不安・恐怖を無くしてはいけない事もある
不安・恐怖を無くしてはいけない事もある
目次
「ここ最近時々頭痛がする。
もし、なんかの怖い病気だったらどうしよう・・・
この前、喉に違和感があって”咽頭ガンかも?”と恐ろしくなって、
色んな病院で診てもらって扁桃腺が腫れているだけと言われたけど、
本当はガンで、頭に転移したんじゃないのかなあ・・・?
早く病院を捜さなきゃ!」(所謂”心気症”)
「以前はLINEを送ったらすぐに彼から返信があったのに、
この何日かは、すぐに返信が来ない・・・。
前彼の時もそうだった。やっぱりこんな魅力の無い私とは
別れようとしてるのかなあ・・・でもだからと言って許せない!」
(所謂”見捨てられ不安”)
「クラスの女の子達はみんな小顔で二重瞼で可愛いのに、
私はみんなみたいに小顔じゃないし腫れぼったい瞼してるし・・・
もう鏡を見るだけで嫌になっちゃう・・・
こんな顔じゃあ、生きて行けない!
親は反対すると思うけど、お金を貯めて整形するしかないなあ」
(所謂”醜形恐怖”)
「旦那は今日も帰りが遅い・・・”仕事だ”って言ってるけど、
本当は浮気してるんじゃないのかな?
この前も、携帯にGPS付けると言ったら怒っていたけど、
本当に潔白ならそんなムキにならないはずだ。
浮気の証拠を掴もうと、
旦那のパソコンや携帯のチェックをやめられない。」
誰しも不安や恐怖に襲われる事があると思います。
ところが、不安や恐怖がずっと続き心身に異常をきたしたり、
一つの不安が無くなっても、まるで不安の材料を捜しているかの様に
次から次へと不安に襲われ続ける人も居るでしょう。
そんな人は、
眠れなくなったり食欲が落ちたり、楽しいと感じる事がなくなったり、
キレ易くなったり等の所謂”抑うつ状態”となる事も多いでしょう。
そしてその多くの人は”限界”を感じた時には心療内科へ行って
薬をもらったり、本やネットで克服法を調べて、
なんとか不安や恐怖を無くそうとする人もいらっしゃるでしょう。
私は数多くの臨床経験から、
不安や恐怖に襲われ続ける人は(その全ての人に当てはまるとは申しませんが)
「不安や恐怖があるからこそ生きていられる」
とも言えるのではとないか?と感じています。
もしそうだとすれば、
「生きる術」である不安・恐怖を無くす事は一概には賛成できません。
私がそう考える理由を次回からお書きしたいと思います。
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
何故不安・恐怖に襲われ続けるのか?
前回、
「不安・恐怖はある意味では”生きる術”であって、
それらを無くす事は一概には賛成できない」
といった私見をお書きしました。
今回は、
私がそう思う理由を不安・恐怖の意味付けを基にお書きしたいと思います。
人(や動物)は何故不安・恐怖を感じるのでしょうか?
それは恐らく、
「このままでは心身の安心・安全が脅かされるよ!
だからそれから身を守る準備をしなさい」
という意味があるのだと思います。
例えば酷いパワハラやいじめに遭っている人が、
毎朝会社(学校)に行く恐怖や不安に”打ち勝って”無理して行き続けると
ある日突然体が動かなくなり行けなくなってしまう・・・。
→これは「危険な場所から逃げて生き延びろ!」
という恐怖・不安が発する”警告”を無視し続けた結果だと思います。
それ故、そういった”警告”を無視し続けると
取り返しがつかなくなる事もあるでしょう。
ただ、前回お書きした「例」の様な人達は、
周りから見れば「考え過ぎよ!」とか「気にしない様に!」と
言われてしまったり、
医者へ行くと「心身症」「パーソナリティー障害」「醜形恐怖」
「社交不安障害」「不安神経症」等といった
所謂”病気”とみなされる事もあるでしょう。
そしてそんな周りの反応に、
「気にし過ぎる私、そしてそれをやめられない私は”普通”じゃない」
「私は病気。メンヘラなんだ!」等と、
どんどん自己効力感や自己肯定感が失われてゆく恐れもあります。
そしてそうなると益々「私の力ではどうする事もできない」とか
「私は周りの人に比べて劣っている」等といった信念が強められ、
不安・恐怖も益々強くなってしまうでしょう。
ところで、
こういった不安・恐怖に襲われ続ける人は、
何故”普通の人”ならやり過ごせる不安・恐怖を異常に強く感じてしまう
のでしょうか?
それは恐らく遺伝的な要素が強い「刺激(特に不快刺激)に対する感度の差」
だと思います。
例えば、
鳩に恐怖を感じる人もいれば、鷹や鷲を飼いならしている人もいます。
或いは、
高い所が苦手な人もいれば、スカイダイビングを趣味にしている人もいます。
つまり、
恐怖・不安等を感じにくい人は不快刺激に対して生まれつき鈍感で、
逆にそれらを感じやすい人は不快刺激に対して生まれつき敏感である
と言えると思います。
例えば、
そういった不快刺激に対して生まれつき敏感な人が飛行機事故の映像を見て、
「飛行機は落ちるから怖い」といった信念が刷り込まれたとします。
そんな人が
”飛行機で出張してくれ”と言われたら、
出張の日まで恐怖・不安に襲われ続けるでしょう。
そして搭乗した飛行機が乱気流に巻き込まれて大きく揺れたら、
強い恐怖を感じて、無事目的地に着いたとしても「もう二度と乗らない」と思うでしょう。
それからは”あの時の恐怖”を反芻し続けて、飛行機での出張を拒否したり、
どんなに遠くても電車や船を利用する等、恐怖・不安を避け続けるでしょう。
(※”鈍感な人”にはできない(笑)、万全のリスクマネージメントです)
それでは、
そういった生まれつき不快刺激に対して敏感な人にとって、
不安・恐怖が無くなるという事は一体どういった意味になるのでしょうか?
その事について、次回お書きしたいと思います。
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
不安・恐怖を無くすとどうなっちゃうのか?
前回までに
「不安・恐怖等を感じやすい人は生まれつき不快刺激に対して敏感で、
不安・恐怖に集中し続ける事で、心身の安心・安全を保とうとしている、
言わばそれが生きる術、リスクマネージメントであると考えられる」
といった私見をお書きしました。
もしそうであるなら、
こういった人達から不安や恐怖を取り上げてしまうとどうなるのでしょうか?
その答えは
恐らく大きく分けて以下の2つに集約されるのではないでしょうか?
①無価値感といった究極の自己否定から来る絶望感
例えば、所謂「醜形恐怖」に襲われている人は、
「整形さえすれば(綺麗になれば)、私は愛される(受け容れられる)」
という”希望”が持てる訳です。
或いは、「見捨てられ不安」が強い人は、怒りや脅し・優しさ・監視等で
相手を束縛する事で大好きな人に見捨てられずに居られる
といった”希望”が持てる訳です。
ところが、そういった不安・恐怖が無くなるという事は、
同時に”希望”も失ってしまう事になるでしょう。
そして、「ありのままでは愛されない自分」「本当は価値が無い自分」
といった根っこにある無価値感が浮き彫りになって絶望へと至る
かも知れません。
②”死の恐怖”といった不可避の恐怖に直面して絶望を感じる
例えば、
「常に身体の不調に対して感覚を研ぎ澄ませ、重大な病気に結び付け
不安や恐怖に陥っている人」(所謂”心身症”)は、
徹底的に検査をしてもらって、”異常なし”と言ってもらったら
”安心”が得られる、という”希望”がある訳です。
でもその不安・恐怖が無くなると、
絶対に避けられない”死の恐怖”に直面してしまうのかも知れません。
そうなると心身の不調を感じる度に、
治しようが無く、逃れられない”死の恐怖”を感じるとすれば、
そこには絶望しか無いのかも知れません。
つまり、どちらにしても最終的には絶望=望みを絶たれる訳です。
ただ、そうは言っても
「不安や恐怖に襲われ続けて現実の生活に支障をきたしてる人」
はどうすれば良いのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
不安・恐怖に襲われ続ける人は
どうすれば良いのか?①
前回までに
「不安・恐怖等を感じやすい人は生まれつき不快刺激に対して敏感で、
不安・恐怖に集中し続ける事で、心身の安心・安全を保とうとしている、
言わばそれが生きる術、リスクマネージメントであると考えられる」
「そして、不安・恐怖には希望が含まれている。
だから闇雲に不安・恐怖を無くそうとすると、
無価値感といった究極の自己否定から来る絶望を感じたり、
”死の恐怖”といった不可避の恐怖に直面して絶望を感じてしまう。」
といった私の考えをお書きしました。
かと言って、
不安・恐怖に襲われ続けて、現実生活に支障が出てしまっている人は
「何とかしたい」と思われるでしょう。
それでは、不安・恐怖に襲われ続ける人はどうすれば良いのでしょうか?
今回からはそのヒントをお書きしてゆきたいと思います。
※これらのやり方の詳細をお書きしようとすると本1冊分になってしまう
でしょう。
ですから、
更なる詳細をお知りになりたい方はカウンセリングを受けられるか、
私の今迄のコラム(ブログ)をお読みになってそれを繋ぎ合わせれば、
ヒントとなると思います。
<不安・恐怖が無くなる為のヒント~上>
①本当の不安・恐怖まで掘り下げてゆく
→「もしその不安・恐怖が現実になったとすれば最悪どうなるのが心配?」
といった質問を自分にし続け、根源にある不安・恐怖をあぶり出す。
(注:紙に書き出してゆく事)
例えば前述の「例」で言うと・・・
「旦那は今日も帰りが遅い・・・”仕事だ”って言ってるけど、
本当は浮気してるんじゃないのかな?この前も携帯にGPS付ける
と言ったら怒っていたけど、本当に潔白ならそんなムキにならないはずだ。
浮気の証拠を掴もうと、旦那のパソコンや携帯のチェックをやめられない。」
→
Q:「もし本当に夫が浮気してたとすれば最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「夫と別れて、子供に辛い思いをさせてしまう・・・」
Q:「もしそうなっちゃったとすれば、最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「色んな事情で実家には頼れないし・・・
独りで子を育てないといけなくなる」
Q:「もしそうなっちゃったとすれば、最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「仕事と家事・育児に追われ一杯一杯になって、私がそうされてきた様に
子にストレスをぶつけてしまうかも知れない・・・」
Q:「もしそうなっちゃったとすれば、最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「私の母親みたいになってしまった自分を責めて絶望を感じる」
Q:「もしそうなっちゃったとすれば、最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「最悪、子と心中しちゃうかも・・・」
Q:「もしそうなっちゃったとすれば、最悪どうなっちゃうのが心配?」
A:「心中したら・・・
なんでこんな事になったんだろうと、悔いが残ると思う」
②その”最悪”が現実になった時の感情を感じる
→
「もし、心中しちゃって悔いが残ったのがたった今だとすれば
どんな気持ちになる?」
と、
その時の自分に身を置いて、出て来る感情を感じてみます。
例えば、「悔しい!・・・許せない!・・・・」
(もっとその感情に浸り続けて)
→「悲しい!・・・やるせない!・・・情けない!」
→感情を感じ切ったら、それを紙に書き出しておきましょう。
(注:その感情を感じきる事。但し圧倒されそうであれば、
出て来る感情を一つずつ紙に書き出してゆく事)
次回は、この続きをお書きします。
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
不安・恐怖に襲われ続ける人は
どうすれば良いのか?②
今回は、
前回に引き続いて「不安・恐怖が無くなる為のヒント」をお書きします。
<不安・恐怖が無くなる為のヒント~中>
③心を安定させる
→前回「②」で”最悪”が現実になった時の感情を感じ切る事ができれば、
その心に寄り添います。
例えば前回の例で言うと、
「悔しい!・・・許せない!・・・悲しい!・・・やるせない!・・・
情けない!」等と書き出した感情を読んでみます。
次に、
「我が子」や「幼い頃の自分」が、
その”感情”に苛まれて嘆き苦しんでいると想像します。
そして、
ぬいぐるみか人形を用意して、それを「その子」に見立てます。
あなたならどうやって、「その子」の気持ちに寄り添うでしょうか?
→「一緒に泣いてあげる」「強く抱きしめてあげる」等。
次に、
どうやって慰めてあげたり、落ち着かせてあげるでしょうか?
→「手を握りながら傍に居てあげる」「頭をナデナデしてあげる」
「優しい言葉を掛けてあげる」等。
→それをぬいぐるみか人形にしてあげます。
(”その子”が落ち着いたと感じるまで)
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
不安・恐怖に襲われ続ける人は
どうすれば良いのか?③
今回も前回に引き続いて、
「不安・恐怖が無くなる為のヒント」をお書きします。
<不安・恐怖が無くなる為のヒント~下>
④絶望ではなく、望みの方向へシフトしてゆく
→
”その子”(「我が子」か「幼い頃の自分」に見立てたぬいぐるみや人形)が
落ち着いたと感じたら、
「本当はどうなりたかったの?・・・どうしたかったの?」
と訊いてみましょう。
→「本当は・・・幸せな家族を作りたかった・・・」
「本当は、たとえ離婚しても子供と幸せに暮らしたかった・・・」
等々。
→「じゃあ、もし過去に戻ってやり直せるとしたら、
その絶望的な気持ちにならずにあなたの希望を叶える為には、
どのタイミングでどうすれば良かった?」
→ここで「①本当の不安・恐怖まで掘り下げてゆく」で書き出した
「もしその不安・恐怖が現実になったとすれば、最悪どうなるのが心配?」
の紙を読み返してみましょう。
→「もっと夫に優しくしてあげて、監視するのを我慢しとけばよかった
・・・」
「離婚した時、保育園や母に頼ってでも、
自分が一杯一杯にならないようにすれば良かった・・・」
等。
→それがわかれば、
その時代(今は子と心中しちゃった時ですので過去に遡る事になります)に
「その子」''(ぬいぐるみや人形)を抱いて連れてってあげます''。
(実際に「その子」を抱いて部屋を移動する等)
→そうして過去のその時に戻ったとして、実際に夫や母に対しての言動を
シミュレーションしてみましょう。
→ここでもし「その子」が「そんなのできないよ!」等と抵抗する様なら、
「私は二度とあなたにあんな辛い想いはさせたくない!」と
強く抱きしめてあげましょう。
※これらのやり方の詳細をお書きしようとすると
本1冊分になってしまうでしょう。
ですから、
更なる詳細をお知りになりたい方はカウンセリングを受けられるか、
私の今迄のコラム(ブログ)をお読みになってそれを繋ぎ合わせれば、
ヒントとなると思います。
#不安障害のカウンセリングについては、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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