問題(原因)志向「WHY?」から解決志向「How(What)?」へ
問題(原因)志向「WHY?」から解決志向「How(What)?」へ
目次
以前の記事で「悩み」よりも「望み」に焦点をあてませんか?とお書きしました。
でも、現実があまりにも厳しかったり苦しかったら
「今の状況でそんな事できる訳が無い」とか「目標や望みを思い浮かべても、
すぐに”現実”に引き戻されてしまう」という人もいらっしゃると思います。
そして「何故こんな事になってしまったんだろう?」とか
「どうしてこんなに苦しいんだろう?」等といった考えに支配されてしまうと
夢や目標や希望は木端微塵になり、がっちりと辛い現実に固定されてしまい、
そこから抜け出せなくなる感覚に襲われてしまいます。
僕が思うに、人間は夢や目標や希望といった未来に目を向けるから、
今の現実を生きぬく力が湧いてくるのだと思います。
でも「Why(何故)~?」と答えの出ない様な問いかけで原因や問題に目を向け続けると
”問題のある今の現実”が、あたかも絶対不変なものと感じる様になって、
今の現実を抜け出そうとする力が減ってゆく→すると増々現実に固定され
未来に目を向ける事ができなくなる→すると増々現実に縛られ続ける・・・
といった悪循環になってしまうと思います。
僕は絶対不変の現実なんてありえないという考え方をしています。
病はいつか癒えるし、人間関係も日々変化してゆく、夫婦も親子も
年齢や経験と共に変わってゆくし、体型やしわの数も変化してゆく・・・(笑)。
そして今の現実から抜け出したい、変化して欲しいのであれば、
もう一度ご自分の夢や目標や希望に目を向けてみませんか?
その為に役に立つ問いかけは「How?」や「What?」です。
ー
「あなたは、今の現実をどう変化させたいですか?」
「どうなりたいですか?」
「もし、それが実現したら何がしたいですか?」
→でも、すぐに「やっぱり無理だ」と現実に引き戻された人は
「どうやってそれを実現したらいいだろう?」
「それを実現する為の第一歩は何だろう?」と
頭の中の「Why?」をすぐに「How?」や「What?」に変えてみませんか?
そして、その答えを少しずつ実行して行きませんか?
どうせ放っておいても現実は変化してゆくものです。
ならば、あなたの望む変化の方向に変えていけた方がいいと思いませんか?
「悩み」ではなく、あなたの「望み」は何ですか?
ご相談に来られる方の殆どが、当然の事ですがご自分の「悩み」について
多くを語られます。
それは、そうですよね。「悩み」があって、自分ではどうしようもなくなって
来られる訳ですから。
カウンセリングや心理療法には「悩みを聞いてもらって、スッキリする」
という効果も勿論あると思います。
でも、それだけではおうちに帰って日常生活に戻ると、
また「悩み」に襲われ始める・・・。
そこで、僕は悩みを一通りお伺いした後で、
「あなたの”望み”は何ですか?」
「何がどうなったら”ここへ来て良かったな!”と 思いますか?」
というように「望み」や「目標」をお伺いしております。
もしあなたも”悩みのエキスパート”になってしまっていて、苦しんでおられる
のなら”望みのエキスパート”になってみませんか?
ー 例えば「こんな症状で困っています」、「〇〇な性格を治したいです」等々。
→「もし、その”望み”が叶ったら、今はできない何をしていますか?」
と自分に問いかけてみませんか?
カリスマ精神科医の神田橋條治先生は、ご著書の中で
「朝起きたら、”今日は何をしたい?”と何度も何度も 自分に聞きなさい。
それが思い浮かばなかったら、今から起きて、朝ご飯までの間に何をしたい?、
とか小さく小さくしてみる。そして”したい”と感じる事があったら、してみて、
それを毎日続けてみて」と患者さんによく仰るそうです。
そういう意味では、
毎晩寝る前に「症状がなくなったら(性格が改善したら)何をしたいかな?」
と自分に聞いて、朝起きた時に「今日は、昨晩の”望み”の中で何がしたいかな?」
と、したい事を少しずつやってゆくのも有効だと思います。
乱暴な言い方をすれば「症状があろうとなかろう」と、
性格が変わろうと変わるまい」と「自分の”望み”に沿った人生を
歩んでいければ、人は幸せな人生を送れる」と思うんだけどなあ。
「例外」,「ユニークな結果」①どんな辛い時でもマシな時はある
うつや不安、パニック、過食、強迫、不登校・引きこもり、依存症・・・。
ご自分や家族がどんなに辛い状態に襲われていたとしても
必ず「少しはマシ」な時期や日や瞬間があるはずです。
そして、そうした「少しはマシ」な時をSFA(解決志向ブリーフセラピー)では、
”例外”と言います。
SFAでのカウンセリングの成否は、その”例外”を見つけて頂く事にかかっている
と言っても過言ではありません。
そして”例外”が見つかったら、
「なぜ例外が起きたか?」を徹底的に考えて頂きます。
ーその例外が起きた原因は、例えば「いつもと違う考え方や行動をしてたから
なのか?」或いは「いつもと違う事が周りで起きていたり、”問題”が起きる
シチュエーションとどう違っていたか?」といった、例外を作ったであろう原因
を分析して頂きます。
そして「これが原因かも?」と思えたものがあれば、再現できるものは
試しにもう一度やってみて「うまく行って例外がまた起きれば続ける」、
「うまく行かずに例外が起きなければ再び例外を探し、原因分析をし、
”これが原因かな?”と思える事をもう一度試してみる」・・・という繰り返し
が大切です。
そうして行けば、必ず”例外”的にマシな時間が増えていきます。
そして「例外がもはや例外では無くなった時を解決と言う」のです。
ー例えば、あなたが過食に襲われていたとして、”例外”を探って行くと
「太るから普段はご飯を食べないけど、ご飯を食べちゃた時は過食衝動は
そんなには強く襲って来なかった」のであれば、「ご飯を食べてみる」と
”例外”を起こせるかも知れません。
ーまた例えば、あなたのお子さんが引きこもりに襲われていて、
「普段は食事を作って部屋の前に置いておくのだが、たまたま夫婦で旅行に
出かけて帰って来たら、子供がコンビニで食べ物を買って食べた(外出した)
様子だった」というのであれば、余裕があればまた旅行に行くか、
もしくは食事を作らずお金だけ渡しておく、という方法も試してみる価値がある
でしょう。
もし万が一例外がみつからなければ以前お書きした「ミラクルクエスチョン」
等で半強制的に(笑)”例外の日”を作り出して頂く事もあります。
そして、このミラクルクエスチョンやナラティブ・セラピーの「ユニークな結果」
というものは、問題を抜け出した輝かしい未来に目を向ける事に役立つ考え方です。
次回はナラティブ・セラピーの「ユニークな結果」についてお書きしたいと思います。
「例外」,「ユニークな結果」②”最悪”から”輝かしい未来”へ
前回はSFA(解決志向ブリーフセラピー)の”例外”についてお書きしましたが、
今回はナラティブ・セラピーの”ユニークな結果”について述べたいと思います。
”例外”と”ユニークな結果”という二つの概念は非常に似ている感じがしますが
ここからはあくまで僕の私見での違いを述べさせて頂きます。
”例外”は「その問題をあなたは解決する力を持ってるよ。既に解決した事が
あるはずだよ。その力をもう一度使ってごらん」と暗示的に理解してもらい
その”力”を今の問題解決に単発的に使って頂く、という考え方だと思います。
つまり、その”力”を未来にどう役立てるか?の枠組みはあまり強くない印象です。
(※勿論、ミラクルクエスチョンや黒沢先生のタイムマシンクエスチョン等は、
未来に眼を向けるのには十分役立ちますが)
一方、”ユニークな結果”は、”問題”に支配されていない時に焦点を当てて
いくまでは、”例外”の考え方と似ていますが、もっと直接的に”例外”を
引き起こした”力”を炙り出して行き、その人個人の新しい視点による歴史
(人生の物語)を紡ぎ出すきっかけとする事ができます。
ー例えば、あなたが「うつ」に支配されていたとして、
「うつ」から自分を取り戻してた時期や瞬間に目を向けて行きます。
そして「うつ」から自分を取り戻す時に使っていた”力”に名前を付けます
(例えば、”未来への希望”等)。
次にその”力”を人生で初めて使った時や今迄に使った歴史(場面)を思い出して
行きます。
そしてそれは誰の影響を受けて身に付けたのか? その”力”の事を知っている
人達は誰で、その人達は、あなたからどういう影響を受けたというだろう?
更にその”力”は今後のあなたの人生でどういうふうに役だって行くだろうか?
・・・、等を考えてゆきます。
そうしてゆくと、あなたが持っている”力”が、単に「今の問題を解決する為に
単発的に使うもの」ではなく、今後の輝かしい人生を創りだしてゆく”力”として
あなたの人生の物語にがっちりと織り込まれていきます。
(※つまり、今迄は「”問題”に支配されてきた過去→現在→未来という自分の物語に縛られ
必然的に”問題に縛られた未来”しか見る事ができなかったものを、問題に対抗してきた”力”を
過去→現在という連続体で見出してゆく事と、その”力”の承認を第三者に受ける事により
その延長戦上にある”輝かしい未来”のストーリーを描く事も可能になってゆく訳です)
そうすれば「うつっぽさからは脱したけど、これから何をすればいいかわからない」
等といった迷い道に光を灯す事ができるでしょう。
もし迷ったら、自分が身に付けて来た”その力”を最大限に発揮してた時は
いつだっただろう? どんな事や仕事をしていた時かな?」と自問したり
「この”力”を発揮できる物事や仕事は何だろう?」と考えて行けば
輝かしい未来へのヒントが見つかるのではないでしょうか?
ミラクルクエスチョンの応用~既得の能力と必要な能力を知る
「私には何の取り柄もなくこの悩みから抜け出す力が無い」
「自分の目標に近づきたいけど今の自分に足りないものがあって
無理だと思ってしまう」
悩みや困難に襲われてる人は多くの場合、自分が持ってる能力をみくびって
しまっていたり、具体的にどんな能力を伸ばして行ったらいいのかがわからなく
なってしまってる事が多いのでは?と思います。
こういった場合には悩みや困難から離れて、それらが既に解決されている場所へと
視点を変える事が有効です。
その為の一つの手段として、数十年前に解決志向ブリーフセラピーで使われ始めた
「ミラクルクエスチョン」という質問があります。
ここではその”変形”として「自分が既に持ってる能力を知る」事と
「今の自分が身に付けるべき能力を知る」為の質問法をお書きしたいと思います。
<自分が既に持っている能力を知る質問>
「仮に悪魔がやって来て、”お前の持ってる能力や長所、資質等を奪い取ってやる!
但し全部奪うと可哀想だから1つだけは残しておいてやろう!”
と言われたとすればあなたは何だけは取られたくないでしょうか?」
→その取られたくないものが、あなたにとってのかけがえのない力・財産のはずです。
そして、その力を発揮して来た場面を思い出してみましょう。
あなたのその力を使って、今迄の困難をどの様に乗り越えて来たのでしょう?
そして、今ある困難にはどの様にその力で立ち向かって行くと思いますか?
あなたのその力を知ってる家族や友人達はあなたがその力を使って、
どんな風に今の問題や困難を抜け出すだろう、と言ってくれるでしょうか?
<今の自分が身に付けるべき能力を知る>
「仮に天使がやって来て、”あなたが今の困難を乗り越える為に
1つだけ能力をプレゼントします”と言ったとしたら、どんな能力が欲しいですか?」
→その能力が今のあなたにとって必要なものですよね?
念の為にまず、その能力をほんの少しでも発揮した過去の場面を思い出して
みましょう。
もしかしたらあなたは既にその力の”芽”を持っているのかも知れませんから。
そしてあなたが欲しいその”力”を既に持ってる人を思い浮かべてみましょう。
次に、今晩あなたが寝ている間に”その人のその能力”が身についてしまった
とします。(でもあなたは寝ていたのでその事に気付きません)
明日の朝目が覚めた時に何が違っている事から、あなたはその”力”が
身に付いた事がわかるのでしょうか?
そして、明日のあなたを”密着取材ビデオ”で撮ったとしたら、
あなたの変化に誰が最初に気付くでしょうか?
良かったらその”ビデオ”をイメージしてみて、朝起きてから寝るまでの一日
を見てみませんか?
あなたはいつもと違うどんな言動をしてるのでしょうか?
あなたの周りの人達はいつもと違うどんな態度や言動をしているのでしょう?
そんな事をイメージしてみませんか?
そしてその”ビデオ”のほんの一部でも既に起こっていた日は
今迄になかったでしょうか?
もし、そういった日があったのならいつもと何が違っていたのか?を
思い出してみませんか?
逆に、それに少しでも似た日が1ミリもなかったのであれば
ビデオの中のあなたの言動の、どの部分なら無理なくできそうでしょうか?
そのほんの一部をその”力”が身に付いたフリをしてやってみませんか?
通常、こういった質問は解決志向のセラピストとクライアントの間でやり取り
されるものですので、お一人で難しい様でしたらお気軽にご連絡下さい。
#私のカウンセリングの特長については、
こちらにお書きしてますので、ご参照ご参照下さい
リソースノートをつけてみませんか?
心因と思われる症状や悩みに襲われて来談される人の多くは
自己評価や自己肯定感、自尊感情などが極端に低くなっておられる場合が多いです。
そういった方へのヒントとして今回は「リソースノート」を書いてみられる事
をご提案します。
まずここで言う「リソース」とは、あなたが悩みや問題を解決する為に、
或いは目標を実現する為に既に持っている資源や能力、特性等を意味します。
そして誰でもその人ならでは「リソース」を必ず持っているものです。
所が、悩みや問題に巻き込まれると「リソース」に目が向かなくなってしまい、
それゆえ「リソース」を活用できなくなっちゃう。
そうなると当然、「今の悩みや問題を解決するなんて私には無理だ」とか
「私の夢なんてどうせ実現できっこない」等という思考に襲われ、
その窮地から脱出する事が増々困難になってしまう・・・。
これは、所謂「自信がない」状態ですね。
”自信”とは「自分を信じる事だ」と誰かが言ってましたが、
じゃあ、自分の何を信じるのかというと「自分は(この悩み・問題を解決する為の)
リソースを持っている」という事を信じる事だと思います。
勿論、自信を取り戻す事はあくまで出発点であって、
そこから「リソース」を少しずつ増やしていったり、巾を拡げてゆく、
自分以外のリソースを活用する事等も大切な事だと思います。
(※自分が既に持ってるリソースだけで満足し「ありのままの私でいいんだ」
なんてやってると、進歩・成長がない(笑))
ただ実際に来談される程、困っていらっしゃる人はまず”自信”を取り戻す事
=リソースを再発見する事から始められたらいいと思います。
その為に役立つ一つの方法として「リソースノート」のつけ方をご紹介します。
<リソースノートのつけ方>
①過去の困難や苦悩を乗り越えた場面をできるだけ多く思い出す
(1)その時に自分のどんな”力”を使ったか?
(例:行動力?、忍耐?、底力?、諦めない?・・・等)
→それを場面毎に書き出してゆく
(2)もし、他人の助けを借りたのであれば、その人があなたに向けた力は?
(例:愛情?友情?いたわり?承認?・・・等)
→その人の名前とあなたに向けた”力”を書き出す
②今迄にあなたが何かを達成した(小さなものでも)場面をできるだけ多く思い出す
(1)その時に自分のどんな”力”を使ったか?
(例:行動力?、忍耐?、幸せになりたい?、諦めない?・・・等)
→それを場面毎に書き出してゆく
(2)もし、他人の助けを借りたのであれば、その人があなたに向けた力は?
(例:愛情?友情?いたわり?承認?・・・等)
→その人の名前とあなたに向けた”力”を書き出す
③今迄にあなたが他人の役に立った(相手が気付いてなくても)場面を
できるだけ多く思い出す
(1)その時に自分のどんな”力”を使ったか?
(例:愛?、正義感?、行動力?、勇気?・・・等)
→それを場面毎に書き出してゆく
(2)もし、その相手があなたの長所や良さを言うとすれば?
(例:優しい?、愛に溢れた?、義理堅い?・・・等)
→その人の名前とあなたの長所や良さを書き出す
④あなたが愛する人を全て思い出す
(1)あなたがいなくなるとその人は何を失うと言うだろう?
(例:生き甲斐?、愛?、頼るもの?、幸せ?・・・等)
→その人の名前とあなたの”存在価値”を書き出す
※今書き出したものがあなたが既に持ってるリソースです。
それをじっくりと読み返してみましょう
⑤書き出したリソースの中で、”今の悩み”に使えるものは何か?
をじっくり考えてみる
(例:「諦めない」と「友情」)
(1)それを使うとすれば、まず何をすればいいか?を考え”小さな目標”を
書き出す
(例:諦めないと決心する、友人に電話する等)
(2)もし、今持ってるリソースだけでは足りず、巾を広げたり
新たなリソースが必要だと感じた場合は、それを”取得目標”として書き出す
(例:「もっと行動力が欲しい」、「職場の人の力を借りたい」等)
→そして次の様に想像する
「仮にそれがもう既に手に入ってるとすれば、私はまず何をしているだろうか?」
(例:思い切って、上司に今の窮状を相談する等)
→その「答え」を”小さな目標”として書き出す
※想像する時にあなたが欲しいリソースを既に持ってる人を思い浮かべ
「あの人だったらどうするだろう?」と考えてみたり、「他人の力を借りるとすれば
誰が一番いいかな?」等と考えてみるのも役に立つと思います。
※ここまでで、あなたの「リソース」と「目標」が出揃ったはずです。
あとはそれを基に「実践とフィードバック」です。
⑥1日が終わったら毎日リソースノートを開いて、
(1)あなたの「小さな目標」や「リソースの取得目標」の進捗と
必要なら「次の小さな目標」を書き加えます
(2)その他のあなたが既に持ってる(既に書き出してる)リソースの中で
その日使ったリソースに「☆印」を入れてゆきましょう。
#自責・自己嫌悪(否定)・後悔の解消の為のカウンセリング
については、こちらにお書きしてますので、ご参照ください
セラピスト・カウンセラーの大家は、やはり違う
以前の記事でご紹介したカリスマ精神科医の神田橋條冶先生、龍谷大学教授の
天才セラピスト東豊先生、20世紀のカウンセリング界の巨匠
カール・ロジャーズ先生。
最近、ご著書や関連本を読んで「やはり凄いな、違うな!」と敬服したので
忘れないうちに(笑)記事にさせて頂きます。
(※少しばかり専門的になるかも知れませんがお許し下さい)
新しい心理学の潮流で言うと、「専門家が患者を治療する」という専門家中心主義や
過去の医学モデルを基にした心理学理論は違うんじゃないか?と、ポスト構造主義
といった哲学や社会構成主義といった社会学を基に「脱中心化」「脱構造」を目指して
マイケル・ホワイトの「ナラティブ・セラピー」や
アンダーソン&グーリシャンの「コラボレイティブセラピー」、
アンデルセンの「リフレクティングチーム」等が欧米で人気があります。
彼・彼女達は、要するに「専門家が中心にならない」様に、
しかも「その人に問題がある、という考え方から脱しさせる」為に「外在化」を
使ったり、問題を含んだ物語を書き換える為のちょっとした手伝いをしたり、
「”無知”のポジション」を採ったり、セラピスト+クライアントのチームとそれを
聞いてた別のチームで交互に意見を述べ合ったり、という方策を採ったりしています。
そして前にも述べましたが、神田橋先生は整体や民間療法、どの薬が合ってるかを
Oリングテストで選ぶ、等のまさに「精神科医」という構造を”脱構築”している
感じを受けました。
東先生は「システムズアプローチ」という手法の日本の大家ですが、専門家が
「(家族)システムに変化を及ぼす」という部分では、「脱中心化」する以前の理論
と言えると思います。
所が最近のご著書で、P(ポジティブ)循環を横(家族システム)に生じさせる
だけではなく、縦(神仏)にも生じさせる事が必要と仰られています。
例えば先生は「神様、このクライアントの為に私をお使いくださって、
有難うございます」等と、毎朝毎晩神様に感謝をされるそうです。
僕の勝手な意見ですが、そうされる事によって「クライアントより一段上」
という立場から「神の元では同じ」という「脱中心化」を計られておられる
ように感じました。
更に「家族システム」を変化させる、という事よりもP(ポジティブ)循環を
縦横に生じさせるという家族システム論の脱構築をなさっておられるようにも
感じました。
そしてカール・ロジャーズ先生は、「受容」「共感」「自己一致」の3原則を掲げ
「傾聴」の本家本元の巨匠です。
※日本のカウンセリングで傾聴(話を聴く)が多いのは先生の影響です
ロジャーズ先生と言えば、「傾聴」、「指示やアドバイスはしない」という
イメージが強いのですが、家族療法家のリン・ホフマン先生が
ロジャーズ先生の面談ビデオを見て、驚くような事を書いておられます。
ー「ビデオを見て、ロジャーズの沈黙の使い方や身体感覚への関心の払い方が
トム・アンデルセンに似ている。”積極的傾聴”や”無条件の肯定的関心”
といった印象とは非常に異なり、むしろコラボレイティブなアプローチに
とてもよく似ている」。
もし、ホフマン先生がおっしゃる通りなら「歴史に名を残す大家はさすがに違うな」
と思います。
「〇〇学派」や「△△論」といった”薄い構造”ではなく、
臨床の現場で身に付けられた「生きた分厚いオリジナリティー」を持っておられる
のだと。
それを理論や技法のみを真似たところで、所詮はコピーなんだなと。
そういった意味では、僕自身も現場で得させてもらってるものを
もっともっと分厚くして行きたいと思います。
因みに神田橋先生と東先生のご著書で専門家は勿論、一般の人にも読みやすくて
大変わかりやすく為になる本をご紹介します。
◎「発達障害は治りますか?」(神田橋條冶他著、花風社)
◎「リフレーミングの秘訣」(東 豊著、日本評論社)
深町療法
故深町健先生(前の町病院副院長)が開発された
「深町療法」の実際を弟子である安田弘之先生(九州大学医学部教授)が
書かれた本を最近読みました。
この深町療法は、主に摂食障害や気管支喘息等の所謂心身症の治療を
目的として開発され、神経症一般にも応用範囲を広げられたものです。
深町先生は心身症の病態理解として「大脳皮質の視床下部に対する不当な干渉」
であるとし、その干渉を断ち切る事を目的とされた。
では、その「不当な干渉」とは何か?
僕の理解では「お前はまた太るぞ」とか「そんな事やってたらいつまでも治らないぞ」
等と言った(恐らく超自我の)脅し(思考)の事を言っておられると感じました。
そして具体的な治療法としては、
①「良い自分」(自我)と「悪い自分」(超自我)を区別して、
「悪い自分」のささやきを聞き流す事
②面接後に毎日感じた事や考えを全て「感想文」に書いてもらい
自分の頭の中を整理しそれを次の面接時に先生に見せる。先生はそれを見て
良い所は取り上げ、悪い自分や依存傾向が読み取れたら指摘したり、突き放す。
③(入院時は)「行動制限療法」と言って、一旦、面会や家族友人等との連絡や
TV、ラジオ、読書、外出等を禁止し、体重や薬の減薬等の目標に達する毎に
漸次行動制限を緩めて行く等の手法を用いられ、わずか数分(入院時は毎日)
の面接で症状を改善してゆかれる(不当な干渉を切る)様子がケース事例で
描かれていました。
ここからは僕の勝手な「感想文」(笑)ですが、
①「悪い自分」と名づける事で、超自我と自我を切り離して外在化して自我を
守りつつも、「あなたと関係のない別の物が憑りついたよ」といった外在化ではなく
あくまで「それも”自分”だよ」と暗示する事によって、自我に責任を持たせる
②「感想文」により「良い自分」(自我)の活躍は応援し、
逆に「悪い自分」(超自我)の働きに対しては相手をしない
③「行動制限」により、「自分(自我)の力で達成する事を学ばせる
等、とことんまでクライアントの持っている力(リソース)を信じ、
自我を強化する事を目的とされている様に感じました。
僕自身は、ついついクライアントさんの自我に対して過保護になりがちなので、
大いに反省させられたし勉強させて頂きました。
#心身症・自律神経失調症の改善のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
高橋規子先生~ナラティブセラピー
先日、ナラティブセラピーを臨床で実践されていた故高橋規子先生の論文集を読んだ。
先生は元々はロジャーズ派の所謂傾聴を主体とするアプローチをなさっておられたが
来談者の多くが家族で来られるという環境の中でそのアプローチの限界を感じ、
家族療法(システムズアプローチ)の吉川悟先生に師事された。
所が、システムズアプローチの場合は、治療者本人もその治療システムの中に
組み込まれているのに、客観的な観察者・専門家というポジションを取り、
治療者の思う方向へ面接をリードして行ったり、専門家としての介入を行う事
の矛盾を感じられた。
そこで高橋先生は脱専門家、脱客観的ポジションを標ぼうするナラティブアプローチ
(特にグーリシャン&アンダーソンのコラボレイティブアプローチ)に傾倒されて
いかれた。
ナラティブアプローチとは、社会構成主義という理論を基にし、簡単に言うと
「客観的な一つの事実や固定された現実等はなく、
その事実をどんな意味づけをされた言葉でどう語るか?によって
パラレルワールドの様な幾重にも重なった別の事実が生み出される。
そしてクライアントは問題や症状の専門家で、クライアントのローカルな
(独自の)言葉や語りの中に主観的な事実が埋め込まれている。
治療者側もその言葉や語りの中に自分独自の主観的な事実を有している。
そうして二人が対話する事によって問題が含まれない”現実”を紡ぎ出してゆく」
という事です。(難しくてすみません(笑))
高橋先生はナラティブアプローチの中で恐らく実践するのが一番難しい
「無知の姿勢」を採るコラボレイティブアプローチをなさっておられたようだ。
(今の僕にはできません(笑))
しかも先生のその徹底した姿勢は「クライアントとの共同事例研究」
による論文を発表なさるという業績にも表れている。
「クライアントが共同研究者として論文の共著者になる」という事は
業界を震撼させたようだ。
でも、彼女の治療者としての自分が信じた道を
譬え周りに理解されなくても貫き通す姿勢は胸を打たれた。
しかも先生はエリクソン催眠や解決志向ブリーフセラピー、臨床動作法等、
様々な他学派の勉強もなさっておられた。
特に(一部”専門家”からは邪道扱いされてる)NLPにも造詣が深かった
のには驚いた。
先生はNLPの有効性をよくご存じだったが、専門家・治療者として
どうしてもOne Up Positionを採らざるを得ないNLPは
ナラティブアプローチとは馴染まず、泣く泣く封印なさった事もあった様だ。
僕は先生の事を語る立場にはまだないと思っているが、大きな勇気を頂いたし
「自分の信じた臨床道」を突き進む強さと、「どこまでもクライアントの語る事実」
を大切になさる姿勢は大いに参考にさせて頂きたいと思う。
ハコミセラピーと心屋さんの魔法の言葉
心屋仁乃助さんの「魔法の言葉」がすっかり有名になりましたね。
それを言わされた芸能人やクライアントさんは何故涙を流したり、
パニックに陥ったりするのでしょうか?
それは、その人が持ってる自分でも気が付かない中核的な信念
(コア・ビリーフ、スキーマ、禁止令)に直に切り込むからだと思います。
中核的な信念とは、主に子供時代に形成され、大人になってからもそれに基づいて
思考し判断し行動してゆく自分独自の価値判断の基準となるものです。
ただ、大人になってからはその”信念”の為に逆に生き辛くなったり、
症状や人間関係等の”問題”を引き起こしてしまう様な不適合的な信念もあります。
例えば、子供時代にテストで95点を取っても
「何で100点じゃないの!?クラスの〇〇ちゃんは100点だったと聞いたわよ!」
等といつもダメ出しをされて親から認めてもらえなかった場合、
「私はダメ人間だ」という信念が出来上がるかも知れません。
そしてその人は、それでも生きてゆく為に
「(そのままではダメ人間のままだから)完璧じゃなきゃダメだ!」とか
「頑張らなきゃ」といった中核的な信念に”対抗する信念”を作り上げる
かも知れない。
心屋さんは(そこばかり突く訳じゃないですが)「私はダメな奴と思われてもいい」
等という言葉を言わせて、この中核的な信念を言い当てて切り込んでゆく。
すると、それに対抗する信念が「ダメ人間のままじゃ嫌だ!
私は完璧にならなきゃ、頑張らなきゃ!でも出来ない・・・」と抵抗する。
この抵抗によって心が動かされるのだと僕は考えています。
一方、ロン・クルツという人が始めた「ハコミセラピー」は、
無意識に「敵だ」と思わせず「味方だ」というスタンスで言葉を掛けるので、
無意識の抵抗が起こりにくい。
例えばさっきの人に声を掛ける場合ハコミでは恐らく
「あなたは完璧な人です」と言う言葉になるだろう。
その言葉は「私はダメな人間だ」という中核的な信念には触れず、
「完璧じゃなきゃ」という対抗する信念に沿ったものです。
そうする事で、無意識は「敵だ」とはみなさず抵抗する事なしに
「そんな事はない(=完璧じゃない)」という中核的な信念を自ら表してくる
事ができます。
しかもハコミでは、常にセラピストとクライアントとが相互に愛を持った交流の場
を作る事を意識したり、いきなり切り込むのではなくマインドフルネスという状態
になって頂いたり、中核的な信念が炙り出された時にクライアントを常に支えたり
といった配慮を行います。
僕はどちらがいいとか悪いとかではなく、心屋さんは不動明王の様に厳しく、
ハコミは観音様の様に優しい。
でもどちらもクライアントさんへの愛に基づいていると思います。
「不動明王の様な厳しい愛」を選ぶのか、
「観音様の様な優しい愛」を選ぶのかはあなた次第です(笑)
因みに僕はどちらかと言うと気の弱い不動明王か、観音様寄りかな?
自分で言うのもなんですが(笑)
#アダルトチルドレンの方のカウンセリングについては、
こちら
精神科医小栗康平先生の「内在性解離」
先日、精神科医の小栗康平先生の「人格解離」という本を読みました。
先生は東京で精神科の臨床医として長年現場で多くの患者さんと向き合って
来られている方の様です。
小栗先生は、うつ状態等の原因の多くは「内在性解離」が絡んでいる
と考えておられます。
通常「解離」というのは、「自分が自分で無い様な感覚」に襲われたり、
記憶がないのに自分が何らかの行為や行動を行っていた、
或いは人格が完全に解離して「多重人格」になる、
等の「自我(自己)同一性」が保たれない状態と言えます。
小栗先生は、こういった通常の解離に加えて表には出てこない
「内在性の解離」を想定されています。
(※僕が思うに、その「内在性解離」とはサイコシンセシスやNLPで言う所の
「パート(人格の、ある部分)」と言う概念に近いと思います。)
先生のケース事例を見る限り、通常の解離(先生の定義で言うと”外在性解離”
とでも呼べるのでしょうか?)の場合の人格の統合の鮮やかさは
とても参考になるものでした。
(※もっとも僕は何が何でも人格を統合しなければいけないという立場
ではありませんが・・・。)
また「内在性解離」のクライアントさんとのケースでは
さしずめサイコシンセシスやNLPの「パートの統合」に近い物を感じました。
そして、その様な手法を使っても”統合”できないケースの中には
「霊が憑依」した状態があり、それを霊能者とタッグを組んで
「浄霊」されるという事例がありました。
僕は霊の世界はよくわかりませんので否定も肯定もしない立場です。
ただ、仮に霊障的なものがもしあったとしても心理療法によって
クライアントさんの思考や感情の波動が変われば、
いつまでも憑依し続けられないのでは?と考えています。
いずれにしても3分診療⇒処方箋といった先生方が多い中で
ユニークな視点でセラピーをなさっておられるという点で、
僕が興味を持った先生のお一人です。
#解離性(同一性)障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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