多重人格障害(解離性同一症)の治療法①カウンセリング(1)安心・安全の確立
多重人格障害(解離性同一症)の治療法①カウンセリング(1)安心・安全の確立
今回からは
多重人格障害(解離性同一症)の治療法
についてお書きしてゆきたいと思います。
治療法を大きく分けると、
①カウンセリングによる治療
②医師による薬物治療
の二つになりますが、
今回から3回に分けて、
①のカウンセリングによる治療
についてお書きしてゆきたいと思います。
<多重人格障害(解離性同一症)の治療法①カウンセリング
(1)安心・安全の確立>
今迄お書きして来たように
多重人格障害(解離性同一症)とは、
先天的に「感覚過敏」や「解離のし易さ」
という遺伝の影響を受けている人が、
幼少期に「虐待」や「ネグレクト」等の
不適切な養育を受けて来た場合、
数知れないトラウマを受け続ける中で
(複雑性PTSD/発達性トラウマ障害)、
トリガー(引き金)によって、
背側迷走神経系による「凍り付き反応」(解離等)
がベース(デフォルト)となり、
自己同一性や理性の座であると考えられる
前頭前野(等の大脳皮質)の機能を弱化させ(乗っ取り)、
無意識下に抑圧されていた交感神経系による
「闘争・逃走反応」や、甘えたりする「愛着を求める反応」
等に纏わる”サブパーソナリティー”達は、
トリガー(引き金)によって活性化し、
代わる代わる前頭前野を乗っ取る。
それが長期間に渡って継続する事によって、
前頭前野が制御できない「解離」「防衛反応」「愛着反応」
等が独自の人格(サブパーソナリティー)の形成を強化
してゆくと考えられます。
だとすれば、まず
安心・安全・社会的な交流・治癒等に関係している
と考えられる腹側迷走神経系を活性化させる必要
があるでしょう。
その為には以下の手順に沿ったカウンセリングが必要
だと考えます。
※以下、”サブパーソナリティ”=”SB”と表記します
①自分の内と外に安心・安全をもたらす”基地”を作る
「私が一瞬でも安全・安心を感じる時間は、
誰とどこで何をしている時か?」
と自分に訊いてみましょう。
例えば、
「家で、好きな音楽を聴きながらペットと戯れている時」
「お風呂場で、学生時代に友達と旅行へ行ったという
人生で唯一楽しかった瞬間を思い出している時」
「彼氏とお気に入りの喫茶店でまったりしている時」
等々。
それが思い浮かんだら、その時間を増やしてゆきましょう。
これは、
同時に”基本人格”に関係していると考えられる
前頭前野の働きを取り戻す事に繋がるでしょう。
※「安心・安全の基地なんて無い!」と感じる人には
カウンセラーがその役割を担う必要があります。
※注意:「トラウマ処理」を行う場合は、
必ず安心・安全の基地が作られ、
ある程度腹側迷走神経系が活性化し、
前頭前野が機能する様になってから、
EМDRやソマティックエクスペリエンシング
等を行う事が大切だと思います

