コラム/2021-06-28
対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)③
<前回からの続き>
今回は、
「対人恐怖症(社交不安障害・SAD)克服のヒント(詳細)」
の3つ目として
③システムの固定化されたパターンを変える
について前回、前々回お書きした「例」を基にお書きしたいと思います。
③システムの固定化されたパターンを変える
以前お書きした様に、対人恐怖症の方には、
「不安・恐怖」(N)
→「承認・安心という報酬を求める」(D・S)
→その為に不安・恐怖に対して「承認・安心を求める(回避)行動を採る」
(D・Sを求めてのN)
→「益々不安・恐怖が増強される」(「N」の増強)
といった、固定化されたパターンがあると考えられ、
(1)対人関係以外の違う対象に向けてシステムを起動させる
(2)「N」(不安・恐怖)→「D・S」(欲求)→「N」(回避?行動)
→「N」の増幅
というシステムのパターンそのものを変える
といった2種類の働きかけが有効ではないか?とお書きしました。
私のその考え方を基にヒントをお書きしたいと思います。
(1)対人関係以外の違う対象に向けてシステムを起動させる
a.対人恐怖以外の「不安」「恐怖」を書き出してみる
例「将来結婚できるのか?」「家族や友人等、周りから見下され続ける
んじゃないか?」
「一生、うだつが上がらないまま死んでしまうのでは?」・・・等。
b.その中で、最も「不安・恐怖」を強く感じるものを選び、
その不安・恐怖を突き詰めて考えてゆき、強く実感する。(Nを起動)
例1「もし、結婚できないとしたら・・・ずっと淋しい思いを抱えて生きて、
結婚して幸せになってゆく友人達とも交流がなくなってゆき、
最後は天涯孤独になってしまう・・・ああ!~嫌だ!」
例2「このまま会社でも認められず、きっと親父は僕の事を”情けない奴”
と見放すだろうな・・・クソ!悔しい」
c.本当の自分の望みを書き出す。(D・Sを起動)
例1「本当は素敵な男性と結婚して幸せになりたい!」
例2「本当は会社で認められて、親父を見返してやりたい!」
※ここで大切な事は「他人が”こうあるべき”とか”それはおかしい”
と思うだろうな」を基準にするのではなく、
「自分が”こうありたい”とか”これをしたい”とか”これがいい”」
と感じる事にフォーカスしてゆく事だと思います。
d.再度「不安・恐怖」を意識して、そうならない為の(回避)行動を採る
(D・Sを求めてのN)
例1「天涯孤独は嫌だ!だから結婚しなきゃ!
まずどうしたらいいかな?・・・
そうだまずはマッチングアプリに登録しよう!」
例2「親父に馬鹿にされてたまるか!親父を観返す為には・・・
まず、毎晩明日の仕事の準備をして、成績を上げよう!」
※ここで大切な事は不安恐怖に対する(回避)行動は、
今すぐできる小さな事から始めてゆく、という事です。
(2)「N」(不安・恐怖)→「D・S」(欲求)→「N」(回避?行動)
→「N」の増幅というシステムのパターンそのものを変える
a.対人関係での自分の「恐怖・不安」、「欲求」、「(回避)行動」
を書き出す
例「私が恐れてるのは・・・私の視線が他人に迷惑かけちゃう事。
突き詰めれば・・・みんなに迷惑かけて、誰からも受け入れられなく
なるのが怖い!」
「私の欲求は・・・みんなから受け入れてもらう事」
「(回避)行動は・・・他人が視界に入らない様に努力する事
(でも視界に入って来てしまう)」
b.その(回避)行動が、自分の欲求を叶える為に役に立ってきたか?
を検討する
例「他人が視界に入って迷惑かけない様に努力してきたけど、
うまくいってない。そしてその努力によって
みんなから受け入れられたという事は一切なかった・・・」
c.その(回避)行動が、自分の欲求を叶える為に役に立ってきたか?
を検証する
例:家族などに「最近、私の目つきが悪いって友達に言われて、
迷惑かけちゃったのかな?と気になるんだけど、ちょっと見てみて」
と家族に協力してもらい、
父母、兄弟等が視界に入る場所で、(回避)行動を採ってみる。
「どう?目つきが悪くて嫌な気持ちになった?」
「別に・・・それよりもあんた最近表情が暗いから心配だわ」
d.自分の欲求を叶える為に、(回避)行動とは違う行動を採る
例「結局、どうあがいても私の視界に他人が入ってきてしまうし、
目を合わさない様にしていても、みんなから受け入れられてないし、
お母さんは”別に気にならない”と言ってたし・・・」
「受け入れられる為の何か別の行動か・・・・。
そうだ、思い切って視界に入った他人に
親しみを込めたアイコンタクトを送って行こう」
等々。
以上、ここまで対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)克服のヒントを
お書きして来ましたが、これはほんの一例・一方法にしかすぎませんので、
もし独りで難しい場合はお気軽にご相談下さい。
それでは次回は対人恐怖症(=社交不安障害・SAD)の薬物療法
についての私見を述べたいと思います。
<次回へ続く>
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