳障りだなあ~。

   運ばれてきた牛丼を目で見て、
   匂いを嗅いで、舌で味わう。 

(2)「いつも食べてる店のものとは見た目も匂いや味も全然違う
  ・・・。」

(3)「いつもの店と比べて甘味が強すぎる・・・。
   きっと砂糖を大量に使ってるんだろう。
   それにモロに肉臭さを感じる。もしかして古い肉を使ってるのかなあ。

  そして、舌に残るこの後味の悪さは何だろう?・・・
  きっと化学調味料を沢山使ってるに違いない」

(4)「なんか気持ち悪くなってきちゃった・・・
  店の雰囲気と言い、味と言い、もう二度と来るもんか。
  何でこんな店に入ったんだろう?と思って後悔するし、
  食あたりやアレルギーが出たらどうしようか?と不安になってきた」

(5)お会計を済ませ、逃げる様に店を出て、
  もう二度とその店には行かなくなった


等といった事が起きるかも知れません。

 
この様に、
”感覚過敏”を有してる人にとっては食べなれた牛丼でさえ
店(環境)が変わるとこんなに大変だとすれば、

(2)の照合する記憶さえない全く新しい環境や経験となると大混乱に陥る
かも知れません。

例えば
外国の料理店で、見た事の無い食材を素性がわからない調理人が、
見た事の無い調味料で味付けし、出してこられたとすれば、

照合する記憶もありませんので、たちまち大混乱に陥り、
不安どころか恐怖を感じるかも知れません。


”感覚過敏”を有してる人にとっては、
それ程環境の変化は大きなストレス因となってしまう訳です。


つまり、
(2)の照合する記憶さえ無い様な未知の世界に身を置く訳ですから、
(3)の意味づけができずに大混乱し、
(4)の思考がまとまらずに「不安や恐怖」が強くなり、

今度は「明日からもまたあの場所に身を置くのか・・・」といった
想像が新たな(1)のインプットとなり(イメージからのインプット)、

(2)~(4)を繰り返しループする(反芻思考)で、
頭の中をグルグル廻ったままになり、

「眠れない」「極度の恐怖」「パニック」等の過覚醒状態となり、

その反動で、落ち込み無気力''等の低覚醒状態(抑うつ状態)に陥る
=(5)のアウトプット

と考えます。

もしそうだとすれば、(特に感覚過敏を有している人が)
五月病に陥ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?


次回からは、
そういった方に向けて「五月病を解消するヒント」
をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/4/26 (水)

五月病?~就職・入学等の環境の変化で悩んでおられる方へ

「この春から地方の大学への入学が決まり、引っ越して来た。

 知り合いも居ない土地での初めての独り暮らし。
 寂しいし、独りでやって行けるのかなあ・・・。
 友達をうまく作れなかったらどうしよう?・・・。

 大学の授業もついて行けるのかな~。
 履修届も、どの授業を取ったらいいのか?散々迷ったけど、
 あれでよかったのかなあ~。

 近頃は大学へ行くのが憂鬱になって、
 思い描いた楽しいキャンパスライフとは全然違うので、
 不安で押しつぶされそう」

「4月から新社会人になって同期の人達と研修を受けてるけど、
 みんな私より積極的で優秀な人ばかりだ。

 僕は気後れして溶け込めずに、いつも独りでポツンと昼食を食べてる
 ・・・
 やっと入れた会社なので、すぐに辞める訳には行かないけど、
 逃げ出したくなっちゃうなあ~」


 
この春から、
進学・就職・転居等で新しい環境に身を置いてる方も多いと思います。


そういった環境の変化があると、
誰しも「ワクワク・ドキドキ」するものだと思いますが、

特に「感覚過敏」を持っている人は、
殊の外混乱し、不安・恐怖に襲われると思います。

その結果、
「気分が落ち込んだり、食欲が落ちたり、眠れなかったり、
 楽しいという気持ちが沸かなくなったり、学校や職場に行けなくなったり
 ・・・」
等の、所謂「五月病」になって悩まれておられる方もいらっしゃるでしょう。

今回からは、

「何故五月病になるのか?」

「どうすれば五月病を解消できるのか?」

についてお書きしてゆきたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/4/24 (月)

統合失調症⑲寛解に向けて~心理療法(4)

<前回からの続き>

前々回にお書きした方法(①前頭葉の機能を回復させる)

前回お書きした(②大脳資質と辺縁系の機能と連携の強化)
充分に成されれば、

「感覚過敏」の環境調整「愛着形成」
(必要があれば)「トラウマ処理」等へ移ります。




③「感覚過敏」の環境調整・「愛着形成」・「トラウマ処理」

(1)「感覚過敏」への環境調整


 できるだけ不快な音や声、他人の気配等を感じずに済み、
 視覚的にも非刺激的な場所を確保する、

 或いは、イヤーマフ・ノイズキャンセリング、サングラス等を駆使しして
 本人にとっての不快刺激をできるだけ防御する、等


 
(2)「愛着形成」


 本人自身の「大脳皮質」と「辺縁系」の間で愛着形成を図ってゆく

 その詳細は以前にお書きしましたので、今回は割愛させて頂きます

(3)「トラウマ処理」


 必要があれば、
 EМDRでも、TAゲシュタルトでも、NLPのスイッシュでも、
 その人にあった方法でトラウマの処理を行います

 これも以前にお書きしましたので、割愛します




以上、
ここまで統合失調症について、その考えられる原因と寛解に向けての
方法・手段をお書きして来ました。

本疾患で悩まれておられるご本人やご家族の方の中で、
ご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい。



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2023/4/21 (金)

統合失調症⑱寛解に向けて~心理療法(3)

<前回からの続き>

今回は、
統合失調症の方への心理療法②として、
「大脳資質と辺縁系の機能と連携の強化」についてお書きします。




<統合失調症の方への心理療法②>

②大脳資質と辺縁系の機能と連携の強化

(私の仮説に依れば、ですが)脳幹による大脳皮質の直接制御によって
機能低下した大脳皮質と辺縁系の機能と連携を強化します。


(1)能動的なインプット

過去のポジティブな(楽しかった・面白かった、幸せを感じた等)出来事
今のポジティブに感じる事柄(〇〇が好き、〇〇が美味しい、楽しい等)
を思い浮かべます。

更に、
未来のポジティブな(もし今の病気が治って、しかも億万長者になったら
何をしたい?等)想像を思い浮かべます

(2)思考(大脳皮質)と感情(辺縁系)を繋ぐ

それぞれの出来事に対して
「どう思うか?どう感じたか?どんな気持ちになるか?」
等の答えを言ってもらったり書いてもらう。

普段からでも、好きな音楽・絵画や映画・ドラマ等を選んでもらって、
 それに対する感想や沸いてきた気持ちを言ってもらったり書いてもらう
 事も役立つでしょう

(3)前頭葉の強化

前頭葉を中心としたトップダウン状態に戻す為に、

例えば
「過去の失敗や苦い経験」を思い出してもらい、
「今後それを二度と繰り返さない為にはどうすれば良いか?」
とか
「これから先の不安」について、
「そうならない為には今何をすればよいのか?」等と考えて頂き、
前頭葉の働きによる「客観視」や「実行機能」の強化を図ります。




次回は、
「感覚過敏」の環境調整、「愛着形成」、「トラウマ処理」
についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く> 



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2023/4/19 (水)

統合失調症⑰寛解に向けて~心理療法(2)

<前回からの続き>

統合失調症の方への心理療法は、
まず前回お書きした様に薬物療法等によって、
双方向の「対話」が可能になった状態である事が条件だと思います。

そしてその「対話」が少しでも可能であれば、お手伝いができると思います。

今回からは、私の考える”仮説”に基づいての心理療法について
お書きしてゆきたいと思います。




<統合失調症の方への心理療法①>

①前頭葉の機能を回復させる


私の”仮説”が少しでも正しければ、生命の危機を感知した生体のシステムは
三層構造の脳の最下(深)層である脳幹が、その危機的状況を救う為に、
最上(表)層である大脳皮質(や中間層の辺縁系)をコントロールしている状態
が統合失調症ではないか?と考えられます。

もしそうであるならこれは言わば「ボトムアップ状態」と言えるでしょう。


一方、
統合失調症をはじめ、メンタル疾患と言われる状態にはない人は
日常生活の多くの場面(特に実行機能が必要とされる場面)では、
大脳皮質がイニシアチブを採る「トップダウン状態」にあると言えます。


だとすれば、再度大脳皮質(特に前頭葉)がイニシアチブを採る
「トップダウン状態」に徐々に戻してゆく必要があると思います。

(1)傾聴

譬え、幻覚や妄想だとしても否定せずに
その方の今の苦しみ・お悩みに共感してゆく。



(2)双方向の対話

可能であれば、過去の思い出話等、双方向の対話に持ってゆく。
(対話をする時には大脳皮質や辺縁系が活動しますので、
 その活性化を狙います)

(3)心理教育


”声”や”考え”は悪夢と同じで、脳幹からの刺激で、
大脳皮質が勝手に反応していると説明する

(4)幻覚や妄想等の外在化

「その”声”の主に名前を付けるとすれば何て呼ぶとぴったりですか?」
等と外在化し、前頭葉の自我意識と幻覚・妄想とを徐々に切り離してゆく

(5)マインドフルに客観視できる状態を強化してゆく

例:「あなたに”お前は周りの人から狙われてるぞ”と言ってきてる
   ”声の主”は確か”恐怖の大王”だと仰っていましたね!
   そいつが今度は何を言ってきてます?」

  「今度カウンセリングを受ける迄の間に”恐怖の大王”が言ってきた事を
   できるだけ書き出し、それに対して”あなた”はどう思って、
   どんな気持ちになったか?も書き加えて持って来てもらえませんか?」

  「これからは声が聞こえたり、ある考えが浮かんで来たら、
   その度に”今、〇〇が△△と言ってきてる”
   とか、
   ”今□□が××という考えを吹き込んできてる”
   等と頭の隅っこで思って下さい」等々。

(5)認知療法


”声”や”妄想”を客観視でき、自分から切り離す事ができれば、
それらが伝えて来てる内容を書き出して、
それを「裏付ける証拠(事実)」

「そうじゃないのでは?の証拠(事実)」
それぞれ書き出して見比べる

そして声や妄想が伝えてきている内容を信じる度合いが少しでも減れば、
その内容に”突っ込み”を入れる。


「インターネットを介して、私の考えてる事がみんなに知れ渡ってしまう」

「またまた~、そんな事が可能なら戦争や犯罪なんて起きないだろうし、
  ノーベル賞もんやで」等々。

この部分は上記「(5)」までができる様になってからです




次回は統合失調症の方への心理療法②として、
「大脳資質と辺縁系の機能と連携の強化」についてお書きします。


<次回へ続く> 



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2023/4/17 (月)

統合失調症⑯寛解に向けて~心理療法(1)

<前回からの続き>

前回までに
私が想像する「統合失調症」の原因として、


「遺伝的に、或いは生育環境等によって感覚過敏を有している」


「愛着形成が成されなかった、或いは消失した為に、
  他人との交流や日々の生活は、あたかも安全基地の無い戦場を
  生きる様な危険や恐怖に晒される事になる」


「その為に、ありとあらゆる防衛機制・防御反応を武器に生きてゆく
  事になる」


「そしてそのストレスの蓄積が限界を超えた場合や、
  それでは防ぎようの無い大きなストレスに晒された場合は、
  生命維持の最終兵器である脳幹が働き、直接前頭葉を支配する様になる」


「この生命維持の方法としては、
  ドーパミンを活用し「陽性症状」にもってゆき、
  恐怖・脅威から目を逸らさせる手法と

  セロトニンを活用し「陰性症状」にもってゆき
  ”擬死状態”となって身を守る手法がある」


とお書きしました。

勿論、
私のこの想像は科学的に裏付けられている訳ではありませんが、
もし仮に「当たらずとも遠からず」だとすれば、
統合失調症に対して、心理療法に何ができるのか?を考えてみました。




私は以前、「統合失調症」の発症ダムの決壊に譬えました。


それになぞらえてお話しますと

元々、貯水容量が多くないダム(感覚過敏)で、
ダムの厚みも薄く基盤も弱く(安全基地が無い)、

しかも台風等で岩や倒木が流れ込んで来た為に
ダムの壁に亀裂が沢山入っていた(ストレスやトラウマ)

そこへ大きな台風によって、大量の水と土砂がダムに流れ込んできた
(発症のきっかけとなるストレス)

ダム全体の崩壊を避ける為にダムは自ら壁に穴を開け、
大量の水を放出し始めた(症状の発症)

ここでまず必要な事は、壊れかけたダムを直す事ではなく、
下流の被害とこれ以上の崩壊を防ぐ為に、
ダムにこれ以上の水が流れ込む事を防いだり、
貯まった水を安全に減らしてゆく事だと思います。

言ってみれば薬物療法はこの緊急措置に当たると思います。

そしてそれが行われてこそ初めて、ダムの傷んだ部分を修復したり、
強度を増したり、ダムとして再び機能できる様にする事が可能となるでしょう。

私が考える心理療法の役目はこの部分だと思います。

心理療法は主に双方向の「対話」によって行われますので、
 急性期の陽性症状が強く出られている場合や陰性症状が強く、
 「他人と話すどころではない」という場合は、

 薬物療法によってある程度落ち着かれてから
 (譬え幻聴・妄想等があっても)でないと難しいです。




次回からは、
私が想像する「統合失調症の原因」を基に、
心理療法のヒントをお書きしてゆきたいと思います。

<次回へ続く> 



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2023/4/14 (金)

統合失調症⑮寛解に向けて~薬物療法(2)副作用と離脱症状

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」の薬物療法による副作用
何らかの事情で減量、断薬された時の離脱症状について
お書きしたいと思います。




<抗精神病薬による主な副作用>

・薬剤性パーキンソニズム(震え・筋肉のこわばり、小刻み歩行等)

・アカシジア(むずむず、ソワソワしてじっとしていられない等)

・急性ジストニア(筋肉の異常な収縮が起き舌や口が出てしまう、
 歯を食いしばり口が引けない等)


これらは、薬によって過度にドーパミンが遮断される事による副作用
(錐体外路症状)です。


他にも
・高プロラクチン血症(生理不順や母乳が出る、胸が張る等)

・ふらつき・眠気

・体重増加

・悪性症候群(発熱、反応が鈍くなる等の意識障害、震えや筋肉の強い強張り、
 心拍数や呼吸数の増加、筋肉の組織が壊れることによって
 腎臓に負担がかかる等)

・不整脈 

・高血糖(特にジブレキサ等による食欲増加)

・下痢や嘔気


また、
「定型抗精神病薬」では、それらに加えて以下の副作用が出現する
場合もあります。

・起立性低血圧(立ちくらみ)

・口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難




<副作用を抑える薬>

副作用を抑える薬としては、
抗精神病薬によって、ドーパミンが遮断され過ぎた事から来る副作用
(主に錐体外路症状)を抑える為に、
「抗パーキンソン病薬」が使われる事があります。

これは例えば糖尿病患者さんが、
インシュリンを注射し血糖が下がり過ぎると倒れますので、
血糖を上げる食べ物を食べて調節するのと似ています

但し、
この「抗パーキンソン病薬」にも口渇、便秘、眼圧上昇、排尿困難等の
副作用が出る場合もあります

そう考えれば、
生体内の絶妙なホルモン(神経伝達物質)バランスを制御している
生体の神秘を感じさせてくれます。


副作用を抑える薬としては他にも便秘薬等も使われます。




<薬の減量・中断による離脱症状>


最後に、
薬の減量や突然の使用の中断は絶対に自己判断で行わないでください。

薬で何とか症状を止めている訳ですから、
減量や中断によって再び症状が(より)強く出たり、
悪性症候群等が出現する場合もあります。

次回からは
統合失調の寛解に向けての治療のうちの心理療法について
お書きしたいと思います。


私は心理師であって、医師ではありません。
 従って薬剤の処方についてや減薬/断薬については
 ご相談に乗れませんので、ご了承下さい


<次回へ続く>



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2023/4/12 (水)

統合失調症⑭寛解に向けて~薬物療法(1)薬の種類と作用

<前回からの続き>

今回は
「統合失調症」の薬物療法に主に使用される薬の種類と作用について
お書きしたいと思います。




<統合失調症に使われる主な薬の種類と作用>

「統合失調症」に対して用いられる薬は、
まず「抗精神病薬」と言われるものです。


そしてこれには大きく分けると、
「定型抗精神病薬(従来型)

「非定型抗精神病薬(新規)
2つがあります。


最初に開発されたのが「「定型抗精神病薬」
「コントミン」(クロルプロマジン塩酸塩)、「セレネース」(ハロペリドール)、
「ドグマチール」(スルピリド)等があります。

これらは、
中脳辺縁系のドーパミンD2受容体を遮断・阻害する事によって、
”陽性症状”を抑える作用があります。(陽性症状の出現にはドーパミンの
働きが過剰に促進されている事と関係していると考えられているからです)


但し、
これらの従来型の抗精神病薬は副作用が強く出る事が多かったのと、
”陰性症状”には効果が期待できなかった事もあり、
それらの欠点をカバーすべく開発されて、今現在第一選択薬とされているのが
「非定型抗精神病薬」です。


これには、
「リスパダール」(リスペリドン)、「ルーラン」(ペロスピロン)、
「ジプレキサ」(オランザピン)、「エビリファイ」(アリピプラゾール)
「レキサルティ」(ブレクスピラゾール)等があります。


これらに共通しているのは
ドーパミンD2受容体とセロトニン2A受容体を遮断・阻害する事で、
ドーパミン過剰による&”陽性症状”とセロトニン過剰による”陰性症状”を
抑える事を目的としています。


「エビリファイ」は、ドーパミンを遮断・阻害するだけでなく、
 適度な量に調整する働きを持ちます

「レキサルティ」は、セロトニンに対する遮断・阻害作用が強いので、
 特に”陰性症状”の改善にも特化していると言えるでしょう


私は心理師であって、医師ではありません。
 従って薬剤の処方は勿論できませんし、
 お薬に関するご相談はできませんので、ご了承下さい

<次回へ続く>



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2023/4/10 (月)

統合失調症⑬本当の?原因<仮説(4)>

<前回からの続き>


今回は私の想像のまとめです。




③「統合失調症の本当の原因と考えられるものは何なのか?」

前回までにお書きした事をまとめますと、
私が考える統合失調症に至る原因としては、

A:遺伝的に、或いは生育環境等によって感覚過敏を有している

  特に視覚・聴覚からの不快刺激に対して敏感である


B:何らかの理由で愛着形成が成されなかった、もしくは不十分、
  或いは一度形成された愛着が消失した

  例えば、一度養育者を安全基地とみなし愛着形成が成されたとしても、
  特に感覚過敏が強い子の場合は、思春期・青年期までの間に
  (つまり愛着のパターンが手続き記憶として内在化される前に)
  敏感過ぎるが故の誤解や思い込みによって、
  愛着形成がリセットされ、安全基地を失ってしまったと思われるケースも
  何例も見てきました。


C:そうなると、まるで安全な場所が無い戦場の中を生き抜く
  様な感覚になり、
  ありとあらゆる防衛機制・防御反応を武器に生きてゆく事になる


D:そのストレスの蓄積が限界を超えた場合や、
  それでは防ぎようの無い大きなストレスに晒された場合は、
  生命維持の最終兵器である脳幹が働き、
  直接前頭葉を支配する様になる


E:生命維持の方法としては、
  ドーパミンを活用し「陽性症状」にもってゆき、
  恐怖・脅威から目を逸らさせる手法
  と
  セロトニンを活用し「陰性症状」にもってゆき
  ”擬死状態”となって身を守る手法がある


F:その結果、生命維持に関係が無い前頭葉等の部位は
  活動低下し、委縮してゆく



  
以上、
私の勝手な想像をお書きして来ましたが、

万が一私の推論があたっていたとしても、
現に統合失調症に苦しまれているご本人やご家族はどうすれば良い
のでしょうか?

次回からは統合失調の寛解に向けての治療のうちの薬物療法について
お書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/4/7 (金)

統合失調症⑫本当の?原因<仮説(3)>

<前回からの続き>

前回、

「遺伝的に或いは生育環境的に”感覚過敏”、特に聴覚・視覚から入力される
 不快刺激に対する敏感さを有していた人が、
 何らかの事情で愛着形成が成されなかった場合、
 不快刺激に対して、ありとあらゆる防御反応を駆使して生き延びてきた」

「でも限界値を超える不快刺激の蓄積や大きな不快刺激を被った為に、
 不快刺激によるストレスが個人の耐性の限界値を上回った場合、
 自らの崩壊を防ぐために、脳は最終手段を講じるのでは?」

といった私が想像する統合失調症の一因をお書きしました。

今回は、

②「”脳の神経伝達物質の機能障害”は何故起こったのか?その原因は?」
についての私の想像をお書きしたいと思います。

 

 
②”脳の神経伝達物質の機能障害”とは?

~何故起こったのか?その原因は?

は大きく分けて3層構造になっています。


第一層は、「脳幹」(中枢神経系を構成する重要な部位が集まる器官で、
生命維持に関与する大きな役割を果たしている)、

第二層「大脳辺縁系」(感情や情動の中枢)

第三層「大脳皮質」(知的・精神的活動の中心となっている部分)

です。

統合失調症は「脳幹」の視床、「大脳辺縁系」の基底核や扁桃体、
「大脳皮質」の前頭葉や側頭葉等の体積減少や血流低下等による
活動低下・活動異常によるものと考えられています。


ところで、皆さんは”悪夢”を見た事があるでしょうか?

恐ろしいものに追いかけられ、逃げても逃げても追いつかれる・・・。
或いは、恐ろしいシーンが何度も蘇る・・・等々。

夢を見てる時には「脳幹」から「大脳皮質」を活性化する神経刺激
が発せられることが確認されています。

そしてその刺激を受け取った大脳皮質が活性化され、
各領域に保存されたさまざまな記憶が引き出され夢体験となる
と考えられています。

そして、
大脳皮質のうち、後頭葉が刺激されて夢の中での鮮明な視覚体験が生じます
(因みに側頭葉が刺激されると聴覚体験が生じます)

そして夢見中は、前頭葉(前頭前野)の活動が低下する事により、
思考や創造性、推論等の認知・実行機能も低下し、
夢の内容を能動的に変えようとしたり「これは夢だ!」とも思えない訳です。
(言ってみれば病識が無い”夢識”が無い状態です)


統合失調症も、もしかすると
今迄の防御反応では防ぎきれない”生命の危機”に陥ったと感じた時に、
夢と同様に生命維持の中枢である「脳幹」が働き始めて、
生命維持の目的の為に大脳皮質を直接制御するに至ったのかも知れません。


もしそうだとすれば、
さながら「生命維持の最終兵器発動!」と言えるのかも知れません。

そして、
その目的に無関係な脳の部位(例えば前頭前野や大脳辺縁系の一部等)
活動低下に陥り、結果として体積が縮小するのかも知れません。


だとしても、何故ドーパミンなのか?

それは恐らく、ドーパミンを多量放出させる事で、過覚醒状態に持ってゆき、
現実のストレスや不安・恐怖から助け出す為ではないか?と思います。

そして、
その”過覚醒”(陽性症状)の反動が”低覚醒”(陰性症状)状態であり、
セロトニン等を多量放出させて、活動を低下させるのかも知れません。

ただ、
”敵に囲まれて生命の危機”に陥ってる状態は変わりませんので、
所謂”擬死”の状態を創り出して自己防衛をしてるのでは?と思います。




それでは次回は
③「統合失調症の本当の原因と考えられるものは何なのか?」
について引き続き私の想像をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/4/5 (水)

統合失調症⑪本当の?原因<仮説(2)>

<前回からの続き>

前回、
統合失調症の発症をダムの決壊に譬えて
「貯水量が限界値を越えてダムが耐えきれず決壊してしまった状態が
 統合失調症なのでは?」

更には、
「統合失調症発症の一因とされる脳の神経伝達物質の機能障害は
 あくまで結果であって、そこに至る原因が別にあるのでは?」

といった私の想像をお書きしました。

もしそうだとすればですが、

①「限界値を超えて(脳の)ダムが決壊するに至ったものは何か?」

②「”脳の神経伝達物質の機能障害”は何故起こったのか?その原因は?」

③「統合失調症の本当の原因と考えられるものは何なのか?」

という部分が気になる所です。

今回は上記「①」について、私の想像をお書きしたいと思います。




①統合失調症の誘因


~「限界値を超えて(脳の)ダムが決壊するに至ったものは何か?」


私の考えでは、発症に至る誘引としては、
ストレスに対する脳の防御反応が限界値を超えた結果だと想像しています。


どういう事かと言いますと、
(遺伝的な要因や家族からの暴言・DV等を受ける環境で育った、
 いじめ等のトラウマチティックな出来事を経験した等の理由で)
「感覚過敏」、特に聴覚・視覚から入力される不快刺激に対する敏感さ
を有していた子供が居たとします。

その子は、
相手の怒声や不機嫌な表情に脅威を感じ、「相手を怒らせない様に」
と極度に気を遣い、自分の意見や感情を抑圧して相手に迎合したり、
他人との関わりを避けたり等、

まるで他人は「いつ銃で撃って来るのかわからない」という世界
を生きる事になってしまうかも知れません。

加えて、
親等の養育者との関係性の中で「愛着形成」が成されていなければ、
外にも内にも「安全基地」が無いといった、
まるでシェルターが無い戦場の中を生き抜いてゆくしか無くなるでしょう。

余談ですが、その昔ベイトソンが統合失調症の原因と考えた
 親と子の間の「ダブルバインド」理論の例では、
 恐らくこのこの母子の関係性は「不安定型愛着」で、
 子は恐らく「愛着障害」(=安全基地が作られない)になっている
 と考えられますので、
 統合失調症の原因としてはあながち無関係とは言えないと思います。


そうなると、
フロイドが言う所の自我の防衛機制等を最大限駆使して、
なんとか生き延びて来たが、
銃を持った人たちに至近距離で周りをぐるっと取り囲まれた
と感じる様なストレスに襲われると、万事休す。
今迄の防御反応が通用しなくなり、いよいよ命の危機に陥ります。


この危機的な状況では、
さながらダムが完全崩壊を防ぐ為に、
一部を決壊させる様な最終手段を採るでしょう。


つまり、
それまでの防御反応では防ぎきれない程にストレスが蓄積したか、
爆弾を投下される様な決定的なストレスを被った事が、
ダムの決壊を招いたものと考えます。

またまた余談ですが、”陽性症状”の幻覚や妄想は、ひと言で言うと
 「被支配・被コントロールによって自分の存在そのものが脅かされている」
 感覚と言えると思いますし、

 ”陰性症状”における引きこもり、うつ状態等の自閉的な傾向は
 過覚醒⇒低覚醒への移行のみならず、極めて自己防衛的に感じますので、
 私の考えを裏付けている様にも思えます。




次回は、
②「”脳の神経伝達物質の機能障害”は何故起こったのか?その原因は?」
についての私の想像をお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2023/4/3 (月)

統合失調症➉本当の?原因<仮説(1)>

<前回からの続き>

「統合失調症」について、私が常々疑問に思って来た事があります。

それは、統合失調症の発症の原因の一つと推測されている
「脳の発症脆弱性」(=発症し易い脳の構造や機能の異常がある)

つまり
「脳の神経伝達物質の機能障害」を遺伝的な要因等で元々持っていた
とされている部分です。


と言いますのは、
もし生まれつき「脳の神経伝達物質の機能障害(発症脆弱性)」を持っていた
とするならば、

統合失調症の発症時期とされる思春期や青年期以前も、
それによる”徴候”が見られるのではないでしょうか?


でも、
それまでは”普通”の生活を送っていた方も多い様です。


また、
もう一つの要因と言われる「ストレス」にしても、
発症する前にも、
環境の変化や家族や学校、職場等での対人関係や勉強・受験、将来への不安
等の多くのストレス(極端な場合は虐待・ネグレクト・親との離別等も)
晒されてきた筈です。


なのに、
それまでは平気だったものが、何故いきなり発症してしまうのか?


更には、
統合失調症とよく似ている症状である
「短期精神病性障害」「統合失調症様障害」等は、
「6ヶ月未満で治り、元に戻る」訳ですし、

「妄想性障害」では、
幻覚、支離滅裂な発言や行動こそ見られないが、
例えば「私は四六時中誰かに見張られてるに違いない」等といった
病識が無い妄想が続く訳です。


それはまるで、ダムの決壊の様に思えてなりません。


例えば、
構造上の問題があったり、
貯水量の限界値を越えて水が貯まり続けたダムの場合・・・

限界値を超えた水を蓄えた場合、
チョロチョロと水漏れし出すかも知れません。

ただ、
徐々に水が引いてゆき、何とか決壊には至らなかった場合が、
上記の3つの障害なのかも知れません。

一方、
貯水量が限界値を越えてダムが耐えきれず決壊してしまった状態が
統合失調症なのではないでしょうか?

そして、
決壊したダムを精査した結果、「側面に亀裂が入っていた」
とか「底面の強度不足」等と、
「ここが悪かった」「あそこが問題だ」と言ったところで、

一番の問題は貯水量が限界値を超えた事であって、
壊れたダムを検査しても、それは元々の欠陥なのか、
決壊した結果壊れたものなのか?区別がつかない事もあるのでは
ないでしょうか?


私の勝手な想像をお書きしますと、
統合失調症発症の一因とされる「脳の神経伝達物質の機能障害」は
あくまで結果であって、そこに至る原因が別にあるのでは?と思います。

それについて次回からお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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