メンタルの疾患とは何か?
メンタルの疾患とは何か?
目次
「最初の精神科で”双極性障害”と診断され服薬治療しても良くならず、
次の医者では”発達障害の傾向”を指摘され、
今の医者では”統合失調症”と診断され、服薬治療中です」
「適応障害と診断され、現在会社を休職中です」
「心療内科でうつの診断を受けていたが、最近パニックや強迫も酷い
ので医者に訴えたら、薬が増えたけど良くならない・・・。
医者は”自閉症傾向もあるのでは?”と言ってくれたが、
私は一体何の病気なんだろう?」
「性依存は良くなり、性犯罪の再犯の不安はほぼ無くなったが、
今度はギャンブル依存になってしまった」
メンタルの不調に気づき、その為に日常生活に支障が出て、
精神科や心療内科を訪れると、何らかの”診断名”が付けられて
それに見合う薬を出されるでしょう。
診断して病名をつけ、薬で症状を抑えようとするのが
「精神科医」や「心療内科医」の主な仕事ですが、
基本的には診断名が無いと薬を出す事はできません。
その為に、診断の基準であるアメリカのDMSやWHOのICD等は、
メンタル疾患を事細かく分類しています。
そうして、
「私は自閉スぺトラム症だ」
とか
「私は社交不安障害だ」
とか
「私は双極性障害Ⅱ型だ」
とか
「私はてんかんとパニック障害とADHD傾向もある」
等と
「〇〇障害」、「〇〇症」といった、
非常に多様な”疾患”が産み出される訳です。
多くの方はそれらは別々の疾患と思われていらっしゃると思いますが、
「ADHD+ASD」や「うつ+強迫性障害+不安障害」等の様に
複数の疾患を合わせ持ってる方も多いでしょうし、
医者を変えたら診断名が変わった(=薬も変わる)、
という方もいらっしゃるでしょう。
それでは、
何故そういった事が起きるのか?
私は、
ほぼすべてのメンタルの疾患には共通の原因がある
と考えています。
次回はそれについてお書きしたいと思います。
メンタルの疾患に共通しているもの
前回お書きした様に、
私は、ほぼすべてのメンタルの疾患には共通の原因がある
と考えています。
だとすれば、
その原因とは一体何なのでしょうか?
脳神経内科医の田中伸明先生は、
「全ての精神症状やそれに纏わる身体症状を”扁桃体症候群”
だとみなして治療に当たっている」
と仰っておられます。
つまり先生は、
(発達障害等も含めて)全てのメンタル疾患には
扁桃体の過剰反応が絡んでおり、
「戦う/逃げる/凍り付く」といった所謂防衛反応によってもたらされる
とお考えになられています。
私は、このお考えに激しく同意します。
私はずっと臨床の現場に携わってきて、以前から
「メンタル疾患の共通項は(扁桃体が関与している)防衛反応に違いない」
と感じてきました。
例えば、
「ASD(自閉スペクトラム症)とADHDの併発」とは、
扁桃体が関与する”脅威”に対する防衛反応のパターンが
「逃げる/避ける」方向へ向かうという点では同じ物で、
”避け方の違い”として、
「刺激が無い方へ逃げる=ASD」、
「刺激がある方へ逃げる=ADHD」、
と考えています。
※ASDのお子さんが時に家庭で暴れたり、
ADHDの人が時に感情を爆発させるのは
防衛反応である「戦う」という方向へ向かった時でしょう
次回は、
防衛反応の種類によってメンタル疾患を分類して、
原因を探ってみたいと思います。
メンタルの疾患の分類
前回お書きした様に私は、
(発達障害等も含めて)全てのメンタル疾患には
扁桃体の過剰反応が絡んでおり、
「戦う/逃げる/凍り付く」といった所謂防衛反応によってもたらされる
と考えております。
仮にそうだとして、
今回は
防衛反応の種類によって、メンタル疾患を分類してみたいと思います。
<メンタル疾患の防衛反応に基づく分類>
(1)逃走反応によるもの
(ポリヴェーガル理論で言うところの、交感神経系の働きによる)
●「適応障害」
=ストレス因からの逃走反応
●「摂食障害」
=今の自身の体形・体重等の現実を受け入れる事への恐怖・嫌悪感から
脱しようとする
●「依存症」
=ストレス因から逃れる為に、物や人に依存する
●「ASD(自閉スペクトラム症)」
=不快刺激に対して、刺激を受けない方向へ逃げる
●「ADHD」
=不快刺激に対して、(快)刺激を得る方向へ逃げる
●「双極性障害」
=躁状態の時は、万能感を持つ事で脅威(対象は不明)から逃れようとする
※逆に鬱状態の時は、脅威から逃れる為に逃走反応や凍り付き反応?
が使われるのかも知れません
等々。
※他にも
●「恐怖症」、●「社交不安障害」、●「強迫性障害」、
●「双極性障害の鬱状態」、●「不登校」、●「引きこもり」
等も脅威への逃走反応によるものと考えられます。
(2)闘争+逃走反応によるもの(混合型)
(ポリヴェーガル理論で言うところの、交感神経系の働きによる)
●「統合失調症の陽性症状」
=(被害)妄想や幻聴、幻覚等によって”攻撃”を受けていると感じ、
その”敵”から逃れようとしたり(逃走)
”敵”をやっつけようと、反撃行動に出る場合もあります
●ある種類のパーソナリティー障害
※例えば、境界性パーソナリティー障害は見捨てられる事への恐怖に対して
攻撃を喰らわしたり、その恐怖から逃れる為に過度に迎合したり、
依存したりする
等々。
(3)凍り付き反応によるもの
(ポリヴェーガル理論で言うところの、背側迷走神経系の働きによる)
●「不安障害」、●「パニック障害」、●「解離性障害」、
●「うつ」、●「PTSD」、●「統合失調症の陰性症状」
等は、
逃げる事も戦う事もできない脅威に対して
最終的に凍り付き反応が優位になる為と推察します。
以上、
私はほぼ全てのメンタル疾患は扁桃体の過剰反応から来る防衛反応
によるものと考えています。
だとすれば、
メンタルの疾患に苦しんでおられる人は何故扁桃体が過剰に反応して
防衛反応を起こし続けているのでしょうか?
次回はその理由を考察したいと思います。
メンタルの疾患の根本原因
今迄お書きして来たように、
「ほぼ全てのメンタル疾患は扁桃体の過剰反応から来る防衛反応
によるもの」といった私の推察が当たっているとすれば、
その根本の原因を考えてみたいと思います。
<メンタルの疾患の根本原因>
(1)トラウマによるもの
逃げる事も戦う事もできない虐待やネグレクトを受けてきたり、
事故や事件、天災等に遭遇した場合等はトラウマとなり、
防衛反応が持続してしまうでしょう。
※胎児の時や出生時や出生後に逃げる/戦う事ができない脅威と感じる状況に
置かれた場合も、はからずもトラウマとなるでしょう。
例えば、医療的ケアが必要な状態で生まれて来た子供は親から引き離され
自由を奪われてしまう事によるトラウマを受ける事もあるでしょう。
(2)極度な感覚過敏によるもの
生まれつき極度な感覚過敏を有していると、
そうでない人にはトラウマとならない事柄でもトラウマとなってしまい、
防衛反応が持続してしまうでしょう。
※これら「トラウマ」と「感覚過敏」の関係性で言いますと、
「トラウマを受けたから感覚過敏が強まる」場合
と
「感覚過敏があるからトラウマとなり易い」
といった相関的なものがあると思いますが、
いずれにしても
「トラウマを受ける」⇒「感覚過敏が強まる」
⇒「益々トラウマを受け易くなる」⇒「益々感覚過敏が強まる」
といった悪循環になり易いと考えられます
それでは、
ほぼ全てのメンタル疾患に共通の原因と考えられる
扁桃体の過剰な(防衛)反応を根本的に治してゆくにはどうすれば良い
のでしょうか?
次回はそのヒントをお書きしたいと思います。
メンタルの疾患を根本的に治すには?
前回お書きした様に、私は
「ほぼ全てのメンタル疾患に共通の原因は
扁桃体の過剰な(防衛)反応によるもの」
と考えています。
もしそうだとすれば、
メンタルの疾患を根本的に治す為には、
この”扁桃体の過剰な(防衛)反応”をいかに抑える事ができるか?
にかかっていると思います。
今回はそのヒントをお書きしたいと思います。
<メンタル疾患を根本的に治す為のヒント>
①安全・安心を感じられる関係性を第三者と築く
「ポリヴェーガル理論」で言われている様に、
交感神経系による闘争/逃走反応、背側迷走神経系による凍り付き反応
といった過度の防衛反応を抑える為には
腹側迷走神経系の働きが必要になります。
その為の第一歩としては、
「安全・安心を感じられる相手との場」が必要となるでしょう。
但し、
クライアントさんお独りでは、そういった関係性を作れない場合が多い
と思いますので、
そういった関係性を築いてくれるカウンセラーや医師を探す必要
があります。
②トラウマのケア
特にフラッシュバック(凍り付き反応)を伴う様な大きなトラウマ(PTSD等)
に苦しんでいる方はトラウマのケアが必要となります。
方法としては、
「EМDR」、「ソマティック・エクスペリエンシング」、
「センサリーモーターサイコセラピー」、「ハコミセラピー」等の
認知や思考ではなく、身体感覚等から入ってゆくボトムアップのセラピー
が必要だと思います。
③外在化と前頭前野による意識的なケア
被虐待的な家庭環境に育った場合や感覚過敏によって、
無数の”プチトラウマ”に苦しんでいる「発達性トラウマ障害」や
「複雑性PTSD」と呼ばれる状態にある方は、
意識の場である前頭前野・左脳が無意識の場である辺縁系・右脳の
潜在記憶から来る感覚・感情・思考に圧倒されて制御不可能の状態にある
と言えるでしょう。
だとすれば、
無数のプチトラウマを受けた”部分”や
いまだに
「戦う/逃げる/凍り付く」といった防衛反応を起こしている”部分”に
前頭前野・左脳が乗っ取られる事無く、ケアして行く事が大切です。
その為には無意識側の”部分”を外在化して、
前頭前野・左脳から切り離した上で意識的にケアしてゆく必要があります。
方法としては、
「内的家族システム療法」、「自我状態療法」、「パーツセラピー」
等が有効です。
メンタルの疾患は医者の薬だけで治るのか?
前回は、
メンタルの(全ての)疾患を根本的に治すヒントをお書きしましたが、
「精神科」や「心療内科」で出される薬でも根本的な治癒は望める
のでしょうか?
答えは残念ながら「否」と言わざるを得ません。
何故ならば、
脳や神経系等の機能は今の科学では解明できていない部分が多過ぎるから
です。
医療は科学的見地に基づいていますので、
当然、「〇〇障害」や「〇〇症」の根本原因等、
”科学的に”解明できていない部分に足を踏み入れる事はしません。
そして、
かろうじて解明できている部分に基づいて薬を出す訳です。
例えば、
「うつ病」になった人は脳内の神経伝達物質であるセロトニンや
ノルアドレナリンの流量が減っているという事が分かって来ましたので、
それらの流量を増やす為に作られているのが「抗うつ薬」です。
但し、
「何故セロトニンやノルアドレナリンが不足するのか?」といった原因
はわからないので、それ以上は掘り下げる事ができません。
ですから、
”最終的な結果”を改善しようとする対症療法に留まっている訳です。
これは例えて言うと、
腹痛で苦しんで病院に来た患者さん全員に検査せずに痛み止めだけ出す
みたいなものです。
勿論、
科学がそこに追いついていないので仕方がありませんし、
お医者さんの責任でもありません。
しかも今の医療制度の中では、
・診断基準に沿って診断する(病名を付ける)
⇩ ⇩ ⇩
・(病名が付いて初めて)薬を出す
⇩ ⇩ ⇩
・診断基準から外れる事(改善・寛解)を目標とする
事が求められています。
例えば「うつ病」を例にしますと、
医師の診断基準の一つであるDSМ-5では
「(1)抑うつ気分、(2)興味・喜びの喪失、(3)体重(食欲)の減少
または増加、(4)不眠または過眠、(5)精神運動;焦燥・制止、
(6)易疲労感、(7)無価値感・罪責感、
(8)思考力・集中力の減退、(9)自殺念慮・自殺企図」
のうちの
(1)と(2)の両方か、どちらか一方を必ず含んだ上で
合計で5つ以上の症状が殆ど1日中、殆ど毎日、2週間以上続いていれば
うつ病と診断する」
とされています。
という事は、
例えば仕事に行けなくなったある患者さんが、
上の「(1),(2),(4),(5),(6),(7),(8)」の7項目を満たして
「うつ病」と診断されたが、
抗うつ薬である「SNRI」によって、「(1)」,「(2)」の状態が
毎日一日中は続く事が無くなり、睡眠剤によって「(4)」も改善すれば、
うつ病の診断基準に当てはまらなくなりますし、
仕事にも行けるようになれば、「うつ病は良くなった」と言えるでしょう。
勿論、
「無価値感や疲労感が残っていても社会生活に支障が無い状態
になれば良い」というのが患者さんの目標であれば、
それで良いと思いますし、
お医者さんも制限・制約がある中で日々最善を尽くされておられる訳です。
※投薬治療だけではご不満を感じられる方はお気軽にお問合せ下さい
カウンセリング・心理療法・薬物療法の違い
今回は「カウンセリング」と「心理療法」、「薬物療法」の違いを、
「心の自然治癒力」というものに的を絞って私見を交えてお書きしたいと思います。
例えば、風邪をひいたり怪我をした場合・・・。
市販の薬やお医者さんでお薬をもらったり手当をしてもらいますよね?
でも、薬や手当が風邪や傷を治すというよりも、身体の免疫力や再生力という
「自然治癒力」が働いて治している訳です。
つまり、手当や薬で症状や痛みを取り除いておいて
後は身体の自然治癒力に任せてしまう訳です。
僕は身体と同様に「心」にも「自然治癒力」があると考えています。
ただ、うつっぽさやパニックや不安・恐怖、強迫等の症状があると、
自然治癒力の発動が妨げられてしまう。
そういった場合は、まず症状を抑える為に精神科なり心療内科で診断してもらい
症状を抑える薬をもらう訳です。
ただ、そうした「薬物療法」では「心の自然治癒力」には
直接は働きかけませんので、あとはその人の「自然治癒力」が強いか弱いか?次第
になってくると思います。
(※もっとも、医者に行った安心感や薬のプラシーボ効果で自然治癒力が高まる
場合もあると思いますが)
では「心の自然治癒力」を直接高める方法はないのでしょうか?
まずご自分でできる事としては、楽しい事をして気分転換を図る、
ゆっくり休養する、胸の内を誰かに話をする、或いは思い切って離職や転職、
転居等環境を変える等があるでしょう。
そしてそれでも「心の自然治癒力」が中々高まって来ないのであれば、
「カウンセリング」や「心理療法(セラピー)」を受けるという選択肢もあります。
まず「カウンセリング」は、主に対話によってその人が抱えている問題解決を
図っていきます。
特に、大御所のロジャーズという人の影響が大きいのでクライアント(お客さん)
の話を受容・共感的に傾聴し、「安心できる場」と「自分の話を受け止め、
共感してくれる相手(カウンセラー)がいる」という事で
お客さんの心に気付きや変化が生じ、「心の自然治癒力」が自動的に高まる、
という事を狙っていると言えるでしょう。
ところが、実際に何らかの症状で苦しんでいて、
それをまず何とかしないと「自然治癒力」が発動できない場合や
心の「自然治癒力」があまりにも低下している場合は
「話を聴いてるだけで何も変わらなかった」という文句でも言いたい気持ち
になられると思います。
そういった場合は、前者の症状消失がまず目的であれば医者に行って
薬で症状を抑えて、平行的にカウンセリングを受けられる事もいいと思います。
ただ、薬でも症状が抑えられない場合や、
後者の「心の自然治癒力」があまりにも低下している場合の選択肢として
「心理療法」が挙げられます。
「心理療法」というのは、「広義のカウンセリング」の中に含まれるもの
ですので、勿論そのベースには「受容・共感的な傾聴」があります。
ただ、傾聴を主体とする「狭義のカウンセリング」との違いとしては、
症状の消失から「心の自然治癒力」の強化に至るまで様々な技法やアプローチ
を用いて、積極的にセラピスト側からお客さんに働きかけていく、
といった点が異なると思います。
つまり「心の自然治癒力」の面から見ると、
「薬物療法」=「心の自然治癒力」はその人任せ
「(狭義の)カウンセリング」=「心の自然治癒力」を消極的に高める
「心理療法」=「心の自然治癒力」を積極的に高める
(※荒っぽい分類ですみません(笑))
ですから「心理療法」での症状消失や問題解決は本来
「狭義のカウンセリング」よりも速やかに図れると考えています。
但しその分「諸刃の剣」ではありませんが、我々セラピストは
お客さんに合わせて細心の注意を払う必要があると思いますし、
お客さん側としては「薬物療法」、「カウンセリング」、「心理療法」の中から
ご自分の状態に合った選択をされ、信頼できる医者やカウンセラー、セラピスト
をじっくりと探してみる事をお勧めします。
(但し、「統合失調症」「双極性障害」「非定型精神病」等の所謂、精神病圏の方は
まず精神科での薬物治療からスタートされる事が必要だと思います)
※因みに僕は「カウンセリング(コーチングも含む)」と「心理療法」で
「心の自然治癒力」を高めるお手伝いはできますが、「薬物療法」はできません。
#精神科・心療内科とカウンセリングの違い全般については、
こちらにお書きしてますので、ご参照ください
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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