コラム/2014-03-03
怒り等の感情をコントロールする
基本的に感情は「自分の中の赤の他人」ですので、コントロールできないもの、
してはいけないものです。
何故ならば感情を抑え込もうとしたり、コントロールしようとすると、
それを抑え込む為の(フロイトが言ってる様な)防衛機制的な思考が働き、
二次的な感情が生まれ、話はより複雑になると思うからです。
でも「怒りっぽい”性格”を直したい」とか「一度怒り出すと止まらないのを
何とかしたい」という事を悩んでおられる人もいると思います。
でも、意識(思考)で感情を制御する事には限界があります。
では、どうすればいいのか?
それは、まず怒り等の感情を認めてあげて思い切り感じてあげる事から始まる
と思います。
怒りでも憎しみでも恐怖でも不安でも一旦受容しない限りは変容は起こりません。
そして受容する為にはまずフォーカシングやゲシュタルト療法のエンプティー・チェア
等を用いて、「感情との対話」を行って行きます。(詳細は省略します)
次にそれらの感情を二次的に(防衛機制的に)もたらしたその後ろに隠れている感情
を感じる事ができれば、感情は変容してゆくでしょう。
更に、”発見した”隠れていた感情を基に思考によって意味づけを行い、
自らの”語り”や”人生のストーリー”を変えて行く事ができれば、
現実も変えて行く事ができるでしょう。
(例)常に夫にイライラしてしまい、そんな自分には価値がないという
自責の念に襲われている妻
①今ある”怒り”にフォーカシングして感じる(感情の受容)
②その感覚を感じていると、幼い頃に厳しくされた母親の事が思い出された。
(感情の歴史)
③エンプティー・チェアで母親に怒りを表出する(感情の表出=カタルシス)
④「本当はもっと愛して欲しかった。淋しかった」という感情が出て来て、
それをフォーカシングで感じる(感情の変容)
⑤それをエンプティー・チェアで母親にぶつける(感情の表出)
⑥でも、母親には我が子を愛する力がなかった。そしてその事は
「自分には愛される価値がない」からではない。(思考による再定義=気づき)
⑦「私の母は愛する力を持っていなかった。恐らく母も私と同じ様に祖母からも
愛情を受けて来なかったからかも知れない。だから私が愛されるに値しない訳では
ない。母も可哀想な気がするが、そんな中でも私は頑張って娘の子育てをしている。
私は”負の世代間連鎖”を断ち切る為にも娘に愛情を注いで行こう。」
(”語り”の変化)
これはあくまでも例ですが、感情の表出だけで終わらない事、
感情を扱った上で思考の再定義を図る事、等が僕は大切だと考えています。
僕のこういった心理療法のスタイルは師匠の矢野惣一先生のスタイルに
負う所が大きいのですが、ヨーク大学のグリーンバーグ教授が確立なさった
スタイルに驚くほど似ている事に最近気が付きびっくりしています。
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