コラム/2020-12-07
どうすれば恐怖/不安を克服できるのか?④
<前回からの続き>
今回は、
「恐怖/不安を克服する為の4つのポイント」のうちの
②スモールステップの原則
について詳しくお書きしたいと思います。
皆さんは自転車に乗る事ができるでしょうか?
生まれ持って自転車に乗れる人は殆どいないと思われますので、
自転車に乗る事ができる方は、バランスを取ったり、こけそうになったら
地面に足をつく、等の一連の行動の練習を繰り返す事によって、
脳内(この場合は主に小脳)の神経細胞の結合や神経伝達物質の伝達が強化
されたと考えられます(=長期増強)。
ですから、
わざとこけようとしたり、こけそうになっても地面に足をつけない、といった
(前頭前皮質による)「意志」は長期増強された神経細胞の働きに反する事になり、
大きな抵抗を受ける為に中々通用しない筈です。
同様に、
恐怖/不安に対する「確認行動」や「安全行動」によって長期増強された
パターンを「意志」の力で覆す事は非常に難しい訳です。
但し、
以前にもお書きした通り、脳の神経細胞には「シナプスの可塑性」というもの
があって、その”抵抗”を少なくしながら変化させてゆく事が可能です。
例えば、
電車に乗るのが怖くて、電車に乗らないといった「安全行動」で長期増強
された神経細胞も、
「電車に乗るイメージをする」
→
「ホームで電車を眺める」
→
「電車の中に一歩踏み込む」
→
「1駅だけ電車に乗る」
・・・
等と、少しずつ恐怖/不安を少し我慢すればできそうな範囲で行動してゆけば、
「消去学習」が行われ、「長期抑圧」によって電車に乗れる様になってゆく
でしょう。
また例えば、
「強迫性障害」によって”手を何度も洗わないといけない”といった「安全行動」
や
”鍵を掛けたかどうかを何度も確認しないといけない”といった「確認行動」
によって「長期増強」されたパターンも、
「手洗いや鍵の確認を5回までに抑える我慢」
→
「4回までに抑える我慢」
→
「3回までに抑える我慢」
・・・等によって克服してゆく事が可能です。
そしてこの時のポイントとしては、
①「これができる確率は何%かなあ?」
と自問し、70~80%できる自信がある事を目標にしましょう。
そして、
②その目標ができなかったら、もう少しハードルを下げる
③できなかった時には反省せず、逆にできた時には
ご家族や恋人・親友やカウンセラー・お医者さん、そしてご自分で
「怖いけどよくやった!」と褒めてあげたりメモやカレンダーに
書き込んでゆく
のもよいと思います。
それでは次回は、
「恐怖/不安を克服する為の4つのポイント」の3つ目の
③「予測誤差」を小さくしてゆくについてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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