コラム/2014-03-24
深町療法
故深町健先生(前の町病院副院長)が開発された
「深町療法」の実際を弟子である安田弘之先生(九州大学医学部教授)が
書かれた本を最近読みました。
この深町療法は、主に摂食障害や気管支喘息等の所謂心身症の治療を
目的として開発され、神経症一般にも応用範囲を広げられたものです。
深町先生は心身症の病態理解として「大脳皮質の視床下部に対する不当な干渉」
であるとし、その干渉を断ち切る事を目的とされた。
では、その「不当な干渉」とは何か?
僕の理解では「お前はまた太るぞ」とか「そんな事やってたらいつまでも治らないぞ」
等と言った(恐らく超自我の)脅し(思考)の事を言っておられると感じました。
そして具体的な治療法としては、
①「良い自分」(自我)と「悪い自分」(超自我)を区別して、
「悪い自分」のささやきを聞き流す事
②面接後に毎日感じた事や考えを全て「感想文」に書いてもらい
自分の頭の中を整理しそれを次の面接時に先生に見せる。先生はそれを見て
良い所は取り上げ、悪い自分や依存傾向が読み取れたら指摘したり、突き放す。
③(入院時は)「行動制限療法」と言って、一旦、面会や家族友人等との連絡や
TV、ラジオ、読書、外出等を禁止し、体重や薬の減薬等の目標に達する毎に
漸次行動制限を緩めて行く等の手法を用いられ、わずか数分(入院時は毎日)
の面接で症状を改善してゆかれる(不当な干渉を切る)様子がケース事例で
描かれていました。
ここからは僕の勝手な「感想文」(笑)ですが、
①「悪い自分」と名づける事で、超自我と自我を切り離して外在化して自我を
守りつつも、「あなたと関係のない別の物が憑りついたよ」といった外在化ではなく
あくまで「それも”自分”だよ」と暗示する事によって、自我に責任を持たせる
②「感想文」により「良い自分」(自我)の活躍は応援し、
逆に「悪い自分」(超自我)の働きに対しては相手をしない
③「行動制限」により、「自分(自我)の力で達成する事を学ばせる
等、とことんまでクライアントの持っている力(リソース)を信じ、
自我を強化する事を目的とされている様に感じました。
僕自身は、ついついクライアントさんの自我に対して過保護になりがちなので、
大いに反省させられたし勉強させて頂きました。
コメント