コラム/2021-06-18
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム
<前回からの続き>
今回は、前回お書きした私の推論に基づいて
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)のメカニズム
について私見をお書きしたいと思います。
まずそういった症状に悩まされる方の多くには
以下のメカニズムが働いてるのでは?と思います。
①「安心、愛情、繋がり」や「承認、優越感」を求める気持ちが強いが
不安・恐怖も感じ易い人
即ち、
「N」「(ノル)アドレナリンシステム」(=恐怖・不安)
→「S」「セロトニンシステム」(=安心・繋がり・所属と愛の欲求)
や、
「N」
→「D」「ドーパミンシステム」(=快の刺激・承認、優越感等の報酬)
といった「N]→「S」または「N」→「D」のシステムが優位な人
であると考えられます。 (恐らく生まれつき)
例「誰からも嫌われたくない。みんなと仲良くなりたいなあ~。」
(「S」)
「でも、人前で顔が赤くなる私なんて嫌われるんじゃないかしら・・・」
(「N」)
②感覚過敏を持ってる(恐らく生まれつき?)が故に
相手の不快な表情や態度に気が付く
例「この前私がみんなの前で発表した時、A子は冷たい顔をしてたし、
B子は馬鹿にした様に笑ってたなあ~。
C子もきっと”情けない奴”と思ったに違いない・・・
だからあの後、少しよそよそしい態度してるもんなあ~」
(感覚過敏)
③こだわりの強さを持っている(恐らく生まれつき?)
一つの欲求や不安・恐怖とそれの克服にずっと集中し続けている状態
というのは「こだわりの強さ」が根底にあると考えられます。
例「みんなから嫌われたくないのに、A子もB子もC子も
最近では他の子も私に対する接し方が冷たくなってきた気がする・・・
どうすればいいんだろう?・・・このままじゃ学校に行けなくなりそう」
と四六時中、不安に集中し続けている
④劣等感を持っている(または作り出している)
例えば、「相手が私の事を嫌うんじゃないか?」とか
「馬鹿にしてるんじゃないか?」等は劣等感からくるものと考えられます。
但し、
「(愛されている)安心を感じたい」とか「(馬鹿にせず)認めて欲しい」
等の欲求を叶える為には前提として「嫌われてるんじゃないか?」や
「認められていないかも?」等の「不安」や「劣等感」が必要です。
ですから特に刺激や欲求を求める傾向が強い人(「N」システム
→「D」システム優勢の人)は不安や劣等感を作り出してでも、
そのシステムを作動させるのでは?と考えたりもします。
例1:「私はA子みたいに可愛く無いし・・・自分の顔なんて大嫌い!
(劣等感)
きっとみんな私の事を”不細工な癖に”と思ってるんだろうなあ。
(感覚過敏)
きっとみんな心の底では私の事を嫌ってるんだろうなあ・・・
(「N」による不安)
整形したらみんなから好かれるかな・・・」
(「S」による欲求)
という事ばかりを考えている。
(こだわりの強さ)
例2:「勉強できない俺の事をみんな馬鹿にしやがって!
(創り出された?劣等感への集中・こだわり)
俺を馬鹿にする奴は許さない!
(「N」による怒り)
お前何メンチ切ってるんだよ!
(感覚過敏)
殴られたいのか!?」と喧嘩を吹っ掛ける
(「D」による優越感を求めての行動化)
その行動を繰り返し日々喧嘩にあけくれる不良(ヤンキー)。
(こだわりの強さ)
※例2の場合は「対人恐怖」とは言えませんが、
ある意味よく似ていませんか?
違いは「劣等感を自ら作り出している」事と、
「不安・恐怖」→「安心を求めた回避」(「N」→「S」)ではなく
「不安・恐怖」→「闘争による勝利を求める」(「N」→「D」)
というパターンの違いだと思います。
⑤ パターンが固定化される
「不安・恐怖」(N)→「安心という報酬を求める」
(D・S)
→その為に不安・恐怖に対して「安心を求める回避行動を採る」
(D・Sを求めてのN)
→「益々不安・恐怖が増強される」・・・という様に、
「安心」(報酬)を求めるが故に益々不安が強化されてゆくというパターン
が出来上がっていると言えると思います。
例:「私の一重の目が嫌い・・・きっと可愛くないと思われてるだろうなあ
(「N」)
だからプチ整形して二重にすれば、あの娘みたいになれるかも」
(Dを求めてのN)
「目は整形したけど、鼻筋が通ってないから余計に不釣り合いになった。
これじゃあ、益々変な顔だと思われちゃう・・・」
(新たな不安を作り出す「N」)
「④」の例と同様に、「安心」や「優越感・承認・勝利」等といった
”報酬”を手に入れるには、「不安や恐怖」「劣等感」に集中したり、
或いはそれらを作り出さない限りは手に入らないというパターン
ができてしまう。
そしてそこには「ドーパミン」や「セロトニン」といった報酬が絡むので、
言ってみれば「ドーパミン」や「セロトニン」依存、
もっと言えば「不安・恐怖」依存や「劣等感」依存とも言える状態になる
のかも知れません。
だとすれば、
その依存パターンから抜け出すのが難しくなり固定化するのも頷けます。
(※やめられない事や繰り返される不快な事=依存には、
おしなべて報酬系が絡んでいると私は思っています)
◎要するに
「安心、愛情、繋がり」や「承認、優越感」を求める気持ちが強い人が
その”報酬”(「D」や「S」)を得る為に、「N」システムを起動させて
「劣等感」にこだわって(或いは作り出して)、
自分(の視線、表情や言動、容姿等)に意識を集中し、
その部分にのみ感覚過敏を集中し続け、
そのこだわり故、パターンが固定化されてしまっているている状態
とも言えると思います。
それでは次回は私の推論に基づいて、
対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)克服のヒント
をお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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