コラム/2014-07-12
カウンセリング・心理療法・薬物療法の違い
今回は「カウンセリング」と「心理療法」、「薬物療法」の違いを、
「心の自然治癒力」というものに的を絞って私見を交えてお書きしたいと思います。
例えば、風邪をひいたり怪我をした場合・・・。
市販の薬やお医者さんでお薬をもらったり手当をしてもらいますよね?
でも、薬や手当が風邪や傷を治すというよりも、身体の免疫力や再生力という
「自然治癒力」が働いて治している訳です。
つまり、手当や薬で症状や痛みを取り除いておいて
後は身体の自然治癒力に任せてしまう訳です。
僕は身体と同様に「心」にも「自然治癒力」があると考えています。
ただ、うつっぽさやパニックや不安・恐怖、強迫等の症状があると、
自然治癒力の発動が妨げられてしまう。
そういった場合は、まず症状を抑える為に精神科なり心療内科で診断してもらい
症状を抑える薬をもらう訳です。
ただ、そうした「薬物療法」では「心の自然治癒力」には
直接は働きかけませんので、あとはその人の「自然治癒力」が強いか弱いか?次第
になってくると思います。
(※もっとも、医者に行った安心感や薬のプラシーボ効果で自然治癒力が高まる
場合もあると思いますが)
では「心の自然治癒力」を直接高める方法はないのでしょうか?
まずご自分でできる事としては、楽しい事をして気分転換を図る、
ゆっくり休養する、胸の内を誰かに話をする、或いは思い切って離職や転職、
転居等環境を変える等があるでしょう。
そしてそれでも「心の自然治癒力」が中々高まって来ないのであれば、
「カウンセリング」や「心理療法(セラピー)」を受けるという選択肢もあります。
まず「カウンセリング」は、主に対話によってその人が抱えている問題解決を
図っていきます。
特に、大御所のロジャーズという人の影響が大きいのでクライアント(お客さん)
の話を受容・共感的に傾聴し、「安心できる場」と「自分の話を受け止め、
共感してくれる相手(カウンセラー)がいる」という事で
お客さんの心に気付きや変化が生じ、「心の自然治癒力」が自動的に高まる、
という事を狙っていると言えるでしょう。
ところが、実際に何らかの症状で苦しんでいて、
それをまず何とかしないと「自然治癒力」が発動できない場合や
心の「自然治癒力」があまりにも低下している場合は
「話を聴いてるだけで何も変わらなかった」という文句でも言いたい気持ち
になられると思います。
そういった場合は、前者の症状消失がまず目的であれば医者に行って
薬で症状を抑えて、平行的にカウンセリングを受けられる事もいいと思います。
ただ、薬でも症状が抑えられない場合や、
後者の「心の自然治癒力」があまりにも低下している場合の選択肢として
「心理療法」が挙げられます。
「心理療法」というのは、「広義のカウンセリング」の中に含まれるもの
ですので、勿論そのベースには「受容・共感的な傾聴」があります。
ただ、傾聴を主体とする「狭義のカウンセリング」との違いとしては、
症状の消失から「心の自然治癒力」の強化に至るまで様々な技法やアプローチ
を用いて、積極的にセラピスト側からお客さんに働きかけていく、
といった点が異なると思います。
つまり「心の自然治癒力」の面から見ると、
「薬物療法」=「心の自然治癒力」はその人任せ
「(狭義の)カウンセリング」=「心の自然治癒力」を消極的に高める
「心理療法」=「心の自然治癒力」を積極的に高める
(※荒っぽい分類ですみません(笑))
ですから「心理療法」での症状消失や問題解決は本来
「狭義のカウンセリング」よりも速やかに図れると考えています。
但しその分「諸刃の剣」ではありませんが、我々セラピストは
お客さんに合わせて細心の注意を払う必要があると思いますし、
お客さん側としては「薬物療法」、「カウンセリング」、「心理療法」の中から
ご自分の状態に合った選択をされ、信頼できる医者やカウンセラー、セラピスト
をじっくりと探してみる事をお勧めします。
(但し、「統合失調症」「双極性障害」「非定型精神病」等の所謂、精神病圏の方は
まず精神科での薬物治療からスタートされる事が必要だと思います)
※因みに僕は「カウンセリング(コーチングも含む)」と「心理療法」で
「心の自然治癒力」を高めるお手伝いはできますが、「薬物療法」はできま せん。
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