コラム/2021-02-26
HSPの人が陥り易い障害③依存症・過食症
<前回からの続き>
「エンパス」(HSPとほぼ同義と思われる共感力が非常に高い人達)
という概念を提唱しているアメリカの精神科医ジュディス・オルロフ先生は、
「エンパスは刺激が強すぎると、依存の対象にのめりこむことによって
感覚を麻痺させ、何とか知覚のオーバーロード(負荷のかかり過ぎ)
をやり過ごそうとする」
「食べ過ぎて余分な肉をつけて体重を増やすのは、
他者のストレスやネガティブなエネルギーから自分を守るため」
と仰っています。
私も(きちんと統計調査を行った訳ではありませんが)
HSPの人は非HSPの人に比べても、所謂”依存症”に陥る確率が高いのでは?
と想像しています。
思うに、そういった場合の”依存”のメカニズムとしては
以下のパターンがあるのでは?と想像しています。
<HSPの人の依存のメカニズム(仮説)>
①HSPの気質「S」(=些細な刺激に対する敏感さ)によって、
相手や物事のいつもと異なる小さな違いに気づく
②HSPの気質「D」(=物事を深く捉えて時間を掛けて
慎重にその意味や答えを見出して行こうとする)によって深い処理を行う
→ここでもし、「愛着の問題」や「心の傷」があった場合は、
その時に参照するフォルダーやファイルとその中の記憶は
ネガティブなものに偏ると考えられる
③その結果「E」(=強い感情反応と共感)によって生じる強い感情は
例えば「不安」「恐怖」「自責」「怒り」等のネガティブなものになる
④そしてそれらのネガティブな感情に伴って、
扁桃体でのノルアドレナリン(不安・恐怖等に関係する神経伝達物質)や
アドレナリン(怒り等に関する神経伝達物質 ※自責=自分に向けた怒り)
の分泌が高まって、「O」の刺激過多で神経が高ぶる状態になる
⑤その様な事が繰り返されると、視床下部のストレス中枢が興奮し、
副腎皮質からストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌され、
脳幹にあるセロトニン神経が抑制されて、脳内のセロトニン分泌が低下する
⑥本来ノルアドレナリンやアドレナリン等を制御し、「心の安定」を司る
セロトニンが減少する事でその制御が効かなくなり、
結果としてノルアドレナリンやアドレナリン等の分泌過多になり
心が安定せず、不安や恐怖・怒り等を感じる事が増え、
しかもHSPの気質からそれらの感情を抑圧する事で解消できなくなる
⑦アドレナリンはノルアドレナリンから合成され、ノルアドレナリンは
ドーパミンから合成されるので、それらの材料であるドーパミンも減少する
⑧こうしてセロトニン不足、ドーパミン不足に陥り、
ホメオスタシス(恒常性)によって、セロトニンやドーパミンを
増やす事が(無意識下での)最優先課題となる
(※特に「HSS型のHSP」の人は刺激=ドーパミンを求める傾向は元々強い)
⑨そしてまずドーパミン(快の刺激)を求めた行動としてギャンブルや買い物、
恋愛・SEX、ゲーム・ネット、食べ物・酒、薬物等に走る。
そしてそれらを得る”過程”でドーパミンが分泌され、
それらを得た”結果”として満足感=セロトニンが分泌される
➉ところが(特にHSPの人は)買い物やギャンブル、過食等をしてしまった
自分を責めたりする事でノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、
ストレスホルモンのコルチゾールが増え
結果としてドーパミンやセロトニンは再び減少してしまう
例:「あれも欲しい、これも欲しい!と沢山買い物する」(ドーパミンが分泌)
→「手に入れて満足感を感じる」(セロトニンが分泌)
→「あ~またやっちゃった・・・と罪悪感や不安を感じる」
→ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、セロトニンやドーパミン
が不足してしまう
※HSPの人は激しい恋に落ち易いと言われていますが、
恋愛依存の場合は、彼とうまく行ってるとしてもすぐに不安
が襲ってくる(特に「愛着の問題」や「心の傷」がある場合)と、
同様にドーパミンやセロトニン不足になってしまう
⑪その結果、更にドーパミンやセロトニンを求める行動が増えてしまい、
依存の悪循環に陥る
以上、私なりの仮説で(HSPの人が)依存に陥るメカニズム
をお書きしましたが、
次回はこの仮説を基に「HSPの人が依存症・過食を克服する為のヒント」
をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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