コラム/2012-09-24
うつ病の原因と発生のメカニズムと解決法(②解決方法)
今回も前回に引き続き「うつ病」(と呼ばれてる状態)に苦しまれてる方へ
カウンセラーの私からの解決へのヒントをお伝えします。
※以下は仮説・私見を交えた解釈の部分もありますのでご容赦下さい。
★<うつ病の解決方法>
①(主に)幼児期に形成された自分の”信念”を修正する
⇒フロイトが創始した「精神分析」はその信念の元となるトラウマに的を絞り
”無意識”(=その神経回路)から表出させ、解釈や操作といった「理屈で納得
させる」治療です。
また、TAゲシュタルト療法の「再決断療法」や「インナーチャイルドヒーリング」は「トラウマ
と信念」のどちらにも介入でき、イメージや催眠暗示で修正していきます。
認知(行動)療法の「スキーマの修正」は「信念」に的を絞り、「理屈」で
修正を図ります。
という感じでこの部分に的を絞った治療法は沢山あります。
そしてこれが一番根本的な解決法に思えますが、
注意しないといけない事は、
(1)”トラウマ体験”が見当たらなかったり、”信念”を特定できない 、
或いは間違って特定してしまう可能性があります。
⇒例えば、トラウマに繋がる出来事がなくても(家族内で)繰り返される
”コミュニケーションのパターン”でも”信念”は形成されます。
また、どの信念が現状に悪影響を与えているかを見誤る場合もあるでしょう。
(2)仮に、うつをもたらしている”トラウマ”や”信念”に正しく修正が
加えられたとしてもその神経回路がなくなるわけではありません。
(働きが弱まる)ですから大切な事はその”信念の神経回路”に対抗できる
”別の神経回路”の強化をし続ける必要があります。
※上記いずれの療法も、後述する「④」の”別の神経回路”にアクセスする様に
「修正、操作、ビリーフチェンジ、アファメーション」させている訳ですが、
”別の神経回路”の働きが強くなるまで繰り返し行う必要があります。
さらに、かのミルトン・エリクソンが「殆どの症状はパターンの残骸である」
と言ったように、個人のパターンは勿論、「家族」や「職場」等の”システム”
の中で、繰り返されるコミュニケーションパターンによって、(弱まったとは言え
その神経回路は残ってるので)その症状が”復活”してくる可能性もあります。
(※たまにありませんか? カウンセリングやヒーリングを受けて「あ~癒された!」
と思ったのに日常生活に戻ると元に戻ってしまう事って!)
(3)その信念は一方では自分の大きな長所である事も多いし、殆どの人”信念”
に基づいて生きてますので、「修正」には注意して臨む必要があります。
②”誘因”が生じないようにする
=例えば仕事を変える、環境を変える、家族内(職場内、自分自身との)の
コミュニケーション のパターンを変える等
⇒特に現代の家族療法(ヘイリーやMRIやミラノ派の諸氏、ミニューチン等)
では「コミュニケーションのパターン」を変える方法に的を絞り、同時に新しい
パターンが維持される事で後述「④」の”別の神経回路”の強化を狙っています。
③”誘因”が生じても”信念の神経回路”にアクセスしないようにする
⇒これは無理です!(笑)。
(もしも無理して”アクセスの遮断”を試み続けると、その回路の部分を切 り離そう
とするわけですから、離人症的になったり解離性(同一性)障害と呼ばれる状態に
陥る事もあります
④”誘因”が生じて”信念の神経回路”にアクセスしても、同時にそれを
和らげたり、意味づけを変える「別の」”神経回路”が働くように仕向ける
⇒NLP、フォーカシング、認知行動療法、ブリーフセラピー、ゲシュタルト療法等
はその”別の回路”を発火させる為に、イメージを使うか、思考と行動の変容を
使うか、質問と介入によって別の神経回路に直接焦点を当てるか、パートの統合
を行って別の神経回路と結びつけるか、等の違いはあってもこの部分に的を絞って
いる学派・療法は多いです。
⑤不足しているセロトニン・ノルアドレナリンを増やす、
伝達或いは伝達を促す
⇒自分で伝達物質(特にセロトニン)を増やすには、まず”オーバーヒート”
してる神経回路の回復の為に十分な休養が第一です。
更に「(朝の)日の光を浴びる」、「リズム運動(呼吸・ウオーキング・
食事の時によく噛む等)」、「笑う(泣く)」、「楽しい事をする」等が
セロトニンを増やす効果があると言われてます。
また薬物療法で代表的な抗うつ薬(SSRI、SNRI等)は要するに不足して
しまったセロトニンやノルアドレナリンを増やすのではなく、神経回路がダメージ
を受けた為に「再取り込されて伝達できなくなってる」から「再取り込を妨害
して伝達量を増やす」為の薬です。
ですので勿論、効果はあるし否定するつもりもないがただ一つ注意しないといけ
ないのは、「こういう心理的・生理的な悪循環を作り出したのは、自分の”脳神経
回路の一部分”であるので、当然”別の神経回路”を使えばそれを解決する力
をあなたは既に持っている」という事です。
そして特に「自分には力がない」という”間違った信念”を元々持っている人や
”悪循環”の中で「自分には解決する力が無い」と勘違いしてしまっている人
には「うつ病です」というレッテルや「薬で治療する」という事自体が「”あなた
には解決する力が無いです。 だから医者や薬でないと治せない”」という事を
意味付けるメタ ファー(暗喩)になる恐れがあるので、注意が必要です。
(※状態が酷ければ、薬が必要な時もあります。ただ、薬を飲む人は”自分で解決する力
が出てくるまで、一時的に薬をのもう。そして力が徐々に出てくればお医者さんに
言って、薬も徐々に減らしてもらおう”という気持ちが大切です。」
そしてお医者さんの方も その人が”自分で治す力”を既に持っている、という事
をどうか信じてあげて伝えて下さい。
いずれにしても我々対人援助職としては、その人自身に解決する力 がある事を信じ
そしてそれをその人に如何に信じてもらうか?という事の為に”その人の力で達成
できた事”や”その人の力が現れた瞬間”に常にフォーカスして、それを伝え続け
新しい”別の神経回路”の生成に力を貸す事であって「決して我々が治療する
わけではない」事を意識し続けないといけないと思います。
そしてご本人も周囲のご家族の方なども”意志の力”で何とかしよう としたらダメ
です。(※意志の力=「こんな弱い自分こんなダメな自分を何とかしなきゃ」と
”弱い・ダメな自分”つまり、うつを発生させてる”信念の神経回路”にフォーカス
し続け増々それを強化してしまう)
さらに”その人を励ましてもダメです。(※励ます=「今のあなたはそれができて
いないからそれをやりなさい」という、”今のその人の現状を否定”する事になり
”今、それができていない自分”を責めて益々悪循環に陥る)
そうではなく「今、そんな状態でもできてる事」、「達成した事」、「(自分の力で)
マシな状態を作った瞬間」、「仮に”うつ”が治ったら、今はできないどんな事
をしてるだろうか?、その中で今できる事は何かな?」という事にに常に目を向ける
或いは目を向けさせる事が大事な事です。
つまり「あなたは既に”力”を持っているよ」、「私は既に”力”を持っているんだ」
とメッセージを伝え続ける事です。
そうすれば必ず新しい”別の神経回路”を作り上げる事ができるはずです。
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