コラム/2015-12-05
心理療法に於ける喪失と再生
子供時代に求めても親から得られなかったもの。
或いは、他者に求め続けても得られなかったもの。
もはや得られる事ができないものを「いつかは得られる筈だ」と求め続ける事
が執着であり、それが苦しみになる。
執着を絶ち切る事は「諦める」事であり、非常に辛い。
だから執着を手放せない。
執着を手放す事=諦める事は、深い喪失感を伴う。
だから愛する人と死別した時に行う「喪の作業」(グリーフワーク)と
同じ過程が必要になる。
そしてその作業が終われば、今度は自分を再生して行く事が必要だ。
つまり、他者に求めていたものを自分から得る様に方向付けを
しなければいけない。
ところが自分自身から得るには、今はまだ自分が脆弱過ぎると感じる
のであれば、自分を勇気づけて強くしてあげる必要がある(自我強化)。
そして、幼き頃の脆弱な自分を育める程自我が強くなってこそ、
初めてインナーチャイルドを癒す事ができるだろう。
インナーチャイルドヒーリング等は、幼き我が子の弱さも拙さも苦しみも
悲しみも「ありのまま」を受け入れる程強くなった自分を自覚する事で、
他者に求めていたものを自分から得られる様にする為の第一歩を担う、
といった、その過程の中でこそ活かされるものであり、
それ以上でもそれ以下でもないと思う。
つまり、生まれたばかりの赤ちゃんを母親としての自覚が何とかできた時に
受け入れてあげる過程みたいなものだ。
そして、そこから育児(再生)の道はスタートする。
母親は育児によってより自信がつき、強くなり、
子供もたっぷりの愛情を受けて健やかに育つ。
母子ともに成長してゆく事だろう。
こういった喪の作業や自我強化、再生の各過程に寄り添い、
後は時として母親を勇気づけしながら、母親の子への愛情を信じて母親に託す、
というのがある意味セラピストの仕事なのかも知れない。
(勿論、これはある種のクライアントさんに対してだけ当てはまる方法
だとは思いますが・・・)
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