コラム/2021-01-25
HSPの辛い反応パターンを変える②
<前回からの続き>
今回も引き続きHSPの人が陥りやすい、「ネガティブな感情」を
相手や自分ににもたらしてしまう自身の内面(無意識)での
「ネガティブ処理のパターン」を変えてゆくヒントをお書きしたいと思います。
前回お約束しました通り、
HSPの方が無意識下(扁桃体等の大脳辺縁系)で行っている
と思われる典型的な処理パターンをもう少し詳しく見てゆきたいと思います。
①感度の鋭さ(S)によって、相手の表情や声・態度等のいつもと違う
”微妙な違い”を読み取る
→ある研究では、「新奇な事柄に出合うと扁桃体が興奮する」
(脳幹にある青斑核ニューロンから扁桃体にノルアドレナリンが
放出される為)という事がわかってきました。
ですから初対面の人や初めての場所、やった事のない事をする時など、
ドキドキしたりワクワクしたりする訳です。
そして、HSPの人はそのいつもとの違い(新奇)に対する感度が
凄く鋭い(S)訳です。
但し、リサ・フェルドマン・バレット博士の「構成主義的情動理論」
を基にすると「情動(感情)は概念や言葉を介して社会的に作られる」、
つまり後から感情が作られるという事です。
だとすれば、この段階では単に「扁桃体が興奮している」だけで、
その後の(無意識下での)処理によって感情が作られてゆくと考えられます。
②過去の記憶ファルダーの中から特定のファイルを参照し、
深く考えて意味づけをしてゆく、といった深い処理(D)を行う
→ここでは、扁桃体経由で記憶されている「感情フォルダー」を参照し続け、
扁桃体の興奮の意味づけが行われていると考えられます。
例えば前述のAさんの例では、「相手の感情フォルダー」の中の
「お母さんがこの様な表情や声をした以前の記憶」を次々と思い出し、
「お母さんは怒っているんだ」と意味づけし、
「相手の感情フォルダー」の中の「怒りファイル」を参照し、
そのファイルを更に処理し、「私のせいでお母さんが怒っている」
といった小ファイルを選び、「私の何がお母さんを怒らせたのだろうか?」
といった、意味づけを求める深い処理(D)を行い続けている訳です。
そして、そのファイルの中に
「あの時は理不尽に怒られた・・・」
「あの時は妹も悪かったのに私だけ怒られた」等の
感情を伴う記憶が入っていると扁桃体が益々興奮してゆく訳です。
③それにより扁桃体が過剰に興奮し、神経が高ぶる(O)
→この扁桃体の興奮に意味づけする為の深い処理(D)は続き、
「自分の感情フォルダー」の「悲しみ」や「怒り」フォルダーを開け、
「この興奮は、あの時感じた感情と同じ、つまり”怒りだ”とか”悲しみだ”」
と興奮に(感情の)意味づけをしてゆきます。
そうなると意味づけと参照したファイルの記憶も合わさり、
益々神経が高ぶってくるでしょう。
※怒りが止まらない人の中で、過去の事を次から次へと持ち出してきて
怒り続ける人がいますが、その人はまさにこの様な処理を行っている
と考えられます
④参照したファイル特有の強い感情反応が生じる(E)
→そうして過剰な興奮によるストレスを解消する為に
意味づけした感情を表出(爆発)させてしまうのだと考えられます。
それでは次回は、
いよいよHSPの人が陥りやすい、「ネガティブな感情」を相手や自分に
もたらしてしまう、自身の内面(無意識)での
「ネガティブ処理のパターン」を変えてゆく方法をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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