コラム/2022-05-30
カウンセリングでは具体的に何をするのか?③見立て(2)
<前回からの続き>
前回は
「見立て」の前半部分である「情報収集」についてお書きしましたが、
今回は架空のA子さんを例にして、より詳しくお書きしたいと思います。
例えば、
不登校に陥って母親に当たったり「死にたい」と自傷行為を繰り返す
(架空の)中二のA子さん(I.P.)の情報を来談者である母親から収集
したところ、
①(1)不快への感受性がかなり強い
(特に声や音への聴覚過敏+触覚過敏)
(2)不快刺激を避ける為に、不登校になっている
(中一の時は登校していたが中二のクラスでは学級崩壊気味で
相当騒がしかったらしい)
(3)不快刺激を不登校によって避けているが、みんなから
取り残されて行く自分に対して、より自己否定が強まっている
(うまく行ってないパターン)
ただ、好きな絵を描いている時はそれに集中して落ち着いている
(うまく行っているパターン)
②(1)人の事を気にし過ぎる自分の性格特性や学校に行けない自分を否定
(2)クラスメイトや学校(集団)が怖いという認知~行動パターン
(クラス替え時には中々溶け込めずに独りぼっちで居たり、
級友からからかわれる事もあった様子)
(3)「昔お母さんに傷つけられた!だから恨んでいる」と母に当たり、
「学校に行けてない私に未来なんてない!今すぐ死にたい!」
と自傷する認知~行動パターン
(A子さん曰く、「お父さんに暴言を吐かれた時にお母さんは
助けてくれずに笑っていた」・・・母親の記憶には無い)
③(1)トラウマ?=「母親に傷つけらた場面が今も頭から離れない」
(特に不登校になってから強くなったらしい)
(2)トラウマへの防衛パターンは「闘争」(母へ当たる、自傷)
⇒「恥・自責」
(3)こうなったのはお母さんのせいだ!(母への憎しみ)+母に当たったり、
自傷行為を繰り返す私なんて生きていても仕方がない(自己否定)
※希死念慮的な発言は父親の前では見せない所から、
母親への救済願望・依存が見受けられる
④愛着形成の強度=弱い
(母親は”私のせいだ”と思っているが、A子さんは幼い頃から
些細な事でよく癇癪を起す父に脅えていたが、母にくっつかれるのが
苦手だった事から、恐らく生来の触覚過敏
+父の怒声による後天的な?聴覚過敏を有すると思われる)
⑤(1)母親は「私のせいで娘はこうなった」と思っている(否定的な自己認知)
また娘については「真面目だけど、気にし過ぎで我慢が足りない」
という 否定的な認知が見受けられる
(2)家に居るA子さんは好きなダンスの動画を見ている時は踊ったり、
絵を描いてる時は落ち着いていて、弟とゲームしてる時は
笑顔もみられる様子。
(3)母親は「学校に行け!」とは言わない様にしているが、
昼過ぎに起きてきた娘に暗い顔で無言で接している様子。
また部屋は2階にA子さんの寝室と父親の寝室があり、
1階で母親と弟が寝ている状態で、
A子さんは父親が階段を上がって来る音 にびくびくしてる様子で、
夜半過ぎまで動画を見ていて昼過ぎに起きるという 生活パターン。
(父親は今は癇癪を起す事は減ったが、子供達との関わりはほぼ皆無)
次回は
これらの情報を基にA子さんの不登校の”問題”の原因分析(原因の想像)
の例ををお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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