コラム/2023-07-26
何故我が子を愛せないのか?(1)
<前回からの続き>
「我が子を愛さなきゃいけないのに愛せない」・・・
そういった苦しみを抱える方も多いと思います。
では、何故我が子を愛せないのか?
原因・理由は様々あると思いますが、
私の今迄の知識と臨床経験から想像しますと、
①我が子は自分と同じ様に感じたり思ったりしているはず
と思い込んでいる
(同一視)
②抑圧した自分の嫌いな部分を我が子の中に感じてしまう
(投影同一視)
③自分の身近な人(夫や親等)の嫌いな部分を我が子の中にも感じてしまう
(転移)
④親が我が子に嫉妬したり、ライバル視してしまう
⑤自身が快・不快刺激に敏感で、そこから来るストレスを解消できていない
といった事が代表的なものであると思われます。
今回は、
そのうちの「①」と「②」についてお書きします。
<我が子を愛せない原因(1)>
①我が子は自分と同じ様に感じたり思ったりしているはずと思い込んでいる
(同一視)
例1:
母親「いつまでテレビ見てるのよ!?
さっさと用意しないと幼稚園に遅れるわよ!」
息子「だって、今面白いところなんだよ!」とテレビの前から離れない
母親「いい加減にしなさい!」と息子の腕を引っ張る
息子(テレビから目を逸らさずに母親の手を振り払う)
母親「いい加減にしろって言ってるだろ!!」と怒鳴る
息子「・・・(無視)」
母親(私だったら、ちゃんと遅れない様にするのに)
「何で言う事を聞けないの?!!」と叩く
上の例では、
母親が息子に対して「自分と同じ感じ方・考え方をしている筈だ」
と思い込んでいるせいで、
そうではない息子に対して虐待してでも自分の”思い込みの枠”の中に戻そう
としている訳です。
②抑圧した自分の嫌いな部分を我が子の中に感じてしまう
(投影同一視)
例2:
(母親が保育園に娘を送って行った時)
娘「ママ、イヤだ、イヤだ!ママと一緒に居たい!」
と母親の腕にしがみつく
母親「後で迎えに来るから、ちゃんと先生のところへ行きなさい!」
娘「ママ、イヤだよ~。ママと一緒にお家に帰りたいよ~」
と泣きべそをかく
母親「いい加減にしなさい!言う事聞かない子はママの子じゃないわよ!」
と怒鳴りつける
上の例では、
もしかしたらこの母親は
幼い頃に親に甘えたいけど甘えられる環境ではなく、
''自分の甘えたい欲求を抑えて、無かった事にして''(自分から切り離して)
生きて来たのかも知れません。
そうして、
他人に甘えず頼らず、”強い女性”というキャラクターを身にまとって
生きて来たとすれば・・・。
もしそうであるなら
「他人に甘える気持ち」=弱い自分として忌み嫌っていて、
その部分を見せている我が娘を「許せない」と感じてしまっている
と考えられます。
次回は
「我が子を愛せない原因」の(2)として
上記「③」と「④」を取り上げたいと思います。
<次回へ続く>
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