コラム/2023-10-20
強迫性パーソナリティ障害の原因
<前回からの続き>
今回は
「強迫性パーソナリティ障害の特徴」から類推される
「強迫性パーソナリティ障害の原因」についてお書きしたいと思います。
<強迫性パーソナリティ障害の原因>
①不安等の不快に対する感受性が極めて強い
例えば、将来の金銭的な不安の為に、極端に倹約する等から、
(恐らく遺伝的に)不安や不快への過敏さを有していると考えられます。
②トラウマによって不快の対象が、”未達成・不完全”に固定された
誰しも目標を達成できなかったり、ミスをしてしまうと落胆するでしょうし、
それを他人から指摘されると”恥”といった不快感情を味わう事になるでしょう。
特に、元々不安・不快に対して敏感な人にとっては、
例えばミスをして親から怒られた
とか
学校で恥ずかしい思いをした、
等の経験がトラウマレベルになる事もあると思います。
そしてもしそうなれば、
未達成や不完全さによって「恥をかく事や怒られる事」
が当人にとっては最大の不快事項となると想像されます。
③防衛反応によって”達成・完全”への目標志向に拘る様になった
そうなれば「もう二度と嫌な思いをしたくない!」と、
不快感情を回避する為に、目標の達成や完全さに拘る様になるでしょう。
そしてそこへ拘る事で、
不快感情の回避と同時に、”達成感”や”自己効力感”、
”人や物事に対するコントロール感”等の快感情を得る事ができる、
といった一石二鳥のメリットが得られるのだと思います。
④コントロール不全との直面
そうして、
不快感情の回避と達成感・コントロール感といった快感情を得る部分の
脳の神経回路が増強されてゆくのだと思います。
ところが、
”自分の力ではコントロールできない”といった新たな不快対象が出現
してくる訳です。
それは、お気づきの様に”他人”(と未来)です。
そうなれば、
不快に敏感な人にとっては今度はその不快対象を何とかしないと
気が済まなくなるでしょう。
そしてその時点では、
自身の”達成・完全への目標志向”に自信を深めていて、
「それが正解だ!」と思い込んでいる訳です。
だから
他人をもその枠にはめて、自身にとって不快な言動をしない様に
コントロールしようとするでしょう。
でも、
他人ですからそれがままならないので、
強い不快感情を感じる様になる筈です。
⑤他人や事象のコントロール感への拘り
そうなれば、
自身にとっての最大の不快事項は
「他人(と未来)へのコントロール不全」になる訳です。
ですから、
他人を自身のルール等の拘りに従わせようとしたり、
未来への不安・不快を回避する為に過度の倹約をしたりする様になるでしょう。
ところが
特に他人は中々思い通りにコントロールできない
⇒自身は益々コントロールする事に拘る
⇒相手は益々従えない部分が増えてゆく・・・
といった悪循環に陥り、自身もコントロール不全感で苦しみ、
被支配・コントロールされている人も追い詰められてゆくでしょう。
※本障害の遺伝について:
例えば、
”完璧主義”の母親にテストで100点取れなかった事を責められた、
等がトラウマとなり、
不快の対象が、”未達成・不完全”に固定され、
防衛反応によって”達成・完全”への目標志向に拘る様になる、
という事は充分考えられると思います。
その場合、
親の不快(子が100点取れない事)への過敏さが遺伝していたとすれば
遺伝+環境因(怒られた事でのトラウマ)によって、
本障害が”結果として連鎖”する事もあると考えられます。
もしそうだとすれば、
強迫性パーソナリティ障害の寛解を目指すには
どういった治療(カウンセリング)が必要なのでしょうか?
そのヒントを次回お書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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