コラム/2013-07-15
カウンセリングに対する疑問③否定されたら嫌、依存したら嫌
カウンセラーとして細心の注意を払うべき部分は、
①お客様を否定したり傷つけない
②無意識の抵抗が極力生じない様にする
③依存させない様にするという事
だと思うと前回書きました。
①お客様を否定しない、傷つけない
→人は否定されたら動けなくなるか反発しますので”変化”は生じなくなるでしょう。
(増して、傷ついた人をより傷つけてしまう事は、あってはならない事です)
(例)生徒「先生、私は教室に入ろうとしてもクラスのみんなの視線が恐くて
入れないんです。どうしたらいいですか?」
先生「そんなの気にする必要ないよ。もっと強くなりなさい」
→この場合は、「お前は弱いからダメなんだ!」という生徒を否定する意味が
含まれてます。それを読み取った生徒は、否定されたと思い傷つくか、
”弱い”自分を増々責める事もあるでしょう。
もしカウンセラーなら「教室に入る時は恐い思いをしてたんだね。でも、
昨日まではず~っと頑張って毎日入ってたんだよね。よく頑張って来たね。
そして、よく勇気を持って先生に相談してくれたね。
恐いけど、教室に入れる様にしたいんだね?じゃあ、どうしたら教室に
入れる様になるかを一緒に考えて行こうか」と話をするかも知れません。
そして、その対応策として「こうしてみたらどうなるかな?」という生徒の意見
や自分の意見を沢山出してみて、「この中で何が効果ありそう?」「じゃあ、
それを試してみる?どうする?」等と”押し付けないアドバイス”をするかも
知れません。
②無意識の抵抗が生じない様にする
→「カウンセラーの助言が頭ではわかっていても、それをする事ができない」
というのは、無意識の抵抗があるからと考えられますし、そうなると当然
変化も生じないでしょう。
(例)母親「娘の過食が止まらないんです。それに最近部屋に引き籠ってしまって
会話も無いんです」
アドバイザー「娘さんは愛情に飢えてるんです。だからお母さん、もっと
愛情を与えてあげて下さい。今度娘さんと二人で旅行でもしてできるだけ
一緒の時間を作って下さい」
→この場合も、母親に対して「あなたの愛情の与え方は不十分ですよ」と否定
してる訳です。ですから母親は傷つくでしょうし、仮に「ごもっとも」と思っても
「会話もないのに、いきなり旅行なんて・・・」という母親の無意識の抵抗から
アドバイスが失敗に終わる可能性も少なくはないでしょう。
また、仮に母親がいきなり娘の部屋に入って「もっと話をしよう。そうだ、今度旅行
でも行かない?」と伝えたら「なんなのよ。お母さんは昨日まで私を避けてた
クセに・・・」と今度は娘の抵抗が生じるかも知れません。
もしカウンセラーなら、状況を聞き母親のゴールを聞いて、「娘の過食を
止めたい」がゴールであれば、「娘さんが”食べ過ぎ”に襲われなかった日は
いつでしたか?・・・」等と”例外”を聞いて行き、”例外”が起きた時の
娘さんの行動や母娘の関わり方の違いを聞き、意図的に例外を増やしてゆく介入
をしてゆくかも知れません。
また逆に母娘や家族の中での「過食を維持しているコミュにケーションのパターン」
を崩す為の介入をし、指示を与える時も「~して下さい」ではなく
「~するのはどうですか?」とか「~する事もできます」等と、
極力無意識の抵抗に引っ掛からない様な伝え方をするかも知れません。
更に母親が課題を実行した時の娘の無意識の抵抗にも配慮して
「もし、〇〇をなさったとしたら、娘さんはどう感じると思います?
どうすると思います?」等と予め想像して頂く事もあるでしょう。
③依存させない様にする
→「押し付け型」や「決めつけ型」のアドバイスでもう一つ注意しないといけない事は
「アドバイザーやカウンセラーに依存してしまう」という危険性です。
仮にそういったアドバイスを実行してうまく行った場合は「やはり私の力では
解決できない。先生の言う事に従っていれば間違いはない」と考え
「自分は無力」で「先生は絶対」という考え方が強化されてゆき、
自分で解決する力がどんどん奪われてゆき、増々先生に依存してしまいます。
(※特に依存傾向が強い人は要注意です)
ですからカウンセラーとしては、絶対に依存させない様にし、
お客様が「私の中にある力で解決したんだ」という事を理解・納得して頂ける
ような援助や伝え方をすべきだと思います。
勿論、一口に「カウンセラー」と言っても千差万別ですし、素晴らしいアドバイザーの人もいらっしゃるはずです。
ただ、我々の様な心を扱う対人援助職は、念には念を入れて細心の注意を
払い続ける義務があると思います。(自戒の念も込めて!)
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