感覚過敏~他人の顔色を見過ぎてしんどくなる人へ
感覚過敏~他人の顔色を見過ぎてしんどくなる人へ
目次
「この春から部署異動になり、わからない事だらけで不安だ。
けど、皆忙しそうに険しい顔で仕事してるので、訊くのが怖い。
自分ではもうどうにもならなくなって、清水の舞台から飛び降りるつもりで
わからない所を思い切ってA先輩に訊いてみた。
すると、A先輩は目線を合わせず面倒くさそうに冷たい声で
”ここはこうするのよ!”と答えてくれた。
同僚の子が訊いた時には、先輩は私の時より柔らかい表情で
”トゲ”の無い声で 答えているのに・・・。
きっと、私は嫌われているんだ・・・そう思うと、
会社に行くのが苦痛になって朝起きても憂鬱で身体に力が入らない。
けど、お母さんに心配かけちゃダメなので、
無理してでも行かなきゃいけない。
最近では”消えてしまいたい”と思う事もよくある。」
相手の表情や態度・仕草、声のトーン・大きさ・抑揚、雰囲気・空気感、
自分とその他の人との接し方の違い等を敏感に読み取ってしまい、
「私は嫌われたに違いない」
「馬鹿にされてるに違いない」
「ダメ人間だと思われてるに違いない」
「必要が無いと思われてるに違いない」
等と”結論づけて”しまい、
メンタルや身体の不調に陥ってしまってる方もいらっしゃると思います。
今回からはそういった”感覚過敏”を有しているが為に
生き辛くなってしまっている方に向けて、
「何故他人の顔色に振り回されてしまうのか?」
「どうすれば他人の顔色に振り回されずに済むのか?」
について、お書きしてゆきたいと思います。
感覚過敏
~何故他人の顔色に振り回されるのか?(1)
今回と次回は、
他人の顔色を見過ぎてしまい、生き辛くなっておられる方に向けて
「何故他人の顔色に振り回されるのか?」の原因について、
今迄の臨床経験と知識を踏まえた私なりの考えをお書きしたいと思います。
<何故他人の顔色に振り回されるのか?(1)>
①感覚過敏を有している
先天的(主に遺伝)に刺激に対する感覚過敏を有していると、
声や音(聴覚)、表情の違い・変化(視覚)等の
五感から入力される刺激に対して敏感に反応します。
※この感覚過敏は成育環境において、
怒号が飛び交う様な被虐待的な環境で育ったり、
常に親等の顔色を見ておかないといけない様な環境で育った場合などでも
後天的に生じるケースもあると考えられます
②不快刺激に対して敏感さが増してくる
被虐待的な環境で育った場合は勿論の事、そうでない場合でも
感覚過敏を有してる人は、不快刺激に対しても敏感であるが故に
家族や他人からの揶揄や無理解、いじめ、差別等に深く傷つき、
トラウマになってゆくでしょう。
そうなると不快刺激に対して益々敏感になってゆきます。
つまり、”もう二度と傷つきたくない”から
ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向け、
忘れない様にしてゆく訳です。(ネガティビティバイアス)
③他者と関わりたい欲求
感覚過敏によって、心が不安定になり易い人が、
心を安定させる方向性としては、
大きく分けると
(1)セロトニンシステム=不快刺激をシャットアウトする事による安定
(2)ドーパミン・アドレナリンシステム=快の刺激を求める事による安定
(3)オキシトシンシステム=人との繋がりによる安定
の3種類があるのでは?と私は考えます。
そして、
個々人毎にどれが優位か?(3項目の適正な比率)が違うと思います。
ここで、他人の顔色に振り回される人は、
(3)のシステムによる安定、
即ち他人と関わりたい、他人から好かれたい・愛されたい、認められたい、
等による安定化志向を有している筈です。
※(3)のシステムが少ない人は、”他人の事なんて関係ない”と
独りで趣味にふけったり、
他人がどう思おうが自身の快の刺激を追い求め続けると思われるからです
次回はこの続きである、
「他人の顔色に振り回されてしまう原因」の④~⑥についてお書きします。
感覚過敏
~何故他人の顔色に振り回されるのか?(2)
今回は前回からの続きで、
私の考える「他人の顔色に振り回されてしまう原因」の④~⑥
をお書きします。
<何故他人の顔色に振り回されるのか?(2)>
④他者に対する防衛
「③」で述べた通りだとすれば(注:感覚過敏による心の不安定を
安定させる方向として「オキシトシンシステム=人との繋がりによる安定」
が優位なタイプの人は)
「他人との関係性」に重きを置く事になるでしょう。
つまり、親しく無い人は、
いつ自分を傷つけて来たり、嫌って来たりするかわからない訳ですから、
傷つけられない様に、嫌われない様に、顔色を見て、
「優しく気遣いのできる人」「従順な人」「面白い人」等を演じている?
みたいになってしまう訳です。
⑤他者の理想化
この「④」の様な努力は、
「私の事を傷つけないで!」「嫌いにならないで!」「好きになって!」
「笑って!」「認めて!」「喜んで!」等といった操作的なもの
だとも言えるでしょう。
ところが
「傷つく事を言うか否か?」「嫌いになるか好きになるか?」
「笑うか笑わないか?」「認めるか否か?」「喜ぶか否か?」等は
相手の自由であって、当然操作できるものではありません。
でも感覚過敏を有し、オキシトシンシステムの比率が大きい人は
相手の反応がその操作が目指す通りのものでは無かった場合、
即ち自分の理想通りの反応で無い場合は、
傷ついたり混乱してしまうでしょう。
※余談ですが、この様なタイプの人は、
親しくなって「安全な相手」だと認識できれば、
好かれたい・愛されたい、認められたい、等といった本来の欲求が強く出る
様になると思います。
ですから、より相手を理想化し、思い通りにならない相手にキレたり、
束縛したり、操作したりする事も起きるかも知れません。
⇒「うちの人は外面は良くても家では・・・」等よく聞く話です
⑥愛着の形成不全
感覚過敏を有する人は、ただでさえ不快刺激に敏感で、
傷つき、落ち込み、不安、混乱等の「心が不安定」になり易い
と言えるでしょう。
ですから尚の事、
「自分の情動を調整する力」を発達させていったり、
「耐性の窓」を拡げてゆく必要があると思います。
ところが何らかの理由によって、愛着形成が不十分であった場合は、
それも難しくなり、心の不安定さや混乱を自ら安定に導く事も難しくなる
と考えられます。
よって
「自らの心の安定を他人の反応に求め続けるが故に他人の顔色を見る事
をやめられず、理想通りの反応が返って来ないと傷つく・・・
それでも他人との理想の関係を諦める事ができずに、
益々対象(他人の顔色)に集中し、感覚がより研ぎ澄まされてゆき、
理想との僅かな差異にも反応し、傷が益々深くなってゆく」
という辛いループにはまってしまうのだと思います。
もしそうだとすれば、
そういったお悩みを抱えた人はどうすれば良いのでしょうか?
次回からは
その辛いループから抜け出すヒントをお書きしてゆきたいと思います。
感覚過敏
~他人の顔色に動揺しない様になる為のヒント①
前回までにお書きした様に、
他人の顔色を気にし過ぎて動揺したり振り回されてしまう人の特性・傾向
として、
①感覚過敏を有している
②不快刺激に対して敏感さが増してくる
③他者と関わりたい欲求
④他者に対する防衛
⑤他者の理想化
⑥愛着の形成不全
といった事が考えられると推察しています。
もしそうであったとして、
どうすれば他人の顔色を気にし過ぎるのをやめたり、
過度の動揺や振り回されるのを防ぐ事ができるのでしょうか?
今回と次回は
私の考えに基づいて、そのヒントをお書きしてゆきたいと思います。
<他人の顔色に動揺しない様になる為のヒント(1)>
A「①」の感覚過敏については、先天(遺伝)的なもの、
或いは幼少期を過ごした成育環境によるものと考えられますので、
いずれにしても自分のせいではありません。
変えられないものを否定する事ほど苦しく無意味な事はありませんので、
「お父さんの遺伝やん」とか「親のせいだ!」と考えて、
自分を責めない事が必要だと思います。
B「②」の不快刺激に対して敏感さを増す事については、
”敏感さのベクトル”を極力「快刺激」に向ける様に意識する事
が役に立つでしょう。
その”コツ”としては、今迄とは真逆の方向にベクトルを向ける事です。
例:
・自分に対して悪い評価・態度を採る他者⇒良い評価・態度を採る他者
(〇〇さんだけは、いつもニコニコして味方で居てくれる、等)
・他者に評価される事に敏感⇒他者を敏感に評価してゆく
(〇〇さんは性格良くて好きだけど、××さんは意地悪で最悪
・・・大嫌い!、等)
・自分にとっての快刺激にベクトルを向ける
(仕事や学校の休み時間に
今晩観るのを楽しみにしてるビデオの事を考える、
週末の楽しい計画に意識を向ける、等)
・自分のダメな所に意識を向ける⇒自分のダメじゃない所に意識を向ける
(帰宅後の独り反省会の代わりに、
今日一日頑張った事・できた事を書き出す、等)
C「③」の他者と関わりたい欲求については、
「他人の顔色を窺ってしまうのは、私は本当は人と繋がりたいからなんだ!」
と意識し、
「じゃあ、どんな人と繋がりたいのだろうか?」想像してみましょう。
そしてもし、今の職場や学校、家庭の中に繋がりたい人が居なければ、
(趣味・嗜好や考え方を共有できる様な)繋がれる相手が居そうな居場所
を 他に求めてゆくのがいいでしょう。
そうする事で
「オキシトシンシステム」が働いて、心は安定する方向へ向くでしょう。
感覚過敏
~他人の顔色に動揺しない様になる為のヒント②
<他人の顔色に動揺しない様になる為のヒント(2)>
D「④」の他者に対する防衛については、
趣味・嗜好や考え方を共有できる様な繋がれる相手が居そうな”居場所候補”
を見つけたら、そこは(職場・学校・家庭等に比べて)比較的逃げやすい場所
ですので、
「ダメだったら他の居場所候補を探そう!」という意識で、
相手の自分への評価に向いている敏感さのベクトルを相手に向けて、
相手の表情や言動・考え方、雰囲気等を評価してゆく事に専念しましょう。
つまり、
「この人はなんかマウントを取ろうとしてる感じがする・・・
そんな人は嫌いだから、この人には近づかないでおこう。
でもこっちの人は裏表が無さそうで、親しみやすい感じがして、
結構好きかも。この人に近づいてみよう」等。
E「⑤」の他者の理想化については、
敏感さを持った人は、
相手が自分の理想通りの反応・対応をしてくれないと混乱し、傷つく訳です。
ですから、
自分の理想通りの反応を求める事は一旦置いておいて、
上の「D」のやり方で相手を評価した上で、
相手がどんな反応をしてくるだろうか?と予想を立てておきましょう。
例えば
「この人は人を馬鹿にしてる気がする・・・私はこの人嫌いだわ。
だとすれば、私がこう言ったら、また上から目線で馬鹿にした笑いで
否定してくるだろうな」等。
⇒そして案の定、相手がそういった態度を取ってきたら、
「ほらやっぱり!本当に嫌な人だなあ」等と、
できるだけ正確に相手を評価しておいて、
予想との誤差を少なくしようとしましょう。
何故ならば、
敏感な人にとっては「予想と違う事」が起きた時に混乱し、
大きく動揺してしまうと考えられるからです。
F「⑥」の愛着の形成不全については、
以前お書きした通り、
自分の大脳皮質と大脳辺縁系との間で愛着の(再)形成を行う事で、
「動揺してもすぐに自分で落ち着ける」
「傷ついてもすぐに自分でケアできる」
状態に持ってゆきましょう。
つまり、
敏感さ故の混乱・動揺し易さや傷つき易さは変えられませんが、
すぐにケアできる様になれば良い訳です。
※お独りでは難しい場合はお気軽にご連絡下さい。
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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