コラム/2016-02-01
社会不安障害(対人恐怖)のメカニズム
周囲の人の視線が気になり強い緊張に襲われ、動悸が激しくなったり、
顔が引きつったり、赤面したり汗が多量に出たり、手足の震えが来たり、
声が出なくなったり・・・・。
そんな状態に悩んでおられる人も多いです。
では、何故そんな苦痛に襲われてしまったのでしょうか?
その理由を一言で言うと
「相手に自分を明け渡してしまった」からだと言えると思います。
どういう事かというと、
「この人は私の事どう思ってるのかな?」
「この人は私の事を変だと思ってないかな?」
「この人は僕が緊張してるのを気づいてるのではないだろうか?」
「この人はこんな僕の事を嫌うんじゃないだろうか?」
等と、
まず自分の頭(思考)を相手に明け渡してしまい
「相手」⇒「自分」という思考パターン、
つまり「相手が自分を評価して、裁く」というパターンが出来上がります。
そして「相手が自分を評価し、裁く」訳ですから
次に自分の眼や耳を相手に明け渡す様になります。
即ち、相手の目線で自分の表情や様子のアラを探し、
相手の耳で自分の発話のアラを探し始めます。
この時点では、もう自分の頭や眼や耳を失ってしまっている状態です。
まるで、面接に行って怖そうな面接官に自分の態度や服装、表情や発話等
何から何まで厳しくチェックされている状態の様に感じるでしょう。
つまり、自分が面接官側に廻り「どれどれ、ダメ出ししてやろう!」と
自分を評価してゆく訳です。
面接官(評価する側)は緊張しませんが、面接(評価)される側は当然緊張します。
(※別の言い方をすると、
”相手の眼や耳を通して、自分にだけ関心が集中しちゃってる状態”
とも言えます)
では何故そんな事になってしまったのでしょうか?
それは、(多くの場合は子供時代に)「劣等感」が植え付けられ、
「本当の自分=ダメな自分」を知られてしまったらきっと嫌われるに違いない
といった思考パターンが形成されたからだと思います。
そうなると
「私の事どう思われてるかなあ?」「僕のダメな所を見抜かれてないかなあ?」
等と、常にビクビクとしながら相手に自分を明け渡す様になってゆきます。
そして、無意識はその劣等感を強化する為に増々相手側に立って、
自分の劣っている所を探し始めます。
こうして、自分を増々評価する様になり劣等感が増々強化されてゆき
恐怖や緊張も増々強まっていくでしょう。
勿論、中には劣等感への反動(形成)で努力し自信を付け、
社会的な地位を得る人もいるでしょう。
でも根っこの劣等感が拭えずに、ふとしたきっかけで
また相手に自分を明け渡してしまう人もいると思います。
(※自分の中に決して「認められない劣ってる自分」を抱えてしまってると、
いつそれがバレルか?と常にビクビクしてしまっていますから)
それでは、そんなお悩みを抱えた人はどうすればいいのでしょうか?
その方法として、
①必要以上の劣等感を拭い去る
②先の思考パターンを変える
③(相手に明け渡した)自分を取り戻す
等があります。
ここでは「③」の「自分を取り戻す」為の簡単なヒント
のみをお書きしたいと思います。
「自分を取り戻す」為には、他人と関わる場面でまず自分の方に意識を向けて
「私はこの人をどう思ってるか?」「私はこの人が好きか嫌いか?」
「僕は今、この人と接して何を思っているか? どんな気持ちか?」等と
「僕(私)は・・・」という自問をするように心がけて自分の思考を取り戻します。
次に、相手を自分の眼で見て、自分の耳で感じる様に意識し、
こちらが「評価する側」に立って、自分の目と耳を取り戻してゆく事
が大切だと思います。
※もしこれ以上のヒントが欲しい場合や、他の方法もお知りになりたい場合は
お気軽にご相談下さい。
コメント