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コラム/2020-11

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2020/11/30 (月)

どうすれば恐怖/不安を克服できるのか?①

<前回からの続き>

今回からは、
「どうすれば恐怖/不安を克服できるのか?」
について、脳科学的な知見を交えてお書きしてゆきたいと思います。

まず最初にお断りしておくべき事として、
恐怖/不安の克服には、「正しいやり方」「根気強く」行う必要がある、
という事です。


と言いますのは、

例えば、電車に乗って、何度かパニック発作が起きた

電車に乗る事を考える度に恐怖が襲ってくる、

それ以来、電車に乗る事を避けている、

といった場合は、
「電車に乗る事や乗るのを考える事」(感覚刺激)
+
「恐怖を感じて胸がドキドキする」(嫌悪刺激)

電車に乗る事=恐怖/パニックが起きる

といった「恐怖学習」による「恐怖記憶」が形成されている訳です。


そして、
「電車」=「怖い」というイメージを繰り返す事で、
脳内の神経細胞の結合や神経伝達物質の伝達が強化されてゆきます。
(これを「長期増強」と言います)


これを覆してゆくためには、

「電車」=「何も起こらない」といった「消去学習」によって、
脳内の神経細胞の結合や神経伝達物質の伝達を弱めて行く作業が必要です。
(これを「長期抑圧」と言います)


ですから、長期的に”増強”された恐怖を抑圧(=減少)させてゆく為にも
時間がかかる訳です。


但し、
脳の神経細胞には「シナプスの可塑性」というものがあって、
時間はかかっても変化させてゆく事が可能である事が証明されていますので、
ご安心下さい。

※恐怖や不安を感じながらの根気強い訓練が必要ですので、
 できればカウンセラーとご一緒に進めて行かれる事がベストだと思います。

<次回へ続く>



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2020/11/27 (金)

何故、恐怖/不安を避けてはいけないのか?②

<前回からの続き>

前回お書きした様に、不安や恐怖に対して
「回避行動」
(例:パニック発作を避けて電車やバスに乗らない、恐怖の対象を避ける等)

「安全行動」
(例:汚染された手や体を念入りに洗う、病気の不安を無くす為に何度 も
  検査を受ける、彼に見捨てられる不安を無くす為に頻繁に電話する等)
をとればとるほど、不安や恐怖は持続してしまうとお書きしました。


今回はその理由を最新の脳科学的な知見からご説明したいと思います。

理化学研究所の研究チーム等の報告によれば、

「感覚刺激++嫌悪刺激で恐怖条件付けを繰り返し続けると、
 嫌悪刺激に対する扁桃体の反応が減少してゆく。

 これは、
「予測誤差」が少なくなり、その予測が正確になればなるほど、
 扁桃体の神経活動(興奮)がこのフィードバックによって弱まってゆく
 と考えられる」

つまり、
恐怖を呼び起こす刺激を避けずに続けてゆき、
その度に不快感や恐怖、ドキドキ・バクバクを感じる事を繰り返してゆくと、
扁桃体の興奮、つまり「恐怖」(やその結果の反応)が弱まってゆく
というものです。

「予測誤差」が大きい=思いもかけない事が起こった時に
扁桃体が興奮して恐怖が強くなり、

逆に「予測通り」に恐怖や(やその結果の反応)が出てくれば、
扁桃体の興奮は弱まり、恐怖も小さくなる、という事です。

(初めて行くお化け屋敷は、どこからどんなお化けが出て来るか?
 予測できないから怖いですが、
 同じお化け屋敷に2度、3度行くと「次はあそこからああいうお化けが
 出て来るぞ!」と予測ができますから怖さが減りますよね?)


例えば、
電車に乗るのが怖い「広場恐怖症」(パニック障害)の人は、
一番最初のきっかけは「予測外」のパニックだったのかも知れません。

そして、その時のあまりの恐怖に電車に乗る事を避け続けたとすれば、
「予測誤差」の修正が行われず、「いつまで経っても怖いまま」になる、
という事です。

それでは、「どうすれば恐怖/不安を克服できるのでしょうか?」
そのヒントを次回からお書きしたいと思います。


<次回へ続く>



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2020/11/25 (水)

何故、恐怖/不安を避けてはいけないのか?①

「外に出ると”汚染”されてしまう。
 ”汚染”された服で自分の聖域である部屋を汚したくないので、
 外出から帰ると必ず服を洗濯し、念入りにシャワーを浴びます」

といった、「強迫性障害」に襲われている人。


「鳩(セミ)が怖いので、鳩(セミ)がいる場所を避けて通らないとダメです」
といった「恐怖症」に襲われている人。


「電車(バス)に乗ると、過呼吸を起こしたりパニック発作が起きるので、
 電車(バス)に乗る事を避け続けています」

といった「広場恐怖症」(パニック障害の人。


「皆の前で話す時に緊張で頭が真っ白になり、赤面・発汗・声や手の震え
 が酷くなるので、そういう場面を避けています」

といった「社交不安障害」(社交不安症)の人。


「外に出ると、近所の人にどう見られるか?が怖くて・・・」

とずっと引きこもりを続ける人。


「こんな事言ったら、相手に嫌われるのでは?」

と不安で、自分の意見が言えない人。


「頭が痛いのは”脳梗塞”だ!・・・胃が痛いのは”胃癌に違いない”」

と体の不調を探してしまっては検査を受けまくり、「異常ナシ」と言われても、
次々と重い病気の心配をし続ける「病気不安症」(心気症)の人。


「彼は、私を見捨てようとしてるのでは?」

と不安で不安で、日に何十回もLINEや電話をしてしまう「見捨てられ不安」
が強い人。

・・・

不安や恐怖が強い人は殆どの場合、そうなる状況を避けたり、
安心する為の行動を取る事が多いです。


こういった行動を「回避行動」「安全行動」と言いますが、
それらの行動を取り続ける限り、不安や恐怖が無くなる事はないでしょう。


と言いますのは、「回避行動」や「安全行動」をとればとるほど、
不安や恐怖は持続してしまうといった、悪循環が確認されているからです。


ですから、
「不安症」や「恐怖症」に苦しんでおられる方へのアプローチとして、

「(認知)行動療法の暴露療法」「回避行動」や「安全行動」を避けて、
不安や恐怖に少しずつ身を晒してゆく

「森田療法の恐怖突入」(恐怖から逃げずに対峙してゆく)等が有効です。

(※詳しくは、お気軽にお問い合わせ下さい)


それでは次回は、脳科学的な側面からも
不安や恐怖を避けない事の有効性についてお書きしたいと思います。


<次回へ続く>



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2020/11/23 (月)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?⑧

<前回からの続き>

今回は、子供への虐待を止めるポイントの4つ目の

④心理療法やカウンセリングを受けたり、子育て支援機関に相談したり、
 アンガーマネージメント等で虐待しないで済む方法を模索する
の「(2)」として、

心理療法やカウンセリングを受けるについてお書きします。

(2)心理療法やカウンセリングを受ける


   子供を虐待してしまう要因は色々考えられます。

  (例)子供が言う事を聞かない

     慣れない子育て独りになる時間を奪われてストレスが溜まる

     誰にも助けを求められない性格で独りで抱え込んでしまう。

     夫婦関係や自分の親との関係によるストレスを子にぶつけてしまう。

     子供や親自身の発達傾向や性格傾向の問題

     親自身の自己肯定感の低下、無力感
     親子・夫婦等での関係性の中での虐待につながる悪循環の
     パターンの形成

     感情のコントロールの問題。

     それらによる、いわゆる「産後うつ」の状態等々・・・。


   →心理療法カウンセリングでは、お話をお伺いした上で、

    親御さんに合わせたストレスやトラウマの解消や、性格の改善
    自己肯定感を上げる、夫婦・親子の悪循環のパターンの解消
    感情のコントロール(アンガーマネージメント等)を
    お手伝い差し上げる事ができます。

因みにうちのルームでは、様々な心理療法によって、
虐待につながるあらゆる要因を解消してゆくお手伝い
を差し上げる事ができますので、お気軽にご相談下さい。

※心療内科や精神科では、
 「抗うつ薬」(産後うつによってイライラする事もあります)
 や
 「抗不安薬」(イライラに繋がるノルアドレナリンの分泌を抑える働き 
 があるGABAの脳内作用を増強する働きがあります)を使った、
 薬による治療がなされますので、薬に抵抗が無い方には
 選択肢の一つだと思います。



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2020/11/20 (金)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?⑦

<前回からの続き>


今回からは、子供への虐待を止めるポイントの4つ目として

④心理療法やカウンセリングを受けたり、子育て支援機関に相談したり、
 アンガーマネージメント等で虐待しないで済む方法を模索する

についてお書きしたいと思います。

まず、
「子供への虐待を止めたくても止められない」お母様(お父様)の
相談の選択肢としては、以下が考えられます。

(1)家族や支援機関に相談する

   子供を虐待してしまう親御さんは、誰にも話せず一人で問題を抱え、
   よりストレスが高じて虐待がより酷くなるといった悪循環が生じる事も
   あると思います。

   勇気が必要ですが、配偶者や親・兄弟姉妹等の家族にまず相談する
   という事が必要だと思います。

   次に、各自治体の子育て支援センター(子ども家庭支援センター)は、
   育児に関する不安の相談ができます。

   また、子の発達の問題や性格傾向等によって親御さんがキレてしまう
   場合などは、
   都道府県が設置する保健所、市区町村保健センター、児童相談所等では
   発達相談や心身障害相談なども可能です。

   或いは、
   お子さんや親御さんご自身に発達の問題があるとお感じの場合は
   各自治体の発達障害者支援センターに相談されるのもよいと思います。

    
  ※子供への虐待を見たり聞いたりした親族や配偶者等の周囲の方は、
   基本的には、まず各自治体の児童相談所に連絡する必要があります。

   そして、虐待が認められた場合は子供は一時保護される等、
   親と引き離される場合があります。

   (児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(いちはやく)
   =全国共通、無料)

   ですから、そこまで行かない間に虐待を未然に防ぐ事が大切です。


<次回へ続く>



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2020/11/18 (水)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?⑥

<前回からの続き>

今回は、子供への虐待を止めるポイントの3つ目として

(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
 その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)
 の生成を促進する

 為の具体的なヒントをお書きしたいと思います。

<ガンマアミノ酪酸(GABA)の生成を促進する方法> 


1.GABAの基(グルタミン酸)が多く含まれる食品の摂取

 →野菜(トマト、じゃがいも、ナス、アスパラガス、きゅうり、メロン、
  カボチャ、みかん等、)、魚や肉、卵、発酵食品(キムチ、納豆等)、
  発芽玄米、蕎麦、チョコレート等。


2. 市販のGABAサプリメントを服用する


3. 一酸化窒素がGABAの放出を促す。そして一酸化窒素はアルギニン 
  から合成される。

  故に一酸化窒素を増やすアルギニン
 (うなぎ・にんにく・鶏肉・牛乳・大豆・ナッツ等、アルギニンサプリメント)
  の摂取が有効と考えられる。(※黒こしょうに含まれるピペリンも有効)
  
  更に、運動や半身浴も一酸化窒素を増やすと考えられる。


4. GABAはグルタミン酸から合成されるが、
  その合成に必要なのがビタミンB6。

  故にビタミンB6を多く含む食品やサプリメントを摂る事も有効。
 (=かつおやまぐろ、鮭などの赤身魚や豚ヒレ、バナナや玄米)

 
5. 腸内細菌の活用

  ビフィズス菌、ラクトバチルス・ラムノサス等


6. ハーブの活用

  Kava、ヴァレリアン、ラベンダー、セントジョーンズワート、
  カモミール 緑茶


7. GABAの体内合成を高める

  瞑想やヨガ等

<次回へ続く>



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2020/11/16 (月)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?⑤

<前回からの続き>

今回と次回は、子供への虐待を止めるポイントの3つ目として

③(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)の生成を促進する

についてお書きします。

前回までにお書きした様に、

・(広義の扁桃体に属する)「分界条床核菱形部」は
 子に対する攻撃性を促進する。

 そしてその時に使われる神経伝達物質は
 ノルアドレナリンであると考えられる。


・一方、「内側視索前野」という部分が活性化されると、
 子育て行動が促進され、そこから「分界条床核菱形部」へ伸びてる
 抑制性(GABA)ニューロンを通じて、子への攻撃行動が抑制される。


・そして、子への攻撃行動に使われる神経伝達物質はノルアドレナリンで、
 その分泌を抑える神経伝達物質が、ガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)
 と考えられる、

という事です。


ならば子への虐待の抑止には、ガンマアミノ酪酸=GABAの生成を促進する事
が不可欠であると言えると思います。

(※勿論GABAの受容体側の問題もありますが、話がややこしくなりますので、
  ここでは触れない様にします)


それでは次回は、

③(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)の生成を促進する
為の具体的なヒントをお書きしたいと思います。


<次回へ続く>



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2020/11/13 (金)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?④

<前回からの続き>

今回は、
子供への虐待を止めるポイントの2つ目として

②愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」(女性の場合)
「バソプレシン」(男性の場合)の分泌を促してゆく具体的な方法

をお書きしたいと思います。

まず、
オキシトシンやパソプレシンの分泌を促す方法としては、

(1)親子関係の間で分泌を促す工夫


子供の世話をする

=授乳・食事・オムツ交換等でも分泌が促されますが、
 子供を見る、聞く/話す(おしゃべりする)、
 触れる(抱っこ、頭を撫でる、スキンシップ)、一緒に遊ぶ
 等も大切です

(2)自分自身で分泌を促す工夫


ペットと触れ合う、植物を育てる、
 他人に親切にする(手伝う、褒める、慰めるなど、相手を喜ばせる事をする)
 恋愛ドラマや映画を見たり、小説を読む、新しいことにチャレンジする、
 朝日を浴びる、腹式呼吸する、入浴(湯船にゆっくりと浸かる)
 軽い運動をする(ゆるめのストレッチやウォーキング、簡単なヨガ等)
 マッサージ、エステ等へ行く

 ※特に男性は「妻子を守る」という事でパソプレシンが
  分泌されやすくなると考えられますので、

  家族内でリーダーシップを取る、
  妻子の安全・安心を第一に考えた行動を取る、

 「妻子の為に」と思って頑張ったり、妻子を喜ばせる事をする
  事は役に立つと思います。

(3)愛着を形成し、愛情ホルモンの受容体を活性化する工夫


配偶者や大切な人とのスキンシップする
(ハグをしたり、お互いマッサージし合う等)、セックスの質と回数を増やす、

 大切な相手に親切にする
(手伝う、褒める、慰めるなど、相手を喜ばせる事をする)、 
 大切な相手を見る、聞く/話す/相談に乗ってもらったり乗ってあげたりする、
 /話を聞いてあげる/相手の気持ちをわかろうとする/助けてあげたり、 
 助けを求めたりする、一緒に趣味に興じたり、一緒にスポーツをする

 ※特にこの(3)は、幼少期に親との関係の中で「愛着形成」
  が十分になされなかった場合にも、新たに愛着を形成する手段として
  有効であると考えられます。

次回は、子供への虐待を止めるポイントの3つ目として

(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)の生成を促進する
についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2020/11/11 (水)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?③

<前回からの続き>

今回と次回は、
子供への虐待を止めるポイントの2つ目として

②愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」(女性の場合)
「バソプレシン」(男性の場合)の分泌を促してゆく

についてお書きしたいと思います。


 
「プレーリーハタネズミ」というげっ歯類は一夫一婦制で共同で子育てをし、
 不安を持つ子や別の仲間に対しても共感を示す行為を行う事が
 わかってきました。


一方、
同じ「ハタネズミ」の仲間である「アメリカハタメズミ」は一夫多妻制で、
雄は子育てしないし、雌も子や仲間に共感を示す行為を行わないらしいです。

この違いの原因の1つは、

雌(女性)側の母性を司る愛情ホルモンである「オキシトシン」
雄(男性)側の父性を司る愛情ホルモンである「バソプレシン」
関係しているらしい、という事がわかってきました。


即ち、
それらの愛情ホルモンの受容体遺伝子の活性の違いである、という事です。


つまり、
人間においても恐らく女性の場合の「オキシトシン」
男性の場合の「パソプレシン」脳内できちんと作用しないと、
虐待やネグレクトに繋がる恐れが強くなると考えられます。


もしそうだとすれば、
これらの愛情ホルモンがきちんと分泌され、作用する様にすれば
自ずと虐待やネグレクトは防げる筈です。


※幼少期に親から虐待されたとか、愛情を受けたか否か?によっても
 愛情ホルモンの受容体の活性に影響が出ると思われますが、
 それも、大人になってから他者と愛着形成をやり直す事で回復できる
 と考えられます。

それでは次回は
それらの愛情ホルモンの分泌を促してゆく具体的な方法について
お書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2020/11/9 (月)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?②

<前回からの続き>

前回迄の記事で、

人間(や一夫多妻制の哺乳類)は、
「子を攻撃する」というのが脳のデフォルトで、

「子育て行動を促進する」というスイッチが入って、
初めてその攻撃性が抑えられると考えられる、


そして、
子供への虐待を止めるポイントとして、


①子育て行動を促進し、同時に子への攻撃行動を抑制する働きを担う
 と推測される「内側視索前野」を活性化させる


②愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」(女性の場合)や
「バソプレシン」(男性の場合)の分泌を促してゆく

 
③(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
 その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)の生成を促進する 


④心理療法やカウンセリングを受けたり、子育て支援機関に相談したり、
 アンガーマネージメント等で虐待しないで済む方法を模索する


の4つが考えられる、とお書きしました。

今回はそのうちの「①」についてお書きしたいと思います。

①子育て行動を促進し、同時に子への攻撃行動を抑制する働きを担う
 と推測される「内側視索前野」を活性化させる


 以前お書きしました様に、

 脳内の「内側視索前野」という部分が活性化されると、
 子育て行動が促進され、

 そこから伸びてる抑制性(GABA)ニューロンを通じて、
 子への攻撃行動が抑制されると考えられる、という事です。


 だとすれば、
 「内側視索前野」を活性化させれば子への攻撃、つまり虐待が抑制される
 筈です。

 
 ではどうすれば、その部分を活性化できるのでしょうか?

 「泣いてる赤ちゃんを抱っこして歩くと泣き止む」という事は、
 育児のご経験があるお母さま、お父様方は経験上ご存じな方も多い
 と思います。


 この現象は「輸送反応」と呼ばれ、
 赤ちゃん側の親の子育てへの協力と考えられていて、

 赤ちゃんを抱っこして運ぶという親の子運び行動の事を
「レトリービング」と呼びます。


 そして(理化学研究所等の研究では)
 その子運び行動の制御を担うもっとも重要な領域は「内側視索前野」
 という事です。


 ですから「内側視索前野」を破壊されたマウスはレトリービングを行えず、

 逆に、レトリービングを行っているマウスでは「内側視索前野」が
 活性化しているとの事です。

 
 だとすれば、
 子供(乳幼児)が泣く度に抱っこして歩く、という事を続ける事で、
 「内側視索前野」が活性化され、
 子への攻撃、つまり虐待が抑制されると考えられます。


 ここからは私見ですが、

 ・赤ちゃんが大人しく従ってくれる事での
  親側の「思い通りにならない」といったイライラの解消


 ・赤ちゃんの協力を無意識に感じとった親が、
  赤ちゃんに、より愛情を注ぎ、より赤ちゃんは親を信頼し協力する、 
  といった相互作用による絆・愛着の形成


 ・それらに加えて、抱っこする、歩く、見る、聞く、といった事によって
 「愛情ホルモン」の分泌が増える(これについては後述します)


 等といった、レトリービングによる作用機序も考えられます。


※お子さんによっては「抱っこ」や触られる事を極端に嫌がる性格特性を 
 持っている場合もあります。そういった場合はお気軽にご相談下さい

次回からは、子供への虐待を止めるポイントの2つ目として

②愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」(女性の場合)
「バソプレシン」(男性の場合)の分泌を促してゆく

についてお書きしたいと思います。

<次回へ続く>



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2020/11/6 (金)

どうすれば子供への虐待を止められるのか?①

<前回からの続き>

前回の記事で、

人間(や一夫多妻制の哺乳類)は、
「子を攻撃する」というのが脳のデフォルトで、
「子育て行動を促進する」というスイッチが入って、
初めてその攻撃性が抑えられると考えられる、

とお書きしました。


では、
どうすれば子供への虐待を止められるのでしょうか?

今回からは、そのヒントをお書きしてゆきたいと思います。

まず、
虐待を防ぐ事に有効であると考えられる方法としては、


①子育て行動を促進し、同時に子への攻撃行動を抑制する働きを担う
と推測される「内側視索前野」を活性化させる


②愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」(女性の場合)や
「バソプレシン」(男性の場合)の分泌を促してゆく

 
③(子への攻撃行動にも働くと考えられる)ノルアドレナリン、
その分泌を抑えるガンマアミノ酪酸=GABA(ギャバ)の生成を促進する 


心理療法やカウンセリングを受けたり、子育て支援機関に相談したり、
 アンガーマネージメント等で虐待しないで済む方法を模索する


の4つが考えられます。

それでは、
次回からはその一つ一つについて詳しくお書きしてゆきたいと思います。

<次回へ続く>



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2020/11/4 (水)

何故子供を虐待してしまうのか?④

<前回からの続き>

今回は子供を虐待してしまう原因として考えられる2番目の要因、

即ち

②人間や(一夫一婦制の子育て行動をする)哺乳類の脳には
 「子育て行動を促進する部分」に加えて
 「子への攻撃行動を促進する部分」があると考えられる

について詳しくお書きしたいと思います。

理化学研究所の研究チーム等によると、
脳の視床下部前方の「内側視索前野」が子育て行動を促進する、

逆に
(広義の扁桃体に属する)「分界条床核菱形部」は
子に対する攻撃性を促進する、という事がわかってきました。

皆さんも、

「子育て行動を促進する部分」が脳内に存在するというのは
納得し易いと思いますが、

「子への攻撃行動を促進する部分」が誰の脳にも存在するという事は
理解し辛いのではないでしょうか?

この働きが何故必要か?と言いますと、
一夫多妻制の哺乳類の雄は自らの遺伝子を残す為に
前のリーダーの子を皆殺しにするという現象が、しばしば見られる様です。

正に「利己的な遺伝子」ですね。

一方、
雌の方もその新しい雄が我が子を皆殺しにするのを止めるでもなく、
逆にそれをきっかけに発情して交尾する、という事だそうです。

当然雌の方も「より強い遺伝子を残したい」と、そうしてしまうのでしょう。


そして前の雄の子を殺して交尾した雄は
(子育て行動を促進する)「内側視索前野」が活性化され、

そこから伸びてるGABA作動性の抑制性ニューロンを通じて、
(子の攻撃行動を促進する)「分界条床核菱形部」の働きが抑制される
という事です。


つまり、
人間の男性も女性も同様に、「子を攻撃する」というのが脳のデフォルトで、
「子育て行動を促進する」というスイッチが入って初めて
その攻撃性が抑えられる、と考えられます。


思うに男性(雄)は、自らの遺伝子を残す為に他の遺伝子を排除し、

一方、雌の方も
「自らの遺伝子が残り続ける確率」を最大限に高める為に、
”より強い遺伝子”を求めて、それ以外の遺伝子は排除しようとする
のは当然だと思います。


ですから、

脳の器質的な問題や心理的・環境的な要因で、
その抑制作用がうまく働かない場合は
「子を虐待してしまう」というのもうなずけます。

なんせ、「子を攻撃する」というのが脳のデフォルトですから。


それでは、どうすれば子供への虐待を止められるのでしょうか?

そのヒントを次回からお書きしてゆきたいと思います。


<次回へ続く>



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2020/11/2 (月)

何故子供を虐待してしまうのか?③

<前回からの続き>


  
前回、子供を虐待してしまう原因として考えられる2つの要因

即ち

①子育ては本能的行動ではない


人間や(一夫一婦制の子育て行動をする)哺乳類の脳には
 「子育て行動を促進する部分」に加えて
 「子への攻撃行動を促進する部分」がある

という事が挙げられるとお書きしました。

今回は、そのうちの「①」について詳しくお書きしたいと思います。

①子育ては本能的行動ではない


→どんな生物でも、個=自分が生き延びて生殖し遺伝子をコピーし、
 種=自分達(の遺伝子)が存続してゆくという方向性が
 遺伝子の中に組み込まれていると思います。

 ですから、
 生きる為に必要な食欲や睡眠欲、そして生殖に必要な性欲等の基本的欲求
 が生じる訳です。
 
 そして、
 とりわけ哺乳類、中でも人間の様に大脳皮質が極端に進化?した種は
 他の種に比べて恐ろしく未熟なまま生まれてきます。

 それ故、
 子供の親にも「子供を育てたい」という「子育てへの欲求」
 が組み込まれています。

 ところが、
 この「本能的欲求」は最初から充分には機能しないものです。

 例えば、
 赤ちゃんは「食べたい」という本能的な欲求を持っていますが、
 最初からうまく食べられるでしょうか?

 ミルクをこぼしたり、むせて吐いたり、
 少し大きくなっても、食べさせてあげたり、
 さらに、スプーンやお箸がうまく使えなかったり・・・

 つまり本能的な欲求であっても最初からうまくはできない

 できるようになる為には訓練や試行錯誤等の経験が必要になるという事です。
 
 同様に
 「子を育てたい」という本能的な欲求があっても、
 それは「本能的にできる行動」ではありませんので、
 最初からうまく行かないのが当然です。

 なのに、
 お母さん方は
 「あ~・・・うまくしつけられない。いう事聞いてくれない・・・。
  私って母親としてダメなんじゃないか?」

 等と自分を責めたり、

 「も~!!何でできないの?!!何回言わしたらわかるのよ?!!」
 等とイライラしたりしてストレスが溜まっちゃう訳です。
 
 そして、
 特に親の性格特性として完璧主義であったり、
 元々、相手が自分の思い通りにならないとイライラする傾向が強い人
 の場合はそのストレスが極限まで達してしまう事も考えられます。

 更に、
 親自身が育った原家族の中で虐待的な事が行われていた等の理由で、
 養育的なモデルとなる親が存在しなかった場合
 特に「どうしたらいいかわからない」となってよりストレスが溜まる
 でしょう。

 加えて、
 親自身の性格傾向が、ストレスを外に表出してしまう事が多い場合は 
 虐待に繋がってゆく可能性も高まると思います。

<次回へ続く>



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