症状は無くそうとしない方が良い
症状は無くそうとしない方が良い
目次
前回
「表面に出ている”症状”は譬え「自傷行為」や「加害行為」であろうが、
メンタルの安定に必要であるもの」
「それ故”症状消失”をターゲットにするのではなく、その根っこにある
脳の働き⇒心の働きの中にその”症状”を維持させている”原因”を
お話をお伺いして類推し、その中でも変えられない部分は受容し、
変えられる部分を変えてゆく事で、
結果として”症状”が必要無くなる方向へ導く」
といった私の考え方をお書きしました。
今回からはその補足として、
「何故症状を無くそうとしない方が良いのか?」
では
「どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?」
についてお書きしてゆきたいと思います。
<何故症状を無くそうとしない方が良いのか?>
まず、
メンタルに端を発すると考えられる”症状”とは一体何なのでしょうか?
私は殆ど全ての”症状”と言われるものは、
その人にとっての不快刺激から来る心の不安定さから逃れ、
安定化を目指すといった脳のホメオスタシスとも言える働きによるもの
だと考えています。
例えば、
ある人にとって「抑うつ」という”症状”は
それによって、学校や職場等の対人関係で被る不安・恐怖や
過度のプレッシャーから生じたストレス等の不快刺激から逃れ、
家に閉じこもってそれらを避けて心の安定化を図る、
といった脳機能が働いているのかも知れません。
(不登校・引きこもり等もこれに当てはまると思います)
また例えば、
ある人にとって「盗撮・痴漢・万引き等の触法行為」や
「ギャンブル・恋愛・性・アルコール・過食・買物・ゲーム等の依存」
といった”症状”は
不安や不満・空虚感等の精神的なストレスから来る不快刺激を避けて
心の安定化を図る、
といった脳機能が働いているのかも知れません。
或いは、
ある人にとっては「家族や恋人にキレる」事で、
不安や満たされなさ、無力感、自己否定等の不快刺激を避けて
心の安定化を図っているのかも知れません。
更には、
ある人にとって「パニック」という”症状”は
不安・怒り等の溜まってしまった不快刺激を一気に放電して
心の安定化を図る、といった脳機能が働いているのかも知れません。
同様に
ある人にとって「リストカットや抜毛等の自傷行為」や「希死・自殺念慮」は
絶えられない心の痛みや「死んだ方が楽だ!」とまで感じる不快刺激から
脱出して心を安定させる唯一の方法であったり希望の光なのかも知れません。
その様に考えると”症状”によって心の安定化が図られている訳ですから、
それを無くしてしまうと不安定に逆戻りするでしょう。
ですから私は「まず症状を抑えよう!」という考え方には賛同できません。
とは言え、
実際に”症状”に苦しんでいるご本人やご家族はどうすれば良いのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
どうすれば症状が必要無くなる方向へ
持ってゆけるのか?①
前回、
「殆ど全ての”症状”と言われるものは、
その人にとっての不快刺激から来る心の不安定さから逃れ、
安定化を目指すといった脳のホメオスタシスとも言える働きによるもの
だと考えている。」
「つまり”症状”によって心の安定化が図られている訳だから
それを無くしてしまうと不安定に逆戻りするだろう。
だから私は、”まず症状を抑えよう!”という考え方には賛同できない」
といった私の考え方をお書きしました。
だとしても、
実際に”症状”に苦しんでいるご本人やご家族はどうすれば良いのでしょうか?
今回は、そういった方へのヒントをお書きしたいと思います。
(※勿論、今の自分にとっての不快刺激が明確であれば、
それを避ける為の環境調整等も必要だと思います)
<どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?>
①今現在の自分にとっての心を安定させる方向性(傾向)を知る
今現在の不安・恐怖・不満・混乱等の不快刺激から来る
心の不安定さから逃れ、安定させる為に”症状”が生じているとすれば、
結果として”症状”が必要なくなる為には
それに代わる”心を安定させるもの”を見つけ、
徐々にそちらの方へ移行してゆく事が必要だと思われます。
但しここで注意しないといけない事は、
心の安定化の方向性は個々の人毎に、しかもその状況によって違って来る
と思います。
だとすれば、
まずは「その人にとって今の状況で、心を安定させる為には
どの方向へ持ってゆけば良いのか?」を掌握する必要があるでしょう。
私が思うに、
心を安定させる方向性としては大まかに分類すると
A.不快刺激を遮断する
これは主にセロトニンやGABAを基にそれに纏わる神経系を活性化し、
心の不安定さを鎮静化する方向と言えるでしょう。
例:ある種の「抑うつ状態」、ある種の「不登校・引きこもり」等。
B.快刺激や興奮によって不快刺激から来る不安定さを抑え込む
これは主にドーパミン(やアドレナリン)を基にそれに纏わる神経系を活性化し、
”快刺激”や”興奮”によって心の安定化を図る方向と言えるでしょう。
例:多くの「依存症」「(嘔吐無しの)過食」
「モラハラ・パワハラ等(他人を支配・コントロールしようとして)キレる」
「(罪悪感を伴わない)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
等。
C.より強い不快刺激によって現実の不快刺激から来る不安定さを抑え込む
これは主に、より強い不快刺激を創り出す事によって
それを抑え込もうとして働く、主にノルアドレナリンやセロトニン、
そしてモルヒネ様の脳内麻薬とも言えるオピオイドの分泌によって
現実の不快刺激まで抑え込もうとする方向と言えるでしょう。
(強い苦痛⇒快感)
例:「自傷行為」「自殺念慮」「過食嘔吐(嘔吐の苦しみ⇒すっきり感)」
「拒食症(食べない苦痛⇒痩せる快感)」「ワーカホリック」
「(罪悪感を伴わなう)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
等。
D.溜まった不快刺激(による不快感情)を一気に(放電)放出する
これは不快刺激を放出できずにため込んだ場合に生じると考えられます。
例:「(支配・コントロールの意図なしに)他人にキレる」
「(ある種の)パニック発作・過呼吸等」
E.他者からの助け・愛情によって不快刺激による不安定さを安定させる
これは主に”愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンを希求し、
それによって心の安定化を図る方向と言えるでしょう。
例:「(わかってくれない)親・配偶者・恋人等にキレる」「共依存」
※1:「恋愛依存・性依存」等は多くの場合、これに加えて
上の「B」の”快刺激”も伴う事が多いと思います。
※2:「対人恐怖」等の「社交不安障害」は
「A」だけでは、益々人と関われなくなり辛くなるので、
「E」や「B」等の他のシステムが必要な場合もあると思います。
※注意が必要なのは、上の「B」~「E」等では
不快刺激に満ちている時は「抑うつ」とされ、
そこから逃れようとしている時は「ハイ」になっている事がありますので、
「双極性障害」と診断されてしまう事もあり得るでしょう。
この様に
「今現在の自分にとっての心を安定させる(”症状”の)方向性(傾向)」が
類推できれば、
次に
”症状”と同じ作用・効果をもたらす「心を安定させる代わりのものを見つける」
に移ります。
どうすれば症状が必要無くなる方向へ
持ってゆけるのか?②
前回お書きした事を参考にして頂いて、
ある程度「今現在の自分にとっての心を安定させる方向性(傾向)」
を仮定できれば、
症状の「代わりになるもの」を見つけてゆきましょう。
今回は、そのヒントをお書きしたいと思います。
<どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?>
②”症状”の代わりになる「心を安定させるもの」を見つける
前回の記事をご覧になって、
ご自分の心の傾向(どの方向で心を安定させるか?)が仮定できれば、
それと同等の作用・効果を持ち、尚且つ自分(や周囲)がより望む方向性へ
シフトできる”代わりのもの”を見つけましょう。
例1:前述の「B」の
「依存症」
「(嘔吐無しの)過食」
「モラハラ・パワハラ等(他人を支配・コントロールしようとして)キレる」
「(罪悪感を伴わない)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
等は、
不快刺激から来る不安定さを”快刺激”や”興奮”によって心の安定化を
図っているといった推測が正しければ、
「ギャンブルや過食の代わりに自分がしたい趣味を手当たり次第にする」
「モラハラ・パワハラする上司に、嘘でも演技でも良いので
思い切り感謝したり持ち上げて、”快刺激”を与えてあげる」
「盗撮の代わりに”ワクワクドキドキ”する楽しい事、
例えばジェットコースターやロッククライミング、
秘境の撮影旅行等を試してみる」
等々。
例2:前述の「C」の
「自傷行為」
「自殺念慮」
「過食嘔吐(嘔吐の苦しみ⇒すっきり感)」
「拒食症(食べない苦痛⇒痩せる快感)」、
「(罪悪感を伴わなう)盗撮・痴漢・万引き等の触法行為・加害行為」
「ワーカホリック」
等は、
より強い不快刺激(+その後の快感)によって
現実の不快刺激から来る不安定さを抑え込むと考えられますので、
「マラソンや登山、スカイダイビング、自転車での遠乗り、
”滝行”等の修行に挑戦する」
等々。
例3:前述の「D」の
「(支配・コントロールの意図なしに)他人にキレる」
「(ある種の)パニック発作・過呼吸等」
等は、
溜まった不快刺激(による不快感情)を一気に(放電)放出している
のだとすれば、
「カラオケルームで心の中の不快に感じるものを大声で吐き出す」
「サンドバッグやクッションを叩きながら溜まっている感情を
動作と言葉で吐き出す」
「誰かに不安や愚痴を聞いてもらう」
等々。
例4:前述の「E」の
「(わかってくれない)親・配偶者・恋人等にキレる」
「共依存」
等は、
他者からの助け・愛情によって不快刺激による不安定さを安定させる事
が目的だとすれば、
「ペットを飼う」
「SNSでできる限り多くのフォロワーを集める」
「居心地の良いグループを見つける」
等々。
例5:前述の「A」の
ある種の「抑うつ状態」
等が、
不快刺激を遮断する事で心の安定化を図っているとすれば、
「イヤーマフやサングラスを着ける」
「保健室登校やフリースクールも考える」
「仕事内容や部署異動、転職等も考慮してみる」
等々。
※1:勿論「A」~「E」のタイプにはっきりと分かれている訳ではなく
同じ人でも状況によって安定化のさせ方が違ってくるでしょうし、
「A」+「B」等と、複数のシステムが働いている場合もある
と思います。
ですから、一番確実なのは
「過去に同じ様な不安定さに陥った時に、誰とどこで何をしていた時に
一瞬でも安定したか?」
「今現在でも、誰とどこで何をしている時に一瞬でも安定するか?」
の場面をできるだけ沢山集めてゆく事だと思います。
※2:「薬が効かない」という場合
=薬はある特定の神経伝達物質に作用し、その増減・流量を
コントロールして、心の安定化を図るものですが、
例えば表面上は同じ抑うつ状態を示していても、
「A」タイプの場合はセロトニンの流量を増やす抗うつ薬で安定する
と思いますが、
「E」タイプには効果が見られないと思われますし、
「B」「C」タイプに必要な神経伝達物質の働きを抑制する方向へ
作用すると思いますので、逆効果になる場合もあるかも知れません。
(薬が効かない方はお気軽にご相談下さい)
どうすれば症状が必要無くなる方向へ
持ってゆけるのか?③
前回お書きした事を参考にして頂いて、
「”症状”に代わって今現在の自分にとっての心を安定させる可能性があるもの」
が見つかれば、そちらの方向へ徐々に移行してゆきましょう。
今回は、そのヒントをお書きしたいと思います。
<どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?>
③”症状”の代わりになる「心を安定させるもの」へ徐々に移行してゆく
今迄は”症状”によって心の安定化を図ってきたとすれば、
脳の神経回路の中に「症状による安定化回路」ができている筈です。
だとすれば、その回路を使わずに他の回路を作るという事に対して
脳の抵抗はとても強いものだと思われます。
それはまるで握っていた命綱を「そこから手を放してこっちに掴まれ!」
と言われる様なものだと思います。
ですから、
”代わるもの”に移行する時には脳にその変化を気づかれないくらいに、
少しずつ少しずつ移行してゆく必要があると思います。
例えば、
ギャンブル依存の人が”代わるもの”として、難易度が高いルアーでの大物釣り
や登山をやってみたいと思ったとします。
その場合は、
ギャンブルをいきなりやめて大物釣りや登山へ移行するのではなく、
例えば週3日ギャンブルしてたのを半日だけ”代わるもの”に纏わる事をする
(例:その情報を集める、ネットで道具を選ぶ、計画を練る等々)
そして、徐々に”代わるもの”の事を考える時間を増やしてゆきましょう。
(症状に纏わる時間を減らすというよりも”代わるもの”に纏わる時間を
徐々に増やす感覚)
※勿論、触法行為や加害行為等今すぐやめないといけない事は別ですが・・。
その場合は”代わるもの”をできるだけ沢山用意して、
それに充てる時間を目いっぱい取る必要があるでしょう。
次回は、不快刺激から来る不安定さに直接働きかける事を目的とした
「自分の(脳の)中に心を安定させる機能を作る」
についてお書きしたいと思います。
どうすれば症状が必要無くなる方向へ
持ってゆけるのか?④
前回お書きした事を参考にして頂いて、
「”症状”に代わって今現在の自分にとっての心を安定させる可能性があるもの」
を見つけ、徐々に移行してゆく事の実行と共に、
「自分の(脳の)中に心を安定させる機能を作る」事を行うのも
心の安定化に繋がると思います。
今回は、そのヒントをお書きしたいと思います。
<どうすれば症状が必要無くなる方向へ持ってゆけるのか?>
④自分の(脳の)中に心を安定させる機能を作る
不快刺激から来る様々な感情(不安・恐怖、自責・罪悪感・恥、
悲しみ・虚しさ、怒り・恨み等)を放っておくと、
それを安定させようとする無意識(主に脳の辺縁系の働き)のシステムが働いて
様々な症状や”問題行動”を創り出そうとするでしょう。
だとすればこういった感情を放っておくのではなく、
いち早く調整してあげる必要があると思います。
ところで、ここで言う「感情調整」とはどういった事を指すのでしょうか?
例えば、雷の音を怖がって泣きじゃくっている赤ちゃん・・・。
親御さんなら恐らく興奮を鎮める為に、抱き上げて頭や背中を撫でてあげて
「大丈夫、大丈夫」とにっこり微笑んであげるのかも知れません。
また例えば、運動が苦手な幼い我が子が運動会のリレーに出る事になって
不安に襲われている時・・・。
親御さんなら「たとえ遅くても抜かれても、みんなに文句を言われても
頑張り屋さんで妹に優しくいあなたの事をママは大切に思っているよ!」
等と励ましてあげるのかも知れません。
或いは、
何気ない一言で友達を傷つけてしまい、罪悪感を手放せない我が子・・。
親御さんなら「〇〇君にはちゃんと謝ったし、
それでけ罪の意識を感じてるあなたは偉いと思うわ!
ママはあなたの事を許してるけど、自分を責め続けてるあなたを見てると
ママは辛いの・・・。
きっと”もう二度と同じ事をしない”って決めたんじゃないのかしら・・。
そうやってまた一つ成長してゆく姿を見てると頼もしいわ!
落ち込んでる友達を励ましたり、困っている子を放っておかないあなたは、
どんな素敵な大人になるのか楽しみだわ。」
等と慰めて力づけるかも知れません。
更には、
「弟が先にちょっかい出して来たのに、何でパパは俺だけ怒るんだよ!
あのクソ親父!許せない!」と怒りまくっている我が子・・・。
親御さんなら、「弟と何があったの?・・・
なるほど、それはあんたが怒るのも無理ないよね!
それをあんな風に理由も聞かずに怒られたら腹が立つよね!
お父さんにも私からちゃんと言っておくから・・・。
ただもしかするとお父さんはあんたが頼りになる男だと期待してるからかもね?
だって、期待してなかったら怒らないと思わない?
お母さんから見ても、弟の事をちゃんとリードしてあげて
頼もしいと感じてるし、あんたのお陰で随分助かってるのよ。」
等と怒りに共感して、落ち着かせてゆくかも知れません。
この様に、
恐怖に襲われてる子を安心させたり、
不安や悲しみに襲われている子を励ましてあげたり、
罪悪感や恥の感情に襲われてる子を慰めて力づけてあげたり、
怒りに襲われてる子に共感し、落ち着かせたり・・・。
こういった事を「感情調整」と言って、
みなさんも子供や弟妹、親友等にされて来られた事ではないでしょうか?
それを自分自身に対してしてあげる事が役に立つと思います。
そのやり方の詳細は省略しますが、ヒントとしては
「その感情に襲われてる子供の自分」
と
「その子の感情を調整してあげる大人の自分」
を分ける事です。
そして例えば、
紙に子供の自分の「思いや感情」を書いて、
それに対して大人の自分として感情を調整する言葉を書く、
或いは子供の自分が胸の中に居ると感じて、
その子に対して大人の自分として呼びかける、
等が有効だと思います。
※お独りでは難しい場合はお気軽にご相談下さい。
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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