コラム/2023-07-10
インナーチャイルドとは何なのか?
「私は親しくなった男性に対しては見捨てられ不安が強くなり、
依存して束縛してしまう。前の彼氏の時もそうだった・・・。
きっと私はアダルトチルドレンで、インナーチャイルドが
傷ついてるんだわ。」
うちのルームにも傷ついた「インナーチャイルド」の癒しやケア
を希望されてお越しになる方もいらっしゃいます。
今回は私なりに考える「インナーチャイルド」の成り立ちと定義
をお書きしたいと思います。
例えば、
ある人が5歳の時に親の言う事を聞かずに親に激しく怒られた、とします。
その時の親の怖い表情、
「出て行け!」という大きな声、
そして、
抵抗しても強い力で腕を引っ張られドアの外に締め出されて、
「ガシャン」と鍵がかけられた音を聞いた・・・。
「見捨てられる!」という恐怖や孤独を感じ、
「ゴメンなさい!僕が悪かったから許して!開けてください!」
と泣き叫んでも、何の応答も無く、
「もう一生入れてもらえないのかな」と絶望のドン底で
無限と思える様な時間が過ぎてゆく・・・。
そして、
「僕はダメな子なんだ・・・こんな僕は愛されないし、
必要じゃない子に違いない」という”信念”を持ってしまった。
それでも
親から愛される事を諦められないその子は
逆鱗に触れない様に親の顔色を見ながら、
親が望む様な自分になる為に、
好きじゃない勉強や習い事を必死で頑張った・・・。
(※ここで「親がダメなんだ!」と考えると、「いつか愛してもらえるかも」
という希望は持てなくなるので、
「僕がダメなんだ」→「ダメじゃなくなったらきっと愛してもらえる」
と思う訳です)
やがて社会人になったその人は、
職場のパワハラ気味の上司に叱られると縮みあがってしまい、
自分の意見も言えなくなり、本当は疲労困憊で倒れそうなのに、
独りでは手に負えない量の仕事を押し付けられても嫌と言えず、
遂に力尽きて会社へ行けなくなってしまった・・・。
上の例で言いますと、
トラウマチックな出来事によって、
その時に強く感じた感情・感覚・記憶・信念・思考といったものが、
無意識(辺縁系側)に封じ込められてしまった(抑圧)。
無意識に抑圧されてしまうと、
意識(皮質側)による時間軸に沿った統合・整理が行われないと考えられる為、
その時の感情や信念等を保ったまま、
言わばサブパーソナリティーとして無意識の中に遊離したまま存在し続ける。
その様にして(仮に名づけると)
①「傷ついたチャイルド」
②「僕はダメな子だ、必要ない子なんだ」という「自信のないチャイルド」
③「それでも愛されたい、必要とされたい」という「愛を求めるチャイルド」
④「その為には自分の好きな事ではなく、相手が望む自分にならなきゃ!」
と頑張る「従順なチャイルド」
⑤「仕事から離れないと心身が危機に陥る」と、
シャットダウンして身を守ろうとする「うつのチャイルド」
等がサブパーソナリティーとして形成された訳です。
そしてこれらの「チルドレン」達が、
職場で引き金を引かれた時に活躍してくれた結果、力尽きてしまった訳です。
もしそうであるならば、
傷ついたインナーチャイルドだけではなく、
様々な信念や個性・役割を持ったインナーチャイルドが存在する
事になります。
そう考えると、
ケアが必要なのは「チャイルド」ではなく全ての「チルドレン」
だと言えると思います。
<次回へ続く>
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