劣等感と共依存、うつ病
劣等感と共依存、うつ病
目次
今回は、「劣等感と共依存」というテーマで私見を述べたいと思います。
まず共依存とは端的に申しますと、
特定の相手(恋人・配偶者・家族・友人等=依存症者)に必要とされる事に
自身の存在価値を見い出し、共に依存を維持している状態」と言えるでしょう。
つまり、
相手を助け支える事で初めて自分の存在価値が見いだせる訳ですので、
その心理の根底には「劣等感」や「無価値感」、「空虚感」等があって、
相手を助けたり支える事によって、
「満足感、優越感、支配・コントロール感、承認」等の”快の刺激”を得る
事を目的としていると考えられます。
そこには「私は無価値だ」「誰の役にも立っていない自分はダメだ」
→「だから誰かを助けなきゃ!」等といったパターン、
即ち、
「劣等感」・「無価値感」・「空虚感」
→「N」(ノルアドレナリンシステム=不安・恐怖)
→「D」(ドーパミンシステム=満足感、優越感、支配・コントロール感、
承認等の快の刺激)を求める
→「N」(ノルアドレナリンシステム=「劣等感」や「無価値感」等の
不快を回避する援助行動
→「D」(ドーパミンシステム=快の刺激という報酬を得る)
というシステムのパターンが存在するのでは?と思います。
依存症全般に言える事だと思いますが
私はより強い満足(報酬=「D」)を得る為には、
より強い不足(「劣等感」・「無価値感」・「空虚感」や不安・恐怖
=「N」)が必要だと考えます。
例えば「ギャンブル依存症」は、
退屈や”もっとお金が欲しい”、”小遣いが足りない”、”借金を返さなきゃ”
といった不足感(=「N」)が根底にあって、
”金を得る”という報酬(=「D」)を求めている状態と考えられます。
そして、お金が無い状態の方が「N」の不足感が強くなり、
「D」の報酬を求める動機付けがより強まるのではないでしょうか?
だから、よりお金をつぎ込んで借金を重ね、不足感を強くする事で、
報酬を求める気持ちもより強まって、益々お金をつぎ込んで
不足感を更に強めてゆく・・・といった悪循環から抜け出せなくなるのでは?
と思います。
※丁度、真夏の暑い日に運動して沢山汗をかいて、それでも水分を摂る事を
我慢し続け(=不足感を強める)、風呂上りに飲むビールが最高に感じる
(=報酬がより強まる)のと似てるかも知れません。
だとすれば「共依存」も同様に、
依存状態を維持し続けるには(報酬を求め続けるには)、
劣等感・無価値感・空虚感等の「不足感」を維持する必要があると思われます。
だから時には劣等感も作り出す必要も出て来るでしょうし、
相手に対する援助についても、まだ”足りていない部分”に目を向け、
それによって相手の依存度も益々強まる、といった「共依存システム」
の強化が進んでゆくでしょう。
そしてもし、相手が大丈夫な状態(例えば自立しちゃう)になると、
報酬が得られなくなるので、他の大丈夫でない人を必要とすると思われます。
もしそうであるならば、
どうすればこの「(共)依存状態」から抜け出せるのでしょうか?
私は、まず劣等感・無価値感・空虚感等の「不足感」を減らしてゆく事
が大切だと思います。
例えばギャンブルでも、お金がいくらでもあって、
いくらギャンブルをしてもお金が一向に減らないし、
誰からも文句を言われないとすれば、
不足感や罪悪感や不安が無い(=「N」が起動しない)状態になり、
満足感も無くなってゆき、 そのうちに「D」も起動できなくなり、
依存状態から脱してしまうと考えます。
但し「不足感」は人によって違いますし、それを減らす方法も違う筈です。
ですからご自身で、(今陥っている依存とは違う形で)
どうすれば自分の不足感を減らせるか?を考えてみる、
という事がヒントになると思います。
※もし、お一人では難しい場合はお気軽にご相談下さい。
それでは次回からは「劣等感とうつ病」についてお書きしたいと思います。
#アダルトチルドレンのカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
#うつ病のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
劣等感とうつ病
(劣等感に意識を向けて”うつ”を作り出す)
今回は「劣等感とうつ病」について、
架空のA子さんを例にしてお書きしたいと思います。
A子さんは中学受験をし、
この春から自宅から少し離れた私立中学に通う事になりました。
A子さんは文系科目の勉強がよくでき、
特に歴史については周囲も驚くほどの知識を有していました。
趣味は「漫画を描く事」で、周囲の幼馴染の友人達からも
「上手だね!私にも描いて!」等と認められるほどの腕前だった様です。
家族関係は良好でしたが、
家でも大人しく自室で勉強したり絵を描いたりしている事の多い子供でした。
小学校までは幼馴染と一緒に居る事が多かったのですが、
その中学校には知ってる子はいなかった様です。
入学直後はクラスに馴染めない様子で
母親には「独りでお弁当を食べてる」と言っていて、
毎日疲れ切った様子で帰ってくる事が多く、母親も心配していましたが
「美術部」の部活に入ってようやく気の合う友達ができた様で、
家でも時折笑顔も見られ母親も一安心していました。
そんな或る日、娘が暗い表情で帰ってきた事が気になった母親が
「どうしたの?学校で何かあったの?」と聞いても、
娘は「大丈夫」と答えるだけでした。
それでも母親は辛抱強く聞いていって
「どうも友達と仲違いした様だ」と感じました。
娘の元気のない様子が気になりながらも、
母親は「気にしなくていいよ!頑張って!」
と励ましながら見守る事にしました。
定期テストまでは何とか頑張って学校に行っていたA子さんでしたが、
テストの答案が返って来た日に泣きはらした眼で帰ってきました。
心配した母親が訊ねても、A子さんは「何でもない!」と突っぱね、
すぐに自室にこもってしまいました。
そしてその翌日からA子さんは学校へ行かなくなりました。
母親が辛抱強く聞き出すと、どうも数学や理科のテスト結果が悪くて
「みんなできる子ばっかり!私はできない子だ・・・
お母さんがあの学校行けって言ったからだ!・・・もう死にたい!」
と堰を切った様に泣き始めました。
最近のA子さんは自室に閉じこもる事が多く、ご飯も余り食べず、
昼夜逆転の生活で笑顔も見せる事もなく、
母親が部屋を覗くと何をするでもなく、
思いつめた表情でボーっとベッドに座ってる事が多々ありました。
<考察>
上の「A子さんの例」で、彼女の”うつ”的な状態に至った
心的(脳的)メカニズムを考えますと、
恐らくA子さんは元来
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「S」「セロトニンシステム」
(=安心・安定・幸せ・満足・繋がり・所属と愛の欲求)
のシステムが優位なタイプでは?と推測されます。
小学校までは学校でも幼馴染に囲まれていたので、
家庭と学校の両方で「S」が満たされていたと考えられます。
ところが知ってる子がいない中学に進学し、
「N」→「S」によって、部活で友人を作れたので一旦システムが安定
しましたが、
その友人と仲違いした為に、「S」が満たされずに、「N」が強く出てきた
と推測されます。
この時にA子さんの持ってる社交性では、
学校では新たに「S」を得る事が困難だと心(脳)が判断したとします。
そんな時にたまたまテストの成績が悪かったので、
劣等感に集中(文系科目の点数は悪くなかたのかも知れませんので)する事
によって「N」システムを起動させ、
家庭にのみ「S」を求め、「N」によって学校に行かない行動を採った
とも考えられます。
また、母親にだけ怒り(=自分へのいきどおり)や苦しみ(=「死にたい)
といった感情をぶつけている事から、母親への依存・執着も感じられます。
勿論、もっと詳しくA子さんや母親からお話を聞いてみないと
A子さんの心理的(脳的)なメカニズムを特定する事はできませんが、
私の推測が当たっているとすれば、
この例のA子さんは、「N」→「S」システム優位型の人が
”うつ”状態になったと言えると思います。
それでは、次回はうつの2種類のタイプについてお書きしたいと思います。
(このタイプ分けはあくまで私の分類ですのでご了承下さい)
#うつ病のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
抗うつ薬が効かない人へ
~うつには2種類ある?
うつ病も含めて、精神疾患は主な原因として、
心因性・内因性・外因性と分けることができます。
ただ、現在の医師の診断基準となる「DSM」や「ICD」では
原因よりも表に現れている「症状」から診断が成されています。
それは、恐らく精神科診療が薬によるものが主であり、
症状を抑える事が薬の働きであるという点と関係があると思われます。
例えば、落ち込みや不安が続いているのであれば、
(不安を抑えて安心をもたらせ、心を安定させるセロトニンを増やす)
「SSRI」を処方したり、
著しく意欲も失われているのであれば、
(意欲を沸かせるノルアドレナリンも増やす為に)
「SNRI」を処方するといった事が行われています。
ここからは私の私見ですが、
私は「うつ」には(大別すれば)2種類あるのでは?と思っています。
例えば、前回取り上げたA子さんの例で申しますと、
彼女は
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「S」「セロトニンシステム」
(=安心・安定・幸せ・満足・繋がり・所属と愛の欲求)
のシステムが優位なタイプと思われます。
そしてもう一つのタイプは、
「N」
→「D」「ドーパミンシステム」
(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
のシステムが優位な人。
どちらのタイプでも表面上の症状が診断基準を満たせば、
同じ薬が処方される筈です。
ところが、
以前からもお書きしている様に、もし私の推測が当たっているとすれば、
「N」→「D」タイプの人に抗うつ薬(SSRIやSNRI)を処方すると、
「D」が抑えられてしまうでしょう。
例えば、所謂「新型うつ病」(ディスチミア親和型のうつ病)
の人は自責が少なく平気で休みを取ったり、仕事中はうつっぽくなってるが
アフターファイブや休日は元気に遊びまわる等、
定型のうつ病(メランコリー親和型)と違ったタイプとみなされています。
ただ、仕事中の「気分の落ち込みや意欲低下」等の症状は一見すれば
定型の「うつ」と重なる部分が多いので、「非定型うつ」や「気分変調症」
等と診断され、抗うつ薬が処方されると思います。
ところが、
この「新型うつ病」には抗うつ薬が効きにくいとの報告もあります。
もしそれが事実であれば、
「新型うつ病」は「N」→「D」タイプの人であるからそうなる
という推論も成り立つのでは?と思います。
実際うちのカウンセリングルームにも、コロナ禍の影響で、
「好きな旅行へ行けなくなった」、「友達との集まりが無くなった」、
等の「D」が満たされずにうつっぽくなっておられると思われる方
も少なからずお見受けします。
そういった方も恐らく「N」→「D」タイプの人ではないか?と考えます。
それでは次回も私のこうした推論を基に
「希死念慮にも2種類ある?」をお書きしたいと思います。
#うつ病のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
希死念慮にも2種類ある?
前回お書きした通り、私の推測では「うつ」には
①
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「S」「セロトニンシステム」
(=安心・安定・幸せ・満足・繋がり・所属と愛の欲求)
のシステムが優位なタイプと
②
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」
(=恐怖・不安・怒り・行動化)」
→「D」「ドーパミンシステム」
(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
のシステムが優位なタイプの、
2種類が存在しているのでは?と考えます。
その考え方を基に
「うつ」によくみられる「希死念慮」(繰り返し”死にたい”と考えてしまう事)
について考察しますと、
私はこの「希死念慮」にも大別すれば2種類あると考えます。
即ち、
①「N」→「S」タイプの人の希死念慮
と
②「N」→「D」タイプの人の希死念慮
の2種類です。
まず、
「N」→「S」タイプの人は一言で申しますと、
「不快刺激を避けて安心を求める傾向」が強いと考えられます。
ですから、
ストレスや悩み・不安という「不快刺激」を避ける究極の選択肢が
「死ぬ事」になってしまうのではないでしょうか?
だとすれば、
(「S」を増やす)抗うつ薬は有効であると思われます。
一方、
「N」→「D」タイプの人は、「刺激が無い状態(退屈)が嫌で、
常に快の刺激、新奇な刺激を求める傾向」が強いと考えられます。
ですから、
刺激が満たされずに退屈し、文字通り「生きていても何も面白い事が無い」
といった思考に囚われた時の究極の選択肢が「死」という刺激に満ちた
未知の冒険になってしまうのかも知れません。
実際、
抗うつ薬を服用すると、一時的に希死念慮が高まるといった報告
もなされている様です。
それは恐らく
「N」→「D」タイプの人が抗うつ薬を服用すれば、
「S」が増える事によって「D」が抑えられてしまう。
→より「D」への渇望が生じる
→それが限界に達すれば「D」を求めて衝動的に「死」へと突き進んでしまう、
という事なのかも知れません。
(芸能人等の自死報道で「あの人が自殺するなんて?!・・・」と
思われる様なアクティブで明るいイメージの人もこのタイプの人
なのかも知れません)
それでは次回は「強迫性障害のメカニズム」について
お書きしたいと思います。
#うつ病のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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