自閉症の歴史とウィングの3つ組
自閉症の歴史とウィングの3つ組
目次
今迄、
「発達障害(ASD・ADHD等)」と呼ばれるもの
の殆どの原因は「感覚過敏から来るものである」
といった私の考えを基に考察して来ました。
ただし、中には
感覚過敏とは別の原因で
発達障害(特にASD)と呼ばれる状態になっている方
もいらっしゃるのでは?と考えております。
今回からは、
その事について推察してみます。
まず、
その為に「自閉症の歴史」を紐解いてみましょう。
<ASD(自閉症)の歴史>
●1911年にスイスのブロイラーが
初めて「自閉症」という言葉を使いましたが、
あくまでも統合失調症の基本症状の一つと考えた様です。
●1943年にアメリカのカナーは
言葉使いなどが特徴的な児童たちに対して、
“早期幼児自閉症”と名付け、
”親の育て方が原因だ”と考えました。
勿論この考え方は後に覆されましたが、
今でも知的障害を伴う自閉症を
カナー型と呼ぶことがあります。
●1944年にオーストリアのアスペルガーは、
知的障害を伴わないが共感能力や友人関係を築く能力が欠如し、
特定の興味に強い没頭を示す児童たちを
“小児期の自閉性精神病質”として報告しました。
●1981年にイギリスのウィングが
アスペルガーの論文を再発見し、
「アスペルガー症候群」と定義しました。
この定義が1994年に当時の診断基準であったDSM-4
で診断名として追加され、
更にウィングは1998年に「自閉症スペクトラム(連続体)」
という概念を導き出し、DSM-5でそれが採用され、
自閉症やアスペルガー症候群といった区別はなくなり、
「自閉スペクトラム症」としてまとめられました。
このウィングはアスペルガー症候群(狭義の自閉症)の
人に特徴的な3つの特性として
「ウィングの3つ組」を定義しました。
<ウィングの3つ組>
①社会性の障害
他者の存在への無関心であったり、
相手の気持ちを汲み取って行動できない、
その場の空気を読んで発言できない、暗黙のルールに気づけない。
その為に、
周囲の人とかかわる時に適切にふるまうことができず、
トラブルになったり、相手と対等な関係を築いたり
築いた関係を維持していくことが難しい。
②言語コミュニケーションの障害
相手の言葉を字義通りに受け取り、
言葉の裏を読むのも苦手な為に、
言葉の微妙なニュアンスを読み取ることが苦手で、
相手が言っていることや感じていることを理解したり、
気づくのが難しく、冗談・皮肉・お世辞なども通じない
ことが多い。
また自分が言いたいことや感じていることを
相手にわかりやすく伝えたり、表現するのが難しい。
③想像力の障害
自分が見たり予想していた以外の出来事や
成り行きを想像したり納得することが難しい。
その為、
新しい人や状況に対して対応がうまくできず、
パニックになってしまう事もある。
また、
自分が決めた手順やスケジュール等、
自分の興味のある事や
自分なりの心地よいパターンの行動に
強いこだわりを持っている事が多い。
結果として視野が狭くなってしまい、全体像の把握が苦手。
それ故、
新しい人や状況に対して対応がうまくできず、
パニックになってしまうことがあるので、
想定外の行動を取ることに抵抗を示す。
ここで、
ウィングのアスペルガー(狭義の自閉症)の定義
と
DSМ-5の自閉症(広義の自閉症)の定義の違い
を考えた時に、
「DSМの診断基準に載せられてる症状は
全て根本原因として感覚過敏で説明が付くが、
ウィング達が診てきた人たちは、
別の根本原因がありそうだ」と考えるに至りました。
それについて次回は、
自閉スペクトラム症の「感覚過敏以外のもう一つの原因」
としてお書きしたいと思います。
発達障害のもう一つ(感覚過敏以外)の原因
今回は、
発達障害の中でも、
ASD(自閉スペクトラム症)に的を絞って、
感覚過敏以外のもう一つの原因
について考えてみたいと思います。
前回お書きした、
ウィングによるアスペルガー症候群(狭義の自閉症)
の定義にある特性は、感覚過敏によるものではなく、
想像力の問題(想像力が弱い)によるものだと考えられます。
というのも、
彼女が定義した「ウィングの3つ組」のうち、
①の「社会性の障害」にある
”相手の気持ちを汲み取って行動できない”、
”その場の空気を読んで発言できない”、
”暗黙のルールに気づけない”、
等は全て
「社会的メタ認知」という想像力が機能していない為
だと考えられます。
※それ故、他人は”得体の知れないもの”になってしまい、
他者に無関心になるのかも知れません。
(逆に他者に無関心だからこそ、他者に対する想像力を
発達させて来なかったという可能性もあります)
次に、
②の「言語コミュニケーションの障害」にある
”言葉の裏を読むのが苦手で、冗談、皮肉、お世辞等も通じない”、
”相手が言っていることや感じていることを理解したり、
気づくのが難しい”
は同じく
「社会的メタ認知」という想像力に問題がありそうで、
また
”自分が言いたいことや感じていることを
相手にわかりやすく伝えたり表現するのが難しい”
は、
自分が知覚し理解し記憶した事を想像力を働かせて
第三者的に評価し行動に生かす、といった
自己を客観視する想像力である「メタ認知」が弱い
と考えられます。
更に
③の「想像力の障害」にある
”自分が見たり予想していた以外の出来事や
成り行きを想像したり納得することが難しい”
については、
定義通り、「この先どうなるのか?」といった
物事の”成り行き”が想像し辛い為に、
混乱したり回避したりするのだと思います。
昨今、
神経活動を計測する脳磁計による脳磁場計測(MEG)や
fMRI等の科学技術の進歩によって、
ブラックボックスであった脳や神経系の働きが
徐々に解明されつつあります。
最近の研究では、
前頭葉後方の「背側前頭前野」と前端にある「前頭極」が、
「メタ認知」と深く関与している事がわかってきた様です。
さらに、
その自身の心的モデルであるメタ認知を
他者の心的モデルに合致するように適合させて
他者に投影する時に働くのが「側頭頭頂接合部(TPJ)」で、
他人の気持ちを思いやり、他者の心の状態を推定し、
皮肉や冗談を理解する為に「背内側前頭前野」が働いて
「社会的メタ認知」が完成する様です。
また、
物事の成り行きを想像・予測し、最適な意思決定を行うのが、
「前外側前頭前野」だそうです。
一方、
ASDの人の感覚過敏に関連している部位として、
「一次体性感覚野」や「感覚統合の連合野」における
興奮系/ 抑制系のバランスや、
「前頭葉」の注意・抑制ネットワークの異常
が明らかになった様です。
さて、小難しい事はさておき、
要するに、
感覚過敏に関与する脳や神経系のメカニズムと
想像力に纏わるそれとでは、別のものだとみなしてよさそうです。
もしそうだとすれば、
想像力が(生まれつき)弱い事が原因で
(DSМ等の診断基準上では)ASDの特性を満たしている人
と、
感覚過敏(生まれつきor後天的に)が原因で
ASDの特性を満たしている人が居るのでは?
と考えられます。
※勿論、「メタ認知」や「社会的認知」といった
想像力が弱い為に、
他人を得体の知れない存在とみなした結果として、
或いは
他人から浮いた存在になった為に傷つけられた結果として
防衛的になって後発的に感覚過敏になる人も居るでしょうし、
物事の成り行きが想像できないが故に常に不安や混乱に晒され、
同様に感覚過敏が強くなる人も居ると思います。
但し、想像力が強い/弱いとか感覚過敏が強い/弱い等も
スペクトラム(連続体)ですので、
同じASDと診断を受けた方の中でも
一人一人その特性は違って来るはずです
次回はこれらの考察を基に、
ASD(自閉スペクトラム症)を原因別に
仮に4つのタイプに分類してみたいと思います。
自閉症を4つのタイプに分類する
前回お書きした様に、
想像力が(生まれつき)弱い事が原因で
(DSМ等の診断基準上では)ASDの特性を満たしている人
と、
感覚過敏(生まれつきor後天的に)が原因で
ASDの特性を満たしている人
が居るとすれば、
医師の診断基準であるDSМで
ASD(自閉スペクトラム症)と診断されたり
「グレーゾーン」とみなされる人は、
推測される原因別に分けると
以下の4つに分類できると思います。
<ASD(自閉症)の原因別の4分類>
※以下の「例」は全て架空の例です
①オリジナル(想像力の欠如が原因と思われる)
※ウィングが診てきたタイプの人達(主にアスペルガー症候群)
<Оさんの例>
事務所で働くОさんは部署内の人達から
「一風変わった人」と評されています。
と言うのは、
出社/退社時には先輩や上司にあいさつもせず、
繁忙期で皆残業しないと追いつかない時でも、
17時になったら途中で仕事をストップしてまで
さっさと帰ってしまいます。
上司がたしなめると
「だって、就業規則では17時まででしたよね!」
と平気で言い返します。
そんなОさんですから、
査定にも響き賞与がカットされました。
ところがОさんはそれに対しても
「私は真面目に仕事をしてるのに。不当評価だ!」
と食ってかかりました。
彼は社内で浮いて、孤立していますが、
本人は一向に気にする気配はありません。
<解説>
Оさんは、
周囲の空気を読んだり、皆と協調して行こうとする意欲
に欠けている様に思われますので、
「社会的メタ認知」の欠如、
反省しないところから「メタ認知」の欠如、
”こんな事を続けたら当然査定に影響するだろう”
といった「成り行き」を想像する力の欠如が疑われます。
②サブタイプA(想像力の欠如+感覚過敏が原因と思われる)
<Aさんの例>
社会人のAさんは、
パート勤めの妻に対して、
「何で俺のシャツにアイロンをかけてないんだ?!
誰のお陰で飯が食えてると思ってるんだ?!」
とか
「何で俺の言う通りにできないんだ?!」
「お前は動物以下だ!」
等と、
いつも妻を思い通りにしようとして、
そうならない妻に対して、時には人格否定までしてしまう、
所謂モラハラ男です。
妻はいつも「ごめんなさい・・・」と涙を見せるのですが、
Aさんの攻撃は止まらず、
ついに奥さんは実家に逃げ帰りました。
慌てた夫は、
妻の実家に押しかけて義父母には自分を正当化して
強引に妻を連れ戻す、といった事を繰り返していました。
耐えられなくなった妻は実家から出て来なくなり、
弁護士を通じて離婚調停を申し出ましたが、
夫は離婚に反対し、今は裁判中です。
<解説>
言われた相手の立場や気持ちを想像できない事から
Aさんは「社会的メタ認知」の欠如、
反省しないところから「メタ認知」の欠如、
”こんな事を続けたら当然離婚に繋がるだろう”
といった「成り行き」を想像する力の欠如が疑われます。
また、自分の考え方やルール等の細かいこだわりに対しては
とても敏感な所から、感覚過敏も併せ持っていると思われます。
③サブタイプB(先天的な感覚過敏が原因と思われる)
<B君の例>
B君は、
代々続く家柄の長男として生まれ、
両親・祖父母からとても大切に育てられました。
ただ、音や光に敏感で、
雷が外で鳴ったりすると酷く脅えたりする、
赤ちゃんの時からよく泣く子でした。
小学校高学年の頃から、その敏感さがより強くなり、
級友のちょっとした表情や視線に、
「〇君は僕の事怒っているのかな?」
「△君は僕の事嫌っているのかな?」
等と感じる様になり、
「嫌われない様に」神経を張り巡らせて他人と接する
様になりました。
思い悩んだО君は、
自分の感情や意見を挟まず、当たり障りがない様に
定型文の様な話し方を身につけて行きました。
でも、
そんなA君に違和感を覚えてよそよそしくなった級友達の
反応にA君は益々神経をすり減らす事になりました。
或る日、
教室の外で数人の級友達がヒソヒソ話をして笑っていたら、
「きっと僕の事を笑っているに違いない」と
被害妄想的になってしまい、
とうとう学校に行けなくなりました。
<解説>
B君は、
愛着の形成は問題なさそうで、
特に大きなトラウマとなる出来事が無かったにもかかわらず、
「社会的コミュニケーションの障害」や
「常同的な反復行動(話し方)」等の
ASDの診断基準に当てはまってしまうかも知れません。
だとすれば、
それは持って生まれた「感覚過敏」から来ている
とも考えられるでしょう。
④サブタイプC(後天的な感覚過敏が原因と思われる)
<C子さんの例>
C子さんは
物心がついた頃からずっと、
お酒を飲んだ父が、母に暴言を吐くのを
傍で聞いているという毎日を過ごして来ました。
母は父に言い返す事ができず、
外へ逃げ出す事もしばしばでした。
幼い彼女はそんな母を庇おうとして、
父を睨みつけた事もありました。
でも、
そうすると今度は彼女が父に
「お前まで、このクソ女の味方をするのか?!」
と、怖い顔で怒鳴られました。
そんなC子さんにとっては、
学校で友達と遊ぶ時間だけが唯一の救いでした。
でも中学生になって、男女関係のトラブルから、
クラスの友人から「C子!あんた裏切ったよね!」と、
激しく責められました。
そしてそれ以降、
C子さんは、
他人の怒った表情や声色に極端に敏感になり、
「怒らせない様に」「怒られない様に」と気を遣う様になり、
友人とフランクに付き合う事ができなくなり、
気が付いたらクラスで孤立してしまっていました。
でも、
そんな情けない自分を見せたくなくて、
表面上は平気なフリを装って、休み時間はポツンと一人
自分の机で勉強する事が日課になりました。
その甲斐もあって、成績が上がり、
第一志望の有名校に入学し、
そこでも一目置かれる存在になったのですが、
「本当はもっと友達とはじけたい!けど怖いからできない!」
というジレンマを抱えながら、
相変わらず休み時間は独りで勉強する日々を過ごしていました。
<解説>
C子さんの生育環境を考えた時に、
恐らく母親に余裕が無く、彼女の安全基地とはなれなかった
=愛着が形成されなかったと想像されます。(愛着障害)
加えて、
度重なる父のモラハラが彼女のトラウマとなり、
発達性トラウマ障害や複雑性PTSD
を抱えてしまった可能性があります。
更に中学の時の友人からなじられた事で、
幼い頃のトラウマが再燃し、
以後、防衛反応から他人を遠ざけてしまい
(⇒社会的コミュニケーションの障害)、
自分の世界に閉じこもる様になった
(⇒常同的な反復行動)と考えられ、
やはり表面だけを見ると、
ASDの診断基準に当てはまってしまう可能性があります。
医師の診断基準の基になっているDSМもICDも
共に「操作的診断基準」といって、
発達障害の様に原因が不明なために
生物学的な検査方法がなく、
表に現れている症状によって診断せざるを得ない精神疾患
に対し、
信頼性の高い診断を行うために設けられたものです。
その基準が明確に定められた為に、薬を処方できたり、
手帳など、よりスムーズに福祉に繋げる事ができる様になった
のですが、
何故私は”原因”にこだわるのか?
⇒
それは、
一口に発達障害と言っても、
発達が滞っている神経系は複数あると考えて、
その人のどの部分の神経系の発達に問題があるのか?の
予測ができていないと、その発達を促す働きかけができない
と考えるからです。
逆に言うと、
譬え予測と言えども、
発達障害の症状の原因となっている
神経系の発達不全の部分が特定できれば、
(可能な部分の)発達を促す事ができ、
症状の緩和や寛解へと導く事ができる
と思います。
発達障害は何故増えているのか?
ここ最近、
現場(学校や医療/相談機関)では、
「発達障害」と思しき児童・生徒・成人が増えている
と言われています。
実際の統計的にも
「発達障害」の確定診断を受けた人も増えて来てる様ですし、
「グレーゾーン」が疑われる人や「発達障害もどき」
等と呼ばれる人も含めるとかなりの数になるのでは?
というのが、私の実感としてもあります。
もしそうだとして、
それは何故なのでしょうか?
勿論様々な要因が挙げられると思いますが、
私はその大きな要因の一つとして、
「以前は、”想像力の欠如”を原因とする発達障害(特にASD)
だけだったのが、
新たに”感覚過敏”を原因とする発達障害が付け加わり、
その感覚過敏を有する人が増えたから」
と考えています。
というのも、
例えば、
発達障害等の診断基準となるDSM-4では
広汎性発達障害は、「自閉性障害:アスペルガー症候群」、
「特定不能の広汎性発達障害(レット症候群・小児期崩壊性障害)」
等と分類され、
特に今の自閉症の定義に含まれるアスペルガー症候群
に代表される様に、
ウィングの3つ組(3徴)を基にした定義がなされていた
様に思われるからです。
つまり、
(前回お書きした私の4つのタイプの分類に従うと)
想像力の欠如が原因と考えられる
①オリジナル
②サブタイプA
の2つが診断基準を満たすものだったのではないか?
と考えられます。
ところが、
2013年から診断基準がDSМ-5に改編された時には、
想像力の欠如が記載されなくなり、
③サブタイプB(先天的な感覚過敏が原因と思われる)
④サブタイプC(後天的な感覚過敏が原因と思われる)
まで含まれる様になり、
「相手の顔色を見たり空気は読めるが、
敏感過ぎるが故に社会性やコミュニケーション等
に支障をきたし、結果としてASDとみなされる」、
というケースも増えてきているのでは?と思います。
そうなれば、
遺伝的に超敏感な人(HSP)
や
アダルトチルドレン等の愛着が形成されなかったり、
複雑性PTSD等、度重なるトラウマによって
後天的に敏感になった人の防衛反応によって、
診断基準にある様な症状が出現するケースも多いのでは?
と思われます。
しかも現在の地球環境や社会情勢を考えた時に、
未だかつてない様な人類存続の危機に瀕しているのだとすれば、
そんな中をサバイバルして、人類という種の存続の為にも、
敏感な遺伝子を持つ必要性が増えてきているのではないか?
と想像しています。
次回は、
ASDに関して、
ウィングが分類した3つのタイプ(孤立型、受動型、積極奇異型)
について、原因別に考察してみたいと思います。
ASD(自閉症)の3つのタイプ(孤立型,受動型,積極奇異型)
今回は、
ASDに関して、ウィングが分類した
3つのタイプ(孤立型、受動型、積極奇異型)
について、考察してみたいと思います。
コミュニケーションの障害に関して、
前出の精神科医ローナ・ウィングは、
自閉症スペクトラムを以下の3つの型に分けました。
(※これらは診断名ではありません)
<ウィングの分類によるASDの3つのタイプ>
①孤立型
周囲への関心が低く反応が乏しいタイプで、
一人で過ごすことを好む。
また、
好みや服装等に独特のこだわりを持っている為に、
目立つ事が多い。
そして、
社会的な交流を望んでいない為、雑談が苦手。
※社会生活を送る上での最低限の交流スキル
を身につける必要があると言われています
②受動型
対人関係に対して消極的だが、
人から話しかけられたり誘われたりすると応じる事ができる。
ただ、
受動的であるが故に流され易く、
相手に利用されたり、支配・搾取される可能性も高い。
※それを避ける為にも「自分軸」を身につけ、
嫌な事は断れる様なスキル
を身につける必要があると言われています
③積極奇異型
対人関係に対して積極的だが、
相手の状況や雰囲気などを気にせず話しかけたり、
一方的に自分が話したい事を話す。
それ故、
周囲から浮いてしまったり、他者とトラブルになる事も多い。
※それを避ける為にも思った事をそのまま言わず、
他者同士の会話のキャッチボールを観察し、
それを参考にする必要があると言われています
ここで、
以前お書きした(ASDの原因別の4分類)様に、
私はASDの原因は、
大きく分けて「感覚過敏」と「想像力の欠如」から来る、
と考えております。
それを基に、
このウィングによるASDの3つのタイプの分類
を考えてみましょう。
①孤立型(防衛反応=回避)
(1)感覚過敏から来るもの
自分の親も含めて”他者”というものは、何を言い出すか?
どんな表情を見せてくるか?どんな感情を出してくるか?
どんな行動をしてくるか?等、
予想がつかない事もしばしばです。
そんな他者に対して、極度の感覚過敏を持っていると、
自分の予想と違う相手の反応を感じた時に、
大変な混乱状態に陥り、他者と接する事に不安や恐怖
さえ感じる様になるでしょう。
そして、その混乱や不安から逃れる為に、
(他者との交流を)”回避”する、という防衛反応が生じる
と思います。
(2)想像力の欠如から来るもの
そもそも、(以前お書きした様に)
相手の立場や気持ちを想像できない
「社会的メタ認知」の欠如、
自分が周囲にどう見られているか?
どう思われているか?といった自分を俯瞰する
「メタ認知」の欠如等、
「想像力の欠如」を生まれつき有していると、
他者との交流は大変困難な事になるでしょう。
ですから、
その苦痛を”回避”する為に他者との交流を避け、
結果として孤立する、とも考えられます。
(3)その他の原因によるもの
その他、孤立型になる原因として、
「(1)」と「(2)」の両方を併せ持っている場合
も考えられます。
※よく、自閉症の人は視線が合わないと言われますが、
相手の表情や目の動きの意味なんて
誰しも中々読み取れるものではありません。
特に感覚過敏が強く、「社会的メタ認知」等の想像力が
弱い人は、その意味づけができない=混乱状態
から抜け出せず、
その混乱を回避する為に(無意識に)
視線を合わせない状態になっているのかも知れません
更に他の原因として、
そもそも(生まれつき)他人に全く興味が無い、
という場合もあるでしょう。
なのに学校や職場等の社会生活の場では
必然的に他者との交流を強いられてしまう。
しかも、他者との交流は
自分のペースや手順・やり方を崩さないといけない等、
当然自分の思い通りには進展しませんので、
著しく”不快”な事になり、
それを”回避”する為に交流しない、
と思われます。
これは恐らく、
脳内の神経系のオキシトシン受容体が少ない等の、
先天的な器質因によるものだと考えられます。
(この事に関しては次回お書きしたいと思います)
②受動型(防衛反応=服従)
(1)感覚過敏+トラウマから来るもの
誰しも
自分の意見や提案に反対されたり無視されたり、
友達を誘ったのに断られたり、
といった経験をお持ちだと思います。
そんな時には多かれ少なかれ傷ついたり
がっかりしたりするのではないでしょうか?
そんな時に、強い感覚過敏を持っている人は、
耐えられない程、心が傷ついてしまうでしょう。
(=トラウマ)
そして、もう二度と傷つかない様に、
相手に合わせる(服従)という防衛反応を
身につけてゆくのでは?と思います。
(2)感覚過敏+想像力の欠如から来るもの
上の「(1)」で述べた様に、
感覚過敏が強いと、
相手の拒否や否定は耐えられないものになるでしょう。
そこに加えて、
場の空気を読んだり、相手の立場や気持ちを
想像する力が弱いと、
相手から拒否されたり否定されたりする場面が
より増えてしまい、他者との交流が妨げられてゆく
でしょう。
でも、
「他の人と繋がりたい」という欲求が強い場合は、
相手に合わせる(服従)という防衛反応を身につけて
かろうじて他者との交流を保とうとするのだと思います。
③積極奇異型(防衛反応=戦う)
(1)想像力の欠如から来るもの
場の空気を読んだり、相手の立場や気持ち
を考えずに、自分の話したい事を一方的に話す。
結果として浮いてしまったり、他者とトラブルになる事
が繰り返されるとすれば、
「社会的メタ認知の欠如」「メタ認知の欠如」
「成り行きの想像力の欠如」といった
「想像力の欠如」が原因と考えられます。
そして、(相手が何を怒ったり、注意してきているのか?
の想像力の欠如によって)
「俺を否定した!馬鹿にした!」
とか
「俺の意見を聞いてくれない!」
等と感じてしまい、
「戦う」という防衛反応から、トラブルにまで発展する
のだと思います。
(※このタイプの人も「他の人と繋がりたい」
という欲求が強いが、空回りしていると考えられます)
以上、
今回はウィングによるASDの
3つのタイプ(①孤立型、②受動型、③積極奇異型)
の原因を推察してみましたが、
次回からは、別の切り口から
何故「①」~「③」の反応/行動に分かれるのか?
について考察してみたいと思います。
発達障害~安定・安心をもたらす3つの方向性
前回はウィングによる
ASDの3つのタイプ(①孤立型、②受動型、③積極奇異型)
の原因を推察してみましたが、
今回は別の切り口から
何故「①」~「③」の反応/行動に分かれるのか?
について考察してみたいと思います。
前回お書きした様に、
「①」~「③」の3つのタイプになる人の原因として、
「感覚過敏」と「想像力の欠如」
と、
それに伴う防衛反応(①孤立型=回避・逃げる、
②受動型=服従・凍り付き、③積極奇異型=戦う)
が主な原因であると私は考えております。
但し、
それだけでは説明がつかない部分もあります。
例えば、
「①」の孤立型の原因の一つとして考えられる
「生まれつき他人に全く興味・関心が無い」のは何故か?
或いは、
「②」の受動型の人は何故自分を殺してまで、
他者に従順になり続けるのか?
更に、
「③」の積極奇異型の人は、何度も”痛い目”に遭いながら、
何故それに懲りずに他人を求め続けるのか?
等が依然、疑問として残ります。
今回と次回で、
その疑問に対する答えとしての私の考え
をお書きしたいと思います。
今回はまず、
私が考える「心を安定させる3つの方向性」
からお書きしたいと思います。
人は傷ついたり、混乱したり、不安になったり、等の
要するに心が不安定になった時に
安定する方向へ持って行こうとする傾向性があります。
(※特に感覚過敏が強い人や想像力の欠如がある人は、
不安定になる度合いが大きくなったり、
その頻度が増えるでしょう)
そんな時に、
ホメオスタシス(恒常性)といって、
心身の状態を一定に保とうとする自己調整機能が働きます。
ですから、
心が不安定になった時に、安定させる方向性に持って行く
というのは、ごく自然な自己調整機能と言えます。
今迄、
様々なクライアントさんのお話をお聴きしている間に、
私は
「心を安定させる方向性は人によって違い、
大きく分けると3種類に分けられるのでは?」
という考えを持つに至りました。
というのも、
例えば、同じように
極度の感覚過敏から安になり易い3人の人
が居たとして、
Aさんは
「不安な事がぐるぐる回り続けて、夜も眠れない」、
と訴え、
また、
Bさんは
「不安やストレスを紛らわす為に、
酒を飲みに行ったり、ギャンブルしたり、
性的な事や好きなゲームに没頭したりして、
”依存症”と言われた」
と訴え、
Cさんは
「不安に襲われたら、独りじゃいられなくなり、
家族や恋人・友人に話したり会ったりして、
すごく依存的になってしまう」
と訴える等、
(どの割合が強いか?等の強弱や3種類の組み合わせの比率
は人によって違いますが)
ほぼ全ての方が3つの方向性に基づいた
その方独自の安定のパターンを持っておられる、
と考えるに至りました。
それでは、
私が考える発達障害と言われる人に
「安定・安心をもたらす3つの方向性」
とは何なのでしょうか?
それについて以下にお書きしたいと思います。
<発達障害~安定・安心をもたらす3つの方向性>
①不快刺激を無くす事で安定(Sタイプ)
=(不安・ストレス等の)不快刺激によって不安定になった時に
それを(自力で)無くす方向に行く事で安定を図る傾向
が強いタイプの人。
⇒この時に働く神経伝達物質としては
セロトニン(S)やアセチルコリン等が考えられますので
私は便宜上「Sタイプ」と呼んでいます。
例:上記のAさんは、
不安(不快刺激)を自力で無くそうとして、
不安に真っ向から挑んでいると言えるでしょう。
でも、
今の自分ではどうする事もできない不安に対しては
それを無くす事ができない・・・。
それでも、
いつもこのパターンで安心・安定へと持っていっていたので
それを変える事ができずにグルグル回り続けている
②快刺激を得る事で安定(Dタイプ)
=(不安・ストレス等の)不快刺激によって不安定になった時に
それから逃れる為に快刺激を利用するといった傾向
が強いタイプの人。
⇒この時に働く神経伝達物質としては
ドーパミン(D)やノルアドレナリン等が考えられますので
私は便宜上「Dタイプ」と呼んでいます。
例:上記のBさんは、
不安(不快刺激)を感じたら、そこから逃れて
安定する為には快刺激を利用する傾向を持っている
と言えるでしょう。
そして、
それがパターン化している為に、
特定の快刺激に依存してしまう
という事も起きるでしょう。
③他者との交流で安定(Оタイプ)
=(不安・ストレス等の)不快刺激によって不安定になった時に
それから逃れる為に他者との交流に頼る
といった傾向が強いタイプの人。
⇒この時に働く神経伝達物質としてはオキシトシン(О)等
が考えられますので
私は便宜上「Оタイプ」と呼んでいます。
例:上記のCさんは、
不安(不快刺激)を感じたら、そこから逃れて
安定する為には誰かに話を聴いてもらったり、
傍に居てもらったり、といった
他者との交流で安定を図る傾向を持っている
と言えるでしょう。
そして、
それがパターン化している為に、
他人にして依存的になってしまう
という事も起きるでしょう。
以上、私が考える
(特に不安定になり易い敏感な人が)心を安定させる3つの方向性
をお書きしましたが、
それでは一体、
これがウィングによるASDの
3つのタイプ(①孤立型、②受動型、③積極奇異型)と
どう結びつくのでしょうか?
次回は、
それについてお書きしたいと思います。
ASD~孤立型、受動型、積極奇異型に分かれる原因
前回お書きした様に、
「発達障害の原因の一つとして考えられる
強い感覚過敏(や想像力の欠如)を有する人は
心が不安定になり易い。
だから心を安定させる必要性が高いが、
その方向性は人によって違い、
大きく分けると以下の3つが考えられる。
①不快刺激を無くす事で安定(Sタイプ)
②快刺激を得る事で安定(Dタイプ)
③他者との交流で安定(Оタイプ)
そして
それがその人の性格傾向としてパターン化されている」
と私は考えています。
もしそうだとして、それが一体、
ウィングが分類した
ASDの3つの型(孤立型、受動型、積極奇異型)
とどう結びつくのでしょうか?
今回はそれについてお書きしたいと思います。
<ASD~孤立型、受動型、積極奇異型に
分かれる原因>
◎孤立型
そもそも他人に興味を持たない人
や
感覚過敏+トラウマによって、
対人不安や恐怖を持つに至った人にとっては、
他人との交流は”不快”な事になるでしょう。
ですから、
その”不快”を無くす為に対人交流を避ける訳です。
これを上記の「①」~「③」の心を安定させる方向性
に沿って考えると、
「①」(S)の割合がかなり高く、
「②」(D)の割合はそれよりも低く、
「③」(О)の割合は極めて低い、
と考えられます。
即ち、
不快刺激を無くす事で安定するといった
「①」の比率が一番大きい「Sタイプ」
と言えると思います。
※(感覚過敏+トラウマを除いた)孤立型の特徴である
「生まれつき他人に興味を持たない」人は
「③」はほぼゼロ%になるでしょう。
そしてこの原因としては
脳内神経細胞のオキシトシン受容体密度が低い
事などが考えられますが、まだ解明されていません
◎受動型
自分(の気持ちや意志・意見)を押し殺し、
相手に利用されたり、支配・搾取されても
相手との関係を断ち切らない、
といったこのタイプの人は
恐らく、上記の
「③」(О)の割合がかなり高く、
「①」(S)の割合はやや低く、
「②」(D)の割合は極めて低い、
と考えられます。
即ち、
他者との交流でで安定するといった
「③」の比率が一番大きい「Оタイプ」
と言えると思います。
◎積極奇異型
(場の空気を読んだり、相手の立場や気持ちを想像したり、
といった想像力が欠如している為に)
周りの人達から浮いてしまったり、トラブルになったり
を繰り返す。
それでもめげずに自分の話したい事を一方的に話す、
といったこのタイプの人は
恐らく、上記の
「②」(D)の割合が高く、
「③」(О)の割合は少し低く、
「①」(S)の割合は極めて低い、
と考えられます。
即ち、
自分にとっての快刺激を得る事で安定するといった
「②」の比率が一番大きい「Dタイプ」
と言えると思います。
※一見、人との交流を望む「О」の割合も
高い様に見えますが、
他者との相互交流を望んで居るというよりは、
他者からの承認・賞賛
や
「自分にとっての楽しい場にしたい」等の
あくまで自分の”快”の為の行動と考えられます
以上、
ウィングが考えたASDの
3つのタイプ(①孤立型、②受動型、③積極奇異型)
の分類について、
「何故3つのタイプに分かれるのか?」
をお書きしましたが、
私は、
●「S」、「D」、「О」の適正比率は人それぞれ違っている
(例えば同じ”孤立型”でも、
「S」:「D」:「О」が7:2:1の人も居れば、
6:4:0の人も居ると思います)
●個々人のこの3つの比率は恐らく遺伝などによる
先天的な器質因から来ている(=基本的には変わらない)
と考えておりますが、
後天的なトラウマ等による場合は変えてゆく事もできる
と思います。
次回からは、
ASD(自閉スペクトラム症)等の
発達障害と呼ばれる人の共感力について
お書きしてゆきたいと思います。
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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