コラム/2021-07-02
劣等感と共依存
今回は、「劣等感と共依存」というテーマで私見を述べたいと思います。
まず共依存とは端的に申しますと、
特定の相手(恋人・配偶者・家族・友人等=依存症者)に必要とされる事に
自身の存在価値を見い出し、共に依存を維持している状態」と言えるでしょう。
つまり、
相手を助け支える事で初めて自分の存在価値が見いだせる訳ですので、
その心理の根底には「劣等感」や「無価値感」、「空虚感」等があって、
相手を助けたり支える事によって、
「満足感、優越感、支配・コントロール感、承認」等の”快の刺激”を得る
事を目的としていると考えられます。
そこには「私は無価値だ」「誰の役にも立っていない自分はダメだ」
→「だから誰かを助けなきゃ!」等といったパターン、
即ち、
「劣等感」・「無価値感」・「空虚感」
→「N」(ノルアドレナリンシステム=不安・恐怖)
→「D」(ドーパミンシステム=満足感、優越感、支配・コントロール感、
承認等の快の刺激)を求める
→「N」(ノルアドレナリンシステム=「劣等感」や「無価値感」等の
不快を回避する援助行動
→「D」(ドーパミンシステム=快の刺激という報酬を得る)
というシステムのパターンが存在するのでは?と思います。
依存症全般に言える事だと思いますが
私はより強い満足(報酬=「D」)を得る為には、
より強い不足(「劣等感」・「無価値感」・「空虚感」や不安・恐怖
=「N」)が必要だと考えます。
例えば「ギャンブル依存症」は、
退屈や”もっとお金が欲しい”、”小遣いが足りない”、”借金を返さなきゃ”
といった不足感(=「N」)が根底にあって、
”金を得る”という報酬(=「D」)を求めている状態と考えられます。
そして、お金が無い状態の方が「N」の不足感が強くなり、
「D」の報酬を求める動機付けがより強まるのではないでしょうか?
だから、よりお金をつぎ込んで借金を重ね、不足感を強くする事で、
報酬を求める気持ちもより強まって、益々お金をつぎ込んで
不足感を更に強めてゆく・・・といった悪循環から抜け出せなくなるのでは?
と思います。
※丁度、真夏の暑い日に運動して沢山汗をかいて、それでも水分を摂る事を
我慢し続け(=不足感を強める)、風呂上りに飲むビールが最高に感じる
(=報酬がより強まる)のと似てるかも知れません。
だとすれば「共依存」も同様に、
依存状態を維持し続けるには(報酬を求め続けるには)、
劣等感・無価値感・空虚感等の「不足感」を維持する必要があると思われます。
だから時には劣等感も作り出す必要も出て来るでしょうし、
相手に対する援助についても、まだ”足りていない部分”に目を向け、
それによって相手の依存度も益々強まる、といった「共依存システム」
の強化が進んでゆくでしょう。
そしてもし、相手が大丈夫な状態(例えば自立しちゃう)になると、
報酬が得られなくなるので、他の大丈夫でない人を必要とすると思われます。
もしそうであるならば、
どうすればこの「(共)依存状態」から抜け出せるのでしょうか?
私は、まず劣等感・無価値感・空虚感等の「不足感」を減らしてゆく事
が大切だと思います。
例えばギャンブルでも、お金がいくらでもあって、
いくらギャンブルをしてもお金が一向に減らないし、
誰からも文句を言われないとすれば、
不足感や罪悪感や不安が無い(=「N」が起動しない)状態になり、
満足感も無くなってゆき、 そのうちに「D」も起動できなくなり、
依存状態から脱してしまうと考えます。
但し「不足感」は人によって違いますし、それを減らす方法も違う筈です。
ですからご自身で、(今陥っている依存とは違う形で)
どうすれば自分の不足感を減らせるか?を考えてみる、
という事がヒントになると思います。
※もし、お一人では難しい場合はお気軽にご相談下さい。
それでは次回からは「劣等感とうつ病」についてお書きしたいと思います。
<次回へ続く>
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