場面緘黙症とは?

場面緘黙症とは?

「家族とは普通に話せるのに、
 学校のクラスの中では話す事ができない・・・。
 情けないなあ・・・こんな僕ってどこかおかしいのかな。」

うちのルームでも、
所謂「場面緘黙(かんもく)症」に悩まれているご本人自身や
お子さんのそういった様子に悩まれておられる親御さんのご来談も
少なくないです。

そもそも「場面緘黙症」とは何なのでしょうか?

お医者さんが診断の拠り所とする米国精神医学会が定めた「DSM-5」
という診断基準で申しますと、

①他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている
 特定の社会的状況(例:学校)において話すことが一貫してできない。

②その障害が学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを
 妨げている。

③その障害の持続期間は、
 少なくとも1ヶ月(学校の最初の1ヶ月だけに限定されない)である。

④話すことができないことは、
 その社会的状況で要求されている話し言葉の知識、または
 話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。

⑤その障害は、コミュニケーション症(例:小児期発症流暢症、吃音症等)
 ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、
 または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

と定義され「不安症」にカテゴライズされています。

つまり、
特定の状況下ではちゃんと話してコミュニケーションを取る事ができる
訳ですから、話す事やコミュニケーション能力の不足ではない訳ですし、
「場面緘黙症」=「自閉スペクトラム症」や他の精神疾患であるとは
必ずしも言えないという事になります。

それでは何故ご自身や我が子は「場面緘黙症」になるのでしょうか?

その原因を私の推測に基づいて次回お書きしたいと思います。

#場面緘黙症や不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

 

 

何故場面緘黙症になるのか?

 

特定の場面でのみ話す事ができなくなる「場面緘黙(かんもく)症」の原因は
まだはっきりとしていませんが、
今回は私の経験と知識からその原因を推察してみたいと思います。






<場面緘黙症の原因(推測)>



①感覚過敏を有している

生まれつき、もしくは成育環境によっても、大脳皮質の視覚野、聴覚野、
体性感覚野、嗅覚野、味覚野等の所謂「五感」を司る部位
委縮や肥大といった”変形”をきたす事が明らかになってきました。

それにより「感覚過敏」「感覚鈍麻」といった状態が現れ易くなる
と考えられます。

そうなると(特に感覚過敏があると)例えば”相手”の発する声や
ちょっとした表情の変化をも過敏に拾ってしまうでしょう。



②自分なりの「傷つき体験」を有する

DV・暴言等の被虐待的な環境に育った場合はもとより、
感覚過敏を有している子供は、

例えば
「僕がA君に喋ったら、笑われた・・・。B君に話しかけたら
 強い口調と怖い顔で”あっちへ行け!”と言われた」

「幼稚園の初登園日に、沢山の子達が騒いでる声や表情、姿を見て
 凍り付いてしまい、みんなの輪の中へ入って行けなかった・・・

 お母さんから”なんでみんなの輪の中へ入っていけないの?”と
 困った顔で言われて、とても恥ずかしく情けない思いをした」

等は、感覚が鋭い子供にとっては「大きな傷つき体験」となるでしょう。



③「回避・逃走」といった防衛反応が働く

「脅威」「恐怖」に直面した時には動物も人間も
自動的に防衛反応が生じます。

例えば「傷つき体験」をした子供は、それ以上傷つかない様に
「回避・逃走」(避ける・逃げる)する事が多くなるでしょう。

その結果として、「傷つき体験」を経て今や「脅威・恐怖の的」である、
クラスメイト等に対してコミュニケーションを避けたり、会話から逃げる
状態になると考えます。
※無意識の防衛反応なので、意志ではコントロール不可

そしてその状態を客観的に見た人からは「場面緘黙」と評価される
と思います。

(中には、「お母さんの期待に応える為、弱虫と思われない為に
 みんなの輪の中へ入れるくらいに強くなろう!」と
 果敢に”脅威”であるクラスメイトに近づこうとしては失敗し、
 より傷つき体験が増えて、より「感覚過敏」が強くなり
 最終的に「回避・逃走」の反応へと移る子供もいると思います)

それでは、この「場面緘黙症」に悩んでいるご自分自身や
親御さんはどうすれば良いのでしょうか?

次回はその対処のヒントをお書きしたいと思います。

 

#場面緘黙症や不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

 

 

場面緘黙症にはどう対処すれば良いのか?

 

今回は、
「場面緘黙(かんもく)症」に悩んでいる方ご自身や、その親御さんが
「では一体、どう対処すれば良いのか?」のヒントを
私の経験と知識に基づいてお書きしたいと思います。






<場面緘黙症への対処法のヒント>

①自分や子供を責めない

前回お書きした通り、(私の推測に依れば)場面緘黙症の原因が感覚過敏
だとすれば、「持って生まれたもの」「成育環境によるもの」ですので、
いずれにしても本人に責任はありません

ですからそんな自分や我が子を責めたり否定しないで頂きたいと思います。

②心の安全基地を作る

「場面緘黙症」に襲われている人が、その”場面”において、
常に「脅威」や「恐怖」を感じているのなら、
「心の安全基地」を作る事が先決になると思います。

例えば学校なら先生、ご家庭なら(譬えお父さんが暴言を吐く人だとしても)
お母さん等、ご自分の「脅威」や「恐怖」を安心して話せ、
それに寄り添ってくれる人を見つけましょう。
(逆に親御さん側は子供の「安全基地」になれる様に心がけましょう)

また、(ある程度の年齢に達した)ご自分自身も「安全基地」の自分を作る
のも良いでしょう。

例:自分の「脅威・恐怖」を紙の片側に書き出す
それに対して「優しく頼れるお母さんだったらどう言ってくれるか?」
 を考えて
「理想のお母さんの言葉」として紙の反対側に書き出す

③脅威・恐怖を和らげる

「脅威」「恐怖」を感じる場面に出くわす度に「②」の安全基地を利用
それらを和らげてゆく。
(脅威・恐怖を書き出す→理想のお母さんの言葉を書き出す
 といった事を繰り返す事も、脅威・恐怖を和らげ、
 同時に安全基地を強化する事に繋がるでしょう)

※トラウマとなっている「脅威・恐怖」については、ご自分での解消は難しい
 と思いますので。カウンセリングを受けられる事をお勧めします

④「場面緘黙症」を「相手限定緘黙症」へ移行させる

例えば、
お家の中でお父さんが怖くて一言も喋られなくてもお母さんとなら話せる、
というのは「場面緘黙」ではなく「相手限定緘黙」と言えると思います。

ですから、
学校や職場でも「苦手な人」(=防衛反応が強く働く)とは喋る必要は
ありませんので、
「苦手ではない人」限定でコミュニケーションを図ってゆく
を目指してみませんか?

その為にはまず、
その”場”にいる人達をよく観察していって、
「この人は優しそう」とか「この人なら大丈夫そう」と感じる相手
たった一人でもいいので”選ぶ”事が大切だと思います。

そうして選んだ人に興味を持っていって、
まずは「お早う」等の挨拶や「消しゴム貸してくれない?~~有難う!」
等の簡単な会話から始めてみませんか?

※お独りでは難しい場合はお気軽にご相談下さい。

 

#場面緘黙症や不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください

プロフィール

のぶさわ 正明
のぶさわ 正明心理カウンセラー・自己実現コーチ
・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
  心理療法カウンセラー
  不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員

2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。