コラム/2021-06-16
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)について
うちのルームにも「社交不安障害」(SAD)、所謂「対人恐怖」
に苦しんでお越しになる方も多いです。
その内容も、「スピーチ恐怖」、「会食恐怖」、「電話恐怖」、「視線恐怖」、
「書痙」、「赤面恐怖」、「発汗恐怖」、「振戦恐怖」等様々です。
また、
「自分が人を見る視線が相手を不快にしているのではないか」という
「自己視線恐怖」と、それによって正面を見られずに
代わりに周りをチラチラ見てしまうという、「脇見恐怖」に悩んでおられる方
も少なからずいらっしゃいます。
※他にも「自己臭恐怖」、「醜形恐怖」(DSM-5ではこれらは妄想性障害
または醜形恐怖症と診断されますが)等もここに含まれると思います。
私は、こういった症状で苦しまれておられる方に共通している事は
以下の部分ではないか?と考えます。
イ.「他人に対する欲求」や「対人関係における欲求」が強い
「それを人並にうまくやりたい」
とか
「嫌われたくない、迷惑を掛けたくない」
=「他人に受け入れて欲しい、愛して欲しい」という
「繋がり・所属と愛の欲求」
「人以上にうまくやりたい、馬鹿にされたくない、
笑われたくない、見下されたくない」
=「他人に認めて欲しい、勝っていたい」という
「承認欲求・優越感への欲求」
といった欲求を強く求めている(が叶っていないと感じている)と言える
と思います。
(※他人に無関心でそういった欲求を感じていない人は、
この様な症状は出ないと思います)
ロ.感覚過敏を有している
「あの人は私の視線を感じて、迷惑そうな顔してる」
「私が赤面したら、あの人は馬鹿にした様な表情で一瞬笑った」
等の相手の表情や反応に対する過敏さは「感覚過敏」の傾向を有している
と言えると思います。
ハ.「劣等感」を有している
「イ」の欲求を叶えようとしても「劣等感」によって
欲求充足への行動が阻止・邪魔されてしまうと考えられます。
ニ.「こだわりの強さ」を有している
同じ一つの欲求(「受け入れて欲しい」とか「認められたい」等)
にこだわり続け、同じ不安にもこだわり続けるが為に
症状が益々酷くなってゆくと考えられます。
ホ.「N」(ノル)アドレナリンシステムと「D」ドーパミンシステム
や「S」セロトニンシステムが亢進し続けている
「欲求充足」については 「受け入れられたい、愛されたい」
(=「S」セロトニンシステムの”安心”)
や
「認めて欲しい、勝っていたい」」
(=「D」ドーパミンシステムの”喜びや優越感”)
を求めていると考えられます。
また、
「N」(ノル)アドレナリンシステム「恐怖・不安」
→「(そういった事態を)回避する」
とか
「N」(ノル)アドレナリンシステム「恐怖・不安」
→「闘って(努力して)克服し勝とうとする」
というパターンが出来上がっていると考えられますので、
元々それらのシステムが優位な人が、「ニ」のこだわりの強さによって
同じパターンを繰り返す事す事で、益々そのパターンが強化・亢進
され続けているのでは? と考えます。
それでは次回は、これらの私の推論に基づいて
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム
について私見をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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