発達障害(ASD等)と共感力について②
発達障害(ASD等)と共感力について②
前回、
「共感」には
(1)「共有する(情動/感情的)共感」
(2)「考える(認知的)共感」
(3)「配慮する(思いやり/慈悲的)共感」
の3種類があり、
(青山学院大学の米田教授が紹介されておられる)
スミスの「共感不均衡仮説」等によると、
「ASDと呼ばれる人たちは
(共感力が総じて低いのではなく)
上記3種の共感の間にあるアンバランスさによって、
共感における困難さが生じる」
と考えられています。
今回は、
その仮説を紹介させて頂きたいと思います。
<③ASDと共感力>
(以下、青山学院大学の米田先生の記事を引用させて頂きます)
スミス (2009)の不均衡な共感仮説によると、
ASD者の共感における困難さは、
「共有する(情動/感情的)共感」
と
「配慮する(思いやり/慈悲的)共感」
と
認知的共感(「考える共感」)との間にある
アンバランスさにある
と考えられる。
つまり、
定型発達の人と同程度に高い
「共有する(情動/感情的)共感」
や
「配慮する(思いやり/慈悲的)共感」
と
定型発達の人とは異なった(高くない)
「考える(認知的)共感」
とのアンバランスさが、ASDの症状を説明する。
例えば、
他人の痛みを自分の痛みのように感じ、
他者に対して思いやりを示すという「配慮する共感」は
ASDの人も定型発達の人にもよく見られる。
ところが、
定型発達の人は、
一般に他者が泣いていたり喜んでいたりするのを見て
その人の視点に立ってその気持ちを理解するのに対し、
ASDの人は一緒に泣いたり喜んでいたりしていたとしても、
その人の気持ちを理解しているとは限らない。
つまり、
その人の視点に立脚した「考える共感」
があまり得意ではない。
(定型発達の人の場合は、
他者から言われなくても
「考える共感」が自動的に起こってしまうのに対して、
ASDの人は、
他者から言われるか自分で意識して考えないと
「考える共感」が起動しづらい)
感情を共有できるのに
「考える共感」が自動的に駆動しないために、
共有した感情を理解できないというのが、
ASDの人が持つ共感性である
と考えられる。
ASDの人による、
「考える共感」にあまり依存しない相手への思いやりは、
相手がそのときしてもらいたいこと、
その場面で言ってもらいたい言葉とは、
必ずしも一致しないかもしれない。
つまり、
ASDの人は、
自分が相手にしてあげたいこと
や
自分が相手にかけてあげたい言葉は、
自分と相手が似ている場合には
「配慮する共感」になるが、
自分と相手が似ていない場合には
相手が必ずしも望んでいないことをしてしまう
というように、
配慮のつもりがお節介のように受け取られてしまう
可能性がある。
更に、
米田先生は、様々な脳神経科学的な先行研究から
「ASDの人は、定型発達の人と比べて
"考える共感"に関連する背内側前頭前野(dmPFC)の活動が低下
していることがわかりました。」
と述べられておられます。
この、
「背内側前頭前野(dmPFC)」という脳部位は、
私が以前の記事でお書きした
ASDの一因と考えられる「想像力の欠如」の中でも
(相手の立場や気持ちを想像できない)「社会的メタ認知」の困難さ
と関連している脳部位と一致
している様です。
但し、
もしASDの人が先天的な器質因によって、
「考える共感」や「社会的メタ認知」といった
想像力を働かせる事が不得意であったとしても、
決して悲観する必要は無いと思います。
ザキ博士は
「共感力は発達させる(高める)事ができる」
と述べられておられますし、
米田先生も、
ASDの人の不得意な部分である「考える(認知的)共感」
を発達させる方法
や
(「共有する(情動/感情的)共感」は得意なので)、
得意な共感を活かす方法
等を紹介されておられます。
※それも含めて、
発達障害と呼ばれる特定の神経系の発達の停滞に対して
発達を促し、
当事者の方の生き辛さを軽減してゆく為のヒントは
後述したいと思います。
※近頃耳にする事が増えた「ダークエンパス(闇の共感者)」
について。
ダークエンパスは
「共感を自分の利益のために利用し他人を搾取する人物」
と定義されています。
彼ら彼女らは、ASDの人とは逆に
「考える共感」は得意で、「共有する共感」が不得手な為に、
アンバランスになり、 (それらのハイブリットである
思いやりや慈悲といった)「配慮する共感」が機能せず、
代わりに私利私欲の為に他者を支配・利用するといった
反社会的な行動を繰り返してしまうと考えられます
プロフィール

- 心理カウンセラー・自己実現コーチ
- ・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
心理療法カウンセラー
不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員
2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。
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