コラム/2021-06-09
境界性パーソナリティー障害になる4つの要因
<前回からの続き>
今回は、前回までの私の”推論”に加えて、
境界性パーソナリティー障害の人(以下BPDと表記します)は
「何故システムのパターンが固定化されてしまい、
それを延々と繰り返すのか?」
そして、
「何故どんどんそれがエスカレートしてゆくのか?」
という問いに対する私なりに考える答えも併せて、
「BPDになる4つの要因」としてまとめたいと思います。
<BPDになる4つの要因>
①幼い頃の養育者(主に母・父)からの虐待や見捨てられ体験(環境因)
→これはお書きした通り「心の傷」を作ったり、
「見捨てられ不安」にシステムのパターンが固定されるきっかけになる
と思います。
更に「愛着形成」が成されず、
「O」(オキシトシンシステム=安心・安全・愛着等)が確立されず、
(自他への)「基本的信頼感」も得る事ができなかったと想像されます。
加えて、
自分を振り回し、支配・コントロールする養育者をモデルにして
刺激を満たすやり方を学んだとも考えられます。
(自分にとっては苦痛・不快だが支配・コントロールする親にとっては快感)
②感覚過敏(先天的な器質因?)
→親が帰って来ない事や「また叩かれるんじゃないか?」
「傷つけられるんじゃないか?」といった事にとても敏感な気質
を有していると考えられます。
ですから、
大人になってからも彼氏のちょっとした言動に不安を感じてしまう
のではないでしょうか?
(鈍感な気質の人なら、そこまで不安に襲われないのでは?と思います)
※この「感覚過敏」については生まれ持っての気質・傾向なのか、
養育環境によってそうなったのかは、不明です
③こだわりの強さ(先天的な器質因?)
→相手(恋人?)が変わっても「見捨てられ不安」を基に、
「理想化」と「こきおろし」「脅し」で「相手を支配・コントロールする」
という事を目標にした刺激の満たし方を繰り返す部分を見るにつけ、
これは「こだわりの強さ」から来る常同行動ではないのか?
と考えてしまいます。
(その推測が当たっていれば)だからこそシステムのパターンが固定
されてしまうのでは?と考えます。
④刺激を求める傾向の強さ(先天的な器質因?)
→「理想化」「こきおろし」「脅し」「自傷行為」等の「行動化」は
本人にとってはとても刺激的な事だと思います。
単に「こだわりが強い」だけでは、そこまで刺激の渦の中に身を置く事は無い
と感じます。
よって、恐らく生まれつき「刺激を求める傾向が強い」気質を有している
のでは?と考えます。
ここまで私が考える「BPDになる4つの要因」をお書きしましたが、
それでは何故BPDの人はその行動がエスカレートしてゆくのでしょうか?
(BPDの人の自殺率は比較的高いとされています)
私が思うに、
「③」の「こだわりの強さ」から、
「見捨てられ不安」→「理想化」「こきおろし」「おどし」「自傷」
といったシステムのパターンが固定化される。
反面、「④」の刺激を求める傾向があるのに、
固定化されたパターンの中でしか行えない。
同じパターンの中で刺激を満たそうとすると馴化(慣れ)が生じ、
より強い刺激で無いと満足できなくなる。
よって、「こきおろし」「脅し「「自傷行為」等の「行動化」は
エスカレートしてゆく、と推測します。
次回は、
「境界性パーソナリティー障害は何故薬物療法が難しいのか?」
というテーマでお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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