発達障害のもう一つ(感覚過敏以外)の原因

発達障害のもう一つ(感覚過敏以外)の原因

<前回からの続き>

 

今回は、

発達障害の中でも、
ASD(自閉スペクトラム症)に的を絞って、
感覚過敏以外のもう一つの原因
について考えてみたいと思います。

前回お書きした、
ウィングによるアスペルガー症候群(狭義の自閉症)

の定義にある特性は、感覚過敏によるものではなく、
想像力の問題(想像力が弱い)によるものだと考えられます。

というのも、
彼女が定義した「ウィングの3つ組」のうち、

①の「社会性の障害」にある
 ”相手の気持ちを汲み取って行動できない”、

 ”その場の空気を読んで発言できない”、
 ”暗黙のルールに気づけない”

 等は全て
「社会的メタ認知」という想像力が機能していない為
 だと
考えられます。

 ※それ故、他人は”得体の知れないもの”になってしまい、
  他者に無関心になるのかも知れません。
  (逆に他者に無関心だからこそ、
他者に対する想像力を
  発達させて来なかったという可能性もあります)

次に、
②の「言語コミュニケーションの障害」にある
 ”言葉の裏を読むのが苦手で、
冗談、皮肉、お世辞等も通じない”、
 ”相手が言っていることや感じていることを理解したり、
 気づくのが難しい”
 は同じく
「社会的メタ認知」という想像力
に問題がありそうで、 

 また
 ”自分が言いたいことや感じていることを
  相手にわかりやすく伝えたり表現するのが難しい”
 は、
 自分が知覚し理解し記憶した事を
想像力を働かせて
 第三者的に評価し行動に生かす、といった
 自己を客観視する
想像力である「メタ認知」が弱い
 と考えられます。

 

更に
③の「想像力の障害」にある
”自分が見たり予想していた以外の出来事や
成り行きを想像したり納得することが難しい”
については、
定義通り、「この先どうなるのか?」といった
物事の”成り行き”
が想像し辛い為に、
混乱したり回避したりするのだと思います。

 

昨今、
神経活動を計測する脳磁計による脳磁場計測(MEG)や

fMRI等の科学技術の進歩によって、
ブラックボックスであった
脳や神経系の働きが
徐々に解明されつつあります。

最近の研究では、
前頭葉後方の「背側前頭前野」と前端にある「前頭極」が、

「メタ認知」と深く関与している事がわかってきた様です。

さらに、
その自身の心的モデルであるメタ認知を

他者の心的モデルに合致するように適合させて
他者に投影する時に働くのが
「側頭頭頂接合部(TPJ)」で、
他人の気持ちを思いやり、他者の心の状態を推定
し、
皮肉や冗談を理解する為に「背内側前頭前野」が働いて
「社会的メタ認知」
が完成する様です。
 
また、
物事の成り行きを想像・予測し、最適な意思決定を行うのが、

「前外側前頭前野」だそうです。

一方、
ASDの人の感覚過敏に関連している部位として、

「一次体性感覚野」や「感覚統合の連合野」における
興奮系/ 抑制系の
バランスや、
「前頭葉」の注意・抑制ネットワークの異常
が明らかに
なった様です。

 

さて、小難しい事はさておき、
要するに、
感覚過敏に関与する脳や神経系のメカニズムと
想像力に纏わるそれとでは、別のものだとみなしてよさそうです。

もしそうだとすれば、
想像力が(生まれつき)弱い事が原因で
(DSМ等の診断基準上では)ASDの特性を満たしている人
と、

感覚過敏(生まれつきor後天的に)が原因で
ASDの特性を満たしている人が居るのでは?
と考えられます。

※勿論、「メタ認知」や「社会的認知」といった
 想像力が弱い為に、

 他人を得体の知れない存在とみなした結果として、
 或いは
 他人から浮いた存在になった為に傷つけられた結果として
 防衛的になって後発的に感覚過敏になる人も居るでしょうし、

 物事の成り行きが想像できないが故に常に不安や混乱に晒され、
 同様に感覚過敏が強くなる人も居ると思います。

 但し、想像力が強い/弱いとか感覚過敏が強い/弱い等も
 スペクトラム(連続体)ですので、
 同じASDと診断を受けた方の中でも
 一人一人その特性は違って来るはずです

 

 

次回はこれらの考察を基に、
ASD(自閉スペクトラム症)を原因別に
仮に4つのタイプに分類してみたいと思います。

 
<次回へ続く>

 

#発達障害のカウンセリングについては、こちらをご参照下さい

プロフィール

のぶさわ 正明
のぶさわ 正明心理カウンセラー・自己実現コーチ
・公認心理師
・全国WEBカウンセリング協会認定
  心理療法カウンセラー
  不登校児対応アドバイザー
・矢野惣一「心の専門家養成講座」卒業
NLP、催眠療法、ゲシュタルト療法、解決志向ブリーフセラピー、フォーカシング、認知行動療法ナラティブセラピー、インナーチャイルド癒し、トラウマ療法、家族療法(システムズアプローチ)等とその統合を習得する(TVの解決ナイナイアンサーでお馴染みの「性格リフォームの匠(達人)」心屋仁乃助さん、「アネゴ系セラピスト」大鶴和江さんは矢野講座の先輩です)
・Gakken「学研の家庭教師」不登校事業室の外部相談カウンセラー
・WEBカウンセリングルーム「みらい」カウンセラー
・日本フォーカシング協会会員
・国際ブリーフセラピー協会(旧:日本ブリーフセラピー協会)会員

2012年2月開業。2025年時点で4,000名超のお客様のご相談をさせて頂きました。

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