新しい環境が怖い人へ
新しい環境が怖い人へ
目次
日本の多くの学校や会社では、4月から新年度になって、
進級・進学・就職等によって、
新しい環境に踏み出す方も多いでしょう。
中には、
「この春から、東京の大学へ進学する・・・
初めての独り暮らし、憧れの東京での生活!
友達を沢山作って、キャンパスライフを思い切りエンジョイするぞ!」
なんてワクワクが止まらない人も居るでしょう。
でも、中には
「同じ中学の子が居ない高校へ進学する事になった・・・。
慣れない電車通学だし、知ってる子が誰も居ない中で
やって行けるのかな?と不安で不安で、夜もまともに寝られない・・」
等と不安や恐怖に襲われている人も居ると思います。
特に、
後者の様な性格の人は、その不安を訴えても
親でさえ「何心配してるの?なんとかなるものよ!」
等と取り合ってくれず、人知れず悩み続ける事もよくあると思います。
そして、
後者の様な性格の人は「私はメンタルが弱い」等と
自己否定してしまう場合が多いと思いますが、
私に言わせれば、「弱い」「強い」の問題ではありません。
だとすれば、
何故「新しい環境を怖れてしまう」のでしょうか?
次回はその理由をお書きしたいと思います。
何故新しい環境が怖いのか?
前回お書きした様に、
進級・進学・就職等によって、新しい環境に身を置く事に
恐怖を感じる人もいらっしゃいます。
そして、
それは決して「メンタルが弱いから」ではないと私は考えています。
だとすれば、
何故恐怖を感じてしまうのでしょうか?
今回はその原因を分析してみたいと思います。
<新しい環境に恐怖を感じる原因>
①感覚過敏を有している
(多くの場合)持って生まれて感覚過敏を有していると、
特に、見た事の無い景色・場所、大勢の知らない人達等の
新奇の刺激が多すぎると、
五感や第六感(内受容感覚等)からの情報入力が過多となって、
処理しきれずに圧倒されてしまうでしょう。
逆に、
「全然平気」という人はその部分は鈍感であると言えるでしょう。
つまり、
「弱い/強い」ではなく、「敏感/鈍感」の違いであると思います。
②プチトラウマを有している
感覚過敏を持っているせいで、新奇刺激に圧倒されて
例えば、幼稚園の入園式の中へ入っていけず、親に注意された
とか
みんなの前で固まってしまって一言もしゃべられず、
みんなの冷たい視線や嘲笑を感じた・・・
感覚過敏を持っている人はこういった
”恥”を感じるプチトラウマを持っている場合が多いでしょう。
そうなると、
同じような新奇刺激にさらされるであろうシチュエーションでは、
トラウマがフラッシュバックし、
「またそうなるのでは?」という予期不安に襲われる事もあるでしょう。
③(不快)刺激を無くす事で安定するタイプだから
以前お書きした様に、
特に心が不安定になり易い感覚過敏を持っている人が
心を安定させる方向性として、
①(不快)刺激を無くす事で安定する
②(快)刺激を得る事で安定する
③他人との繋がりで安定する
の3つの方向性があるというのが私の考えです。
この中で、
「②」や「③」の方向性が強い人は
「不安だけど、楽しもう」
とか
「怖いけど、友達をまず作ろう」
という方向へ行ける訳です。
ところが、
「①」の方向性が強い人は
新しい環境で一気に押し寄せる膨大な刺激(勿論”不快”刺激も沢山入っている)
を無くしてゆくには相当時間がかかってしまうでしょう。
そして、
それに耐えられなくなると、学校や職場に行けなくなる、
等の根本的に不快刺激をシャットアウトしようとする力動が働く
事も起き得るでしょう。
それでは、
そういった感覚過敏を有している人が
新しい環境に順応するにはどういった工夫が役に立つのでしょうか?
そのヒントを次回からお書きしてゆきたいと思います。
どうすれば新しい環境に順応できるのか?
①環境の調整
「感覚過敏」(そこから来る「プチトラウマ」や
「不快刺激を無くす事で安定する傾向」)を有している為に
新しい環境に身を置く事に恐怖を感じる人はどうすれば良いのでしょうか?
そのヒントを今回からお書きしてゆきたいと思います。
まず、
「感覚過敏」は多くの場合は先天的・遺伝的なものだと考えられます。
ですから、
「気にし過ぎない様にすればよい」等のアドバイスは
敏感な人に向かって、”鈍感になれ!”と言っている様なものですので、
役に立たないどころか「気にしてしまう自分」を益々否定的に捉えてしまい
更なる自己肯定感の低下につながるでしょう。
だとすれば、
”そこ”を変えようとするのではなく、
「環境の調整」と「内面の調整」が役に立つでしょう。
今回は「環境の調整」から。
<新しい環境に順応する為のヒント①環境の調整>
(1)五感から入ってくる(不快)刺激を減らす
例えば、
・「度が合っていない眼鏡や、色付きの眼鏡をかける」(視覚)
・「前髪や帽子によって視覚の制限をかける」(視覚)
・「イヤーマフやノイズキャンセリングを使用する」(聴覚)
・「お気に入りのガムを噛む」(味覚・触覚・嗅覚)
・「肌触りの良い下着をつけたり、
触り心地の良い小さなぬいぐるみ等を身につける」(触覚)
・「好きな感触で、お気に入りの香りをつけた大きめのマスクをする」
(触覚・嗅覚)
等々。
※これらは、職場や学校の方の理解が必要ですし、
やり方によっては悪目立ちしてしまう不安も生じるでしょうから、
難しいものもあると思います
(2)(不快)刺激を受けない時間・空間を作る
例えば、
・「大講義室では、一番後ろの隅の席に座る」
・「パソコンを置く位置を工夫したり、自分のデスクの周りに
書類等を積み上げ周囲の人の視線をガードする」
・「トイレに籠る時間を敢えて作る」
・「職場や学校の近くに、お気に入りのベンチ等を見つけ、
休憩時間等には頻繁にそこを利用する」
・「(学生なら)クラブやサークル、ゼミ等の
少人数で快適さを感じる場(安全基地)を作る」
・「(社会人なら)一緒に昼休憩を取る人や信頼できる先輩・上司、
(職場では難しい場合は)同窓生や趣味のサークルなど、
少人数で快適さを感じる場(安全基地)を作る」
等々。
※私が思うに、「感覚過敏」から来る生き辛さを抱えた方に対して、
”合理的配慮”としての環境の調整は知られてきていると思いますが、
ご本人側の「安全基地」作りといった能動的な働きかけに加えて、
内面の調整も大切な事だと思います。
次回はそれについてお書きしたいと思います
どうすれば新しい環境に順応できるのか?
②内面の調整
前回は、
「感覚過敏」(そこから来る「プチトラウマ」や「不快刺激を無くす事で
安定する傾向」)を有している為に新しい環境に身を置く事に
恐怖を感じる人が、順応してゆく為のヒントとして「環境の調整」
についてお書きしました。
今回は
そのヒントの2つ目として「内面の調整」についてお書きします。
<新しい環境に順応する為のヒント②内面の調整>
(1)受け取る刺激を厳選する
感覚過敏を有している人が大量の新奇の刺激に圧倒されるのは、
受動的になって、受け取る刺激を選択せずに全ての刺激を拾い続けるから
だと考えられます。
ならば、
受け取る刺激を選択的に厳選してゆく必要があるでしょう。
例えば、
・「自分と合いそうな人、優しそうな人、安心感を与えてくれそうな人を
クラスや職場内で見つけて、その人に意識を集中してゆく」
・「(中々そんな人が見つからない場合は)刺激に圧倒されそうな時に
信用できる人・安心できる人(家族や過去の親友、好きな”推し”の人等)
の事を思い浮かべ、その人の表情や言葉等をありありと想像する」
・「自分に不快刺激をもたらす人が視線に入ったり、声が聞こえてきたら
窓から見える木々の緑や鳥の鳴き声等のお気に入りの刺激に
意識を向ける」
等々。
(2)感情や身体感覚の自己調整
感覚過敏を有している人は、
すぐに不安になったり、傷ついたり、混乱してパニックになったりする
のは当たり前です。
ただ、
ケアせずに放っておくとその状態が持続してしまい、
様々な症状へと移行してしまいます。
ですから、
「いかにすぐケアしてあげるか?」が大切だと思います。
そしてケアの仕方としては
自分の感情や感覚への「共感」「思いやり」「調整」が大切だと思います。
例えば、
・「あ!パニックちゃんが出て来てる・・・。
そりゃ、あんな沢山の要求を一度に言われたら
混乱するのも無理ないよね(共感)。
そして、頭を真っ白にしてこれ以上の刺激が入って来るのを防いで、
おかしくなるのを食い止めてくれたんだね。有難う!(思いやり)。
でも、一つ一つやってゆく様にするし上司にもその様にお願いするから
安心していいよ。
そうだ!ちょっと深呼吸してからコーヒー飲もうか?(調整)」
・「あ!不安ちゃんが出て来てくれてるね・・・
大学に入って最初の講義は知らない人ばっかりで、
みんなよそよそしくて誰とも話さなかったものね。
このままじゃあ、ず~っと独りボッチになっちゃうんじゃないか?
って不安になっても当然だと思うよ!(共感)
でも、不安ちゃんはそれが嫌だからそうならない為の”警告”として
出て来てくれたんだね!有難う!(思いやり)
今朝、興味がある「漫才研究会」の勧誘をしてたよね!
今日授業終わったら、覗いてみようと思うから・・・。
それに、大学に慣れてくれば、バイトもしてみようと思うんだ。
どこかで自分の居場所を見つけようと思っているから、
4年間も独りぼっちのままって事は無いと思うよ!(調整)」
等々。
※お独りで難しい場合はお気軽にご連絡下さい
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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