コラム/2016-04-08
カウンセラーの心構え~何が一番動かし易いか?
「○○障害」、「○○症」、「○○の問題」・・・。
そういった所謂”障害”や”問題”と呼ばれるものが
固定されて維持されてしまうから行き詰ってしまう。
逆にそれらが変化し”動かす”事ができれば解決する、と僕は考えています。
ですからカウンセラー、特に短期療法を目指す場合は、
「何が一番動かし易いか?(変え易いか?」
「どうすれば動かす事ができるか?(変化させる事ができるか?)」
を考える必要があると思います。
例えば、まず”問題”が固定されてしまう一つの概念として「○○障害」
「性格」「鬱」等といった呼称があります。
「発達障害」を例にすると、医者で「発達障害です」と診断されると、
何か「一生その”障害”を背負って行かなければいけない」といった、
動かし難い現実として捉えられる方が多いと思います。
(「生まれつきのものだから治りません」等と言われたりすると、
増々その概念が固定されてしまうでしょう)
そういった場合でも、
「誰でも未だ発達していない神経があります。例えば運動音痴の人は
運動神経の発達障害、否、運動神経が今はまだ未発達なだけで、
練習すればスポーツ選手にはなれないけれど
運動会でドンべからは抜け出せる可能性はありますよね?」
等と、動かせる形に概念を変えてゆく事ができます。
そして更に、例えば先延ばしと物忘れ、ミス、片付けができないのであれば、
その中で改善できそうな部分を探って行き、それをもっと細かくしていきます。
(勿論、クライアントさんの「どうなったら良いか?」という目標
に沿ってですが)
(例)
「片付けができた日もあったんですよね!それはどうやってできたんですか?」
「まずどの場所の片付けをしたいですか?」
→「事務所のデスクです」
→「その中で一番気になる部分はどこですか?」
→「引き出しです」
→「引き出しは何段ありますか?」
→「3段です」
→「その中で一番気になるのは何段目ですか?」
→「2段目です」
→「明日、2段目だけを片付ける自信は何%ですか?」
→「70%くらいです」
→「では、それをやってみませんか?」
この様に現実問題として動かせる部分を探って行き、
実行可能なごく小さな目標を作って行きます。
幸いにも僕達カウンセラーは医師と違い、診断を下す事はできないので、
動かし易い形に自由に持ってゆく事ができます。
例えば
「10年間、鬱です」
→「この10年の間で”落ち込み”が酷い時があった訳ですね」
「性格を変えたい」
→「”考え方の癖”を変えたいのですね」等々・・・。
※但し、「こんなに空気が読めずに人間関係をうまく築けないのは、
自分が悪いんだ・・・」等といった酷い自責→落ち込みで
動く事ができない場合は、「発達障害です」と診断を受けた方が、
自責→落ち込みのパターンに変化をもたらす事ができる場合もあります。
そういった場合は医師の診断を受けて、動かし易くなってから
カウンセリングを受けられるのも良いと思います。
そしてこの「何(どこ)が一番動かし易いか?」を考える事は
家族や夫婦、カップル等の人間関係の悩みで用いられる家族療法にも
当てはまります。
家族療法では、必ずしも”問題がある”とみなされた人が来談する必要は
ありません。
勿論できるだけ多くの家族メンバーがお越しになる事が理想ですが、
極端な言い方をすれば、その家族の成員であれば子供、兄妹、おじ・おば等
どなたが来られても良い訳です。
カウンセリングにお越しになるという事は、変化へのモチベーションが
一番高い人のはずですから、一番動かし易い(失礼!)という事になります。
家族間の問題であれば、どなたが変化しても全体に影響がある訳ですから
問題の解決に向けて動かし易い人に動く事が
可能な小さな変化をもたらしてゆく、という考え方が役に立つと思います。
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