コラム/2023-09-06
統合失調型パーソナリティ障害の原因
<前回からの続き>
前回の(架空の)例でこの人は、
・空気を読まない、暗黙のルール・常識を理解しないといった点から
相手の気持ちや暗黙のルールに対しての鈍感さを有している為、
混乱・不安が生じたり、いじめや「なんでわからないの?!」等といった
他人からトラウマチックな被害を被り、
社会的交流を不快刺激と認識し、それを避ける様になったのかも知れません。
ただ、私見を述べると、
元々敏感だった為に、相手の表情や言動、雰囲気・空気に纏わる
膨大な情報が入力され、刺激過多から来る混乱を避ける為に
シャットダウンした(鈍麻させた)のでは?と私は考えます。
何故なら、
”親密な関係での居心地の悪さや不慣れな状況下での不安”が生じるのは、
「敏感さ」=「入力される情報量が多い」→「刺激過多」→「混乱」
→「居心地の悪さ・不安の強まり」という流れが考えられるからです。
・敏感さから来る情報過多・刺激過多による”混乱”を避ける為には、
回避や統合・統制・秩序立て、意味づけ等の防衛策が必要となる
のだと思います。
(もしかすると、こういった人は元々統合や秩序立てが苦手なのかも
知れませんし、或いはそれを上回る程、敏感なのかも知れません)
・他者の考えている事が想像できない。
その為に「相手は何を考えているのだろう?」といくら考えても
わからない混乱(刺激過多?統合不全?)から不安になり、
「こう思っているに違いない」と決めつける事で混乱・不安を鎮め、
秩序立ててゆく。
恐らく”儀式”や”関係念慮”等の認知や知覚の歪みも
混乱・不安を鎮めて自分なりに”秩序立ててゆく”為の無意識の防衛反応
と考えられます。
※空気を読まない言動や奇抜な恰好等から、自分が言いたい事を言ったり、
やりたい事をする事に快刺激を感じていると考えられます。
以上の事から、
「統合失調型パーソナリティ障害の原因」として、
以下の事が考えられると思います。
<統合失調型パーソナリティ障害の原因>
①他者や環境からの刺激に対して(生まれつき)敏感である
※「統合不全」の可能性も有り
②敏感さから、刺激(情報)過多になり、混乱・不安が生じる
③混乱・不安を鎮める為に様々な(無意識の)防衛策を採る
(1)回避:他人や社会との交流を避ける
(2)自分なりの秩序立て・意味づけ
:「関係念慮」「魔術的思考」「超能力」等は
自分主体で混乱を収拾させ、
独自のルール・秩序を作ってゆける希望となり、安心を得る
※「パラノイア」は混乱を生じさせる相手からの刺激を
例えば「こいつは僕を馬鹿にしているに違いない」等と
被害妄想的に意味づけする事によって、混乱の終息と回避の両立
を目指しているのではないかと思います
④自分だけの”王国”を築き上げる
「③」の防衛策を突き詰めてゆくと、
自分独自のルール、秩序、意味づけ・解釈等、
自分独りの世界の中では、万能感を感じるでしょう。
この事は、もしかすると個を超えた自我肥大と言えるかも知れません。
自我肥大とは、ユング心理学では、脆弱な自我(意識)が自己(無意識)に
呑み込まれて一体化してしまう事を言いますが、
防衛策が嵩じて、他者の自我まで呑み込んでしまった状態が、
「関係念慮」等の所謂自我障害を起こしているのでは?と考えたりします。
もしそうであるなら、自分の自己の一部である他者(の自我)に
関心が向かないのは必然なのかも知れません。
(自我が脆弱であれば、統合不全にも陥り易いでしょう)
それ故、
「独自の言語」「独自の考え」「独自のルール」「独自のファッション」
等、「風変わりな印象」を持たれる様になるのでは?と考えます。
もしそうだとすれば、
統合失調型パーソナリティ障害の寛解を目指すには
どういった治療(カウンセリング)が必要なのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
コメント