虐待・暴言は子供の脳を変形させてしまう

虐待・暴言は子供の脳を変形させてしまう

「子供への暴力・体罰」

「子供への(親・養育者・兄弟等による)性加害」

「子供の面前での父母の争い・DV」

「子供への暴言」

「育児放棄(ネグレクト)」



これらの行為は児童虐待防止法等によって、法律で禁止されています。

ただ、親御さんの中には
「これは、躾だし私もそうされて育ってきた」

とか
「他人の家庭の教育方針に口を出すな!」

とか
「うちの子は平気だし、これくらいだったら大丈夫」

等とお考えになっておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?



ところが、
最近の研究(ハーバード大学のタイチャー教授と福井大学の友田教授らの
共同研究)では、

これらの「マルトリートメント」(不適切な養育)によって
子供の脳が大きなダメージを受ける(実際に変形してしまう)
が明らかになってきました。



例えば
体罰によって子供の脳の「前頭前野」(主に思考や感情の制御に関わる部位)
が委縮する事が脳画像診断によって明らかになりました。

また、性被害父母の争い等の所謂面前DVを受けてしまった場合、
視覚野が委縮し、

更には、暴言を浴びせ続けられた子供は
聴覚野が肥大し、人との会話で余計な負荷がかかり、
人と関わる事を怖れるようになる場合も出て来たり、

上記の様な、様々な「マルトリートメント」によって
海馬が委縮し、学習能力や記憶力の低下を起こす可能性があるとの事です。



※複数の「マルトリートメント」を受けた子供の脳の傷つき方は
 より大きくなるそうです

 →例えば「両親の喧嘩・DV目撃」+「親からの暴言」の方が
「身体的な虐待」よりも脳がより傷つく、というのは驚きの研究結果
 だと感じます。



そして、この「脳の変形」が後に様々な”症状”を生み出してゆきます。



その事について、次回にお書きしたいと思います。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

 

 

虐待、暴言等によって生じる疾患

 

前回お書きした様に、

「子供への暴力」「暴言」「面前DV」「性加害」「ネグレクト」等の
「マルトリートメント」(不適切な養育)によって子供の脳が変形し、
後に大きな”後遺症”とも言える症状が出現する事が明らかになってきました。



例えば、
それらの「マルトリートメント」が反復的に比較的長期間行われた場合は、
フラッシュバック・悪夢・パニック等のPTSD症状に加え、「感情調節障害」
(感情の制御不能)、「自己評価の障害」(私は生きてる価値が無い)、
「対人関係の障害」(他人への不信・孤立、親密な関係を断ち切る、一方では
 助けてくれる人を求める)等の3つの要素が合わさった「複雑性PTSD」
になったり、

うつ病、不安障害、境界性パーソナリティー障害、解離性障害、依存症
果ては、双極性障害様の状態、統合失調症様の状態、発達障害様の状態、
になる可能性も指摘されています。



特に、この「マルトリートメント」が行われている家庭においては
「愛着の形成」が成されていない場合が多いと想像されますので、
所謂「発達性トラウマ障害」の状態になる人も多いのでは?と考えられます。



※私見ですが、ASDやHSP等で見られる生来の「感覚過敏」を持って生まれた
 子供は、「マルトリートメント」に対しても過敏に反応する筈ですので、
 より容易に”後遺症”が残るのでは?と考えます


 

それでは、
「もしかしたら私が生き辛いのはそのせいかも知れない」
とお感じになった方はどうすれば良いのでしょうか?

それについては次回お書きしたいと思います。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

 

 

虐待、暴言等による後遺症からの脱出方法

 

前回までに、

「子供への暴力」「暴言」「面前DV」「性加害」「ネグレクト」等の
「マルトリートメント」(不適切な養育)によって子供の脳が変形し、

「複雑性PTSD」「発達性トラウマ障害」、「うつ病」、「不安障害」
 「境界性パーソナリティー障害」、「解離性障害」、「依存症」、
 「双極性障害様の状態」、「統合失調症様の状態」、「発達障害様の状態」
 等の”後遺症”が残ってしまう恐れがある

とお書きしました。



それでは、そういった”後遺症”に苦しんでおられる方
どうすれば良いのでしょうか?

そのヒントをお書きしたいと思います。






脳の神経回路には「可塑性」と言って、再生・再構築できる機能があります。

例えば、昔自転車に乗れてた人が長年自転車に乗らなかったとします。

久しぶりに自転車に乗ると最初はフラフラするかも知れませんが、
しばらくすると昔の様にうまく乗る事ができる様になるでしょう。

これは昔乗ってた頃は神経回路のシナプスが強化されて大きくなっていたのに、
長年乗らない事で、それが小さくなった・・・。
でも再び乗り始めてまた元の様に大きくなった、と言えるでしょう。

或いは、ある部分の神経回路が死滅したとしても、
他の神経回路が同様の働きを代行する様になったりもする様です。

また、PTSD等によって委縮した海馬(主に記憶を司る脳部位)が
トラウマが癒されれば、回復するという報告もあります。

それ故、トラウマを癒し、神経回路を再生・再構築する
という作業が一番肝心だと思われます。

(勿論、表出している症状や環境のせいで、それどころじゃないと
 感じている方は、服薬治療や環境調整も大切だと思います)

以下、そのポイントをお書きしましたが、
詳しい内容をお知りになりたい方はお気軽にご相談下さい。






<虐待、暴言等による後遺症からの脱出方法> 



①服薬治療:

 精神科や心療内科で「うつ」や「気分の変動」「不安」「パニック」「不眠」
 等の、今、表に出ている症状に対しての薬を処方してもらう。



②心理療法・精神療法:

 専門のカウンセラーや医師によって「トラウマ(心の傷)」を癒す
 トラウマ処理を行う。
 その後、愛着の再形成を行う心理療法、
 更に、今表出している症状に対して心理療法を行う。



③環境調整:

 必要なら、ソーシャルワーカーや役所、児童相談所等の力を借りて
 環境を好転させる。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

 

 

虐待を止められないお母さん・お父さんへ
①連鎖

 

「我が子を愛そうと強く願っているのに、言う通りに動かない子を
 まるで何かが憑依した様に怒鳴り続けたり、叩いてしまう・・・」

「誰にも頼れず一人で子供を育てようと頑張っているのに、
 泣き止まなかったり手が掛かる子にイライラをぶつける事が
 やめられません・・・」

一生懸命我が子を愛そうと頑張ってるのに、
親を反面教師にして理想のお母さん(お父さん)になろうと努力してるのに、
ほんの些細な事がきっかけで、コントロールできない衝動に襲われて
子供を怒鳴り続けたり、暴力を振るってしまう



そしていつも

「私はなんて酷い母親なんだ・・・」

「あんなに嫌いだった私の親と同じ事をしてしまってる・・・」

「いっそ、施設に預けた方がこの子は幸せになるんじゃないか?・・・」

と激しい自己嫌悪に襲われる。

そういった我が子への虐待で悩まれておられるお母さん(お父さん)
も多いです。



では、何故虐待を止める事ができないのでしょうか?



ここからは私見ですが、考えられる原因としては2種類あると思います。

※以下に述べる”原因”はあくまでも推測の域での単なるリスク要因ですので
 その点をご了承下さい。

※被虐待的な環境の中でも「レジリエンス」(自己回復力)が高い等の
 理由で”虐待の連鎖”を止められている凄い方も中にはいらっしゃいます。






<我が子を虐待してしまう原因①>



まず一つ目は、
(こちらが過半数を占めると思いますが)親御さんご自身も
親等の家族・養育者から虐待(DV・面前DV・暴言・性被害・ネグレクト等)
されて育った

→そういった家庭環境で育った場合は、
 ICD11(国際疾病分類)で言う所の「複雑性PTSD」
 に陥ってしまう方も多くなると考えられます。

この疾病は単発的なトラウマではなく、繰り返される虐待等の長期・反復的な
トラウマ体験によって脳が変形(前述)する程の傷害を負います

症状としてはフラッシュバック・悪夢・パニック等のPTSD症状に加え、
「感情調節障害」(感情の制御不能)、
「自己評価の障害」(私は生きてる価値が無い等)、
「対人関係の障害」(他人への不信・孤立、親密な関係を断ち切る、
 一方では助けてくれる人を求める)等の3つの要素(+解離)が
合わさっているというものです。

ご自身がそういった家庭環境で育ち、且つ
「感情の制御が効かない」(解離状態とも言えます)、
「私はダメな親だ」「誰にも頼れない」・・・等が思い当たる方は
「複雑性PTSD」の可能性が高いでしょう。

もしそういった何重ものトラウマを抱えておられると、
自分を守る為に(自我の防衛機制)「私が虐待されたんじゃない!
この子が虐待されてるんだ!」我が子を虐待する事で
(無意識に)自分の心の傷を塞ごうとしてしまうといった、
所謂「投影同一化」が起こる事もあるでしょう。




次回は私が推測する「我が子への虐待を止める事ができない原因」の二つ目
についてお書きしたいと思います。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

 

 

我が子への虐待を止める事ができない原因②

 

前回、
「我が子への虐待を止める事ができない原因」(推測に基づくリスク要因)
の一つ目として、

親御さんご自身が被虐待的な家庭環境に育った為に「複雑性PTSD」
に陥っておられる可能性があるとお書きしました。



今回は考えられる2つ目の原因についてお書きしたいと思います。






<我が子を虐待してしまう原因②>



私が考える二つ目の原因としては、

親御さんご自身が幼児期に親等の養育者との関係の中で、
愛着形成がなされなかった場合は所謂「愛着障害」に陥ってしまう事
が多いと思います。

そうなると、
特に配偶者や親に頼れないという現状があった場合は「安全基地がない」
と感じるでしょうし、
一人で子を観ている時には「自分の中に安全基地を作れない
(内在化できていない)」為に、
より不安定になって子供に当たったりし易くなると考えられます。

この状態に陥った親御さんは、「子が泣く」「グズる」事や
「育児本通りの子育てができていない」等の不安に対処できなくなり
パニックになって(自らの不安を収めようと)虐待してしまう事もある
でしょう。

特に複雑性PTSDに陥っておられる方は、
「愛着形成」が成されずに育った方も多いと思われますので、
「複雑性PTSD」+「愛着障害」=(所謂)「発達性トラウマ障害」
と言うべき状態に陥って、我が子を虐待してしまう確率は高まると思います。



※親御さんご自身がASD(自閉スペクトラム症)傾向をお持ちの場合は
 我が子の気持ちに寄り添う事が難しかったり、
 「自分の思い通りにしたい」、「自分のペースを乱されたくない」
 といった傾向が強い方もいらっしゃいますし、

 「自分が決めたルール」に拘り過ぎてしまったり、
 (感覚過敏の為に)「子の泣き声」や「下の処理・匂い」、「子と触れ合う事」
 等に対して過敏に反応してしまったり、人との交流が苦手で孤立
 しやすかったり等、子育てに纏わる膨大なストレスを感じ続ける事もある
 と思います。

 勿論、それだけでは虐待に繋がる事は少ないと思いますが、
 それに加えて、その親御さんが「愛着障害」に陥っていたとすれば、
 「子供を思い通りにしたい」「子は私の分身だから何をしてもいい」
 等といった子への執着・依存(理想化転移や鏡転移)が生じやすくなり、
 虐待に繋がる確率は増えるのでは?と考えます。



それでは一体、どうすれば我が子への虐待を止める事ができるのでしょうか?

そのヒントを次回お書きしたいと思います。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

 

 

どうすれば虐待を止められるのか?

 

前回と前々回で
「我が子への虐待を止める事ができない原因」(推測に基づくリスク要因)
についてお書きしました。



今回は、
「我が子への虐待を止めるヒント」をお書きしたいと思います。






私の推測が正しければ、虐待してしまう原因は(全てとは言いませんが)
主に「複雑性PTSD「愛着障害」(特にASD絡みの)の2つである
と思います。

もしそうだとすれば、ポイントは「複雑性PTSD」と「愛着障害」からの
回復だと考えられます。

その考えを基に、
「我が子への虐待を止めるヒント」をお書きしたいと思います。






<我が子への虐待を止めるヒント>

①「複雑性PTSD」からの回復

まず、
何重にも積み重なったトラウマを処理してゆく事が肝要だと思います。

※トラウマ処理はデリケートで、トラウマの再演や過度のフラッシュバック等の
 危険が伴いますので、必ず専門家の許で行って下さい。

以下に、代表的なトラウマ処理の技法をお載せします。



(1)EМDR

(2)TF-CBT( トラウマフォーカスト認知行動療法)

(3)NLPを基にしたイメージワーク

(4)TAゲシュタルト療法を基にしたイメージワーク

(5)ボディーコネクトセラピー

(6)ソマティック・エクスペリエンス

(7)TFT(思考場療法)

(8)STAIR-NT

(9)スキーマ療法

(10)自我状態療法やホログラフィートーク

(11)ブレインスポッティング

(12)内的家族療法やパーツセラピー

等々。

(因みに私は「(1)」の変型判と「(3)」、「(4)」、「(7)」、「(9)」を
 用いたお手伝いを差し上げております。※「(10)」「(12)」は勉強中です)






②「愛着障害」からの回復(愛着の再形成)



愛着はいくつになっても再形成する事が可能です。
そして、その相手は必ずしも親でなくても大丈夫です。

例えば、配偶者、恋人、元の家族、親友、カウンセラー、医師、
ソーシャルワーカー、相談所や施設の職員、保育園・幼稚園の先生等。

ご自身にとって、悩みを打ち明けたり安心感を与えてくれる「安全基地」
を作りましょう。

勿論、親等から酷い目に遭って来られた方や
愛着形成が成されて来なかった方にとっては、
「他人を信じる」とか「他人に心を開く」という事に対するハードルは
高いと思います。

ですから、(トラウマ処理が進めば)思い切って他人に頼る勇気
が必要になると思います。

また、
アメリカの心理学者「ダイアナ・フォーシャ」先生が始められた
「AEDP」

同じく
「ジェニーナ・フィッシャー」先生が始められた
「パーツセラピー」
トラウマ処理愛着形成(内在化)にとても優れた技法だと感じます。

但しお独りでは難しいですので、必ず専門家に”頼って”みる事をお勧めします。

以上、
「我が子への虐待を止めるヒント」をお書きしてきましたが、
お独りでは難しい場合はお気軽にご連絡下さい。

 

#親子関係の悩みのカウンセリング・家族療法については、
こちら

プロフィール

のぶさわ 正明
のぶさわ 正明心理カウンセラー・自己実現コーチ
・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
  心理療法カウンセラー
  不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員

2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。