コラム/2020-12-09
どうすれば恐怖/不安を克服できるのか⑤
<前回からの続き>
今回は、
「恐怖/不安を克服する為の4つのポイント」のうちの
③「予測誤差」を小さくしてゆく
について詳しくお書きしたいと思います。
以前お書きした様に「予測誤差」を小さくしてゆけば、
扁桃体の過興奮が収まってゆく=恐怖/不安やそれによる反応が減少してゆく
と考えられます。
例えば「電車に乗るとパニック発作が起きるので怖くて乗れない」
といった「広場恐怖症」(パニック障害)の方は、
「②」のスモールステップの原則に基づいて訓練してゆく時に、
(1)予め予測を立て、それをメモに書き込んでゆく
→例:「電車に乗って〇秒後に"恐怖"が襲ってきて、その〇秒後に
頭がくらくらしてきて、〇秒後に胸がドキドキしてきて、
心拍数(や脈拍)が恐らく100を越え、
同時に呼吸が20回を超えるだろう・・・」等々
(2)実際に電車に乗った時に、その”予測”と照らし合わせながら、
時間を計り、心拍数(脈拍)や呼吸数等を正確に測り、
それをその都度細かくメモしてゆきます。
(かなり忙しい作業になるでしょう)
(3)そして”訓練”が終わる度に事前の予測とメモを照合し誤差を修正し、
”新しい予測”を書き直します。
(4)そうして修正した新しい予測を持って次の訓練をし、
同様に実際の数値をメモし、電車から降りたら予測と照合し、
誤差を修正してゆく、といった事を繰り返してゆき、
最終的には誤差がなくなる事を目標にします。
また例えば、
「何かに触れる度に何度も手を洗わないといけない」
といった「強迫性障害」(不潔恐怖症)に襲われている方は
(1)(手洗いを3回までで我慢したら)どうなってゆくか?
の予測メモを作っておきましょう。
例:我慢して〇秒後にとても嫌な気持ちが出てくるだろう。
そしてその嫌な気持ちは100のうちの90くらいの強さのまま
〇分くらいは続くだろう。そうして耐えられなくなって〇分後には
また手を洗いたいという気持ちが100のうち95くらいの強さで
襲ってくるだろう・・・。
(2)実際に我慢した時にメモと時計を片手に時間を計りながら、
嫌な気持ちや手を洗いたい気持ちの強さを変化がある度に
メモしてゆきましょう。
(3)そして”訓練”が終わる度に事前の予測とメモを照合し誤差を修正し、
”新しい予測”を書き直します。
(4)そうして修正した新しい予測を持って次の訓練をし、同様に実際の数値を
メモし予測と照合し、誤差を修正してゆく、といった事を繰り返してゆき、
最終的には誤差がなくなる事を目標にします。
それでは次回と次々回は、
「恐怖/不安を克服する為の4つのポイント」の4つ目の
④前頭前皮質(前頭前野)の活用についてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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