認知の歪み・自動思考・中核信念(スキーマ)
認知の歪み・自動思考・中核信念(スキーマ)
目次
「仕事でミスを犯す私はダメ人間だ・・・・
こんな私は社内のみんなから必要無いと思われてるに違いない」
と、
自分を否定し続けながら、それでも「必要とされたい」と
吐きそうになっているのに毎朝無理やり起きて
「今日こそはミスをしないでおこう!」と
悲壮な覚悟で職場に向かうA子さん・・・。
見かねた母親から「A子!体が一番大切だから休んだら?」
と言われても、
「お母さんも知ってるでしょ?!
前の会社もその前も、同じ様に体調崩して辞めてしまった・・・。
今の会社を辞めたら、私の居場所なんてもうどこにも
無くなっちゃう・・・そうなったら私の人生終わっちゃう!」
と、
よろめきながらも必死の形相で睨んでくる我が子を止める事ができず、
「本当に、無理しないでよ!」と、送り出す事しかできない母親・・・。
その人個人の物事の捉え方を「認知」と言います。
その中で、
不安・落ち込み・恥・自己否定等のネガティブな感情が生じるものを
一般的(認知行動療法等)には「認知の歪み」と言われます。
そして、
この「認知(の歪み)」から自動的に生じる考え方を
「自動思考」と言います。
例えば、
上のA子さんの例で言いますと、
「ミスをする自分はダメ人間だ」
「(ミスをする)自分は皆から必要とされない」
「仕事を辞めれば自分の居場所が無くなり人生が終わる」
等は、
彼女特有の「認知の歪み」から自動的に生じる「自動思考」
と言えるでしょう。
そしてこれは自動的に出て来る思考であり、
しかもその人なりの”信念”に基づいているものなので、
容易に変える事ができずに、
所謂「うつ」「不安障害」「体調不良」等の心身が苦しむ方向
へ向かってしまう事が多いでしょう。
そして、
その「認知の歪み」や「自動思考」の根底にある”信念”
が「中核信念」(スキーマ)と呼ばれるものです。
この、
”スキーマ”と呼ばれる信念自体は誰でもあるもので、
必ずしもネガティブなものでは無いのですが、
その中で”問題”になるのが、
ネガティブな思考⇒感情に繋がる信念です。
(例えば「私には何の価値も無い」「私は誰からも愛されない」等)
こういったネガティブな信念の事を
認知心理学(スキーマ療法)では「早期不適応スキーマ」と言います。
例えば上記のAさんの場合は、
「自分は人間として欠陥のある”ダメ人間”で
そのような自分の存在自体を恥ずかしいと感じている」
とすれば、
「欠陥/恥スキーマ」を有していると考えられ、
「自分は他の人と違って
どのようなコミュニティにも所属することのできない孤立した存在だ
と感じている」
とすれば、
「社会的孤立/疎外スキーマ」も有していると考えられます。
認知行動療法やスキーマ療法等では、
そういった理論に基づいて”不適応”的な信念や認知の”歪み”を是正して、
結果としてうつや不安等の改善を図ります。
勿論、
その方法はエビデンスに基づいていて有効性が認められていますが、
私は「”不適応”的な信念」や「認知の”歪み”」という考え方には
強い違和感を感じています。
私がそう考える理由は次々回にお書きしたいと思いますが、
次回は
「どの様にして。”不適応”的な信念や認知の”歪み”が形成されるのか?」
を架空の例を基にお書きしたいと思います。
認知の歪みや中核信念(スキーマ)はどの様に形成されるのか?
今回は
結果として自分を苦しめる事になってしまう
「中核信念(スキーマ)や認知の”歪み”がどの様に形成されるのか?」
を引き続き架空のA子さんの例を基にお書きしたいと思います。
前回お書きした架空のA子さんの例で言うと、
「私はダメ人間で、恥ずかしい存在だ」
「どこにも所属する事ができない(居場所がない)孤立した存在だ」
といった、
「”不適応”的な信念」や「認知の”歪み”」を有していると考えられます。
勿論、
こういった信念や認知パターンは持って生まれたものではありません。
そこで、A子さんの生育歴をお聴きしてみたとします。
例:(架空の)A子さんの生育歴
両親と姉が居る家庭で育ち(父親は仕事が忙しく家族との関わりは希薄)、
姉は明朗活発で友達も多く、おまけに勉強もできた。
A子さんは大人しく人見知りなところがあり、
少ないながら友人も居たが、友達と遊んだり勉強する事よりも
家で絵を描いたり、お人形さん遊びを好む子だった。
A子さんは親や他人の顔色や反応に敏感で、
姉は積極的に母親に話しかけていて、
よく二人で楽しそうに会話してる姿を見ていて、
「お母さんは私にはあんな笑顔を見せてくれない・・・」
と寂しさを感じていた。
また、
学校のテストの結果に対しても
「お母さんは、お姉ちゃんの成績を見る時は嬉しそうな顔で、
”凄いわね~!”と、いつも褒めてるけど、
私には諦めた様な表情で、”次にまた頑張ったらいいわよ”
と慰めしかくれない。
お母さんは私の事なんて、期待してないんだ・・・」
と感じていた。
A子さんは
「お母さんは私よりもお姉ちゃんの事が好きなんだ・・・」
と感じていて、
お母さんに好かれる為に、
家事の手伝いを積極的にしようとしていたが、
「有難う・・・でも、そんな事はいいから、勉強しなさい」
と母親に言われて、
「勉強ができない私はお母さんに愛される価値が無いんだ」
と感じる様になった。
でも、
いくら勉強を頑張っても、集中力が続かなかったりケアレスミスで
姉ほどの成績を取る事ができず、
次第に
「この家の子はお姉ちゃんだけで良かったんじゃないのかな?
私なんて必要無いんじゃないのかな?・・・」
と感じる様にまでなった。
学校でも、
授業中に不意に先生に当てられた時に、うまく答えられずに
頬が赤くなるA子さんを男子がからかって
クラス中に「ドッ」と笑いが起きた事があった。
A子さんは
「うまく答えられない私はダメなんだ・・・」と感じ、
「うまく答ええなきゃ、うまく答えなきゃ!」と意識すればする程、
言葉が出なくなって、その度にからかわれて、
「みんなの様にうまく答えられないダメな私はみんなから嫌われている」
と感じる様になり、学校に行けなくなってしまった時期もあった。
そうなると、
「行って来ます!」と元気に学校へ通う姉の姿を横目に、
自分に向ける母親の心配そうな表情を読み取って、
「お母さんに迷惑掛ける私なんて消えてしまった方がいいんだ・・・」
とまで考える様になった・・・。
この様にしてA子さんには、
「欠陥/恥スキーマ」や「社会的孤立/疎外スキーマ」
やそれに基づく認知の”歪み”や自動思考が形成された訳です。
次回は、
(前々回に触れた)「”不適応”的な信念」や「認知の”歪み”」という考え方に
私が強い違和感を感じる理由をお書きしたいと思います。
認知の歪みなんてものは無い
前々回、
認知(行動)療法やスキーマ療法等が、
その論拠とする認知心理学で言うところの
「”不適応”的な信念」や「認知の”歪み”」といった考え方に対して、
強い違和感を感じている、とお書きしました。
今回は、
私がそう感じる理由をお書きしたいと思います。
前回のA子さんの例で言うと、
「お姉ちゃんみたいには、勉強ができない私は
お母さんから愛されない。
そうなると、この家には必要無い存在だ」
「みんなみたいにうまく答えられない私は、
クラスのみんなから受け容れてもらえない。
そうなると学校にも居場所が無くなる」
と感じた事は、
当時のA子さんにとっては”事実”だった訳です。
そして、
「お母さんから愛されたい」
「クラスのみんなから受け容れられたい」
という願いも、彼女の真の欲求です。
だとすれば
「勉強も、質問への回答も完璧にできなきゃいけない」
という思考になるのも当然です。
そしてその考え方には
「完璧にしなきゃ、居場所が無くなってしまう」恐怖
と同時に
「完璧にすれば、愛され受け容れられて居場所ができる」という希望
も含まれている訳です。
例えば
あなたのお子さんや大切な人が敏感さ故に傷つき、
(たとえ誤解だとしても)「私はダメ人間だ」と思い込んで
苦しんでるとします。
そして、
そう思い込んで行き詰ってる我が子が
「勉強さえできれば、うまく答える事ができれば、居場所ができるかも」
と希望を持って自分に鞭打ちながら完璧な自分を目指し続ける姿に、
「あんたのその考え方は間違ってるのよ!」
とか
「考え方が歪んでるのよ!」
と仰ったところで、
お子さんは「わかってもらえた」と感じるでしょうか?
或いは
「そこまで完璧にしなくても愛されるし、此処に居ていいよ」
と言ってあげたとして、その言葉を信じるでしょうか?
逆に
「私をより疎外しようとする”罠”だ」と感じるかも知れません。
一方、
「そう思い込んで、愛され居場所を作る為に、完璧にしようと
今迄よく頑張って来たんだね!」
とその信念や努力を理解して受け容れてあげるとどうなるでしょう?
そして
「でも、その努力が中々報われず居場所が中々できずに
辛かったね・・・寂しかったね」
等と共感してあげるとどうなるでしょうか?
「自己受容」とは、
自分の欲求を叶えようとするどんな信念や思考も共感して受け容れる事
であり、
それをして初めて、
頑なな心を(変化へと)少し開く事ができるのでは?と思います。
更に、
その信念があったお陰で希望を失わずに何とか生きて来られたとすれば?
・・・
”その時の自分”に対して、
「あんたの信念は間違っているよ!」
とか
「認知が歪んでいるから直さないとダメだよ!」
等と言ったところで、
それを変える事ができたのでしょうか?
逆に
”その時の自分”は「否定された」「わかってもらえない」と、
より苦しんで絶望のふちに追いやられるのではないでしょうか?
私は、
”その時の自分”を思いやって共感し、
「間違った信念だ」
とか
「歪んだ捉え方・考え方だ!」
と否定し続けて来た事を謝罪し、
「そのお陰で今の私がある」と感謝する事が大切だと思います。
少なくともそれらは不適応的な信念や認知の歪み等ではなく、
その時には必要だった適応的な信念であり、認知であったのだと思います。
但し、
今は確かに不適応的になっているから苦しいのだと思いますが、
無意識下にはそういった信念・認知・感情が
今も時間軸から遊離したまま存在し続けていると考え、
その存在の事をまずは思いやってあげる事が大切だと思います。
※お独りでは難しい場合や、これ以上のヒントが欲しいとお感じになった方
はお気軽にお問合せ下さい
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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