コラム/2020-11-02
何故子供を虐待してしまうのか?③
<前回からの続き>
前回、子供を虐待してしまう原因として考えられる2つの要因、
即ち
①子育ては本能的行動ではない
②人間や(一夫一婦制の子育て行動をする)哺乳類の脳には
「子育て行動を促進する部分」に加えて
「子への攻撃行動を促進する部分」がある
という事が挙げられるとお書きしました。
今回は、そのうちの「①」について詳しくお書きしたいと思います。
①子育ては本能的行動ではない
→どんな生物でも、個=自分が生き延びて生殖し遺伝子をコピーし、
種=自分達(の遺伝子)が存続してゆくという方向性が
遺伝子の中に組み込まれていると思います。
ですから、
生きる為に必要な食欲や睡眠欲、そして生殖に必要な性欲等の基本的欲求
が生じる訳です。
そして、
とりわけ哺乳類、中でも人間の様に大脳皮質が極端に進化?した種は
他の種に比べて恐ろしく未熟なまま生まれてきます。
それ故、
子供の親にも「子供を育てたい」という「子育てへの欲求」
が組み込まれています。
ところが、
この「本能的欲求」は最初から充分には機能しないものです。
例えば、
赤ちゃんは「食べたい」という本能的な欲求を持っていますが、
最初からうまく食べられるでしょうか?
ミルクをこぼしたり、むせて吐いたり、
少し大きくなっても、食べさせてあげたり、
さらに、スプーンやお箸がうまく使えなかったり・・・
つまり本能的な欲求であっても最初からうまくはできない。
できるようになる為には訓練や試行錯誤等の経験が必要になるという事です。
同様に
「子を育てたい」という本能的な欲求があっても、
それは「本能的にできる行動」ではありませんので、
最初からうまく行かないのが当然です。
なのに、
お母さん方は
「あ~・・・うまくしつけられない。いう事聞いてくれない・・・。
私って母親としてダメなんじゃないか?」
等と自分を責めたり、
「も~!!何でできないの?!!何回言わしたらわかるのよ?!!」
等とイライラしたりしてストレスが溜まっちゃう訳です。
そして、
特に親の性格特性として完璧主義であったり、
元々、相手が自分の思い通りにならないとイライラする傾向が強い人
の場合はそのストレスが極限まで達してしまう事も考えられます。
更に、
親自身が育った原家族の中で虐待的な事が行われていた等の理由で、
養育的なモデルとなる親が存在しなかった場合は
特に「どうしたらいいかわからない」となってよりストレスが溜まる
でしょう。
加えて、
親自身の性格傾向が、ストレスを外に表出してしまう事が多い場合は
虐待に繋がってゆく可能性も高まると思います。
<次回へ続く>
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