コラム/2021-02-24
HSPの人が不安障害に対処するヒント
<前回からの続き>
前回お書きした様な不安症状が、HSPの人の気質と関係している
と思われる場合は、それに対処してゆく必要があります。
以下にそのヒントをお書きしたいと思います。
※以前のコラムでご紹介した方法については
詳細は省略させて頂きますので、ご了承下さい。
<HSPの人の不安障害に対処するヒント>
①悪循環パターンを断ち切る
不安障害は、
A「刺激」
B「過去の記憶が詰まったファイルを参照してゆく」
C「それについて深く意味づけをしてゆき結論に達する」
D「その結論が刺激となって扁桃体が興奮する」
E「その興奮に対して参照したファイル特有の感情(このファイルの場合は
不安や恐怖)をラベリングしてゆく」
F「その刺激過多による興奮を鎮める為に回避行動を行う(前回の例では、
ミスをしない様に何度もチェックしたり緊張しない様にしたり、
会議や電車に乗る事を避けたり、誰かに危害を加えていないか?を何度も
確認したり、検査を受けまくったり、彼に何通もLINEを送りつ続けたり)」
G「回避行動による一瞬の安心を求める傾向が強くなり、
回避行動がエスカレートしてゆき(=馴化)回避行動への依存が形成
されてゆく」
H「回避行動が増えれば増える程、不安・恐怖が強くなる」
I「そして安心やワクワクを感じる事ができる時間がどんどん削られてゆき、
刺激過多や強い感情反応が制御不能となってしまう」
というパターンが存在すると思われます。
もしそうだとすれば、「A」~「I」のいずれかのパターンを変える事
が有効だと思います。
以下「A」~「I」のパターンの変え方について簡単にお書きしたいと思います。
(詳しくは以前のコラムをお読み頂くか、カウンセリングを受けられる事 も
ご検討されてみても良いかと思います)
A「刺激」を変える:会議や電車を避けたり、会社を辞めたり彼と別れたり・・・
或いは予期不安が先行刺激となる場合は、考えない状況を作ってゆく、等。
但しこれは回避行動にあたり、根本的な解決には繋がりにくいと思います。
B「参照するファイルを変える」:(以前のコラムにお書きしています)
C「意味づけや結論を変える」:(これもお書きしていると思います)
E「感情のラベリングを変える」:例えば「会議でうまく喋れて皆に賞賛
されたとすればどんな気持ちになるだろう・・・そんな場面って
今までにはどんな場面があっただろうか?」等と自問し、
「皆の注目を浴びて賞賛され、喜びで満ちた場面のファイル」
を作ってゆきます。
そして会議の事を考えて扁桃体が興奮する度にその新しいファイルを参照し、
「あ~皆に賞賛されたら喜びで天に上るくらい興奮するよなあ。
この興奮は天に上る喜びを期待してのワクワク感だ!」
と感情のラベリングを変える事ができるかも知れません。
F「回避行動をやめてゆく」:(これも以前のコラムにお書きしています)
I「刺激を遮断し安心を感じられる時間と
自分の望む刺激を得られるワクワクする時間を増やしてゆく」
(その為には以前お書きした要領で時間を構造化し、不安を感じる時間と
安心・ワクワクする時間をスケジュールに組み込んでゆく)
※一般的な抗不安薬はセロトニンを増やす作用がありますが、
不安に効果があるタンドスピロン等は逆にセロトニンを減らす作用
があります。
何故心を安定させる筈のセロトニンを減らすと不安が減るのか?
私見ですが、セロトニンを減らす事でドーパミンが増え、
それによって不安が減る、即ち不安に対してドーパミンを増やす事
が必要な場合もある(社交不安等はそう考えられています)と言える
と思います。
(そして恐らく、うつに対しても・・・)
ノルアドレナリンの再取り込みを防いで、神経回路上の流量を増やす薬も
ドーパミンがノルアドレナリンの材料になってる訳ですから、
ドーパミンをきっちり増やす必要があるでしょう。
ですから、やたらめったらセロトニンやノルアドレナリンを増やせばいい
訳じゃあない(笑)、と思います。要はバランスが大事だと思います。
そういった意味でも、特にHSPの人はセロトニンとドーパミンを増やす
時間をきっちりと確保し、しかもそれらのバランスを取る必要がある
と思います。
②愛着の修復・再形成を行う
→愛着が形成されていない為に不安を感じやすいHSPの人は多いと思います。
その場合は、特定の人(恋人や配偶者、親友、師、医師・カウンセラー等との
「1対1」の愛着形成から始めてゆくのが良いと思います。
※詳しくは今後「愛着障害」の項に書いてゆくつもりです。
次回は、HSPの人が陥り易い障害の③として、
依存症・過食症についてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
コメント